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議会報告

2024年予算議会

2024年度 代表質問

2024年3月6日 中山郁美市議

私は日本共産党市議団を代表して、髙島宗一郎市長の市政運営方針と2024年度予算案及びその他諸議案について、市長並びに教育委員会等に質問いたします。


まず、市長の市政運営方針の基本点と新年度予算案の基調についてです。

いま、「失われた30年」ともいわれる長期にわたる経済停滞のもとに襲いかかった物価高騰に対し、岸田政権は部分的な一時しのぎの対策を繰り返すばかりで、希望の持てる打開策を何一つ示すことができていません。

国がまともな対策を打たないなら、市民に身近な自治体である本市が市民の生活を防衛するための手立てを緊急にとるべきですが、市長の市政運営方針や新年度予算案には、学校給食費無償化などの市民の切実な願いに応える施策はまったく入っていません。それどころか国民健康保険料を引き上げて市民負担を増大させるなど、市民の暮らしの困難を打開するという観点が極めて乏しいと言わなければなりません。

また、髙島市長は都市の成長を生活の質の向上に結びつけるという名目で、大型開発や巨大イベントを強力に推進してきましたが、その恩恵は大企業に集中しており、市民や市内中小企業・小規模事業者には回っていません。

「天神ビッグバン」やウォーターフロント再開発などの大型開発優先や外からの「呼び込み」頼みはやめ、市民の暮らし・福祉や中小企業・小規模事業者の経営を応援することで市内経済の活性化を図るという地域循環型経済を実現する方向へ市政運営方針を転換し、新年度予算案を抜本的に見直すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

令和6年度予算案については、「次代を担う子ども、グローバル人材の育成」、「見守り、支え合う、共創の地域づくり」、「都市活力を生み出す観光・MICE、都心部機能強化の推進」、「新しい価値の創造にチャレンジするスタートアップ都市づくり」という4つの分野に加え、災害や社会の変化にも強いまちづくりや、次代を担う子どもから高齢者まで誰もが安心して自分らしく生活できる環境づくりを推進するなど、やさしさ溢れるまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。


次に、大型開発と規制緩和について質問します。

第一は、「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」についてです。

『 まち壊しプロジェクト 』である天神ビッグバンは、庶民が気軽な買物のために集えなくなっているとともに、今度は風情のある水鏡天満宮横丁からも飲食店を追い出し、横丁ごとなくそうとしています。

また、警固断層に対する市独自に強化した耐震基準をクリアしている天神エリアのビルは4割にとどまっており、地震などの際に1万7,000人以上が路頭に迷う課題は後回しにしているなど、「安全・安心、災害に強い街づくり」という謳い文句も実態に合っておりません。

天神ビッグバンには「税金を投入しない」と言いながら、今年度までに約150億円の巨額の税金が使われる見込みです。天神ビッグバンは現時点できっぱり中止するべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

博多コネクティッドも天神ビッグバン同様、巨額の税金投入がなされており中止すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

都心部においては、天神ビッグバンや博多コネクティッドにより、まちが大きく生まれ変わる中で、水辺や緑、文化芸術、歴史などが持つ魅力にさらに磨きをかけ、多くの市民や企業から選ばれるまちづくりに取り組んでまいります。


第二は、港湾事業・人工島についてです。

コロナ禍でインバウンドが破綻して、ウォーターフロント地区再整備も大幅な見直しが迫られました。海外クルーズ船の寄港が再開したことを理由に賑わいの拠点などといって財政負担が伴う開発は行うべきではないと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

ウォーターフロント地区については、ふ頭基部において、MICE拠点の形成、賑わいや憩い空間の創出など、市民や来街者が楽しめる魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。

人工島の土地処分は公共施設の移転、立地交付金のばら撒きなどあの手この手で巨額の税金を投入した結果です。長年にわたり毎年100億円もの税金がつぎ込まれてきた上に、今後も約284億円の事業費を見込んでおります。これ以上、人工島エリアだけを特別扱いする税金の使い方はやめるべきと思いますが明確な答弁を求めます。

(答)

アイランドシティについては、居住者が14,000人を超え、まちの成熟や港湾機能の強化が進んでおり、今後とも、先進的モデル都市づくりや、国際物流拠点の形成などに取り組んでまいります。

また、海の中道へのカジノを含むIRの誘致について市長自身がきっぱりと拒否を宣言すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

特定複合観光施設、いわゆるIRの誘致については、福岡市では検討を行っておりませんし、検討を行う予定もありません。


第三は、九州大学箱崎キャンパス跡地についてです。

この間マスコミ報道でアリーナ建設や住民監視を招くIT都市など住民が望まない計画が発覚しています。しかも、市民に対しての情報開示は全くなされておらず、まちづくりの中心的役割を果たしてきた本市が、市民にも議会にも説明しない姿勢は許されません。アリーナやIT都市ではなく住民が長年要望してきた防災機能を備えた広い公園の整備、住民が集えるコミュニティセンターの設置などを実現すべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

九州大学箱崎キャンパス跡地については、地域とともに創り上げたグランドデザインに 基づき、九州大学や地域などの関係者と連携をして、まちづくりに取り組んでまいります。


第四は、福岡空港についてです。

福岡空港は「東アジアトップクラスの国際空港」にすることを謳い文句にして、30年後に旅客数を現在の1.5倍にし、路線数を倍加させるとしていますがコロナ禍で旅客数が激減するなどその計画は破綻しています。また、航空業が気候変動に与える影響は大きく、地球環境を保持する観点からも矛盾します。こうした無謀な計画を見直すよう国・県に求めるとともに滑走路増設をやめるように要求すべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

福岡空港については、航空機混雑の解消や将来の航空需要に適切に対応するため、増設滑走路の令和6年度末供用開始に向けた着実な整備を国に対し要望するとともに、福岡市としても協力をしてまいります。


第五は、国家戦略特区についてです。

国家戦略特区は、農業、医療、教育、労働などの分野の国民生活や安全にかかわる規制について、財界の要求に応じて緩和し、市民を守るルールを壊す仕組みとなっています。この制度は地域経済の発展にもつながらず、真の意味での経済成長をもたらしません。本市の「グローバル創業・雇用創出特区」指定は返上すべきではありませんか。

(答)

グローバル創業・雇用創出特区については、国の施策や規制改革に、福岡市独自の施策を組み合わせることで、創業の裾野を広げ、多くの企業や雇用を生み出すとともに、医療保険制度で全国初となる遠隔服薬指導を実施するなど、市民生活の質の向上に寄与してきました。引き続き、特区の活用によって、都市の成長と生活の質の向上を図ってまいります。

あわせて、市が県とともに金融庁に共同提案した金融・資産運用特区は、海外から金融機関や金融人材を誘致し、経済の金融化・バブル化を進め、実体経済の衰退、富裕層への富の集中、格差の拡大を招くものであり、とめるべきだと思いますが、所見を求めます。

(答)

国際金融都市については、チーム福岡が一体となって、誘致活動を進めるとともに、「金融・資産運用特区」の獲得に向けて取り組むことで、グローバルな人材が活躍し、継続的にイノベーションが生まれる国際都市を目指してチャレンジしてまいります。


第六は、世界水泳福岡大会についてです。

市長は世界水泳福岡大会について、終了後あたかも成功したかのように宣伝しましたが、発表された来場者数は実際の人数を2倍に水増ししていたことが我が党の追及で明らかになりました。また、当初計画の3倍以上に膨れた130億円に上る本市の財政負担はさらに膨れ上がる可能性が高く、逆に540億円とされていた経済波及効果は大幅に減少する可能性が高まっております。わが党は電通やゼネコンなどとの契約を含め、これら詳細を明らかにするよう求めてきましたが未だに「精査中」等として報告も公表もされておりません。姑息な時間稼ぎやつじつま合わせは断じて許されず、問題だらけの契約や運営のあり方等の全容を早急に示すべきではありませんか。あわせて、市民に多額の負担を押しつけることになった市長の責任を明らかにし市民と議会に対し謝罪すべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

世界水泳選手権については、多くの来場者をお迎えすることで、市民スポーツの振興や都市ブランド力の向上、地域経済の活性化に寄与したと考えております。また、契約書などと併せて、大会組織委員会において議決された開催結果もお示しいたします。


第七は、大阪・関西万博についてです。

大阪・関西万博について、市長は観光誘客を目的に前のめりの姿勢をあらわにし、市民や議会にまともな説明もしないまま会場内でのブース出店やイベントの開催も進めようとしています。しかし、建設費が1250億円から2350億円へとどんどん膨れ上がり、「日本館」の建設費などでは新たに830億円超の国の負担があることも明確になり、カジノとの一体性もあらわになる中、世論調査でも万博の開催そのものに対して「反対」が多数を占め、人材や資材、税金投入については能登半島地震被災者の住宅や生活の再建、地域復興にこそ集中すべきだとの世論も急速に広がっております。問題だらけのイベントに1円たりとも税金を使うことは許されず、万博からは手を引くとともに、国に対してその中止を求めるべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

大阪・関西万博の開催については、国等において適切に判断されているものと考えております。今後とも、大規模な国際イベントなど様々な機会をとらえ、効果的な観光誘客に取り組んでまいります。


次に、社会保障について質問します。

第一は、保健所統廃合についてです。

市長は12月議会に突然提案し十分な審議もないまま可決された条例に基づき、新年度から保健所統廃合を強行しようとしております。市の保健・医療行政に重大な影響を及ぼす問題を各区の保健所運営協議会にも保健福祉審議会にも何一つ諮らず、医療・保健・福祉関連団体からも市民からもまともに意見を聴かないまま進めるやり方には重大な瑕疵があると思いますがご所見を伺います。

新型コロナパンデミックとの闘いにおいて保健所業務が逼迫したのは7区7か所の保健所体制が問題ではなく、全国政令市の中で保健師等の専門職員の数を最低水準にまで減らしてきたことに加え、市全体の保健所を統括する体制をおろそかにしてきた市長の失政こそが最大の要因ではありませんか、答弁を求めます。

平常時から住民の健康や命を守る役割を果たしつつ、今後起こり得る新たな感染症にも対応できる保健所体制に強化するためには、各区の保健所体制を維持し、専門職員の抜本増と全体を統括する部署の強化こそが必要であり、一元化された条例の施行は中止し、議論をやり直すべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。

(答)

保健所については、広域的・専門的な機能のみを一元化する業務執行体制の見直しを行うものであり、指揮命令系統の明確化や、医師や保健師などの専門職チームの編成などにより、健康危機管理体制を強化します。また、保健サービスについては、引き続き、各区で実施してまいります。


第二は、国民健康保険についてです。

市長は新年度の保険料について、医療分と後期高齢者医療支援分は据え置くとしているものの40~64歳までが負担する介護分については引上げ、史上最高額の保険料を押し付けようとしております。異常な物価高騰の折りに都道府県単位化を理由にして子育て世代等に高い保険料を押し付ける等許されず、一般会計からの法定外繰り入れを緊急に増やし大幅引下げこそ図るべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

国民健康保険料については、医療分と支援分の一人当たりの合計が令和5年度と同額になるよう、一般会計からの繰入や基金の活用によって、保険料負担の軽減に努めております。


第三は、後期高齢者医療についてです。

福岡県後期高齢者医療広域連合は、国が進める「全世代型社会保障」なる方針に追随し、次期保険料を史上最高額へと大幅に引き上げようとしています。物価は下がらず、年金は削減され、介護保険等各種の負担は増え続ける高齢者にこれ以上の負担を押し付け、医療を受ける権利さえ奪うことは許されません。基金の全額活用をはじめあらゆる手立てをとり保険料を引き下げるよう広域連合に求めるとともに、窓口負担の2倍化は中止し元に戻すよう国に求めるべきではありませんか、お尋ね致します。

(答)

後期高齢者医療の保険料については、広域連合において、運営安定化基金などの活用も含め、適切に対応することとされております。また、制度の見直しは、国において、全世代対応型の社会保障制度を構築するため行われるものです。


第四は、マイナンバー保険証についてです。

政府は今年12月から現行の紙の保険証を廃止し、マイナ保険証に統一しようとしています。個人情報のひも付けにおいては大量の誤りが発覚し、医療現場でも混乱が続く等、国民の信頼は失墜しまさに制度自体が破たんしております。市長は、国と一緒になってマイナ保険証への移行を推進する姿勢を改め、制度を中止し紙の保険証を存続させるよう求めるべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、法令に基づき適切に制度を運用するとともに、国に対して、市民への丁寧な説明などを求めてまいります。


第五は、市立病院についてです。

福岡市立こども病院、市民病院ともに人員不足により職員の疲弊はピークに達しており、医師や看護師等の処遇改善と一体に人員確保を図るべきではありませんか、ご所見を伺います。また、市民病院のあり方については移転の是非も含め利用者や地域住民の声を十分に反映させるべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

こども病院と市民病院の職員の勤務条件などについては、病院機構において適切な対応が図られております。

市民病院のあり方については、病院事業運営審議会などの意見も踏まえ、果たすべき役割や機能などについて検討を進めてまいります。


第六は、介護保険についてです。

策定中の第9期介護保険事業計画においては保険料の基準額について、最大で年間9060円も引き上げ8万円を大幅に超える史上最高額にすることが検討されております。負担の限界を超えた保険料引上げは許されず、あらゆる手立てをとって引下げを図るとともに、国庫負担割合を抜本的に引上げるよう国に求めるべきではありませんか、答弁を求めます。あわせて、国が検討している介護サービス対象者の絞り込みや利用料の2割負担への引上げ等の大改悪についてはやめるよう、要求すべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

介護保険料については、介護保険事業計画を策定する中で、必要な介護サービス費用などを見込み、適切に設定しております。今後とも、国に対し、必要な措置を要望してまいります。

また、全産業平均より「月6.8万円低い」とされる介護職員の低賃金を改善するために抜本的な報酬改定と訪問介護報酬の引き下げ撤回を国に求めるとともに、市独自の人件費補助制度を設けるべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

介護従事者の処遇については、国における、介護報酬の改定や加算の拡充に加え、介護業界のDXの推進、コンサルタントの派遣などに取り組んでまいります。


第七は、いわゆるヤングケアラーについてです。

社会問題となっているヤングケアラーについては当事者自身が専用窓口に相談しやすいよう、周知・広報とともに教育現場や福祉現場での情報提供や研修の充実を図るとともに、市役所と各区役所に専門の部署と地域ソーシャルワーカーを配置すべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

ヤングケアラーについては、相談窓口における支援や、ヘルパーの派遣、関係者の研修など、関係機関の連携や周知を強化して、支援に取り組んでまいります。


第八は、新型コロナウイルス感染症対策についてです。

現在、医療・介護施設従事者に対して新型コロナウイルス感染症の検査キットが無料で配布されています。入院患者や施設入居者の感染は外部との接触の多い従事者がウイルスを持ち込むケースが少なくないからですが、国と市は4月以降、この制度から手を引こうとしています。市民の命と健康を守るために、医療・介護従事者への無料検査を継続すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

医療・介護従事者への新型コロナウイルス感染症の検査については、国の方針を踏まえ、令和6年3月末で終了しますが、引き続き、関係施設における感染症への対応力強化を図ってまいります。


第九は、生活保護並びに貧困対策についてです。

物価高騰が生活保護世帯の生存権を脅かすなか、岸田政権は生活扶助基準を若干引き上げたものの、急激な物価上昇に追いつくものにはまったくなっていません。市長はこの間相次いで出された基準引下げの政府決定を違法とする判決を踏まえ、国に対し削減してきた各種扶助費を元に戻すよう求め、市独自の下水道料金減免、夏季・年末見舞金を復活させるべきではありませんか、お尋ねします。

(答)

生活保護基準については、国において適切に定められたものと考えております。 下水道使用料の減免については負担の適正化、見舞金については個人給付施策の見直しの観点から、廃止したものです。

テレビCMやインターネット・SNS、市政だよりの1面で生活保護制度の周知徹底や相談の呼びかけを行うなど低すぎる捕捉率の向上策を講じ、保護申請をためらわせる要因となっている親族等への「扶養照会」については原則行わない運用へと改めるとともに、病気や年齢等の状況を無視した機械的な就労の強要や財布の中身を調べる等の誤った資産調査等を根絶すべきではありませんか、答弁を求めます。ケースワーカーについては、国の標準を20以上も上回り100件以上を担当する過重負担解消のために大幅に増員すべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

生活保護制度については、市の広報媒体などにより周知を図っております。扶養照会については、法の趣旨を踏まえ、申請者に十分説明をし、理解を得た上で、適切に行っております。また、就労支援については、本人の能力や意向を踏まえ、効果的に取り組んでおり、資産の確認については、個々のプライバシーに配慮して適切に行っております。

ケースワーカーについては、適正な執行体制の確保に努めてまいります。

また、物価高騰によって市民の暮らしはますます苦しくなっており、高齢者や障害者、ひとり親世帯等に対して公共料金等の福祉減免や上下水道料金の減免を実施すべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

公共料金などの減免については、公営企業の独立採算制や受益者負担の原則などの課題もあることから、今後の経済状況や国の動向などを注視してまいります。

水道料金の減免については、水道事業が、受益者負担の原則に則った独立採算制を基本に、水道料金収入を主たる財源として経営するものであることから、負担の公平性や厳しい経営環境下での事業運営への影響などの課題があると考えております。

今後とも、支払いが困難な方には、支払期限の延長など、きめ細かに対応してまいります。


第十は、障害児および障害者福祉についてです。

障害者施設の多くは恒常的な資金難に加えて物価高騰で大打撃を受けており、本市独自に運営費補助や減収補填を行うとともに、労働者の賃金引上げのための助成金をつくるべきではありませんか、お尋ねいたします。

(答)

障がい者施設への支援については、物価高騰に関する国の動向を注視しながら、必要な対応を検討するとともに、従事者の処遇については、国の加算が段階的に拡充されており、施設に活用を促してまいります。

不足している児童発達支援センター等は更に増設し、学齢期前の肢体不自由児が単独で利用できる児童発達支援事業所を市の責任で設置するとともに、自主的に預かり事業を行う事業所や保育所への補助金を創設すべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

障がい児の支援については、児童発達支援センターなどにおいて、障がいの特性などに応じた支援を行うとともに、南部療育センターの整備を着実に進めてまいります。また、障がい児が保育所などに通いながら身近な地域で療育を受けられるよう、児童発達支援事業所の本格的な増設に取り組んでまいります。さらに、仕事と家庭の両立を支援するため、市立児童発達支援センターにおいて、療育後の一時預かりを実施します。

担い手が不足している手話通訳者の養成を確実に進めるためにも専門職にふさわしい待遇に引き上げ、手話言語条例の制定を急ぐとともに、精神障害者の運賃割引について拒み続けるJRに実施を強く求め、各種交通機関の料金割引を療育手帳Bにも広げる手だてを取るべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

手話通訳者の支援については、公的機関での通訳活動に対し謝礼を支払うほか、手話通訳者の養成や技能の向上を図る研修などに、引き続き取り組んでまいります。

手話言語条例の制定については、障がい者差別解消条例の施行状況や国の動向を見守りながら、対応を検討してまいります。

交通機関の料金割引については、引き続き、県や他都市と連携をしてJRに要望してまいります。


第十一は、高齢者施策についてです。

市は老人福祉センターの入浴事業廃止を決定しましたが、利用者の意見を一切聞いていないのは問題です。廃止は撤回し直ちに入浴事業を再開すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

老人福祉センターについては、人生100年時代における「社会参加の拠点」と位置づけ、入浴事業は廃止し、必要な設備への改修を行うとともに、高齢者の様々な活動を支援してまいります。

加齢性難聴によって認知症悪化や社会参加の妨げとなることなどが指摘されており補聴器購入補助を求める声が広がっていますが、市は「加齢に伴って誰にでも起こり得る」などと自己責任を押し付けています。国任せにせず、他都市に倣い障害認定のない難聴者への補助制度をつくるべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

補聴器購入の補助については、引き続き、身体障害者手帳を取得されている市民に対して助成するとともに、国や他都市の動向を注視してまいります。

高齢者乗車券については、所得要件を廃止し、タクシー等も含めてICカードに一本化するとともに、上限額を撤廃し必要な時に使えるようにすべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

高齢者乗車券については、令和6年10月から、タクシー助成券を1乗車につき2枚利用できることとし、さらなる利便性の向上を図ってまいります。


第十二は、住宅施策についてです。

憲法25条が保障する生存権の土台として、住宅確保に公的責任を果たすことが求められているものの市営住宅の応募倍率は高止まりしています。住宅セーフティネット施策も全く不十分であり、家賃低廉化補助制度の対象となる住宅はわずか10戸のみです。「戸数は増やさない」とした「市営住宅ストック総合活用計画」を抜本的に見直し、新規建設を含め大幅に管理戸数を増やすとともに若者の単身者世帯枠をつくるべきではありませんか、答弁を求めます。

また、URや民間の賃貸住宅を借り上げて市営住宅にするなど、多様な供給方式の具体化を行うとともに、低所得の若者や高齢者への家賃補助制度を創設・充実させるべきと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

住宅確保要配慮者については、賃貸住宅市場全体で対応しており、住宅セーフティネット制度による経済的支援など、民間賃貸住宅への円滑な入居を支援します。

市営住宅については、計画に基づき、建替や改善に取り組むとともに、入居の募集に当たっては、より住宅困窮度の高い世帯に配慮してまいります。


次に、子育て支援・教育について質問いたします。

第一は、教育についてです。

1点目は学校給食費の無償化についてです。物価高騰が家庭を直撃する中で、教育費の負担軽減は子育て支援において最も重要です。今年度、給食費無償化に踏み出した全国の3割近い自治体に倣い、市独自に必要な財源を確保し、学校給食費の無償化を実施するべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

学校給食費については、引き続き、物価高騰分を公費負担し、保護者の負担を増やすことなく、給食の質の維持を図るとともに、経済的理由により支援が必要な世帯に対しては、就学援助などによる支援を行ってまいります。

2点目は過大規模校の問題です。現在、市長の無責任な開発のため2023年5月1日現在で28の小中学校が過大規模校となり、子どもたちはプレハブでの学校生活を余儀なくされ、運動場で思いきり遊ぶこともできない状況です。早急に解消するために、学校用地を確保して分離・新設するなどあらゆる手立てを尽くすべきと思いますが、答弁を求めます。また、これ以上、過大規模校を生み出さないために、開発行為を規制するしくみを早急に策定すべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

過大規模校への対応については、子どもたちに良好な教育環境を提供するため、地域の実情も踏まえ、適切に取り組んでまいります。また、民間企業の開発行為を学校教育の観点から規制することについては、様々な課題があり、困難であると考えております。

3点目は学校施設についてです。昨年度学校から提出された学校施設改良等要望は現場で絞り込んだ351件に対し、わずか86件しか対応できておらず異常な事態です。子どもの命に関わるものもあり早急に対応すべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

学校施設の改良等要望については、内容も多岐に渡っており、緊急性のあるものは優先的に対応するとともに、他の改修と併せて実施することが効果的、効率的であるものは、その機会も捉えて適宜実施しております。

4点目は、少人数学級についてです。35人以下学級の全学年実施がようやく実現しましたが、学習意欲や自尊感情を高め一人ひとりの子どもに目が行き届くために、30人学級、20人学級とさらなる少人数学級を推進すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

学級編制については、国が定めた標準を引き下げ、きめ細かな指導の充実を図るため、小中学校全学年で35人以下としているところであり、引き続き適切に実施してまいります。

5点目は教員不足の問題です。35人以下学級が実施されたものの、学校運営に必要な担任以外の教員が減らされているため、膨大な業務に現場の疲弊は限界です。講師頼みの定数確保方式をやめ、正規教員を抜本的に増やすべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

教員については、多様な専門性を持つ職員の 配置と併せて、これまで増員してきたところであり、引き続き適切に配置してまいります。

6点目は授業時数等についてです。授業時数の詰め込みにより子どもと教職員の負担が増大しています。学習指導要領に定められた年間の標準授業時間数は、あくまで目安の数字であり、子どもと教職員の負担の実態を踏まえて教育内容を精選し、授業時数を減らすべきではありませんか、答弁を求めます。また、短すぎる給食・喫食時間を改善すべきと考えますが、ご所見を伺います。

(答)

授業時数については、学習指導要領に基づき、標準授業時数を確保するよう、年間指導計画を作成することとしております。

給食時間については、各学校において、適切な時間の設定に努めております。

7点目は子どもの人権についてです。合理的理由を説明できない校則の見直しを求める市民の声と運動に押され、一部の校則が見直されることは一歩前進です。しかし、生徒主体の見直しに教員が過度に干渉するなど、頭髪や服装等の事細かな規制の多くが残されてまだまだ不十分であります。人権侵害の校則は一掃すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

校則については、生徒が校則について自ら考え、校則が自分たちのものであると実感できるよう、毎年、保護者等とともに校内校則検討委員会を実施し、見直しを進めております。

小中学生の自殺が増えています。またいじめの認知件数は5年前の5倍となっています。これは学校が子どもにとっていかに息苦しい場となっているかを示しています。子どもの権利条約にある教育を受ける権利、安心して休む権利、子どもの意見表明権などを保障することが必要です。根本には、全国一斉学力テストや本市独自の「生活習慣・学習定着度調査」が子どもと学校に管理と競争を押し付け、子どもと教職員を疲弊させていることから、全国学力テストはやめるよう国に求め、参加をやめ、本市独自調査も中止すべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

国や福岡市独自の学力に関する調査については、児童生徒の学力の実態把握や授業改善に必要であると考えており、引き続き、国の調査に参加するとともに、福岡市独自の調査についても実施してまいります。

8点目は就学援助です。物価高騰が子育て世帯に深刻な打撃を及ぼしているなかで、就学援助の重要性は一層高まっており、基準を生活保護基準の1.5倍に引き上げ、対象を拡大するとともに支給額を増額すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

就学援助の認定基準や支給項目等については、国が決定している基準に準じて適切に定めております。

9点目は特別支援教育についてです。「自閉症・情緒障がい特別支援学級」の小中学校設置率は他の政令市と比較すると大きく遅れており、地元の学校に通うためすべての小中学校に設置すべきと思いますが、答弁を求めます。また、特別支援学校に通う児童生徒も年々増えており、教室不足が慢性化しています。学校の新設ならびに必要な施設の増設を速やかに行うべきと思いますがご所見を伺います。

(答)

自閉症・情緒障がい特別支援学級については、令和6年度も、54学級の大幅な増設を行います。

特別支援学校については、高等部を令和5年度に1校新設しており、さらに令和7年度に1校新設いたします。

10点目は多様な学びの場への公的支援の問題です。小中学校の不登校児童生徒数は年々増加し、2022年度は4,400人と過去最高です。学校復帰を前提としない学びの場を増設し、フリースクールなど学校以外の多様な学びの場に対する公的支援を強めるとともに2025年度開校する「不登校特例校」については想定人数を増やし、増設すべきと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

不登校児童生徒への支援については、令和6年度に、教育支援センターの設置を全区に拡大する取組みなどを行ってまいります。また、フリースクールに対しては、活動内容などが要件を充足する場合に、指導要録上出席扱いとするとともに、令和5年度から不登校児童生徒に提供している動画教材について、フリースクールでの活用も可能としております。

学びの多様化学校については、他都市の状況などから、入学者を40人から60人と想定し、まずは1か所の設置を予定しており、増設は、開校後の状況を見ながら検討してまいります。


第二は、保育行政についてです。

保育士は、専門職であるにもかかわらず、賃金は全産業平均より月5万円低いと言われており、現場の保育士からも賃上げを求める強い要望が毎年寄せられています。公定価格を抜本的に見直し、直ちに月5万円引き上げるよう国に求めるとともに、市独自に手立てをとり大幅に賃金を引き上げるべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

保育士の処遇改善については、独自に必要な支援を行っており、引き続き、国に公定価格の充実を求めてまいります。

保育士の配置基準の改善について本市議会では昨年意見書が可決されており、国に強く要請するとともに、独自に基準を改善すべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。あわせて、1947年以来変わっていない面積基準の改善に踏み出すよう国に求めるとともに、本市独自にも一層の改善を図るべきではありませんか、お尋ねします。

(答)

保育士の配置基準については、国の動向を踏まえて、適切に対応してまいります。また、引き続き独自に、1歳児と3歳児に係る保育士を加配する費用を一定期間助成してまいります。

乳児室の面積基準については、国基準より広く設定しております。

また市長は、0歳から2歳の保育料無償化を、第2子以降に限定しており不十分です。すべての子どもを無償化の対象にすべきではありませんか、答弁を求めます。さらに副食費の実費負担は物価高騰の中で保護者の大きな負担となっており、完全無償とすべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

3歳未満の保育料については、国の基準額から減額するとともに、令和6年度から、第2子以降の保育料無償化の対象を拡大します。

保育所などの副食費については、引き続き、第3子以降の児童に助成してまいります。


第三は、子どもの医療費についてです。

市長は世論に押され、18歳まで助成の拡充を打ち出しましたが、依然として通院における窓口の自己負担は残されています。他の政令市で行われているように、通院も含め完全無料とすべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

子ども医療費の通院に係る自己負担については、持続可能な制度とするため導入しております。


第四は、放課後児童クラブについてです。

市長の無秩序な開発により、過大規模校が増え続け、施設増築の場所も確保できず面積基準を満たさない放課後児童クラブが増えております。あらゆる手立てをとりすべての児童クラブで子ども1人あたり1.65㎡を保障するとともに静養スペースや職員室等の諸室、足りないトイレの整備を進めるべきではありませんか、ご所見を伺います。また、専門職である支援員は会計年度任用職員でなく、正規で大幅増員すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

放課後児童クラブについては、今後とも、国の通知や条例に基づき、学校施設の活用を含め、計画的に整備を進めてまいります。また、支援員の配置についても、条例や会計年度任用職員制度に基づき、適切に対応してまいります。


第五は、児童館についてです。

本市では児童館が中央区に1つしかなく、国のガイドラインが定める児童館としての拠点性や地域性が発揮できていないことは明らかです。早急に児童館を全ての行政区に設置するとともに、公有地などを活用して計画的に増やすべきではありませんか、ご所見をお伺いいたします。

(答)

児童館については、市内全域から利用しやすいよう、最も利便性の高い場所に設置するとともに、公民館や各区の体育館において、館外活動を実施しております。


第六は、児童虐待についてです。

本市の児童虐待の相談対応件数はこの5年間全国の倍以上のペースで増え続け、2022年度には3057件と9年連続で過去最多を更新しています。全国状況よりも深刻な現状にかんがみ、国の新たな「児童相談所運営指針」において管轄区域内の人口は「基本としておおむね50万人以下」とされたことをふまえ、児童相談所を増やすべきではありませんか、答弁を求めます。

児童相談所の一時保護所については、定員を40から10へと減らし、児童養護施設などに割り振っていますが、そもそも一時保護を想定した施設ではないため受け入れには人員や施設の面で困難があります。不足する児童相談所の一時保護所の定員を増やし環境整備を行うべきと思いますが、答弁を求めます。

また、専門職である児童福祉司、児童心理司、弁護士資格をもつ職員を大幅に増員すべきと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

児童相談所については、一時保護所の定員増を行うとともに、組織体制を強化してまいります。


第七は、ひとり親家庭への支援についてです。

ひとり親家庭の半数近くが貧困状態に置かれており、物価高騰に大きな影響を受けています。児童扶養手当の抜本的増額を国に求めるとともに、市独自の加算手当を創設すべきと思いますが、ご所見を伺います。また、ひとり親家庭に対する家賃補助などの直接支援を市独自に行うべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

ひとり親家庭への支援については、国において、児童扶養手当の拡充が予定されており、適切に対応してまいります。また、家賃補助については、一定の条件で返済免除となる住宅支援資金の貸付けを実施しております。


第八は、学生支援についてです。

学生の多くは異常な高学費に苦しめられていますが、そこに物価高騰が追い打ちをかけています。教育費の負担軽減は、政治の重大な責任です。大学など高等教育の授業料および奨学金返済の半減、給付奨学金の拡充を国に求めるとともに、市独自の「学生支援特別給付金」の対象を広げ、再度支給するとともに、給付奨学金を創設すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

学生への支援については、国や大学において様々な支援策が実施されており、引き続き、周知に取り組んでまいります。

また、九大学研都市駅から九州大学伊都キャンパスまでの昭和バス運賃については片道330円に値上げされ学生にとって大きな負担となっており、補助制度をつくるとともにキャンパスの近隣にスーパーの誘致を急ぐべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

九州大学伊都キャンパスへのバス交通の利便性の向上や近隣の生活利便機能の充実については、引き続き、事業者に働きかけてまいります。


次に地域経済の振興と雇用等について質問いたします。

第一に、中小企業・小規模企業者対策についてです。

1点目は直接支援についてです。コロナ禍で経営を下支えしてきた時短協力金などの支援策がなくなり、電気、ガス料金の値上げや原材料や資材の高騰などの負担が重しになっています。本市が行なっている「燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援」制度は「燃料費」に限らず「資材」「材料」の高騰にも対応できるように助成の対象を広げると同時に補助率2分の1をさらに引き上げるべきと思いますが答弁を求めます。また、さらなる中小企業・小規模事業者への直接支援を行うべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

燃料費等の支援については、多くの事業者に共通する経費である燃料費及び光熱費を対象に影響額の2分の1を支援しています。

今後とも、事業者のおかれている状況や国や県の支援策の動向を注視しつつ、市内中小企業の事業継続や雇用を支えてまいります。

2点目はインボイス制度についてです。ただでさえ、コロナや物価高騰の影響が中小企業・小規模事業者を襲っているにもかかわらず、国はインボイス制度の導入を強行しました。多くの業者が増税となるか仕事が減らされるかを迫られています。これまで消費税の納税を免除されていた小規模事業者や個人事業主に新たな税負担がのしかかることになっております。市長は他人事のように「経過措置がある」などと言わず、国にインボイス制度の中止を求めるべきと思いますが明確な答弁を求めます。

(答)

インボイス制度については、国において、中小企業者などに対する負担軽減措置が講じられており、福岡市においても、国や関係団体と連携をして、相談対応などに取り組んでまいります。

3点目はゼロゼロ融資についてです。コロナ禍で売り上げが急減した中小企業にとって倒産の歯止めになっていた「ゼロゼロ融資」の返済が今年4月に最後のピークを迎えます。金融機関から新たな資金調達が難しい企業も多く、ゼロゼロ融資をいったん「別枠債務」とするなど柔軟な対応を金融機関に求めるべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

中小企業の資金調達については、金融機関や県信用保証協会に対し、事業者の実情に即した弾力的な運用を行うよう要請しており、適切に対応されていると認識しています。

4点目は住宅リフォーム助成制度等についてです。地場中小企業・小規模企業の仕事づくりにつながる用途の制限がない住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム支援制度を創設するとともに住宅断熱リフォームに関する国の補助制度に上乗せ横出し、地場中小企業・小規模事業者の仕事づくりの仕組みを付与した市独自の制度をつくるべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

住宅リフォーム助成制度については、耐震化やバリアフリー化などの公益目的に資するリフォームに対し、助成を行っております。また、商店のリフォームなどについては、商店街の共同施設設置費用の一部を助成しております。

住宅の断熱化については、国の支援制度の周知などに取り組んでまいります。

5点目は公契約条例についてです。市発注の公共事業の下請け、孫請けの賃金について、国から依頼された調査結果を準用して設計労務単価が支払われているかを抜き打ちでの調査も行うともに公契約条例の制定をすすめるべきと思いますが、答弁を求めるものです。

(答)

福岡市発注工事の下請賃金については、毎年、下請契約の内容などを確認しております。また、公契約条例については、国において法制を整備するのが適当であると考えております。


第二は、雇用・労働についてです。

違法・脱法的な働き方をなくすために、調査、相談、啓発を網羅した条例をつくるべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

労働問題については、今後とも、国や県の専門窓口などと連携をしながら取り組むとともに、法令等の広報・啓発を行ってまいります。


第三は、農林水産業についてです。

急激な円安、物価高騰が農業・漁業従事者に深刻な影響を与えています。肥料、資材、燃油、飼料など高騰分を補てんする市独自の施策を実施すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

燃油価格の高騰などの影響を受ける生産者への支援については、国のセーフティネット制度の活用促進に取り組むとともに、地域資源を活用した肥料などの利用拡大を図ってまいります。

また、本市の農家の経営主の平均年齢が72.9歳となっています。農家戸数及び農業従事者数についても、依然として減少傾向が続いています。農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

農業従事者の確保については、若者や女性など、多様な人材の確保と育成に努めるとともに、新規就農時の経営安定化に向けた支援などを行ってまいります。


次に、気候危機打開など環境・まちづくりについて質問いたします。

第一は、気候危機打開についてです。

気候危機打開に向け本市は2030年度に温室効果ガス排出量を2013年比で50%削減する目標を掲げています。その計画の中身は現計画では実現が困難な新技術を前提としたものであり、現在の技術をもって可能な計画に見直し速やかに推進するべきだと思いますが、答弁を求めます。また、民間事業所に市の2030年度目標に見合う削減計画を持たせて市との協定を結び、実施状況を市民に知らせる仕組みを作るべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。さらに、市民や企業・団体が参加する協議会などをつくり、全局横断型の体制で必要な予算も組んで推進を図るべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

脱炭素社会の実現に向けて、実行計画に基づき、市役所自ら率先して取り組むとともに、新たなイノベーションを積極的に取り入れ、再生可能エネルギーの利用拡大や、建築物、設備の脱炭素化などに、市民・事業者と一体となって取り組んでまいります。


第二は、防災についてです。

1月に発生した能登半島地震を受け、警固断層を抱える福岡市は大丈夫かという市民の不安の声が多く寄せられています。本市は防災計画や避難者の想定を見直すとともに、圧倒的に足りない公的な備蓄数の抜本的な増量を図り、マンホールトイレの早急な整備を行うべきだと思いますが答弁を求めます。

(答)

防災については、国の計画の修正などを踏まえた、地域防災計画の見直しを行うとともに、公的備蓄の拡充を図ってまいります。また、マンホールトイレについては、避難所となる公民館や学校などの新築・改築にあわせて、順次整備してまいります。

また、本市では耐震基準を満たしていない住宅が約10万戸あり、耐震化の改修補助額を大幅に引き上げるとともに、対象外の新耐震基準の住宅にも拡充するべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

住宅の耐震改修については、木造戸建住宅の耐震改修助成の上限額などを引き上げ、昭和56年以前の、新耐震基準に適合しない住宅の耐震化を促進してまいります。

さらに、避難所となる学校体育館は断熱構造を施しエアコンを設置するべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

学校体育館への空調整備については、これまで体育館が空調を想定した断熱構造になっていないことや大空間であることなどから、解決が必要な課題があります。また、多額の整備費や運営費を要するため、事業の優先順位を総合的に判断する必要もあり、今後の検討課題であると考えております。


第三は、アスベストについてです。

アスベストアナライザーをすべての解体現場で活用し含有調査を行うとともに、大規模災害時の飛散対応等のためアスベスト使用建築物のハザードマップを公開して、市民に周知し啓発活動を強めるべきだと思いますが、答弁を求めます。また、民間建築物アスベスト除去等の補助制度は、解体も補助対象とするべきだと思いますが答弁を求めます。

(答)

アスベスト対策については、解体工事の立入検査において、アスベスト含有の可能性がある場合にアナライザーを使用しております。また、使用建築物の公表については、個人情報などを含むことから、課題が多いと考えております。

補助については、多数の人が継続して利用する建築物を対象に、引き続き実施してまいります。


第四は、マンション建築紛争についてです。

「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」の不備な点をついて建築を強行したり、条例を知らないと公言する業者が後を絶ちません。条例に住民合意や罰則規定を導入するなど、より実効性のある内容に抜本的に改定するべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

建築紛争については、条例に基づき、解決に向けた調整に努めてまいります。


第五は、コミュニティ・町内会への支援についてです。

自治会や町内会は任意組織であるにもかかわらず、民生委員の推薦や、避難行動要支援者への個別避難計画の作成など、本来市の責任である事業が事実上町内会に丸投げされています。町内会・自治会を市の下請けにするのではなく、真に住民の自主的な活動を応援するために、町内会・自治会にとって大きな負担となっている行政からの依頼事項を抜本的に削減すべきではありませんか、答弁を求めます。


(答)

地域への協力依頼については、負担軽減に向け、引き続き見直しに取り組んでまいります。

第六は、地域交通についてです。

各地で交通不便地が生まれ公共交通網の充実を求める声が広がっていますが、本市がすすめるオンデマンド交通導入の実証実験は、利用者が増えているとはいえず、住民に望まれていないことは明らかです。運賃収入で採算が取れなくても、社会全体では大きな利益となるという「クロスセクターベネフィット」の考え方で本市が直接財政負担をして、要望のある地域にコミュニティバスを走らせ市民の交通権を守るべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

公共交通が不便な地域については、オンデマンド交通の社会実験を進めるなど、持続可能な生活交通確保の仕組みづくりに取り組んでまいります。

第七は、公有地等の跡地利用についてです。

市民の財産である市有地の活用について、最初から民間企業に提案させて検討する民間サウンディングを多用していますが、これは地域住民の声を聞かずに、営利企業に好き勝手なデザインをさせるやり方でありやめるべきだと思いますが答弁を求めます。また、市有地の売却方針は改め、不足している保育所や特別養護老人ホームなど、公的な活用をするべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

市有地の活用については、公共利用を考慮しつつ、市民ニーズや地域の特性などを踏まえ、財源確保の観点に、まちづくりの視点も取り入れながら、総合的に検討を進めてまいります。


第八は、ごみ行政についてです。

本市は、人口や事業所が増えればごみが増えても構わないという処理計画を改め、処理量の抜本的な削減を明確にした「一般廃棄物処理基本計画」に見直すべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

一般廃棄物処理基本計画については、ごみ減量施策の効果や人口の推移などを踏まえ数値目標を設定しております。

また、本市の家庭用ごみ袋は値下げや少量化すべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

家庭用ごみ袋の価格については、負担の公平性の確保やごみ減量・リサイクルの行動を起こすきっかけづくりなどの観点を踏まえ設定しております。また、10リットルの燃えるごみ用指定袋を令和6年度から試行的に導入してまいります。


次に、ジェンダー平等など平和・民主主義について質問いたします。

第一は、市長の政治姿勢についてです。

髙島市長は当選以来一貫して政治資金パーティーで資金を作っており、2022年度は2回の実施で7286万円、利益率は85%にものぼり、市長が「裏金」を作っていないかという疑念もぬぐえません。市長は「法に基づき適切に対応している」と言われますが、これは事実上の政治献金に他ならず、誰にパーティー券を買ってもらったかを明らかにすべきだと思いますが、答弁を求めます。また、2022年の収支報告書に記載されている組織対策費2444万円余は多額で異常であり、その内訳を明らかにするべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。さらに、市政をカネでゆがめることにつながる事実上の企業団体献金である政治資金パーティーはやめるべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

市政報告会については、政治資金規正法に基づき、適正な手続きを行い、必要な届出及び公表は全て行われており、今後とも法に則り、適切に対応してまいります。

あわせて、保健所の統廃合や、老人福祉センターの入浴事業の廃止、公民館のコミネット導入など、現場の声を聞かずにトップダウンで押しつける市政運営はやめるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

様々な政策の推進に当たっては、市民や関係者の意見を丁寧に伺うとともに、市民の代表である議会との対話を真摯に進めながら、市政運営に取り組んでまいります。


第二は、ジェンダー平等についてです。

本市職員の女性の平均賃金は男性の84%、女性管理職比率は19.1%と大きく立ち遅れています。女性が8割を占め最低賃金に近い処遇の会計年度任用職員の正規職員化を進めるとともに、男女の賃金格差をなくし女性管理職比率50%をめざすべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

会計年度任用職員については、職務内容や勤務形態など、業務の特性に応じて、適切に配置してまいります。

職員の給与の男女の差異については、管理職に占める男性の割合が高いことが影響しているため、特定事業主行動計画に基づき、女性管理職の登用を引き続き進めてまいります。

また、本市の学校教育では科学的な包括的性教育を徹底するとともに、すべての学校と市民センターや公民館、駅など公的施設のトイレに無料の生理用品を設置するべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

公的施設への生理用品の設置については、国の交付金を活用し、アミカスなどで引き続き配布してまいります。

性に関する教育については、学習指導要領に基づき、正しい理解や、適切な行動をとれるよう、学校教育活動全体を通して指導してまいります。

さらに、相談・支援センターの増設、加害根絶の対策を講じ痴漢・盗撮をなくすべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

性暴力被害については、県などと共同で運営する被害者支援センターにおいて、相談者に寄り添った支援に取り組んでまいります。また、加害者対策については、県の相談窓口の周知を行ってまいります。


第三は、市の業務委託のあり方と行財政改革についてです。

本市の給付金事業等における民間営利企業への大規模業務委託は労働者に払われるべき賃金がピンハネされ、大企業のもうけづくりに利用されており、市の直接雇用に切り替えるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

業務委託については、今後とも行政による適切な管理のもと、専門的なノウハウを持つ民間を活用してまいります。

また、本市の政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランは、大型開発は聖域にする一方、市民サービスを切り捨てるものとなっており、抜本的に見直すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランについては、一体的に推進することにより、投資の選択と集中を図りつつ、歳入の積極的な確保や、行政運営の効率化、既存事業の見直しなど、不断の改善に取り組み、将来にわたり持続可能な市政運営を目指してまいります。


第四は、急速なデジタル化や「スマートイースト」についてです。

本市はデジタル社会に必要なツールだとして国とともにマイナカード普及を推進していますが、別人の情報が閲覧できるなどの重大なトラブルが次々と発覚し、多くの市民が不安を感じています。マイナカード普及推進はやめ、国に事業の見直しを求めるべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

マイナンバーカードについてはデジタル社会の基盤となるものであり、個人情報の保護に万全を尽くしつつ、一層の普及に取り組んでまいります。

また、市長が推進しようとしている「スマートイースト」は、AIやビッグデータ等の最先端技術を使って個人情報を勝手に利用する住民監視の街づくりにほかならず、やめるべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

「FukuokaSmartEast」については、様々な社会課題の解決に向け、最先端技術による快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、未来に誇れるまちづくりに取り組んでまいります。


第五は、自衛隊への名簿提供についてです。

市長は4年間で12万人分もの名簿を、本人が知らないうちに自衛隊に提供し続けています。自衛隊は憲法が禁じる集団的自衛権の行使を容認され、海外で「殺し殺される関係」に投げ込まれる危険があり、本市の青年をそのような場に送り出すことは認められません。自衛隊への対象名簿の提供をやめるべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

自衛隊への募集対象者情報の提供については、情報の提供を望まない市民を除外する取扱いなどの周知を図るとともに、自衛隊と協定を締結するなど、個人情報の管理の徹底を図ってまいります。


第六は、名義後援についてです。

市長は、「平和のための戦争展」やメーデーなどに続いて、昨年6月に映画「標的」の自主上映の名義後援を取り消しました。昨年11月の最高裁判決が市民の自由な表現への行政の介入を「違法」と断罪したことにかんがみ、本市の「名義後援の承諾に関する取り扱い要領」を抜本的に見直すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

名義後援については、特定の主義主張に立脚する事業を後援することで、福岡市がその主張を支持しているとの誤解を与えることがないよう、取扱要領に基づき、適切に対応してまいります。


第七は、平和の課題についてです。

土地利用規制法が全面施行され、米軍・自衛隊基地などの周辺を「注視区域」に指定し、地域住民を日常的に監視・統制できるようになり、本市でも200近い町字が指定されました。権力による国民監視は許されず、同法の廃止を国に求めるとともに、本市として国への住民の個人情報提供などを拒否すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

重要土地等調査法については、国からの要請に対し、引き続き、必要な協力を行ってまいります。

福岡空港は2022年も米軍機の着陸回数が全国最多でした。また、博多港を自衛隊等の船が自由に使える「軍港」にするための「特定重要拠点港湾」の選定が狙われています。板付基地の即時全面返還と、福岡空港および博多港の軍事利用の中止を、国や米軍に対して強く要求すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

板付基地の返還については、板付基地返還促進協議会を通して、引き続き国や在日米軍司令部に要望してまいります。

福岡空港については、民間空港として広く利用されていることを踏まえ、今後とも、市民生活の安全を確保するという立場で対応してまいります。また、博多港については、入港目的が友好親善や乗組員の休養などの場合に利用を許可しており、引き続き港湾管理者として適切に対応してまいります。

髙島市長の就任以来、被爆者団体をはじめ幅広い市民から13年間で8回も「非核平和都市宣言」を求める議会請願が出されているにも関わらず、市長は頑なに拒否する異常な態度をとり続けています。市民の切実な願いを真正面から受け止め、ただちに「非核平和都市宣言」をおこなうとともに、核兵器禁止条約の批准を市長が直接国に働きかけるべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

非核自治体宣言については、これまで、福岡市議会において平和都市宣言が決議されているほか、福岡市として、「アジア太平洋都市宣言」において、国際交流活動を通して平和友好の推進に力を注ぐという姿勢を宣言するとともに、基本構想においても、日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくと謳っております。

今後とも、これらの宣言などの趣旨を市政に活かしてまいります。

核兵器禁止条約に係る政府への働きかけについては、平和首長会議国内加盟都市会議として、政府に対し要請を行っており、核兵器のない世界の実現に向けて取り組むとする国の動向を注視してまいります。

また、3万筆を超えた請願署名にこたえ、市として常設の平和資料館を建設すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

平和資料館の設置については、戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に正しく伝えていくため、博物館や「ふくふくプラザ」において戦時関係資料の展示を行っており、今後とも、その充実に努めてまいります。

憲法9条の改定は、対米従属のもとで「戦争国家づくり」にとってのあらゆる制約を取り払い、本市市民の平和的生存権を脅かすものです。市長は、憲法9条の改悪に反対すべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

憲法のあり方については、国民的な議論のもとで検討されるべきものと認識しています。


以上、市長および教育長等の誠意ある、かつ明確な答弁を求め、長時間のご静聴に感謝し、日本共産党市議団の代表質疑を終わります。


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