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議会報告「発言と答弁」全文
2025年予算議会
倉元達朗市議の補足質疑 発言と答弁全文
音声をもとに党市議団が文字起こしし、順番などをわかりやすく組み替えたものです
倉元市議私は日本共産党市議団を代表して、わが党の代表質疑を補足して、福岡城天守に関連する事業、高齢者乗車券制度、道路陥没事故防止について質疑を行います。
福岡城天守
調査について(1問目、2問目)
倉元市議まず、福岡城天守に関する事業についてです。福岡城址に「天守閣が存在した」ことを証明するための調査に巨額の費用をかけるべきではないとのわが党の質問に対し、市長は文献調査と発掘調査を実施しますとだけ答弁し、新年度予算には福岡城址天守の調査として4823万円を計上しています。しかしながら、これらは「天守閣は存在した」という特定の学説を支持する立場に立ち、科学的な根拠もないまま行われようとしており、浪費以外なにものでもありません。そこで新年度どのような調査を行うのか具体的に見ていきたいと思います。まず、測量調査を293万円をかけてやるとしています。これは天守台の位置を正確に捉えるためとされています。約3000万円をかける発掘調査は、天守台が、城ができた当時のままなのか、それとも途中手を入れられてきたのかを調べるとしています。さらに、天守台や周辺の土の硬さを調べ、圧密度を測り、何らかの建物が天守台の上にのっていたのかを調べるそうです。レーダーを石垣に当てて構造や空洞の存在などを調査して、これもまた何か構造物がのっていたかを検証する。また、文献調査のために1561万円を計上しています。さらにこれらの調査費用4823万円以外にも発掘調査のための会計年度任用職員の人件費1123万円を計上しています。そこでお尋ねしますが、合わせて約6000万円もの多額の税金を使っての様々な調査をもって、福岡城の天守閣があったかどうかわかるものなのか、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長福岡城の天守についてのご質問にお答えいたします。まず天守の調査につきましては、福岡城天守のかつての状況を確認するため、文献調査や発掘調査を行うもので、天守に係る研究の一助となるべく、丁寧に進めてまいります。
倉元市議多額の税金を使っての調査について局長はあたかもこれから天守閣の存在を証明することになるといった答弁を行いました。もちろん、文化財の調査について、私達は全て否定するものではありません。予算をもっと付けるべきだという立場です。しかし、今回の調査は「福岡城に天守があった」という特定の学説に立ったものであり、あまりにもいびつであります。今回の調査をもっと深く見ていきたいと思います。例えば、天守台に何か建物がのっていたのかについて土や石垣の圧密度を測る調査を行うとしています。仮に、何かがのっていたという結果が出たとしましょう。しかし、何がのっていたのかわからないんです。では、仮に建物がのっていたとしましょう。しかし、その建物が天守閣だったのか。櫓だったのか。それとも他の建物だったのかわからない。さらに、天守閣だったとしても、何階建てだったのか。どんなデザインだったのかはわからないんです。こんな調査に意味があるんでしょうか。したがって、天守閣が存在していたことを前提に行い、しかも存在理由になり得ない調査結果を求めるための今回の調査は、まさに浪費だと思いますが、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長福岡城の発掘調査につきましては、全体では80回を超える調査を行っておりますが、これまで天守台については調査を実施していないため、福岡城のかつての状況を確認し、貴重な文化財を保存継承していくためにも必要な調査であると考えております。
復元の議論と市長の発言について(1問目、2問目)
倉元市議このような調査を行おうとしている理由は、市長が天守閣の復元に前のめりになっているからに他なりません。地元経済界は市長に対して1月末に「天守閣の復元的整備を迅速に進めることが適切」と提言書を提出しています。全国には、天守閣のない城は存在します。その理由は、財政難や幕府への配慮、大砲の技術が進み標的になる建物を建てる必要がなくなったなどそれぞれです。ところが市長は、提言書を受け取った際、「天守閣を最初から作らなかったとは考えにくい」と発言されております。お尋ねしますが、市長の発言はどのような根拠を持っておっしゃられたのか、そのお考えを示していただきたいと思います。
経済観光文化局長提言書を受領した際の発言については、元文部科学事務次官で、懇談会の取りまとめをされておられる山中座長から「様々な論拠をもとに、天守閣の存在について否定することは難しいとの結論に至った」旨のお話をお伺いし、発言をされたものでございます。
倉元市議さらに市長は天守閣があったことを証明する資料が見つかっていないことにあてつけて「天守閣がなかったことを示す資料もない」などと発言されております。そこでお尋ねしますが、この市長の発言はあまりにも稚拙な詭弁であり、今後このような発言は慎むべきと思いますが、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長現時点において、天守閣がなかったことを示す資料は見つかっておらず、その事実について述べられたものでございます。
倉元市議市長の福岡城天守閣復元に対する最近の発言についてただしました。本来的には市長が直接答弁すべきものだと思います。しかし、局長の答弁聞けば、根拠がない言い訳に過ぎません。ただ、復元したいという思いで、軽々な発言をなさるのはやめるべきだと進言しておきたいと思います。市長は2012年の時点でも、「個人的には復元できたらと思っている」と発言されております。市長や経済界の方々は復元できたら観光客がやってきて本市にお金を落としてくれるだろうと軽々に考えておられるかもしれませんが、課題はたくさんあることを指摘しなければなりません。まず第1に、外観や構造がわかる資料がないということです。新年度予算で旅費まで計上して、文献を探しに行こうとされていますが、天守閣についての調査は長年行われており、今更ながらに新しい事実が出てくるとは思えません。文化庁は「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」を2020年に改定し、その際、専門家によるワーキンググループに議論をさせています。ワーキンググループの取りまとめによれば「適切とは言えない再現」のやり方の例として、「デザイン・形態等が全くわからないもの」また、「史跡等の理解を妨げることに繋がるもの」が挙げられています。そこで、外観や構造がわかる資料がないにも関わらず、復元の議論を行うことはあまりにも拙速だと思いますが、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長次に復元の議論を行うことについての所見をというご質問でございますが、令和7年度は福岡城の天守の各地点の状況を確認し、貴重な文化財を保存継承していくため、そして天守に係る研究の一助となるべく、文献調査や発掘調査を行うものでございます。
天守閣の復元について(2問目)
倉元市議第2.に天守閣の整備費用についてです。文化庁関係者が「少なくとも数十億円規模」と見解を示したと西日本新聞が報じていました。2月24日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」を見ていますと江戸城再建にかかる費用は約500億円、名古屋城の木造復元化には505億円、広島城の同じく木造復元化にも131億円かかると述べられていました。数十億円どころか、何百億円の世界です。改めて巨額の費用がかかるものだと思いました。そこでもし福岡城の天守閣を復元するとなるといくらの整備費用が必要なのか。また、その費用は誰が負担するのか。お尋ねします。
経済観光文化局長次に、天守の復元費用やその負担者については、これまで検討を行ったことはございません。以上でございます。
ライトアップ事業
倉元市議市長は、今年度行った福岡城幻の天守閣ライトアップ事業をこの春も再び行おうとしています。この開催経費は既に今年度4331万円が予算化されており、新年度は撤去費用として1930万円が計上されております。本事業は、福岡城址に金属パイプ製の天守閣を設置し、LEDでライトアップするというものです。しかし、「天守閣があったかどうかわからないのにいかがなものか」という意見や、「派手なライトアップ」に批判の声が上がり、昨年の予算議会でも議論になったものであります。周知の通り天守閣については、存在も外観も構造もいまわかりません。2013年に刊行された福岡市発行の「新修 福岡市史 特別編 福岡城」には「さまざまな議論は、現在に至っても、なお決着を見ていない」とされています。市長もこの本に挨拶文を寄せておられます。にもかかわらず、あたかも天守閣があったかのように構造物を建ててアピールすることに市民から批判の声が出されております。そこで、歴史的根拠が定かになっていないにも関わらず、勝手に天守閣をイメージしただけの構造物を建てて、ライトアップするこの事業は、福岡城址という文化財を愚弄するものだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
経済観光文化局長今回のライトアップ事業については、福岡城への観光集客を図るとともに、福岡城や福岡の歴史に対する観光客や市民の関心、興味を高めるため、石垣の保全に十分配慮した上で、時限的に仮設の工作物を設置するもので、文化財保護法の観点から、特段問題があるものとは考えておりません。以上でございます。
市長答弁(2問目)
倉元市議今回の発掘調査については、ごくわずかの手がかりを見つけて針小棒大に宣伝し何とか天守閣があったということにしたいということに他なりません。存在も外観も構造もわからない。整備費だってどれだけかかって誰が負担するのかわからない。こんな状態でよく復元などという議論ができるものです。考古学を専門とされている。立命館大学の岡寺良准教授のコメントを西日本新聞が紹介しています。「天守閣が存在したかどうかと復元するかどうかの議論は切り離して考えるべきだ。復元には慎重な議論が必要で、勇み足になってはいけない」。学識者の意見を真摯に受け止めるべきです。今のように、市長が識者やこれまでの研究を無視して強硬に進めれば、もうこれは福岡城の復元ではなく、「髙島城」の築城になってしまいます。こんなものを市民が望んでいないのは当然です。したがって、天守閣ありきの調査予算は全額削除すべきと思いますが、市長の明確な答弁を求めます。さらに、本市の貴重な文化財である福岡城で、集客のために歴史的根拠もなく、天守閣があったかのように、復元とはかけ離れたやり方を、巨額の税金を使って行う今回のライトアップ事業は、やめるべきと思いますが市長のご所見をお伺いします。
市長福岡城につきましては、1607年に黒田長政によって築城された福岡市の歴史を語る上で欠かせない貴重な史跡で現在都心における貴重な歴史資源、市民の憩いの場、そして重要な観光資源となっているものでございます。商工会議所からの提言に続き、春の天守閣ライトアップ事業を実施することによって、福岡城や福岡の歴史への市民の関心や興味がさらに高まることを期待しておりますし、天守に係る研究が進むよう、そして市民がより地域に対する誇りと愛着を持つ一助となるよう、天守台の発掘調査と文献調査を進めてまいります。
高齢者乗車券
高齢者への支援強化を(1問目、2問目)
倉元市議次に、高齢者乗車券制度についてです。わが党は代表質問において物価高騰に苦しむ市民に対して緊急に市独自の施策を講じるべきと提案を行いました。高齢者乗車券制度の拡充はその一つであります。しかしながら、市長は現制度のままで良いという答弁を行っていますが、これは高齢者の暮らしを支援しようという気持ちのない冷たい態度です。高齢者の頼みの綱である年金は、マクロ経済スライドによる12年間でマイナス7.8%の「年金実質削減」が行われるもとで、高齢者から「暮らしていけない」という悲鳴が広がっております。国民の声におされ公的年金額は1.9%引き上げが行われましたが、物価高騰には到底届きません。さらに年金「改革」法案で改悪が狙われています。お尋ねしますが勤労収入のない高齢者は、年金が若干引き上げられたものの、物価上昇率の水準を下回っており物価高の影響を吸収できておらず、苦しい生活を余儀なくされていると思いますが、ご所見をお伺いいたします。
福祉局長高齢者乗車券についてのご質問にお答えいたします。高齢者の生活状況につきましては、物価高などにより一定の影響が生じているものと考えております。
倉元市議高齢者の暮らしの状況が厳しいのではないかという問いに対して、局長は否定こそされませんでしたが、そこまで真剣に捉えていないように見受けられました。この間、市内の年金暮らしの高齢者に生活の実態を聞かせてもらいました。政府は年金が上がったといいますが、聞けば「上がっても2、3千円程度」「何百円ぐらいしか上がってない」あるいは「上がった実感はない」、不満の声がたくさん出されています。一方で、物価高騰による買い控えが大きく広がっています。「スーパーへ夜7時からの惣菜の値引き品を狙っていくと、同じ目的の高齢者がウロウロしている。値引きシールが貼られるとあっという間に商品がなくなってしまう」。今の高齢者の実態を表すシーンです。ある女性は「今年になって1回しか牛肉を買ってない。豚や鶏肉で代用するようになった」といい、「キャベツや白菜も手が出ない」、こう言われていました。洋服を買い控えしている方が多く「娘や孫のお下がりで間に合わせている」という80代の女性もいらっしゃいました。どなたも買い物には慎重になっておられ、家計に苦しんでいることがよく伝わってきました。高齢者の実態を具体的に紹介しましたが、これらの人たちは、ついこないだまでは比較的暮らしに余裕があった人たちだったんです。しかし、この物価高騰で暮らしぶりが一変しています。そのぐらい影響は大きく、行政が指をくわえて見ていることは許されません。したがって、高齢者を取り巻く生活実態は厳しいものがあり、もっと高齢者への支援を強化していくべきと思いますが、答弁を求めます。
福祉局長物価高等に係る支援につきましては、国の交付金を活用して給付金の支給などを行っているところであり、引き続き物価高の状況や国の動向を注視してまいります。
高齢者乗車券拡充せよ・市長答弁(1問目、2問目)
倉元市議高齢者乗車券制度は、高齢者の社会参加を促進するため、交通費の一部を助成する乗車券を交付するものです。福岡市に居住し、かつ住民登録をしている満70歳以上の人を対象としていますが、非課税あるいは課税対象で所得200万円未満の人しか利用できないという所得制限が存在します。しかし、対象となる人には7種類の交通手段を選択して、上限額1万2000円まで利用することができるとされています。つまり、年間1万2000円分ではありますが、支出を抑えることができるということです。そこで、高齢者乗車券制度は、社会参加の促進とともに、高齢者の家計を応援するものになっていると思いますが、お尋ねいたします。
福祉局長高齢者乗車券の目的は、高齢者の社会参加を促進するため、外出のきっかけとなるよう、公共交通機関の乗車料金の一部を助成するものであり、様々な社会参加活動につながっているものと認識しております。以上でございます。
倉元市議高齢者乗車券制度が高齢者の家計を応援するものになっているのではないかという問いに、局長はあくまでも社会参加のための制度ですというふうに言われました。しかし私は、今回の聞き取りで、この制度が大変助かっているんだと、家計にも助かっているんだっていう声をたくさんお聞きしました。ただ、不満の声がないわけではありません。ある男性は、8000円分の利用が可能ですが「足りなさすぎる。半年で無くなってしまう」と語っておられました。ある女性は、「残額が減らないように1駅、2駅前で降りて歩いている」そうです。別の男性は「1回外出すれば、交通費は1000円近くかかる」とも言っておられました。タクシーを利用される方は「あっという間になくなってしまう」とのことです。担当課に増減額1万2000円の根拠を事前にお聞きしました。「月1000円の12ヶ月分」というのが1万2000円の根拠なんです。びっくりしましたね。たったそれだけですよ。しかもこの制度というのは、2001年からこの金額は全く変わっておりません。そこで、現行の上限額1万2000円はあまりにも少なく、実態に合ってないと思いますが、ご所見をお伺いします。あわせて、所得200万円以上で制度から除外される所得制限も実態に即していないと思いますが、お尋ねします。
福祉局長上限額等については、高齢者の社会参加のきっかけとなるよう、公共交通機関の乗車料金の一部を助成するものであり、また限られた財源の中で、より必要な方を支援するため、所得制限を導入しております。なお、70歳以上の方のうち約9割は交付対象となっております。以上でございます。
倉元市議そもそも高齢者乗車券制度は高齢者の外出を促し、経済波及効果、健康づくりおよび公共交通機関の利用促進による環境負荷軽減などの面で良い影響を及ぼすことは、これまでにも論じられてきたところであります。だからこそ他都市でも高齢者に対する交通支援は広く行われており、上限額がない都市や、所得制限を設けていない土地も存在します。東京都シルバーパスは負担金を払えば、利用可能路線は乗り放題、名古屋市も負担金を払えば乗り放題。大阪市は電車・バスが1回の乗車の負担はわずか50円です。利用制限はありません。他都市に比べて、本市の制度はあまりにも貧弱すぎます。そこでお尋ねしますが、本市も高齢者乗車券の上限額と所得制限をなくし、高齢者の生活を支援すべきと思いますが、市長のご所見をお伺いします。
市長高齢者乗車券につきましては、高齢者の社会参加の促進を目的としたものでありまして今後とも持続可能な制度としながら、利便性の確保に取り組んでまいります。
道路陥没対策
倉元市議次に、道路陥没対策についてです。埼玉県八潮市の県道陥没事故は、インフラの老朽化がもたらす危険や住民への影響の大きさを見せつけています。運用からに42年になる下水道管の腐食によるとみられ、穴に転落したトラックの運転手はいまだ行方不明です。下水道に起因する道路陥没は2022年度、全国で約2600件起きています。下水道管の標準耐用年数は50年とされ、腐食の恐れが大きい箇所は政令で5年に1回以上の点検が求められています。今回の事故の下水道管については2021年度の点検で「直ちに工事は必要ではない」との判定が出ていました。したがって、点検の期間・方法の見直しを含め、老朽インフラへの対策が求められています。代表質疑でわが党は、同様の事故が起きないように下水道管の安全点検などの強化を求めました。市長は安全確保に努めていくとの趣旨の答弁をされましたが、根拠があるのか質していきたいと思います。
陥没防止対策(1問目、2問目)
倉元市議第1に、本市においての道路陥没防止対策についてです。道路舗装の下にできた空洞は、陥没事故につながる原因となることから、本市では路面下空洞調査を実施しています。空洞を早期に発見し、陥没事故につながる前に対策を行うという取り組みです。路面下空洞調査は地中レーダーを搭載した車で道路を走行することによって、空洞の可能性がある箇所を検知する調査とのことです。そこでお尋ねしますが、2023年度の路面下空洞調査の実績と、発見できた空洞数について答弁を求めます。
道路下水道局長道路の陥没事故対策に関するご質問にお答えいたします。まず、路面下空洞調査の実績につきましては、令和5年度の調査実施総延長が231.4km、発見した空洞数が幹線道路では54ヶ所となっております。
倉元市議23年度下水道管の破損が原因で発生した道路陥没は62件もあったそうです。事前に資料をいただきましたが、そのうち50cm以上の陥没は7件、東区八田で90cm、城南区片江で71cm、早良区原と南庄で71cmなどです。もちろん八潮市の事故現場とは規模が違いますが、ときと場合によっては大事故に繋がるものと言わなければなりません。それだけに陥没を起こさせない対策が必要です。下水道管の標準耐用年数は国において50年とされています。本市では現在、汚水が流れる暗渠約4200kmのうち、50年を超過しているものは約530km約12%を占めています。これが10年後になりますと標準耐用年数を超えるものが約37%に増え、20年後には約70%になることが明らかになっています。このように標準耐用年数を超える下水道管が多くを占めるようになる中、さらに道路陥没の恐れは大きくなっていくと思いますが、ご所見をお伺いします。
道路下水道局長下水道管の標準耐用年数につきましては、国において50年とされておりますが、国が策定したガイドラインにおきましては、標準耐用年数で一律に開示するのではなく、下水道管の健全度に関する点検調査結果に基づき、長寿命化対策を盛り込んだ計画的な改築を行うよう示されております。福岡市におきましても、点検調査の結果に基づき、計画的な改築更新を進めており、現在検討中の令和7年度から4年間の実施計画である「下水道経営計画2028」において、下水道管の改築更新延長を144km、事業費を約406億円として計画しており、今後とも適切に対応してまいります。
下水道管の点検調査増やせ・市長答弁(1問目、2問目)
倉元市議第2に道路陥没の一因となっている下水道管の破損についてです。下水道管は経年劣化により強度が低下し、破損する可能性があります。また、汚水に含まれるし尿や洗剤などが硫化水素を発生させ、菅の内壁に付着した細菌の働きによって酸化し、硫酸となります。この硫酸がコンクリートや金属を腐食させます。破損すればその箇所から土砂が流出し、その管の周辺に空洞が生じ、道路陥没につながります。本市は下水道管の点検・調査を行うことによって事故を未然に防ぐとしています。そこでお尋ねしますが、2023年度の下水道管の破損が原因で発生した道路陥没の箇所数と点検・調査の実績について答弁を求めるものです。
道路下水道局長下水道管の点検調査の実績につきましては、令和5年度の目視による点検が553km、テレビカメラ車による下水道管内調査が75km、下水道管の破損が原因で発生した道路陥没が62ヶ所となっており、そのほとんどが深さ30cm程度の小規模なものであります。以上でございます。
倉元市議下水道管の目視による点検の実績は23年度553kmとの答弁でした。しかし10年前の実績を調べますと、2014年は641kmでしたから点検の量は増えるどころか減っております。テレビカメラでの調査についても、23年度は75kmとのことですが、10年前は100kmの調査を行っております。これも減っているんです。そこで、下水道管は年々劣化していくにもかかわらず、調査や点検の量が減っているならば、安全を保つことができないのではないかと思いますが、答弁を求めます。
道路下水道局長下水道管の点検調査につきましては、福岡市では、従来より計画的に点検調査を実施しております。点検調査実績が10年前が多いのは、下水道管のアセットマネジメントの基本方針策定のために、平成23年度から26年度まで集中的に実施したものであり、その後は基本方針に基づき、必要な点検調査を計画的にしております。令和7年度においても必要な予算を計上し、目視点検は約500km、テレビカメラ調査は約100kmを予定するなど、適切な維持管理を図ってまいります。
倉元市議現状では下水道の管理者は地方自治体とされています。独立採算制と受益者負担という現状の制度、仕組みから、維持管理・修繕を強化すると、その費用が下水道料金の値上げにつながるため、管理にかかる費用を抑えてしまいがちです。事前に担当課に聞きますと点検・調査費用に関する国の補助はあるにはあるが、福岡市の下水道管のサイズでは対象外になっているということでした。そこで、本市の下水道管が対象となる点検・調査費用への補助制度を国に求めるべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
道路下水道局長下水道管の点検調査費に関する国への要望につきましては、下水道管の改築に対する財政支援の継続と国庫補助制度の拡充について要望を行っており、加えて、他の政令市や日本下水道協会等とも連携した要望を行っております。引き続き、下水道管の老朽対策の拡充等について要望を行ってまいります。
倉元市議路面下空洞調査によって見つかった空洞は54件だったそうです。この5年間の実績を見ても年間100件以上発見した年が2年もあります。ですからこれは重要な調査だと言わなければなりません。2019年から5年間の調査実施延長を見てみますと確かに増えております。しかし、当初予算を見ますと、9500万円から1億円とほとんど変動がありません。過去に自宅近くの道路の陥没につまずいて怪我をしたことがあるという女性は、「毎月調査してほしいけれども、せめて半年に一度はやってほしい」と要望されていました。したがって、路面下空洞調査は道路陥没を未然に防ぐとともに市民の不安を払拭するためにも予算もつけて調査距離を抜本的に延長すべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
道路下水道局長路面下空洞調査につきましては、福岡市では従来より空洞発見能力や精度などの技術力の高い事業者により、広範囲に路面下空洞調査を計画的に実施しており、令和7年度においても必要な予算を計上しております。今後も必要な予算を確保しながら、安全な道路の維持管理に取り組んでまいります。以上でございます。
倉元市議道路陥没事故は全国どこでも起きる可能性があるだけに市民の関心は高いものがあります。八潮市の事故の場合、下水道の利用自粛が呼びかけられ住民は洗濯や入浴自粛などの日常生活に支障をきたしました。その他インターネットや固定電話が利用できない事態も起きました。クリーニング店、生コン製造業や飲食業など水を使う業者に影響が出たとされています。陥没事故の恐ろしさを表していると思います。先ほど述べたように、下水道管の点検調査の量が10年前から比較すれば減っています。市長は直視すべきです。こんなペースでいいのかが問われています。地下鉄陥没事故を目の当たりにした福岡市民はどうしても陥没というワードに敏感であります。したがって、下水道管の点検・調査の計画を見直し、予算を抜本的にふやし、点検・調査の量を増加させ、道路陥没を未然に防ぎ、市民の安全を確保すべきと思いますが、市長のご所見をお伺いして私の質問を終わります。
市長道路や下水道といった市民に身近なインフラの老朽化対策につきましては、市民の生命や安全・安心な生活を守るため、大変重要であると認識をしております。福岡市においては従来より改築・改修、耐震などのアセットマネジメントを着実に推進するとともに、路面下空洞調査や下水道管の点検調査を計画的に行うなど、地上や地下の両面から異常を早期に発見し、必要な対策を迅速かつ適切に実施をしております。今後とも市民の安全・安心を確保するため、引き続きこれらの取り組みを進めるとともに、先進技術の活用を進め、インフラの老朽化対策にしっかりと取り組んでまいります。以上です。