議会報告
2024年6月議会
6月議会反対討論
2024年6月21日 綿貫康代議員
私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております議案第113号ないし115号、131号に反対し、討論を行います。
まず、議案第113号「福岡市市税条例の一部を改正する条例案」についてです。本議案は地方税法の改正等に伴い、固定資産税等に係る「わがまち特例」の見直しに伴う規定の整備として、企業主導型保育事業の運営費助成を受けた事業所の固定資産税等を軽減する特例措置廃止などのために条例改定を行うものです。
企業主導型保育所は企業が自社従業員のために設置し、地域の子どもたちを受け入れることもできる認可外保育所であり、2024年1月現在、市内181施設で従業員枠2199人、地域枠1501人の子どもたちを受け入れています。今回の条例改定で2023年度末に特例措置が廃止されることにより、他の企業に保育事業を譲渡する場合などの軽減措置が無くなり企業の負担が増えることになります。わが党は企業主導型保育について、保育の質の低下を招き、行政の保育についての公的責任を後退させるものだと指摘してまいりましたが、今回の軽減措置廃止による企業の負担増は、更なる保育の質の低下を招き、保護者の負担を増やす可能性があります。これでは、保育についての公的責任をさらに後退させることになりかねません。すべての子どもたちが引き続き適切な保育を受けられるように、市独自に軽減措置を続けるべきです。
したがって、わが党は本議案に賛成することはできません。
次に、議案第114号「福岡市幼稚園型認定こども園、保育所型認定こども園及び地方裁量型認定こども園の認定の要件を定める条例等の一部を改正する条例案」についてです。本議案は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準等の一部改正に鑑み、保育所等の職員配置の基準を改めるものです。
全国で子どもが亡くなったり重体になるなどの事件が社会問題となっていますが、福岡市でも重大事故発生件数が10年前の2014年が5件だったのに対して2022年31件、2023年26件と大きく増加しています。今回、そうした中で保育士1人が受け持つ子どもの数が、3歳児の場合20対1から15対1に、4・5歳児の場合30対1から25対1に基準が変更されました。しかし、市内で既に新基準を満たす体制で保育を行ってこられた保育園の関係者からは、今回の新基準では「到底たりない」という声が上がっており、更なる見直しが求められています。また、現行の0、1、2歳児の配置基準に対しても、保育の質を保ち、子どもの命と安全を保障できないという声が上がっているにも関わらず、今回見直しの対象にはなっていません。わが党は議案質疑で、配置基準の更なる見直しを国に求めるとともに、当面は市独自の配置基準を設けて子どもの安全と発達が保障されるようにすべきだと要求しましたが、市長は対策をやるとは言いませんでした。これでは、保育の質を保ち、子どもの命と安全を保障できるものになっていません。
以上の理由から、わが党はこの議案に賛成できません。
次に議案第115号「福岡市地区計画及び集落地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案」についてです。本議案は、唐人町二丁目地区地区計画の区域、いわゆるこども病院跡地における適正な都市機能と健全な都市環境を確保するとして、建築物の用途等に関する事項について新たに条例に制限として定めるものです。
こども病院跡地については、わが党が2019年9月議会の一般質問で取り上げ、以来毎年の予算要求でも求めてきたとおり、地元住民からは特養ホームや認可保育園、公園などを作ってほしいという要望が多数上がっております。しかし、市はこの声に一切応えることなく、自ら住民の意見を広くつかむことすらせず、民間サウンディングで企業の良いように絵を描かせて住民の声よりも企業の思いの方を優先する計画を進めてきました。その結果、こども病院跡地に分譲マンションがつくられることとなり、地元の当仁小学校が過大規模校化する恐れが出てきています。教育長は過大規模校にはならない見込みだと強弁しますが、これまでそういいながら、何度も予測が外れて過大規模校が続出してきたのが本市の実態です。今回校舎増築の議案が出されている平尾小学校しかり、今宿小学校しかりです。結局、市長と教育長が無秩序な開発を黙認し続けた結果ではありませんか。今回のこども病院跡地へのマンション建設に関して、市は当仁小学校の教育環境への影響を配慮して住宅戸数を制限したと説明しました。そうであるならば、過大規模校を続出させないためにも、同じように児童数・生徒数が多い地域の開発に対して制限を設けるべきです。わが党は、子どもたちに良好な学校環境を提供するために、条例を制定すべきだと求めましたが、市長も教育長も全く耳を貸そうとしませんでした。たった一度しかない小学校生活、中学校生活を実に不便な環境で過ごさなければならない子どもたちに対して全く無責任な態度だと言わなければなりません。
したがって、住民の意見を全く反映させることもなく、当仁小学校が過大規模校化する恐れがある本議案には賛成することはできません。
次に、わが党が賛成する議案についても意見を述べておきます。
議案第130号「福岡市市税条例の一部を改正する条例の専決処分について」です。本議案は地方税法一部改定に伴い、個人の市民税について特別税額控除を実施するためなどの理由で4月に専決処分したことの承認を求めるものであり、いわゆる定額減税を実施するための措置です。
今回行われる定額減税については、1回きりであり、異常な物価高騰や実質賃金の低下などを補填するものには全くなっていません。朝日新聞が6月に実施した世論調査でも、6割近くが今回の定額減税を評価しないと回答しており、まさに、この減税は選挙目当て、政権浮揚のために始めた制度だと言わざるを得ません。物価高騰対策というならば、消費税減税と低所得者への手厚い支援こそ行うべきです。わが党は市として国にこのことを要求するとともに、独自に国保料や介護保険料の引き下げをおこなうなど、市民の暮らしを応援する手立てを取ることを強く求めるものであります。
以上でわが党の反対討論を終わります。