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議会報告

2025年予算議会

2025年度 代表質問

2025年3月4日 倉元達朗議員

私は日本共産党市議団を代表して、髙島宗一郎市長の市政運営方針と2025年度予算案及びその他諸議案について、市長並びに教育委員会等に質問いたします。


はじめに、政府予算案と国政の重要問題について質問いたします。

物価高騰が長引くもとで、暮らしの困難がひろがっています。賃金が30年間もの長期にわたって減り続け、実質賃金はピーク時の1996年から年収で平均74万円も減少しています。一方で、過去30年、大企業の利益は16倍以上に増え、株主への配当は10倍近くに増加しました。資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保は539兆円となり、過去最大を更新しています。まさに「大企業が儲ければ、それが滴り落ちて国民全体が潤う」という時代遅れの新自由主義的なトリクルダウン政策が、物価高騰から市民の暮らしを守るうえでも、日本経済を再生するうえでも百害あって一利なしであることが明らかになりました。

暮らしの先行きが見えないなか、希望の持てる政治が求められています。しかし、石破政権が示している2025年度政府予算案は、アメリカいいなりで8.7兆円という過去最大の軍事費を計上し、半導体をはじめとした一部大企業には巨額の支援をおこなう一方、社会保障や暮らしの予算はどれも物価上昇に追いつくものになっておらず、実質的にはマイナスです。国会では現在、教育費の無償化や所得税の課税最低限引き上げなどが論議されていますが、それだけでは国民の暮らしは良くならず、大軍拡と大企業優先の予算案に切り込まなければ、市民・国民の切実な要求を実現することはできません。国の悪政から市民を守る「防波堤」の役割を果たすべき市長として、この政府予算案に反対を表明し、暮らしを良くする予算を大幅に拡充するための組み替えを要求すべきではありませんか。併せて、市民の命と安全を守るためにも、「日米軍事同盟絶対」の立場で進められている大軍拡路線を止め、ASEANなどと協力し、外交努力を通じて東アジアの平和構築に向かう路線に転換するよう求めるべきではありませんか、ご所見をお伺いします。

(答)

国の安全保障に関することについては、国の責任において適切に対応されるべきものであり、今後とも、国民の生命と安全を守るために、その役割を果たされるものと認識しております。


次に、市長の市政運営方針の基本点と新年度予算案の基調について質問いたします。

本市はこれまで、「都市の成長」を「生活の質の向上」に結びつけるという名目で、大型開発や巨大イベントを強力に推進してきましたが、その恩恵は大企業に集中しており、市民や市内中小企業・小規模企業者には回っていません。市長の市政運営方針や新年度予算では、国と同じく新自由主義的なトリクルダウン政策が大きな柱として位置づけられており、これでは市民の暮らしの困難を打開することにならないことは明白です。

「天神ビッグバン」やウォーターフロント再開発などの大型開発優先や外からの「呼び込み」頼みはやめ、市民の暮らし・福祉や中小企業・小規模企業者の経営を応援することで市内経済の活性化を図るという地域循環型経済を実現する方向へ市政運営方針を転換し、新年度予算案を抜本的に見直すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

令和7年度予算案については、新たな基本計画に沿った施策を積極的に推進するため、「誰もが自分らしく生きられる共生・共創の地域づくり」、「次代を担う子どもの育成と若者の活躍推進」、「地域経済に活力を生む観光・MICEの推進と都心部機能の充実強化」、「スタートアップ等による新しい価値の創造」という4つの分野に加え、特に、花や緑があふれる魅力的なまちづくりや、災害に強いまちづくり、学校給食費の無償化をはじめとした子育て世帯の負担軽減など、福岡市をさらに魅力的に発展させ、次の世代へと引き継ぐ取組みをしっかりと進めてまいります。


次に、物価高騰対策について質問いたします。

物価高騰が市民生活を直撃しています。消費者物価指数は2024年度11月まで39ヶ月連続上昇です。2月上旬のコメの平均価格は5キロあたり3829円にも値上がりし、昨年同時期と比べて1.9倍となっており市民から悲鳴が上がっています。22年以降、食料品は2割増になっていて家計消費支出に占める食料品の割合、いわゆるエンゲル係数は29.0%で、この43年間で過去最高となっています。暮らしの困難を打開し、暮らしに安心とゆとりをもたらす支援が必要です。そこで私たちは緊急物価高騰対策を提案するものです。

まず第一は、学校給食費の無償化についてです。わが党は学校給食費無償化について、2015年度より毎年市に実現を求め続け、議会質問でもたびたび取り上げ、2023年の市議会議員選挙では、議員および候補者全員が学校給食費無償化を第一の公約に掲げました。さらに、2022年、2023年に市民から提出された学校給食費無償化を求める計4本の請願署名に対し、わが党の議員全員がすべての請願の紹介議員となり、採択のために力を尽くしてきました。市民の中で大きく広がる無償化実現を求める運動とわが党の論戦が結びつき、今回の無償化を実現できたことを歓迎するものです。

しかしながら、市長は2学期以降しか、無償化を実施できないとしていますが、子育て世代への支援は厳しい経済状況の中、まさに待ったなしであり、あらゆる手立てをとって4月の新学期から行うべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

学校給食費の無償化については、実施に伴う各種システムの改修等が必要でありますが、段階的に改修を進めることにより、2学期から開始します。

第二は、税制のあり方についてです。消費税は食事の回数を減らすような生活であっても生活費に容赦なく課税するものであり、消費税の5%への減税を行うことは緊急の課題です。なによりも直接的な物価引き下げ効果があり、低所得者への最大の支援となります。高い所得の人ほど税負担が軽くなる「1億円の壁」の解決、大企業と中小企業の法人税負担の逆転を是正するなど、大企業・富裕層に応分の負担を国に求めるとともに生活費に課税する消費税を減税するよう求めるべきと思いますが、答弁を求めます。

第三は賃上げについてです。実質賃金が下がり続ける中、大幅賃上げこそが物価高騰対策となります。そのためには、大企業の空前の利益が、労働者の賃金にも、取引企業の単価引き上げにも回らずに、内部留保が巨額に積みあがる――この日本経済の構造的なゆがみに切り込むことが必要です。国に対して大企業の内部留保に時限的に課税し、それを財源に中小企業に支援を行うことで中小企業を含むすべての働く人たちの賃上げを実現するよう求めるべきと思いますがお尋ねします。また、最低賃金の抜本的な引き上げも求めるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

消費税などの税制度については、国において適切に検討されるものと認識しております。 労働者の賃上げについては、促進税制や助成金など、国において必要な施策が実施されているものと認識しております。

本市の会計年度任用職員は、2024年5月時点で6181人となっており、その処遇は78.8%が年収300万円未満と劣悪となっています。また1年契約で、本市での更新は4回までであり不安定な雇用となっております。

そこで、更新回数の上限を撤廃するとともに、正規職員として採用し、臨時・非常勤職員などの非正規労働者はただちに時給1500円以上にするべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

会計年度任用職員については、法に定める平等取扱いの原則及び成績主義に基づき、広く公募を行った上で採用するとともに、勤務内容や勤務形態など、業務の特性に応じて、適切に配置してまいります。また、勤務条件については、国が示した運用の考え方や他都市の状況なども踏まえながら、法に基づき適切に対処してまいります。

第四は、高齢者への支援です。勤労収入のない高齢者は、年金が若干引き上げられたものの、物価上昇率の水準を下回っています。つまり、物価高の影響を吸収できておらず、苦しい生活を余儀なくされています。高齢者の日常生活の支えであり、社会参加を促進するために交通費の一部を助成する高齢者乗車券制度については、所得要件があり、さらに利用上限額が年間最高で1万2千円となっており「極めて不十分」という声が上がっています。所得要件と上限額を廃止して高齢者の生活を応援すべきと思いますがお尋ねいたします。

(答)

高齢者乗車券については、タクシー助成券の利用方法を見直したところであり、今後とも利便性の確保に取り組んでまいります。

第五は、上下水道料金の減免についてです。多くの市民の暮らしや中小事業者の業況等がきわめて厳しい状況に置かれているもと、水道・下水道料金は市民に重い負担となってのしかかっています。本市独自に、緊急の上下水道料金の減免措置を講じるべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

水道に関するご質問にお答えいたします。水道料金については、様々な経営努力により、平成9年度から据え置いており、独自の減免については、配水管の更新の遅れや企業債の増大を招くなど、事業運営への影響が大きく、困難であると考えております。

下水道使用料については、様々な経営努力により、平成17年度から据え置いており、減免については、収支に与える影響や将来的な負担が懸念されるため、慎重に判断すべきものと考えております。


次に、大型開発と規制緩和について質問いたします。

第一は、「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」についてです。

規制緩和による街壊しである「天神ビッグバン」には昨年度までに約130億円を超える税金が投入されております。その結果、全国最悪の地価の上昇が起こり、大手オフィス仲介会社の発表によると昨年12月における天神エリアのオフィス空室率は約10年ぶりに7%代へと上昇しており、早くも供給過多となっております。一方で、商業地も住宅地も異常な地価の上昇が進み、賃貸マンション・アパート等の家賃上昇により、中・低所得層の住居確保が困難になる等、市民生活に大きな影響を与えております。また、エリア内の新天町や水鏡天満宮横丁などで長年営業をしてきた業者も実質、追い出される事態も想定されております。災害時の避難所確保等の対策も不十分なまま無責任に進められている住民犠牲の天神ビッグバンは、同様の問題を生んでいる「博多コネクティッド」とともにきっぱり中止すべきだと思いますが、御所見を伺います。

(答)

都心部においては、天神ビッグバンや博多コネクティッドにより、まちが大きく生まれ変わる中で、緑や水辺、文化芸術、歴史などが持つ魅力に磨きをかけ、多くの市民や企業から選ばれるまちづくりに取り組んでまいります。

第二は、港湾事業・人工島についてです。

ウォーターフロント地区について、賑わいの拠点などといって進めようとしている再整備は莫大な財政負担を伴うものであり、やめるべきだと思いますがご所見をお伺いします。また、700億円という莫大な費用を要する中央ふ頭や須崎ふ頭の新たな埋立てについては計画を撤回すべきではありませんか、御所見を伺います。

(答)

ウォーターフロント地区については、MICE拠点の形成や、賑わいや憩い空間の創出など、市民や来街者が楽しめる魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。 中央ふ頭及び須崎ふ頭地区の埋立てについては、博多港港湾計画に位置づけており、引き続き、検討してまいります。

長年にわたり毎年100億円もの税金がつぎ込まれてきた人工島事業には、今後も約239億円の税金投入が見込まれております。これ以上、人工島エリアを特別扱いする税金の使い方はやめるべきと思いますが明確な答弁を求めます。

(答)

アイランドシティについては、居住者が15,000人を超え、まちの成熟や港湾機能の強化が進んでおり、今後とも、先進的モデル都市づくりや、国際物流拠点の形成などに取り組んでまいります。

第三は、九州大学箱崎キャンパス跡地についてです。

優先交渉権者がすすめるスマートサービスは、企業が個人情報を吸い上げ、自らの利益のために利活用できるものであり、住民が望んだものではありません。市は個人情報を守る立場から、住民への情報開示と合意形成を図らせるべきと思いますが答弁を求めます。また600人の児童増加が見込まれており、学校用地を確保しなければ、新たな過大規模校を生み出すことになります。さらに周辺に小中連携校が複数計画されていますが、本市では、照葉小中連携校などにおいて過大規模化した経緯もあり、箱崎近隣に新たな連携校をつくることで解決できないことは明らかです。したがって九大箱崎キャンパス跡地にも小学校用地を確保すべきと思いますがご所見を伺います。また、グランドデザインに沿って広大な防災公園を含む計画へ見直すとともに、住民団体の要望する説明会に応じるよう、九大と優先交渉権者に働きかけるべきと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

九州大学箱崎キャンパス跡地については、グランドデザインに基づき、先端技術の導入などによる「Fukuoka Smart East」の取組みを進めており、関係法令を遵守するとともに、九州大学や地域などの関係者と連携をして、未来に誇れるまちづくりに取り組んでまいります。

九州大学箱崎キャンパス跡地については、教育環境を維持するため、跡地内における総供給戸数に加え、毎年の供給戸数についても制限が設けられており、小学校用地の確保の検討は行っておりません。

公園整備などについても、グランドデザインに基づき、地域などの関係者と連携をして、取り組んでまいります。

第四は、国家戦略特区についてです。

国家戦略特区は、農業、医療、教育、労働などの分野の国民生活や安全にかかわる規制について、財界の要求に応じて緩和し、市民を守るルールを壊す仕組みとなっています。この制度は地域経済の発展にもつながらず、真の意味での経済成長をもたらしません。本市の「グローバル創業・雇用創出特区」指定は返上すべきではありませんか。あわせて、昨年6月に国から指定を受けた「金融・資産運用特区」は、海外から金融機関や金融人材を誘致し、経済の金融化・バブル化を進め、実体経済の衰退、富裕層への富の集中、格差の拡大を招くものであり、返上すべきだと思いますが、所見を求めます。

(答)

グローバル創業・雇用創出特区については、国の施策や規制改革に、独自の施策を組み合わせることで、創業の裾野を広げ、多くの企業や雇用を生み出すとともに、医療保険制度で全国初となる遠隔服薬指導を実施するなど、市民生活の質の向上に寄与してきました。引き続き、特区の活用により、都市の成長と生活の質の向上を図ってまいります。

国際金融都市については、チーム福岡が一体となって、誘致活動を進めるとともに、「金融・資産運用特区」を活用することで、グローバルな人材が活躍し、継続的にイノベーションが生まれる国際都市を目指してチャレンジしてまいります。

第五は、福岡城天守の調査についてです。

本市は、福岡城址に「天守閣は存在した」という特定の学説を支持する立場に立ち、その調査を行おうとしていますが、これは市長が天守閣をつくる口実を見つけたいがために行う過度な調査であり、浪費以外の何物でもありません。巨額の費用をかけたこのような調査はやめるべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

福岡城天守の調査については、文献調査や発掘調査を実施してまいります。


次に社会保障について質問いたします。

第一は、マイナ保険証についてです。

石破政権が紙の保険証の新たな発行をやめて以降も各種世論調査では70~80%が反対や不安の声を上げており、多くの医療関係団体等が方針撤回を求めております。市長は国に対して、マイナ保険証の押し付けを中止し、紙の保険証との併用を認めるよう求めるべきではありませんか、御所見を伺います。

(答)

マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、法令に基づき適切に制度を運用するとともに、国に対して、市民への丁寧な説明などを求めてまいります。

第二は、国民健康保険や医療についてです。

市長は新年度の一人あたり保険料について、史上最高額となっている今年度とほぼ同じ水準の保険料を押し付けようとしております。異常な物価高騰が継続している中、全世代に高い保険料を押し付ける等は許されず、一般会計からの法定外繰り入れを緊急に増やし大幅引下げこそ図るべきではないかお尋ねいたします。史上最高額となっている後期高齢者医療保険料については、基金の全額活用をはじめ、あらゆる手立てをとり引き下げるよう広域連合に求めるとともに、窓口負担の2倍化は中止し元に戻すよう国に求めるべきではありませんか、お尋ね致します。

現在国会で議論となっている高額療養費の限度額引き上げについては「多数回利用者」に限って引き上げを中止するとしたものの、「多数回」に該当しない利用者の大幅負担増や制度利用の条件を狭くする等の改悪は強行しようとしており、当事者や関係団体等から「難病等の方々の命綱を断ち切るものだ」との厳しい抗議の声がひろがっております。今回の見直しは全面撤回するよう国に求めるべきだと思いますが、御所見を伺います。

(答)

国民健康保険料については、医療分と支援分の一人当たりの合計が令和6年度と同額になるよう、一般会計からの繰入や基金の活用によって、保険料負担の軽減に努めております。

後期高齢者医療の保険料については、広域連合において基金などの活用も含め、適切に対応することとされております。また、制度の見直しは、国において、全世代対応型の社会保障制度を構築するため行われるものです。

高額療養費の見直しについては、国において、セーフティネットとしての役割を維持しつつ、次の時代にも持続可能なものとする観点から進められているもので、今後とも動向を注視してまいります。

第三は、市立病院についてです。

福岡市立こども病院、市民病院ともに人員不足により職場は疲弊し、パワハラ事案も後を絶ちません。医師や看護師等の処遇改善と一体に人員確保を図り、ハラスメント一掃の取り組みを強化するとともに、市民病院の移転については職員や利用者、地域住民の声を十分に反映させるべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

こども病院と市民病院の職員の勤務条件などについては、病院機構において適切な対応が図られております。市民病院のあり方については、議会の意見などを伺いながら、果たすべき役割や機能、病院の規模、整備場所などについて検討を進めてまいります。

第四は、介護保険についてです。

史上最高額となっている今期保険料の緊急減額を図るとともに、国庫負担割合を抜本的に引上げるよう国に求めるべきではありませんか、答弁を求めます。併せて、利用料の2割負担への引上げ等の大改悪については検討を中止するよう国に求めるべきと思いますが、御所見を伺います。また、全産業平均より「月6.8万円低い」とされる介護職員やケアマネージャーの低賃金が深刻な人手不足を生み、事業所の倒産・廃業を生んでおり、引き下げられた訪問介護をはじめ抜本的な報酬引上げを国に求めるとともに、独自の人件費補助や運営費助成を行うべきではないか、御所見を伺います。

(答)

介護保険料については、必要な介護サービス費用などを見込み、適切に設定しております。今後とも、国に対し、負担割合の引上げなど必要な措置を要望してまいります。

介護従事者の処遇などについては、事業者に対する加算の取得支援に加え、DXの推進や、コンサルタントの派遣などに取り組んでまいります。

第五は、いわゆるヤングケアラーについてです。

社会問題となっているにもかかわらず、当事者からの相談は年間数10件と全体の1割程度にとどまっており、行政として実態さえもつかめていない現状です。相談窓口についての広報を抜本的に強め、市役所と各区役所に専門部署を創設し地域ソーシャルワーカーを配置すべきではありませんか、御所見を伺います。

(答)

ヤングケアラーについては、相談窓口における支援や、ヘルパー派遣、関係者の研修など、関係機関との連携や周知を強化して、支援に取り組んでまいります。

第六は、生活保護並びに貧困対策についてです。

生活保護基準の連続引き下げと異常な物価高騰で、生活保護世帯は食費や光熱費さえ捻出できない等、生存権が侵されております。いわゆる「生存権裁判」では「基準引き下げは違憲・違法」との判決が相次ぎ、今年1月29日には福岡高裁でも同様の判決が下されました。市長は国に対し、削減してきた各種扶助費を早急に元に戻すよう国に求めるとともに、本市独自の下水道料金減免や夏季・年末見舞金を復活させるべきではありませんか、お尋ねします。20%にも届いていないとされている生活保護捕捉率を高めるために、テレビやSNS、市政だよりの1面などを最大限活用し周知・広報を抜本的に充実させるとともに、不適切な対応を根絶するためにケースワーカーの抜本的な人員増と研修の充実を図るべきではありませんか、御所見を伺います。

(答)

生活保護基準については、国において適切に定められたものと考えております。下水道使用料の減免については負担の適正化、見舞金については個人給付施策の見直しの観点から、廃止したものです。 生活保護制度については、市の広報媒体などにより周知を図っております。ケースワーカーについては、研修などを通して専門性向上に取り組むとともに、適正な執行体制の確保に努めてまいります。

第七は、障害児及び障害者福祉についてです。

障害者施設の多くは物価高騰で大打撃を受けており、本市独自に運営費補助や減収補填を行うとともに、職員の賃金や利用者の工賃引上げのために国任せではなく市独自に助成すべきだと思いますが、御所見を伺います。グループホーム等に対する市独自の運営費補助の拡充が必要だと思いますが、答弁を求めます。

児童発達支援センターや事業所に半ば強引に押し付けた一時預かり事業については実施している社会福祉事業団や事業所から実態をこまめに聴き取り、市として人員確保や運営経費の充実について責任を果たすべきではありませんか、答弁を求めます。

当事者や関係者の要望が強く、全国的な流れともなっている手話言語条例を早期に制定するとともに、手話通訳者の待遇を引き上げるべきだと思いますが答弁を求めます。また、精神障害者の運賃割引の実施についてJRに強く働きかけるとともに、各種交通機関の料金割引を療育手帳Bにもひろげる手立てをとるべきではないか、御所見を伺います。

(答)

障がい者施設への支援については、引き続き、物価高に関する国の動向も注視しながら、必要な対応を検討してまいります。職員の処遇については、国の加算が段階的に拡充されており、施設に活用を促してまいります。また、企業開拓や事業所の受注体制づくりを一体的に支援し、工賃向上を図ってまいります。グループホーム等については、重度障がい者を受け入れるための独自の補助を行っております。

児童発達支援センターでの一時預かりについては、施設及び利用者と丁寧に協議を行った上で実施しており、施設に対し、安全に児童を預かるために必要な支援を行うこととしております。

手話言語条例の制定については、障がい者差別解消条例の施行状況や国の動向を見守りながら、対応を検討してまいります。手話通訳者への支援については、公的機関での通訳活動に対する謝礼を増額するほか、手話通訳者の養成や技能の向上を図る研修などに取り組んでまいります。交通機関の料金割引については、引き続き、県や他都市と連携をしてJR等に要望してまいります。

第八は、住宅施策についてです。

異常な物価高騰のもとで市営住宅のニーズは高まっており、戸数抑制はやめて管理戸数を抜本的に増やすとともに、家賃低廉化補助戸数及び借り上げ住宅戸数を大幅に増やす手立てをとるべきではありませんか、答弁を求めます。併せて、収入が年金のみの世帯、学生を含む低所得の単身者世帯、高齢者単身女性世帯、シングル子育て世帯等に対しての家賃補助制度を創設すべきだと思いますが、御所見を伺います。

また、エレベーター設置とバリアフリー化のペースを抜本的に引き上げるべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

住宅確保要配慮者については、賃貸住宅市場全体で対応しており、住宅セーフティネット制度による経済的支援など、民間賃貸住宅への円滑な入居を支援します。市営住宅については、計画に基づき、建替えや改善に取り組んでまいります。

第九に、動物愛護についてです。

人と動物の共生社会実現が求められております。他都市に倣い愛護団体等との共同を強め犬や猫の殺処分完全ゼロを実現すべきではありませんか、答弁を求めます。東部・西部の動物愛護管理センターについては里親探し、動物愛護に関する市民への啓発、災害時のペットとの同伴避難体制、動物の埋葬等の充実を図る拠点としてリニューアルを含めた抜本的機能強化を図るべきだと思いますが、御所見を伺います。

(答)

動物愛護については、犬猫の殺処分ゼロに向け、飼い主に対する終生飼育の啓発や、犬猫の譲渡推進などに取り組んでまいります。動物愛護管理センターについては、施設の老朽化への対応や、利便性の向上、動物福祉に配慮した飼育環境への転換といった課題があることから、そのあり方を検討してまいります。

次に、子育て支援・教育について質問いたします。

第一に、教育問題についてです。

1点目は教育予算についてです。新年度予算は人件費を除けば一般会計のわずか7.3%で、施設整備・改善、学校運営等、教育活動の基盤を揺るがしており、抜本的に増額すべきと思いますが答弁を求めます。また過大規模校について、2025年度は推計上ではありますが37校と、開発規制がないため8校も増える予定となっています。こども病院跡地では住宅戸数を制限した実績があり、児童数、生徒数が多い地域の開発に対して制限をかける条例を制定すべきと思いますが、あわせて答弁を求めます。

(答)

教育予算については、現在策定中の次期教育振興基本計画の方向性も踏まえながら、子どもを主体とした学びの推進や多様な教育ニーズへの対応、安全・安心な教育環境の整備などに重点を置き、必要な予算を確保しております。 過大規模校への対応については、子どもたちに良好な教育環境を提供するため、地域の実情も踏まえ、適切に取り組んでまいります。 また、民間企業の開発行為を学校教育の観点から規制することについては、様々な課題があり、困難であると考えております。

2点目は学校施設についてです。学校体育館については、猛暑で教育活動に支障をきたす中、現場や保護者からエアコン設置を求める切実な声があがっていました。わが党も毎年議会にその声を届けるなかで、新年度からようやく整備予算が盛り込まれました。市は、これまで「空調を想定した断熱構造になっていない」ことを理由に体育館へのエアコン設置を拒んできましたが、今回、断熱改修は施さずに人の居る体育館の下の方だけを温度調整しようとしています。このやり方で効果があるのか、お尋ねします。また、今回リース方式で実施し学校体育館へのエアコン設置に使える国の補助制度を使わないのはなぜですか、お伺いいたします。

学校施設改良等要望は例年20%程度の対応にとどまっています。2024年度の要望は774件で、1校あたり3~4件と極めて少ない事態です。また昨年夏の公共施設を考える会の学校施設調査でも多くの危険個所が見つかり、10月にはプレハブ校舎の天井が落下し児童に接触する事故も起きています。維持補修費を抜本的に増やし、各学校から改修要望が出された場合はすみやかに対応すべきと思いますが、ご所見を伺います。

2024年度までの学校校舎へのエレベーターの設置は50校と未だ全体の4分の1にとどまっています。児童生徒の安全と教員の負担軽減、避難所としてのバリアフリー化としても早急な設置が求められると思いますが、答弁を求めます。

(答)

学校体育館における空調の効果については、他都市での整備事例を調査した結果、人が活動するフロア付近に冷気などを届けることにより、施設が断熱化されていなくても、効率的に冷暖房の効果を発揮させている事例の確認ができたところであります。

また、国の交付金を活用するためには、断熱化などが要件とされており、短期間で全ての体育館への空調整備を実現するため、国の制度を活用せず、リース方式で整備を行うこととしたものであります。

学校施設改良等要望については、緊急性のあるものを優先的に実施するなど、計画的に対応してまいります。

エレベーターの設置については、条例などに基づき、学校の新増築の際に併せて整備するとともに、常時車いすを使用して生活する児童生徒の在籍が見込まれる学校においても、整備に取り組むこととしております。

3点目は少人数学級についてです。本市でも35人以下学級が実現したものの、年度途中で定員数を上回り、35人以上を1人で見る事態も起きています。このような状況は一掃し、実態として35人以下学級とし、20人学級をめざすべきと思いますが、ご所見をお伺いします。また、教員不足で年度当初から担任不在となる異常な事態は、長年正規教員の採用数を抑制し、500人規模の定数内講師で穴埋めするやり方が原因です。正規教員の抜本的な増員を図るべきと思いますが併せて答弁を求めます。

(答)

学級編制については、国が定めた標準を 引き下げ、きめ細かな指導の充実を図るため、 小中学校全学年で三十五人以下としているところであり、引き続き適切に実施してまいります。

教員については、多様な専門性を持つ職員の 配置と併せて、これまで増員してきたところであり、引き続き適切に配置してまいります。

4点目は教員の働き方についてです。病気休暇者数は365人、そのうち精神の病によるものは156人と史上最高であり、残業時間は1966年と比べ小学校で15倍、中学校で10倍長くなっています。教員一人あたりの持ち時間数を小学校で週20時間、中学校で18時間程度とし、それに見合った教員の確保を行うべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

教員の授業時数については、業務負担の軽減と授業の質の向上を図るため、教科担任制の実施などにより、適切に対応しております。

5点目は就学援助についてです。生活保護基準の連続引き下げは、憲法違反だとする判決が相次いで出されており、「生活保護基準の1.25倍」としている本市の就学援助基準は実態に合っていません。基準を抜本的に見直すべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

就学援助の認定基準については、原則として、国が決定している基準に準じて、適切に定めております。

6点目は不登校についてです。不登校児童生徒数は年々増加し、2023年度は5177人と史上最高となっています。行き過ぎた管理や競争で、学校は子どもにとって息苦しい場になっており、子どもを学校から遠ざけている要因を取り除くべきと思いますが答弁を求めます。また「不登校特例校」については、想定人数を超える申し込みがあっており、抜本的に増やすとともに、各地に計画的に増設すべきと思いますが答弁を求めます。さらに不登校児童の受け皿であるフリースクールは公的助成がなく、運営の困難や、保護者の経済的負担が生じています。市として助成制度の創設を行い、国にも財政措置を求めるべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

不登校については、その要因や背景などは様々であり、個々の児童生徒のニーズを把握し、それに応じた適切な支援を行ってまいります。

学びの多様化学校については、開校予定の百道松原中学校での学びが適していると判断される生徒全員を受け入れることとしており、今後の増設については、開校後の状況を見ながら、検討してまいります。

フリースクールへの支援については、福岡県が財政的な支援を実施しており、福岡市では、フリースクールに通う児童生徒に動画教材を提供するなど、連携を図っております。

7点目は自閉症・情緒障害特別支援学級についてです。この間一定増設されましたが、未だ小学校で46%、中学校で24%の設置であり、9割近い全国政令市水準から大きく遅れています。全校設置の早急な実現と、多様な発達障害に対応できる指導教室を大幅に増やすべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

自閉症・情緒障がい特別支援学級については、令和7年度も、大幅な46校の新設に努めてまいります。

第二に、保育についてです。

福岡市の重大事故発生件数が10年前は5件に対し近年はその5~6倍と大きく増加しているなか、国は保育士1人が受け持つ子どもの数を変更しましたが、現場からは「まだ不十分」との声が上がっています。配置基準のさらなる見直しを国に求めるとともに、市独自の配置基準を設け、改善すべきと思いますが答弁を求めます。また、保育士は専門職であるにもかかわらず、賃金は全産業平均より月5万円低いと言われており、現場の保育士からも賃上げを求める強い要望が毎年寄せられています。公定価格を抜本的に見直し、直ちに月5万円以上引き上げるよう国に求めるとともに、市独自に手立てをとり大幅に賃金を引き上げるべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

保育士の配置基準については、国基準どおりとしておりますが、独自の支援として、追加配置を行う保育所に対し、雇用経費を助成しております。

保育士の処遇改善については、給与を含む公定価格の大幅な引き上げに加えて独自に、勤続手当の支給や家賃の助成などの支援を行っております。引き続き、保育士の配置基準や処遇の改善について国に求めてまいります。

第三に、放課後児童クラブについてです。

子どもの成長・発達を保障する支援員は専門職であり正規雇用を基本とすべきですが、未だに会計年度任用職員です。早急に改善し、正規職員として大幅に増員し、専門職にふさわしい処遇改善を行うべきと思いますが答弁を求めます。併せて保護者の選択肢を広げる立場から、社会福祉法人が運営する民間学童保育施設へ、恒久的な独自の支援を行うべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

放課後児童クラブの支援員については、今後とも、会計年度任用職員制度に基づき、適切に対応してまいります。また、福岡市では、小学校敷地内に全ての放課後児童クラブを設置し、学校と連携しながら運営していることや、待機児童も生じていないことから、民間学童への助成が必要とまでは考えておりません。

第四に、児童館についてです。

地域に根ざし専門職員が常駐する児童館は、ゼロ歳児から18歳までが自由に利用できる居場所として必要性を増しています。しかし中央区に1つしかなく、多くの市民は利用しづらい状況です。早急に全ての行政区に設置し、幼稚園・学校・公民館の跡地など公有地を活用して計画的に増やすべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

児童館については、市内全域から利用しやすいよう、最も利便性の高い場所に設置するとともに、公民館や各区の体育館において、館外活動を実施しております。

第五に、児童虐待についてです。

本市の相談対応件数は10年連続で過去最多を更新し、教材用タブレット端末での子ども本人からの相談は前年度の6.8倍に急増しており、1か所しかない児童相談所は増やすべきと思いますがご所見を伺います。また児童相談所内の一時保護所の定員を20人に増やしたものの、最大29人、平均19人の保護児童数がおり、環境を整備し、定員を増やすべきと思いますが答弁を求めます。本市では児童福祉士、児童心理士ともに定員を満たしておらず、全員を正規雇用し、採用を増やすとともに専門性を高めるべきと思いますがご所見を伺います。

(答)

児童相談所については、法令に基づき一時保護所を適切に運営するとともに、体制を強化し、相談支援の充実を図ってまいります。


次に地域経済と農業・水産業の振興について質問いたします。

第一に、中小企業・小規模企業者対策についてです。

市が行ったアンケートでは中小企業の売り上げは新型コロナが流行する前と比べて6割しか回復しておらず、さらに物価高騰を価格に「おおむね反映」できた業者は17%に過ぎない状況であり、コロナ・物価高騰の影響はいまだ本市中小企業・小規模企業者に重くのしかかっています。「燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援」事業の拡充など、さらなる直接支援を行うべきと思いますがご所見をお伺いします。

物価高騰と合わさって資金繰りに苦しむ業者が増えています。本市として保証協会や金融機関が制度融資の追加及び措置・返済期間の延長等の条件変更に柔軟に応じるように要請すべきと思いますが答弁を求めます。

(答)

燃料費等の支援については、多くの事業者に共通する経費である燃料費及び光熱費の支援に取り組んでまいります。また、中小企業の資金調達については、金融機関や県信用保証協会に対し、事業者の実情に即した弾力的な運用を行うよう要請し、適切に対応いただいていると認識しております。今後とも、事業者のおかれている状況や国や県の支援策の動向を注視しつつ、市内中小企業の事業継続や雇用を支えてまいります。

インボイス制度は本市の小規模企業者、個人事業主やフリーランスに負担を押し付け、あるいは取引から排除し、淘汰を推しすすめており、ただちに廃止するよう国に求めるべきと思いますが明確な答弁を求めます。

(答)

インボイス制度については、国において、中小企業者などに対する負担軽減措置が講じられており、福岡市においても、国や関係団体と連携を図り、相談対応などに取り組んでまいります。

大企業と中小企業の待遇の格差が広がり、人材不足の一因となっています。そのようななか、近年の最低賃金の引き上げは国が手立てを取らないため中小企業にとって大きな負担となっております。賃上げ支援策を国に求めるとともに賃上げをした中小企業に一時金を支給する制度を本市でも創設すべきと思いますが、お尋ねいたします。

(答)

中小企業の賃上げ支援については、国の助成金等の周知を図るとともに、業務効率化など、生産性向上の取組みを支援してまいります。

福岡県建設労働組合の賃金調査では設計労務単価に比べて、本市の公共工事でも6割程度の賃金しかもらっていないことが明らかになっています。「新担い手三法」の趣旨を踏まえ、適正に賃金が支払われているか調査して改善を図らせるべきと思いますが答弁を求めます。さらに、本市の総合評価方式の評価に労務単価を守らせる項目を採用し、建設労働者に適正な賃金を支払われるようにすべきと思いますがお尋ねします。

さらに、市の公共工事等を受注した企業や下請け業者等に、市が定める賃金以上を支払うことが義務付けられる公契約条例を制定すべきと思いますがご所見をお伺いします。

住環境の改善整備で住民に喜ばれるとともに、波及効果の大きさで地域経済対策としても大きな威力を発揮している用途制限のない住宅リフォーム助成制度を創設すべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

福岡市発注工事の下請賃金については、毎年、下請契約の内容などを確認するとともに、引き続き、関係団体に対して、適正な賃金水準の確保を要請してまいります。また、公契約条例については、国において法制を整備することが適当であると考えております。 住宅リフォーム助成制度については、耐震化やバリアフリー化などの公益目的に資するリフォームに対し、助成を行っております。

第二は、農業・水産業についてです。

急激な円安、物価高騰が農業・漁業従事者に深刻な影響を与えています。肥料、資材、燃油、飼料など高騰分を補てんする市独自の施策を実施すべきと思いますが、答弁を求めます。農業・漁業従事者の確保のために総合的な支援体制を整えるとともにオーガニック給食の実施など有機農業に安心して取り組めるような手立てを積極的にとるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

燃油や飼料などの高騰の影響を受ける生産者への支援については、国の交付金を活用した負担軽減やセーフティネット制度の利用促進に取り組むとともに、地域資源を活用した肥料などの利用拡大を図ってまいります。

オーガニック食材を使用した給食の実施については、大量かつ安定的な食材の調達が難しいことから、今後の研究課題であると考えております。

農業・漁業従事者の確保については、就業前の支援の充実を図るなど多様な人材の確保と育成に努めるとともに、就業時の経営安定化に向けた支援などを行ってまいります。有機農業については、国の交付金を活用した支援に加え、農業者のチャレンジを促す環境整備に取り組んでまいります。

第三は、雇用・労働についてです。 違法・脱法的な働かせ方をなくすために、調査、相談、啓発を網羅した条例をつくるべきと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

労働問題については、今後とも、国や県の専門窓口などと連携をしながら取り組むとともに、法令等の広報・啓発を行ってまいります。


次に、気候危機打開など環境・まちづくりについて質問いたします。

第一は、気候危機打開についてです。

来年度は第4次福岡市環境基本計画の策定年です。気候危機打開に向け本市は政府よりも10年早い「2040年カーボンニュートラル」を掲げています。温室効果ガス排出量削減については2030年までに国が46%削減することを前提に本市は50%削減目標を立てていますが、削減目標は60%に引き上げるべきだと思いますがご所見をお伺いいたします。またエネルギー消費削減目標については、本市の全体目標はなく次期基本計画には明記するべきだと思いますが、答弁を求めます。さらに、省エネに大きく寄与する民間住宅の断熱は、家庭部門におけるCO2排出削減のカギを握るものです。他都市に倣って省エネ基準に適合する住宅を認定し、消費者向けの広報や普及啓発を行い、事業者を育成し、認定住宅建設への助成をおこなうべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

脱炭素社会の実現に向けては、2040年度までのロードマップとなる戦略の策定や、市役所自らの率先した取組みを進めるとともに脱炭素型ライフスタイル、ビジネススタイルへの転換などに市民、事業者と一体となって取り組んでまいります。 住宅の断熱化については、国の支援制度の周知などに取り組んでまいります。

第二は、防災についてです。

本市地域防災計画の全面的な見直しにあたっては、その基礎となる地震による想定避難者数2万5千人は現実的ではなく、抜本的に見直すべきだと思いますが答弁を求めます。

本市の公的備蓄の現状については、水と食料が27万食、携帯トイレが33万回分しかなく余りにも不充分です。段ボールベットに至っては備蓄ゼロであり、民間協定を結んでいるというものの確保個数が不明という全く無責任な計画です。また公的備蓄が月隈に集中しているやり方は、他都市に倣って、早急に分散配備に切り替えるべきです。したがって、防災計画の全面的な見直しは2年後を目途としていますが、これらの公的備蓄の問題点については、緊急に改善するべきだと思いますが、答弁を求めます。

さらにマンホールトイレは25施設76基しかなく、避難所となる小中学校などの新築、改築に合わせて整備を行うという悠長な計画は見直すべきだと思いますが答弁を求めます。あわせて市内民間建築物の耐震化を促進するために、本市として無料の簡易診断を行うとともに、改修補助額を抜本的に引き上げるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

防災については、国や県の計画の修正なども踏まえ、地域防災計画の全面的な見直しを行うとともに、公的備蓄の拡充や分散備蓄を進めてまいります。また、マンホールトイレについては、避難所となる公民館や学校などの新築・改築にあわせて順次整備してまいります。

住宅の耐震改修については、令和6年度から、耐震改修助成の上限額などを引き上げており、県と連携した耐震診断の支援と合わせ、住宅の耐震化を促進してまいります。

埼玉県八潮市での県道陥没事故に不安の声が高まっています。同様の事故が起きないように下水道管の安全点検などの強化が必要だと思いますがご所見をお伺いします。

(答)

下水道管については、安全安心な市民生活や下水道機能を確保するため、適切に点検・調査を実施しながら、引き続き、計画的に改築更新を推進してまいります。

第三は、アスベストについてです。

アスベストアナライザーをすべての解体現場で活用し含有調査を行うとともに、大規模災害時の飛散対応等のためアスベスト使用建築物のハザードマップを公開して、市民に周知し啓発活動を強めるべきだと思いますが、答弁を求めます。また、民間建築物アスベスト除去等の補助制度は、解体も補助対象とするべきだと思いますが答弁を求めます。

(答)

アスベスト対策については、解体工事の立入検査において、アスベスト含有の可能性がある場合にアナライザーを使用しております。アスベスト使用建築物の公表については、個人情報などを含むことから、課題が多いと考えております。補助については、多数の人が継続して利用する建築物を対象に、引き続き実施してまいります。

第四は、マンション建設紛争についてです。

「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」については、住民合意・罰則規定の導入など条例をより実効性のある内容に抜本的に改定するとともに、当事者となる「住民」の範囲拡大、住民から要求があった場合の説明会開催や議事録提出の義務化などを盛り込んだ、条例改正を緊急に行うべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

建築紛争については、条例に基づき、解決に向けた調整に努めてまいります。

第五は、コミュニティ・町内会への支援についてです。

自治会や町内会は任意組織であるにもかかわらず、民生委員の推薦や、避難行動要支援者の個別避難計画の作成など、本来市の責任である事業が事実上町内会に丸投げされています。町内会・自治会を市の下請けにするのではなく、真に住民の自主的な活動を応援するために、町内会・自治会にとって大きな負担となっている行政からの依頼事項を抜本的に削減すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

地域への協力依頼については、負担軽減に向け、引き続き見直しに取り組んでまいります。

第六は、交通対策についてです。

現在検討中の「都市交通基本計画」案では、新型ロープウェーやペイペイドームまでの「動く歩道」などが民間提案され取り入れようとしています。しかしながら、いま求められているのは各地で深刻になっている交通不便地への対策の充実です。コミュニティバスなど住民の要望やニーズにかみあった支援策を民間任せにせず本市の責任で行うべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

公共交通が不便な地域については、オンデマンド交通社会実験の成果などを踏まえ、支援を強化してまいります。

第七は、公有地等の跡地利用についてです。

市有地や公共用地の活用などにおける民間サウンディングは、大企業に好き勝手に意見を出させ、事業者の公募中はその情報を一切公開しないまま結論だけを市民や議会に押しつけるものであり、やめるべきだと思いますが答弁を求めます。また、市有地の民間営利企業への売却、貸付方針はあらため、不足している保育所や特別養護老人ホームなど、市民の生活を守るために活用するべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

市有地の活用については、公共利用を考慮しつつ、市民ニーズや地域の特性などを踏まえ、財源確保の観点に、まちづくりの視点も取り入れながら、総合的に検討を進めてまいります。

第八は、ごみ行政についてです。

人口や事業所が増えればごみが増えても構わないという現在の処理計画は問題であり、2026年度からの第2期実行計画では、ごみ処理量の抜本的な削減を明確にするべきだと思いますが、答弁を求めます。また、本市の家庭用ごみ袋は他都市と比べても高く、値下げするべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。さらに、高齢者や障害者などを対象にした粗大ごみの持ち出しサービスは無料にするべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

ごみ処理量については、実行計画において、ごみ減量施策の効果や人口の推移などを踏まえ、数値目標を設定することとしております。

家庭用ごみ袋の価格については、負担の公平性の確保やごみ減量・リサイクルの行動を起こすきっかけづくりなどの観点を踏まえ、設定しております。粗大ごみ持ち出しサービスについては、持ち出しが困難な方々を対象に、通常の粗大ごみ収集運搬に追加して実施している制度であり、受益者負担の観点から、必要な経費の負担をお願いしております。


次に、ジェンダー平等など平和・民主主義について質問いたします。

第一は、市長の政治姿勢についてです。

企業・団体献金および政治資金パーティーの禁止が国政の大きな課題となっているにも関わらず、髙島市長は当選以来一貫して政治資金パーティで資金を作っており、2023年は3508万円を売上、利益率は76%にも及びます。これは事実上の政治献金であり、財界関係者や市の受注業者が大量に購入している可能性は否定できず、市長はパーティー券の販売先をすべて公開するとともに、今後は一切の政治資金パーティーはやめるべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

市政報告会については、政治資金規正法に基づき、適正な手続きを行い、必要な届け出及び公表は全て行われており、今後とも法に則り、適切に対応してまいります。

第二は、ジェンダー平等についてです。

誰もが性別にかかわらず個人の尊厳を大切にされ、自分らしく生きられるジェンダー平等の前進を求める声と運動は、社会を着実に動かしてきています。福岡市がその運動の先頭に立つべきだと思いますがご所見をお伺いいたします。本市職員のうち低賃金となっている会計年度任用職員の74%が女性であること、全職員の女性の平均賃金は男性の84%と大きく立ち遅れていること、女性の管理職比率は19.1%しかないことはジェンダー平等に逆行しています。したがって、男女の賃金格差を無くすとともに、女性管理職比率は50%をめざすべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。また、本市の学校教育では科学的な包括的性教育を徹底するとともに、すべての学校と市民センターや公民館、駅など公的施設のトイレに無料の生理用品を設置するべきだと思いますが、答弁を求めます。さらに選択的夫婦別姓制度の導入については、世論調査で約6割が賛成となっている上に、国連女性差別撤廃委員会も日本政府に度々是正勧告を出しています。本市として国に対し導入を求めるべきだと思いますが、答弁を求めます。あわせて、同性婚に関しては、札幌、東京、福岡の3高裁判決が法的な婚姻と認めない現行法の違憲を判断したことからも、国に対して法改正の決断を求めるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

男女共同参画については、条例や計画に基づき、あらゆる施策に男女共同参画の視点を反映させ、全庁を挙げて取り組んでまいります。職員の給与の男女の差異については、管理職に占める男性の割合が高いことが影響しているため、計画に基づき、女性管理職の登用を引き続き進めてまいります。

性に関する教育については、学習指導要領に基づき、正しい理解や、適切な行動をとれるよう、学校教育活動全体を通して指導してまいります。

公的施設への生理用品の設置については、国の交付金を活用し、アミカスなどで引き続き配布してまいります。

選択的夫婦別姓及び同性婚については、今後とも、国の動向を注視してまいります。

第三は、市の業務委託のあり方と行財政改革についてです。

本市の給付金事業等における民間営利企業への大規模業務委託はやめ、労働者の適切な賃金や待遇を保障する市の直接雇用に切り替えるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。また本市の行財政計画は、大型開発を聖域にする一方でサービスを切り捨て、市民負担を増やすものであり、抜本的に見直すべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

業務委託については、今後とも行政による適切な管理のもと、専門的なノウハウを持つ民間を活用してまいります。 政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランについては、一体的に推進することにより、投資の選択と集中を図りつつ、歳入の積極的な確保や、行政運営の効率化、既存事業の見直しなど、不断の改善に取り組み、将来にわたり持続可能な市政運営を目指してまいります。

第四は、急速なデジタル化についてです。

本市はデジタル社会に必要なツールだとして国とともにマイナカード普及を推進していますが、情報漏えいなどの重大なトラブルが次々と発覚し、多くの市民が不安を感じています。マイナカード普及推進はやめ、国に事業の見直しを求めるべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

マイナンバーカードについては、デジタル社会の基盤となるものであり、個人情報の保護に万全を尽くしつつ、一層の普及に取り組んでまいります。

第五は、自衛隊への名簿提供についてです。

市長は5年間で15万人近い若者の名簿を、本人の同意も無く、自衛隊に提供し続けています。自衛隊は「敵基地攻撃」能力保有を明記した「安全保障3文書」のもとで、米軍の指揮下で米国が起こす無法な戦争に参戦させられる可能性があり、海外で「殺し殺される関係」に投げ込まれる危険があります。本市の青年をそのような場に送り出すことは認められず、自衛隊への対象名簿の提供をやめるべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

自衛隊への募集対象者情報の提供については、情報の提供を望まない市民を除外する取扱いなどの周知を図るとともに、自衛隊と協定を締結するなど、個人情報の管理の徹底を図ってまいります。

第六は、名義後援についてです。

市長は、「平和のための戦争展」の名義後援を「行政の中立性を損なう」と言って拒否し続けていますが、そもそも市民の自発的な取り組み自体を応援するのが名義後援であり、その中身を行政がチェックすることは、思想信条の自由に違反する重大な越権行為です。このような取り扱いのもとになっている本市の「名義後援の承諾に関する取り扱い要領」を抜本的に見直すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

名義後援については、特定の主義主張に立脚する事業を後援することで、福岡市がその主張を支持しているとの誤解を与えることがないよう、取扱要領に基づき、適切に対応してまいります。

第七は、平和の課題についてです。

昨年11月に福岡空港に飛来したオスプレイは墜落事故を繰り返している欠陥機であり、市民の命と安全を脅かすものです。今回、先制攻撃を専門としている軍用機であるオスプレイが突然飛来したことは、福岡空港が米軍の軍事戦略に位置付けられていることのあらわれであり、本市を戦争に巻き込むこのような動きは許されません。オスプレイ飛来について米軍と国に抗議し、日本国内での飛行中止と撤去を国に働きかけるべきだと思いますが、答弁を求めます。あわせて、米軍板付基地の即時全面返還を強く求め、福岡空港の軍事利用は中止するよう国と米国に対して強く要求するべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

オスプレイの飛来を含め、国の安全保障に関することについては、国の責任において適切に対応されるべきものであり、今後とも国民の生命と安全を守るために、その役割を果たされるものと認識しております。

板付基地の返還については、板付基地返還促進協議会を通して、引き続き国や在日米軍司令部に要望してまいります。福岡空港については、民間空港として 広く利用されていることを踏まえ、今後とも、 市民生活の安全を確保するという立場で対応してまいります。

日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことに象徴されるように、今や核兵器廃絶は世界の流れとなっています。本市として被爆者の悲願である「非核平和都市宣言」をただちにおこなうとともに、核兵器禁止条約の批准を市長が直接国に働きかけるべきと思いますが、答弁を求めます。また、広島、長崎に次いで被爆者が多く、日本最大の引揚げ港を持ち、犠牲者1000人を超える大空襲を受けている本市として常設の平和資料館を建設すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

非核自治体宣言については、これまで、福岡市議会において平和都市宣言が決議されているほか、福岡市として、「アジア太平洋都市宣言」において、国際交流活動を通して平和友好の推進に力を注ぐという姿勢を宣言するとともに、基本構想においても、日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくと謳っております。今後とも、これらの宣言などの趣旨を市政に活かしてまいります。

核兵器禁止条約については、平和首長会議国内加盟都市会議として、政府に対し要請を行っており、核兵器のない世界の実現に向けて取り組むとする国の動向を注視してまいります。

平和資料館の設置については、戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に正しく伝えていくため、博物館や「ふくふくプラザ」において戦時関係資料の展示を行っており、今後とも、その充実に努めてまいります。

平時の自衛隊訓練拠点とされる博多港の「特定利用港湾」の選定によって、米軍が軍事利用する可能性もあり、有事の際に報復攻撃に巻き込まれ、市民の生命・財産が危険にさらされる恐れがあります。選定撤回を国に強く求めるべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

特定利用港湾については、自衛隊や海上保安庁の利用調整に関する枠組みであり、博多港の利用については、市民生活の安全を確保するという立場で、関係法令などに基づき、適切に対応してまいります。

憲法9条の改定は、米国が海外で行う無法な戦争への全面参加を意味するものであり、莫大な軍事費をつぎ込む大軍拡に突き進み、暮らしも平和も壊す道です。市長は、憲法9条の改悪に反対すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

憲法のあり方については、国民的な議論のもとで検討されるべきものと認識しております。


以上、市長および教育長等の誠意ある、かつ明確な答弁を求め、長時間のご静聴に感謝し、日本共産党市議団の代表質疑を終わります。


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