議会報告
2024年6月議会
議員派遣第7号反対討論
2024年6月21日 中山郁美議員
私は日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております議員派遣第7号について反対し、討論を行います。
本件は、本年7月1日から7日の日程で、自民党の市議6人がアメリカ合衆国オークランド市およびサンフランシスコ市への視察などを公費によって行ういわゆる海外視察です。
海外視察について、わが党は上限が100万円だった時代から、市民が行う旅行の費用ともかけ離れており、ましてやそれを公費を使って行うことは、生活に苦しむ市民の理解を得られるものではないとして中止を求めてきました。当時は視察の中身も、レポート自体が存在しないもの、手書きで原稿用紙1枚程度のもの、インターネットからの丸写しなど、ずさん極まるものでした。わが党はこのことを告発し、メディアで大問題となりました。その結果、福岡市議会議員の海外視察は自粛に追い込まれ、上限も80万円に引き下げられたのであります。
その後、若干の改善はされたものの、オンライン取材やインターネットによる動画を含めた情報収集がこれだけ発達した時代に、高額な公費を使って海外視察を行うことは、円安と物価高騰に苦しみ、「海外旅行など夢のまた夢」となりつつある市民には、やはり理解を得られるものではないとして、わが党は引き続き中止を求めてきました。
折しも、福岡県議会議員16人による公費を使った4月の海外視察がマスメディアで報道され、世論の批判が高まっているさなかであります。県議会議員らは「ワンヘルスの国際会議の誘致」のためにケニアと南アフリカを調査するとしながら、実際には当初の予定になかった、観光地として名高いアラブ首長国連邦のドバイも追加訪問していました。ドバイ現地では「全自動無人運転の鉄道の試し乗り」や、「太陽光発電を使った無料Wifiの視察」をしたといいます。
実は、福岡市議会議員9人も昨年10月に公費を使った海外視察で、ドバイに出かけています。ドバイ万博開催の「会場跡地の活用状況」、ドバイ・中東での「開発と日本の貢献」、「国際的な投資や観光客を集める手法と今後の中東市場の展望等の視察」が目的だとされています。報告書を読みましたが、韓国の仁川(インチョン)の入国審査で長く待たされた話や、福岡空港でのバス運転手の無愛想さを非難するくだりなどは、果たして多額の公費を使った行政視察のレポートとして妥当なものなのかという疑念が起こりました。
今回のオークランドとサンフランシスコへの議員派遣は、全体で9件訪問先がありますが、そのうち総領事館など表敬訪問が行政視察とは別に4件も組み合わされており、かなりの時間が割かれています。4日目に至っては午前中の姉妹都市協会への表敬訪問しか日程がありません。午後はオークランドからサンフランシスコへの移動だとされていますが、両市の距離は20キロしかなく、BART(バート)という高速鉄道を使えば10分で着きます。本当にこの日程は必要なのかと首を傾げたくなります。
「姉妹都市の市議会議長や副市長に会うのは有意義だ」というかもしれませんが、そもそも表敬訪問は儀礼やコミュニケーションを目的としたものであって、例えば姉妹都市の実態や効果などについて詳細な調査を行う行政視察とは別の事業です。市議会会議規則第125条は「議会は、議案の審査又は市の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、議決で議員の派遣を決定することができる」としており、「議案の審査又は市の事務に関する調査のため」が主目的です。仮に海外視察が必要という立場に立ったとしても、議会代表ではなく個々の議員の視察に、これほど多くの表敬訪問を組み合わせることは、適切な日程とは言えません。
わが党は今回の派遣についても代表者会議で中止するよう求めましたが、自民党はこれを無視したのであります。このままでは、市議会に市民の厳しい目が注がれることになるのは必至です。
よって、わが党は議員派遣第7号に反対することを表明し、討論を終わります。
以上