議会報告
2024年6月議会
6月議会を終えて
2024年6月25日 日本共産党福岡市議団
福岡市の6月議会が21日に閉会しました。わが党は、髙島市長が提出した議案22件中4件に反対し、市民の立場に立った論戦を展開しました。
次期基本計画のあるべき方向を提言
福岡市は現在、第10次基本計画を策定中です。これは、来年度から10年先までのまちづくりの目標を決める重要なものであり、わが党は本会議での一般質問、総合計画審議会、市長への申し入れなど様々な形でこの基本計画に対しての提言を行いました。現行の第9次基本計画は「生活の質の向上と都市の成長の好循環」という髙島市長流のトリクルダウンを戦略の柱としています。わが党は、実際には市内大企業の内部留保が大きく増える一方で市民1人あたりの所得は減っていると指摘し、これまでの戦略が破綻していることを浮き彫りにしました。また、市長が提案する次期基本計画の素案は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げているにもかかわらず、SDGsの「一丁目一番地」である貧困の半減やジェンダー平等をすすめる管理職の男女同数などの具体的な目標が入っておらず、現行計画にはあった客観的な指標は廃止し、すべて「市民意識」などの主観的な指標に変えようとしています。わが党はこれでは「SDGsウォッシュ」だと厳しく批判し、「年収300万円以下の世帯を半減させる」といった具体的な数値目標を盛り込むこと、従来の戦略への固執をやめることなど、計画の抜本的見直しを求めました。
博多港の軍事利用許さない
岸田政権が進める「戦争できる国づくり」の一環として、国は博多港を自衛隊や米軍が訓練や有事の際に活用できるように整備促進する「特定利用港湾」に指定しました。わが党は、髙島市長の4つのごまかし――「軍事利用ではなく災害対応」「有事は別の枠組み」「これまでと何も変わらない」「米軍が参加することはない」について、防衛省が作成した資料なども示してその誤りを丁寧に暴き、市民にも議会にも何もはからないまま指定を受け入れたことを批判しました。そして、福岡市の街を戦争に巻き込むことになる博多港の「特定利用港湾」指定撤回を国に求めるよう強く要求しましたが市長は最後までごまかし続け、国と一緒になって「戦争できる国づくり」を進める姿勢を露わにしました。
今議会では、この問題について自民党市議団が推進の立場で質問し、市民クラブ(立民・社民など)が質問で「特定利用港湾」指定についての懸念を表明しました。国政と同じく、自共対決と平和の問題での野党共闘の様相を呈しました。
熱中症対策を具体的に求め、博多港軍事利用と髙島市長の政治資金パーティーについてただす
命と暮らしを守る施策を実施せよ
今年の夏も酷暑が予想され、エアコンの活用など十分な熱中症対策が必要ですが、異常な電気代値上げがエアコン使用を控えさせることにつながりかねません。また、市内の生活保護利用世帯のうち418世帯がエアコン未設置です。わが党は、低所得世帯の電気代支援やエアコン購入助成、屋外で危険な暑さから避難できる施設「クーリングシェルター」指定を予算も付けてさらに広げることなどを要求しました。
物価高騰が市民を襲うなか、今年度の市の介護保険料や国民健康保険料、そして後期高齢者医療保険料は史上最高額となり、市民から悲鳴が上がっています。わが党は介護保険料・国民健康保険料について、市の財政調整基金も活用して引き下げるよう要求し、後期高齢者医療保険料についても広域連合に緊急減免を求めるよう提起しました。
わが党は今議会に、「障害者の運賃割引制度の更なる拡充等を求める意見書」、「生活保護の住宅扶助基準の引上げを求める意見書」を提案しました。前者は全会一致で採択されましたが、後者は自民、公明、維新などが反対し否決されました。
熱中症対策を具体的に求め、博多港軍事利用と髙島市長の政治資金パーティーについてただす
子どもを真ん中に置いた行政へ転換を
わが党は子どもを真ん中に置いた保育・教育・療育行政への転換を求めました。
全国で子どもが亡くなったり重体になるなどの事件が社会問題化するなか、保育士の配置基準が一部見直されました。わが党は「まだ到底足りない」という保育現場の声を突きつけ、更なる見直しを国に求めること、そして市独自の基準を設けることを要求しました。
わが党はこども病院の跡地開発について、認可保育園や特養ホームなどの住民要望が反映された計画への変更を求めるとともに、跡地に計画されているマンション建設によって現地の当仁小学校が過大規模校になる可能性を指摘しました。そのうえで、今回、市が教育環境への影響を配慮して跡地の住宅戸数を制限したこと自体は間違っておらず、子どもの数が多い地域の開発に対して同じように制限をかける条例を作るべきだと求めました。
3月予算議会に続き、児童発達支援センターの「一時預かり」制度の拙速導入が現場に混乱をもたらしている問題について質問しました。わが党は、この制度が2年前倒しで始められようとしているのは、マスコミで批判されて焦った市長が自らの面子のためにごり押ししたためだったことを暴露しました。そして現場に混乱をもたらすやり方をやめ、子どもを真ん中に、丁寧な議論・準備を行うよう求めました。
今議会には、市長より新しい教育委員の人事が提案される予定でした。わが党は、PTAなど子ども・教育界出身の委員を減らし、FDC(福岡地域戦略推進協議会)幹部経験のある財界代表者を入れ込もうとしている点で反対する構えでしたが、わが党のみならず複数の会派・議員からこの人事に懸念の声があがるなかで、異例の提案取り下げが行われました。教育の中立性を損なう人事の流れにストップをかけることになりました。
市長の政治資金パーティーや議員の海外視察を批判
自民党の裏金事件に端を発した「政治とカネ」問題に国民の怒りが沸騰していますが、髙島市長の7286万円もの収入をあげた政治資金パーティーにも疑惑の目が向けられています。わが党は85%もの高い利益率は事実上の献金ではないのかと追及しました。また、もし市の公共事業受注企業や反社会的集団などがパーティー券を購入していたら大問題であると指摘し、購入者を明らかにすべきであり、出来ないのであれば今後やめるべきだとただしました。追い込まれた市長は「法にもとづき適正な手続きを行っている」と全く同じ答弁を繰り返し述べる事態となり、この期に及んで国会における自民党と全く同じ立場に身を置きました。
今議会には、議員の海外視察についての議案が上程されました。自民党の市議6人が米国オークランド市とサンフランシスコ市へ視察に行くものですが、その行程の半分近くが総領事館などへの表敬訪問であり、その自治体の実態などについて調査を行う行政視察ではなく、不適切です。わが党は討論で、そもそも市民が物価高騰に苦しみ「海外旅行など夢のまた夢」となりつつあるなかで、税金を使った海外視察は理解を得られるものではないと批判しました。そして、公費での議員の海外視察廃止を主張し、今回の議案に唯一反対しました。
(以上)