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議会報告
2024年度決算特別委員会
9月・10月議会を終えて
2025年10月17日 日本共産党福岡市議団
防災、医療、生活保護…命を守る市政へ転換を
2024年度決算特別委員会を含む第4回定例会(9月・10月議会)が閉会しました。
東区の舞松原地域など、市内各地で被害が発生した8月の豪雨では、香椎川の洪水被害を伝える市民のSNS投稿を高島市長が「偽情報」だと決めつけて発信し、後にお詫びを出す事態となるなど、情報収集と発信の在り方をはじめとした市の防災体制の不十分さが問われました。わが党は市長や災害警戒本部長が豪雨災害の最中にほとんど市役所を不在にしていた問題を批判し、防災体制の抜本強化や被害への市独自支援などを求めました。
自民・公明・維新の3党合意により「医療費4兆円削減」が進められようとしています。わが党は安心できる医療環境を守るために、高すぎる国保料の大幅引き下げ、国が進める医療改悪に反対すること、市民病院とこども病院という2つの市立病院の労働環境改善を図ることなどを提案。また、トラブル続きのマイナ保険証について、すべての国保加入者に資格確認書を交付し、国に紙の保険証復活を要求するよう求めましたが、市長は現場の混乱に目を向けず、国の医療費削減から市民の命を守る立場には立ちませんでした。この問題に関わって、わが党は今議会に、「OTC類似薬の保険適用除外について慎重にされることを求める意見書」を提案。維新の会以外のすべての会派が賛同し、採択されました。
わが党は、最高裁による国の生活保護費削減の断罪を受け、今議会に保護受給者に対する速やかな被害回復を求める意見書を提案しましたが、共産党以外の会派が賛同せず、否決されました。また、市に対して国に保護費増額など要求するよう迫りましたが、市長は「国において適切に対応」と国をかばう姿勢を見せました。さらにわが党は、市独自に行っていた下水道料金減免や各種見舞金の復活、保護課の抜本的な体制強化など、生活保護行政の運用改善を迫りましたが、市長は冷たく拒否しました。
暮らしを応援し経済を良くする対策を
物価高騰が続くもとで、暮らしと経済を良くするために実質賃金の引き上げが求められていますが、この間の最低賃金の引き上げ額は労働者にとってまだまだ不十分なものであり、時給1500円への引き上げは急務です。一方、中小業者は、苦しい経営を強いられるなかで最低賃金の引き上げが大きな負担になっています。わが党は、国が中小業者向け賃上げ直接支援をやらない中、市として独自の補助をやるべきだと要求。あわせて「公契約条例」を制定し、中小業者で働く労働者の賃上げをはかるべきだと求めましたが、市長は賃上げ直接支援も「公契約条例」も拒否しました。
子どもたちが健やかに育つために
市民の長年の運動と共産党の論戦が実を結び、2学期から学校給食無償化が実施されています。さらには、わが党が6月議会で提案したアレルギー等で給食を食べられない子どもの家庭への給食費相当額の給付が今議会に提案されました。しかし、給付時期が次年度の4月であまりにも遅く、不登校や宗教上の理由で給食を食べられない子どもの家庭には何もありません。わが党は給食を食べていないすべての子どもの家庭への毎月給付を求め、給食提供の格差をなくすため、夜間中学などでの給食実施も要求しました。
福岡市では開発にともなって人口が大幅に増えるなかで過大規模校が増加していますが、児童生徒数が減少するという見込みで作られた施設一体型の小中連携校でも過大規模校となっている実態があります。わが党は、今後連携校の新設によって生まれる学校跡地にマンション等が建設されれば、新たな連携校も過大規模校になりかねないと指摘。跡地の民間活用は止めるよう求めましたが、教育長は「過大規模校になる可能性は低い」などと希望的観測を述べ、民間活用については否定しませんでした。
その他、今議会でわが党は子どもの問題に関わって、子どもの貧困対策の抜本強化や就学援助の拡充、保育士配置基準のさらなる見直しや保育所調理員への支援を含めた保育環境の改善などを求めました。また、旧柏原公民館への児童館設置を求める請願に対する賛成討論を行いました。
平和と民主主義、市政の在り方をただす
7月の参議院選挙では外国人敵視、排外主義の言説がふりまかれました。わが党は、この選挙でふりまかれた「外国人は生活保護が受けやすい」などのデマを一つひとつ検証し、事実に反していることを明らかにしました。また、市内でイスラム教徒に対して行われたヘイトスピーチの問題を取り上げ、市長に自ら「ヘイトスピーチは許さない」と宣言し、規制する条例をつくるなど、市として踏み込んだ対策を行うよう求めました。
被爆80年、戦後80年の今年、若い世代への被爆の実相や戦争体験の「継承」が求められています。わが党は、市として原爆被害者の会の「継承」の取り組みを応援することや、旧冷泉小学校跡地への常設の平和資料館設置を要求しました。また、平和の問題に関わって、わが党は早期のパレスチナ国家承認を求める意見書を提案しましたが、自民・公明・維新などが賛同せず、否決されました。
わが党は各紙が報道し大きな問題となった市管理漁港で漁協が無許可有料貸付を行っていたことを市が長年黙認していたことについても追及しました。この問題の背景に「政治家の関与」が疑われることを指摘し、疑惑解明のための百条委員会の設置を議長に要求。また、有識者会議任せにせず、市の責任で徹底調査を行うことを求めました。
その他、わが党は福岡城天守閣の復元を前提とした発掘調査の問題についても追及。復元に前のめりの発言を撤回せよと市長に迫りました。
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2024年度決算の審議を通して、天神ビッグバンなどの大型開発や規制緩和、外からの呼び込みといった大企業の儲けを優先する一方、市民に犠牲を押し付け、その苦しみに背を向ける冷たい市政であることが浮き彫りとなりました。わが党は引き続き、市民切り捨ての高島市政と正面から対決し、市民の要求を実現できる市政実現へ力を尽くす決意です。
2024年度決算についての反対討論(2025年10月8日 倉元達朗議員)
トラブル続きのマイナ保険証や不十分な市の防災体制ただし、ヘイトスピーチ対策求める(2025年10月6日 堀内徹夫市議の総会質疑)
舞松原地域の水害対策、子どもの貧困対策と保育環境の改善求める(2025年9月22日 綿貫康代市議の総会質疑)
小中連携校の問題点をただし、安心できる医療環境を守ることを求める(2025年9月19日 中山郁美市議の総会質疑)