議会報告
2024年予算議会
2024年 予算議会を終えて
2024年4月9日 日本共産党福岡市議団
2月19日から始まった福岡市議会が3月28日に閉会しました。
わが党は、あらゆる面でゆきづまりが極まった自民党政治を終わりにし、希望ある日本をつくる道を指し示すために1月に第29回党大会を開きましたが、財界中心の政治を続ける現市政の根本的転換を求めた代表質疑をはじめ、今議会は大会が示した方向で徹底した議論を行いました。
共産党提案の2つの意見書が全会一致
物価高騰で暮らしの困難がひろがるなか、介護など社会保障の充実や教育費無償を求める国民的連帯を広げることが求められています。
わが党は国が新年度より行う訪問介護の基本報酬引下げについて見直しを求める意見書を今議会に提案し、全会一致で採択されました。同時に、議会質問では医療・介護施設へのコロナ対策支援の継続、子育て給付金の増額や学校給食費無償化などを求めました。
また、党大会では能登半島地震の支援に全力をあげることが決議されました。今議会でわが党は同地震被災者への支援金拡充を国に求める意見書を提案し、これも全会一致で採択されました。
これに関連して、わが党は福岡市に対し「防災対策強化の提言」を作成し、2月5日、市に対して申し入れを行いました。予算議会ではこの「提言」に沿って防災対策見直しを具体的に提起しました。市の想定避難者数が「全壊」「焼失」建物の居住人数しか見込んでおらず全く実態に合っていないことを明らかにし、地震規模や避難者数の想定を抜本的に見直すことを求めました。また、ほぼ1か所に集中している食料や段ボールベッドなど公的備蓄の大幅拡充や分散配置、能登でも大問題になった災害用トイレを必要数増やすこと、避難所となる学校体育館のエアコン設置など要求しました。そのうえで自助・共助を前提にした防災計画ではなく公助を第一にしたものに改めるべきだと迫りましたが、市長はあくまでも自助・共助にこだわる自民党政治追随の防災対策にこだわる姿勢を変えませんでした。
子育て給付金、「あいれふ」利用、コロナ対策などただす(2024年2月19日の倉元達朗市議の議案質疑)
申し入れ『2024年能登半島地震を受けた、福岡市の防災対策強化への提言』
能登半島地震を受け、福岡市の防災対策を問う(2024年3月7日 堀内徹夫市議の補足質疑)
世界平和の喫緊の課題にとりくむ
「軍事対軍事」の悪循環を食い止めるためにも、イスラエルのガザ攻撃について即時停戦を求めるとともに、核兵器禁止条約を日本政府が批准することとあわせ、被爆者支援・環境修復を定めた条約6・7条への日本の協力を実現することが必要です。
今議会でわが党は、ガザでの停戦を求めるよう市長に迫りました。市長は「停戦が速やかに実現することを強く望んでいる」と表明しましたが、独自のアピールを出すまでには至りませんでした。また、核兵器禁止条約については批准署名に取り組まず、6・7条への協力要請にも後ろ向きの姿勢を示しました。
アメリカいいなりの「戦争国家」づくり許さず
いま、岸田政権が進めるアメリカいいなりの「戦争国家」づくりを許さず、民間の空港・港湾の軍事利用について国民的な反対運動を広げることが求められています。
わが党は2月28日に海の中道で行われた自衛隊の迎撃ミサイルPAC3の展開訓練について緊急申し入れをおこない、予算議会でもとりあげ、二度と行わせないよう要求しました。また、有事に自衛隊が円滑に利用できるよう国が整備を計画する「特定利用港湾」に博多港が指定されようとしていることを受け、討論で強く反対を表明しました。市が「災害対応のため」などとごまかしながらこの指定を承認したことについて、3月29日には抗議・撤回を求める申し入れを行いました。
申し入れ『本市における自衛隊の「PAC3」展開訓練についての緊急申入れ』
申し入れ『特定利用港湾」の博多港の指定受け入れに断固抗議し、撤回を求める要請』
自民党政治を終わらせる国民的大運動へ市民の要求を論戦
自民党政治と国民との矛盾が極限に達しているいま、あらゆる分野で国民運動を起こし、自民党政治を追い詰めていくことが必要です。
わが党は今議会で、さまざまな分野での市民の声や運動にもとづく要求を取り上げ、その実現に奮闘しました。ジェンダー平等の立場から生理の貧困について取り上げ、生理用品の学校など公的施設のトイレでの無償配布を行うことや、過労死をも生み出す深刻な長時間労働を背景にした教員不足によって子どもの学ぶ権利が侵害されている問題についてただしました。
特に、市長が市民の声を一切聞かず、現場をも無視して「トップダウン」で押し付ける市政運営に対し、市民の反対の運動が広がり、わが党はそれらと手とたずさえて議会論戦を行いました。
保健所の統廃合については、今議会でも中止を求めて質問し、地域の保健行政の職員・保健師の数が減らされることが明らかとなり、いっそうの市民の怒りが広がっています。
3月10日の市政懇談会で出された意見などをもとに、「こども誰でも通園制度」についても質問し、現場の混乱などをリアルに紹介して拙速な拡充をやめ、抜本的な見直しをするよう要求しました。
児童発達支援センターの「一時預かり」制度の導入については、あまりにも拙速で現場無視であるとして職員や保護者の不安が広がり、見直しを求める要請書が提出されました。わが党は議会で取り上げ、市が拙速な計画を現場に押しつけた文章を「公文書ではない」と居直っていたこども未来局長は謝罪に追い込まれました。
教員不足、箱崎九大跡地利用、生理の貧困ただす(2024年3月8日 綿貫康代市議の補足質疑)
世界水泳福岡大会の過大な経済波及効果を暴露し、保健所統廃合問題、児童発達支援センターの一時預かり事業についてただす(2024年3月22日 中山郁美市議の総会質疑)
財界中心の政治の転換へ――大型開発・「呼び込み」頼みの破たんがあらわに
国民との矛盾が広がっている財界中心の政治からの転換がいまこそ求められています。福岡市で進められる大企業中心の大型開発・「呼び込み」頼みの破たんがわが党の論戦で明らかになったことも今議会の特徴です。
最終的な市の負担額が当初計画の3倍である107億円となったことが判明した世界水泳福岡大会。わが党の追及で、経済波及効果が100億円以上も水増しされていた疑いや、チケット販売や協賛金などが目標まで届かなかったにも関わらず委託した電通などに莫大な「成功報酬」が支払われたこと、協賛金の穴埋めに市が約5億円もの公金を投入していたことなど、問題が次々と明らかになりました。わが党が民間調査会社に依頼して独自に行ったアンケートで世界水泳が「成功」だったと答えた市民はわずか12%だったことも示し、世界水泳は市民に大きな負担を押し付けた一方、大企業に大もうけさせるためのイベントに過ぎなかったと批判し、市長の責任を厳しく追及しました。
髙島市長は世界水泳の失敗を認めず、カジノとの一体性があらわとなっている大阪・関西万博への参加を進めており、また、歴史的根拠の乏しい福岡城の「幻の天守閣」ライトアップ事業に2年間で1億円もの税金を費やそうとしています。わが党は「天神ビッグバン」や人工島などの大型開発への税金投入、給付金などの大規模業務委託を含め、大企業が潤えば市民にその恩恵が回ってくるという「都市の成長と生活の質の向上の好循環」が破たんしていることを指摘し、税金の使い方を改めるよう強く求めました。また、住民の願いに反する箱崎九大跡地での巨大アリーナやIT都市構想を容認せず、防災公園などの住民の願いに沿った跡地利用を要求しました。
こども誰でも通園制度、福岡城天守閣、万博、平和行政を質問(2024年3月25日の倉元達朗市議の総会質疑)
要求実現に引き続き尽力
共産党の論戦と市民の運動が実り、新年度予算にも反映されました。これまで1回に1枚しか使えなかった高齢者乗車券のタクシー券が新年度からは2枚使えるよう改善しました。また、高齢単身世帯の要求をもとにごみ袋を「もっと小さい袋で、バラ売りすべき」と議会で質問してきましたが、これも実現しました。さらには、猛暑の際に誰もが立ち寄れる冷房が効いている施設「クーリングシェルター」の設置が新年度より行われます。これらは、わが党の道理のある主張と市民の運動が実った貴重な成果です。引き続き、高齢者乗車券については対象者や金額の拡充、ごみ袋については値下げなど、市民の要求実現に奮闘します。あわせて、ゆきづまった自民党政治を終わらせるための国民的大運動にみなさんとご一緒に取り組んでいく決意です。