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議会報告「発言と答弁」全文
2025年予算議会
綿貫康代市議の補足質疑 発言と答弁全文
音声をもとに党市議団が文字起こしし、順番などをわかりやすく組み替えたものです
綿貫市議私は日本共産党市議団を代表して、わが党の倉元達朗議員の代表質疑のうち、学校給食無償化、体育館の空調整備、不登校問題について補足して質疑を行います。
学校給食無償化
4月から無償化を(1問目、2問目)
綿貫市議まず初めに学校給食無償化についてです。学校給食無償化は、市民の皆さんが請願運動に取り組まれ、先の市議選では、わが党の候補者全員がトップ公約に掲げ、毎年議会でも取り上げてまいりました。昨年の12月議会での市長の前向きな答弁には、わが党も歓迎の意を表したところです。しかし、保護者負担の軽減を図るためとしながら、システム改修を理由に2学期へ実施を先延ばしするという答弁でした。具体的に質してまいります。市長は施政方針演説で、学校給食無償化の実施理由を「保護者負担の軽減を図るため」と言われました。そこでまず、今、物価高騰で子育て世帯がどれだけ大変な思いをしているのかみていきます。厚生労働省の2023年国民生活基礎調査によると、児童のいる世帯の65%が「苦しい」と答えています。2年前でもこれだけの方が苦しいと感じていたわけですから、この間の物価上昇の痛みは計り知れません。またNHKの報道では、今年1月の消費者物価指数「米類」の上昇率は、なんと70%超えと歴史的な高騰になっています。さらに野菜、果物、お菓子など軒並み値上がりしており、消費者物価指数で「頻繁に購入する品目」の上昇率は6.2%となっています。こういった物価高騰の中、成長期の子どもの食を満たすのは本当に厳しい状況です。私が聞いた子どもが4人いるご家庭では、果物は以前から高級品で買い物から除外しているが、今、米が買えず、何を食べさせたらいいのかと途方に暮れていると話されていました。お尋ねしますが、このような実態から、子育て世帯の経済的負担を軽減することは、まさに喫緊の課題ではないかと思いますが、ご所見を伺います。
教育長給食無償化についてのご質問にお答えいたします。まず、昨今の物価高騰については、広く市民生活に影響を及ぼしており、可処分所得の増加など子育て世帯への支援の拡大は喫緊の課題と認識しております。
綿貫市議教育長は、子育て世帯の物価高騰による生活の厳しさは否定されませんでした。それであるならば、システム改修を理由に給食無償化を先延ばしすることは許されません。子育て世帯は、この物価高騰で食費や教育費の負担の重さにあえいでいます。システム改修を理由に無償化を先延ばしするのは、そのような子育て世帯を更なる我慢を強いることになります。私は福岡市よりも人口の多い大阪市の教育委員会に話を伺い、調査も行いました。やはり本市と同じように給食費の徴収やその他の管理をシステム化しています。そのような中で、コロナ禍の2020年から2022年の3年間、全ての児童生徒の給食無償化を行った後、2023年からも継続して無償化を実施しています。その大阪市ではですね、システム改修を行わずに、毎年暫定対応を行っているということでした。本気で無償化に踏み出すつもりならば、システムの改修にこだわる道理はありません。市長は、給食費無償化を2学期からしかやらないとしていますけれども、給食費は月に小学生で4200円、中学生で5000円ですので、1学期の給食費は、小学生で1万6800円、中学生では2万円もの負担となります。したがって、あらゆる手段を使って新年度から学校給食は無償として子育て世帯を支援すべきと思いますが、答弁を求めます。
教育長学校給食費の無償化への対応につきましては、福岡市では大阪市と異なっておりまして、給食費の徴収に関する各種システムの改修が必要でありますことから、無償化に直結するプログラムを先行して改修するなど、段階的に改修を進めることにより、2学期からの無償化を実現することとしております。
国の無償化のうごきも踏まえ、給食の質の確保を(1問目、2問目)
綿貫市議2つ目に給食の質や量についてです。保護者からは、給食無償化を歓迎する一方、質が低下したり、量が減ったりするのではないかという不安の声が上がっています。ニュースサイトのFNNプライムオンラインでは、学校給食無償化に歓迎の声とともに、「量が足りない」という子どもたちの声や保護者の声を紹介しています。そこで本市の給食単価を見ていきます。本市の給食1食の単価は、小学生で243円15銭、中学生で289円47銭となっており、この間、物価高騰が進んでいますが、2015年から変わらない金額となっています。本市は2022年度から物価高騰分の予算をつけており、今年度予算も物価高騰分12億1444万円が上乗せをされています。しかし物価高騰の中、この金額が十分なものなのかが問われています。そこでお尋ねしますが、この上乗せによって給食の質と量は保たれているのか、ご所見を伺います。
3つ目は、国の無償化の動きについてです。給食無償化については、教育長は従来「国がやるべきもの」と答弁をされていましたが、まさに今国会で給食無償化の議論が行われています。そこで、給食国の給食無償化の議論について、どのようにご覧になっているのか、ご所見を伺います。
教育長学校給食の質と量については、食材料費の物価高騰分を公費で負担することにより、物価高騰下においても保護者の負担を増やすことなく、児童生徒の必要なエネルギー量や栄養素量を満たした給食を提供いたしております。
次に、給食無償化に関する国の動きについては、自由民主党・公明党・日本維新の会の3党で、まずは小学校を念頭に地方の実情等を踏まえ、令和8年度に実現する等の内容が合意されたものと承知しておりますが、一方で検討が必要な論点も示されておりますことから引き続き国の動向を注視してまいります。
綿貫市議教育長は計算の根拠は述べられておりませんが12億円の予算の根拠というのは、2021年度を100としたときの消費者物価指数で計算して、2025年度の比較では1.2倍だということで、この12億円が追加されているんですけれども、しかしながら給食の単価というのは、2015年から据え置きをされていて、物価はその間も上昇しています。2015年度と2025年度の予測値で比較すると1.26倍となります。市が補填している物価高騰対策の12億円では1食の単価が小学生では16円86銭、中学生では17円32銭不足しているという計算になります。これを小中学生の人数と年間190回の給食の回数でかけますと、小学生で2億6千万、中学生で1億2千万円が足りないこととなり、この額を上乗せしなければ量や質の低下が免れないということになります。したがって、給食の量と質の確保をするためには、真に物価高騰に見合う上乗せを行うべきと思いますが、ご所見を伺います。
また教育長は国の無償化の動向は注視していくと言われました。それによって得られる財源をどう活用するかが問われています。本来食材費の不足は行政として行うべきところですが、これを十分やってこなかったために、食材の質の低下や、分量を減らして対応してきた実態があります。子どもや保護者からは、材料の豚肉が鶏肉になったり、「量が少なくて元気が出ない」など、空腹が満たされていないこと、また大好きなデザートメニューの回数が減ったりしていると、そんな声が聞かれています。一刻も早く改善すべき事態です。さらに今、学校給食に求められているのは、農薬や化学物質の使用が少なく、安心安全であるオーガニック食材の活用です。政府も2050年までに有機農業の耕作地を25%にするとして取り組んでおり、全国で100を大きく超える自治体がこの取り組みに参加をしています。その自治体の9割が有機食材を学校給食に活用しています。大阪府泉大津市と北海道旭川市は共同でこの取り組みを行っていて、旭川市で栽培された有機米が泉大津市の小・中学校の給食に提供されています。このような取り組みにこそ学んで、再来年度見込まれる国の給食無償化に伴って浮く財源も活用して、給食の質や量の向上を行うべきです。したがって本市は今回の給食無償化と併せて質も高めるべきだと思いますが、ご所見を伺います。
教育長学校給食の質と量につきましては、令和3年度までは一部の食材費に上昇傾向が見られたため、価格が特に高い食材については代替の食材に切り替えるなど、献立内容や物資調達の工夫を行ってきたところでございます。令和4年度以降はさらに給食食材の物価高騰分を公費負担し、児童生徒に必要なエネルギー量や栄養素量を満たすとともに、博多和牛など地元食材の活用や郷土食・行事食の提供などにも取り組んでおりまして、物価高騰下にあっても、献立の工夫も行いながら引き続き安全安心で美味しい給食を提供してまいります。
また今後の国の無償化実施の有無に関わらず、学校給食の質と量につきましてはしっかりと確保してまいりたいと考えております。
3問目(教育長答弁)
綿貫市議教育長は子育て世帯の窮状を認めつつもですね、結構結局いろいろと言い訳をされてですね、4月からの給食無償化を行わない姿勢に固執をされました。未曾有の物価高騰の中、本当に冷たい態度です。そもそも義務教育は無償であり、給食は食育という教育の一環です。ですから、元々給食無償化は、もっと前にも必要であったと思います。この急激な物価高騰でまさに喫緊の課題になっています。また物価高騰で食材が軒並み値上がりする中、給食の質や量が低下して子どもたちに負担を押しつけている。これ認められましたよね、一部代替に切り替えていると。結局食材の質を落としてやってこられたということなんです。子どもそういった物価高騰に見合った適正な上乗せで量の確保を行って、そして質の確保についても、今全国に広がりつつある有機食材の活用などで、子どもたちに安全な食材を確保すべきです。教育長はここ数年、市民から寄せられた給食無償化を求める請願署名に対しても、あれこれ理由をつけて頑なに拒否をされてきました。厳しく反省し、直ちに実施する責任があります。したがって給食の質と量の適正な確保を行い、給食無償化の4月からの実施については、システム改修を言い訳に先延ばしせず、あらゆる手段を尽くして行うべきだと思いますが、教育長の答弁を求めます。
教育長給食費を管理するシステムについては、児童生徒および教職員等合わせて約13万人の給食費をそれぞれの状況に応じて個人単位で管理いたしております。システム改修を行わない場合、無償化する児童生徒と引き続き給食費を徴収する教職員等々の区分けや、これまで給食費滞納に関する事務を全て手作業で行う必要が生じるためシステム改修による事務の効率化は不可欠であると考えております。本来は改修に1年程度の期間を要するところを、改修を段階的に実施することにより2学期から無償化を開始できるようにいたしております。なお学校給食の量と質については引き続き、児童生徒に必要なエネルギー量や栄養素量を満たす安全安心で美味しい給食を提供してまいります。
学校体育館エアコン
断熱化と整備手法について(1問目、2問目)
綿貫市議質問の第2は体育館空調整備事業についてです。この問題でもわが党は、市民の皆さんとともに、学校教室や特別教室へのエアコン設置を毎年求めて、議会でも論戦を行い、実現への道を切り開いてきました。体育館についても、子どもたちの教育活動を保障することと、災害時の避難所でもあることから、気候危機でのCO2削減の観点を踏まえ、断熱を施しエアコン設置をと再三求めてまいりました。わが党の代表質疑に対し、教育長は断熱を施さずエアコンを設置することで、スピード感を持って実施でき、効果もあるとの答弁でした。しかしこれまで教育長は、断熱がないため、空調整備の効果がないということを理由に設置を拒否されてきました。そこでお尋ねですが、これまでの答弁と今回の手法には矛盾があると思いますが、ご所見を伺います。
2点目は、整備手法についてです。今回の空調整備はリースで行うとのことです。10年間の維持補修費含め、債務負担行為上限額として136億9724万円となっています。一方、文科省は学校体育館等への空調整備の加速化について、2024年度に新たな臨時特例交付金を創設しています。空調整備については、断熱があり、リースでないことを条件に、2分の1の補助が受けられるようになっています。お尋ねですが、今回の整備手法は、国の補助制度を利用せず、市が全て負担する手法なのか、ご所見を伺います。
教育長体育館の空調整備についてのご質問にお答えいたします。空調整備の方針につきましては、これまで学校体育館が大空間であること、また、空調を想定した断熱構造になっていないことから、早期に整備するには様々な課題がある旨申し上げておりました。今年度に入り、他都市の事例を調査する中で、断熱化を実施せずとも、人々が活動するフロア付近だけを効率よく冷やすことができ、短期間で整備が可能な空調方式の実績を確認できたこともあり、国の補助金は活用せず速やかに整備に着手することとしたものでございます。
綿貫市議これまでに断熱がないので空調効果がないという理由で空調整備してこなかったことについては矛盾がないかのように言われましたけれども、しかし教育長の答弁は明らかに矛盾をしています。結局これまでの答弁は、空調整備をやらないための言い訳だったということになります。断熱を施しているかいないかで、効果に差があることは明らかです。2019年から2020年にかけて、断熱を施していない学校体育館と断熱改修を施した体育館の効果の差を調査をした東京都市大学の岩下剛教授の報告があります。これによると、断熱のない体育館は断熱のある体育館に比べ、室温の低下が少ないということを結論付けています。さらに文科省は、「空調整備の効率的な整備の工夫について」として、体育館の断熱・遮熱対策について断熱性確保による電気代削減効果案の試案も示して、年数が進むほどに電気代の削減になるとして、断熱施すことを推奨しています。さらに教室等の環境に係る学校環境衛生基準では、健康を保護する上で、室内の温度を17度以上28度以下であることが望ましいとされています。お尋ねしますが、断熱を施した体育館とそうでない体育館では、空調の効果と電気代の経費に差が生じるのではないかと思いますがご所見を伺います。あわせて、今回の整備手法で、学校環境衛生基準で示されている温度を保つことができるのか、答弁を求めます。
空調整備の手法について、全て本市の負担で行うということですけれども、では現存する国の補助制度を活用した場合、どうなるか見ていきたいと思います。先ほど述べたように、リースで一括発注で行う今回の整備手法は今年度3914万4000円、さらに2026年度から2037年度までの10年間で136億9724万円の財政負担が生じます。一方国の補助金を使った場合ですが、昨年の予算議会でわが党の堀内議員の補足質疑に対し、教育長が「1体育館あたり、空調設置と断熱化改修を合わせて6600万円」だと答弁されています。ですから、227の小・中学校に6600万円の設置工事を行ったとしても、本市の負担は約75億円でできることとなります。そこでお尋ねしますが、今回の整備の財政負担について、国の補助金を活用するやり方との比較検討は行われたのか、答弁を求めます。
教育長今回想定しております空調整備の方式の効果等につきましては、断熱化がなされていない体育館においても所定の効果があり、学校環境衛生基準を満たす能力があることを他都市の事例で確認いたしております。また、電気代につきましては、文科省が一定の条件で行った試算によりますと、断熱性ありの状態で1体育館当たり年間145万円とされておりますが、他都市の事例においては、人が活動するフロア付近だけを効率よく冷やすことと消費電力が少ないことから当該試算よりも低減できております。
次に効果国の交付金の活用につきましては、断熱化を行うことが要件となっているため、交付金を活用したとしても、本市の負担はより多額となります。また、断熱化の工事を行う場合、1校あたりの整備に長期間を要し、受注できる事業者数も限られることから、短期間で全学校を整備できる手法を採用することが適切と考えております。
災害時の電源確保(1問目、2問目)
綿貫市議3点目は、災害時の避難所の電源についてです。能登半島地震をはじめ、これまでの災害の経験で想定されるのは、避難所の停電です。避難所である体育館は停電が発生しても、生活に必要な電力供給を継続する対策が求められます。したがって、災害時に体育館のエアコンを稼働させるために不可欠な停電対策や電力の確保はどのようにされるのか。答弁を求めます。
市民局長体育館の空調整備についてのご質問にお答えをいたします。避難所における停電対策については、九州電力との災害時応援協定により優先的に電力の復旧依頼を行える体制とするとともに、複数の建設資機材のリース業者との協定に基づき、非常用電源を確保することとしております。以上です。
綿貫市議災害時の電源については今後検討されていくとのお話でした。よくあなた方は、いざというときは民間が持ってきてくれると言われますけれども、同じように民間と協定を結んでいたのに、道路の寸断などで長期にわたり必要な物資が届かなかったのが、昨年の能登半島での地震災害でした。避難所である体育館に停電に備えた非常電源を確保しないというのは無責任です。せっかく空調整備しても使えなければ意味がありません。そこでお尋ねしますが、避難所となる体育館だから、空調整備すると言いながら、災害時の停電の備えがないのは、不十分ではないかと思いますが、答弁を求めます。
市民局長避難所における停電対策については、九州電力への優先復旧の依頼の他、災害時応援協定による非常用電源の確保に向け、あらかじめ必要となる電源容量を把握し、協定先となる各リース業者の保有状況を確認するなど、関係者と連携をしながら、より確かな備えとなるよう取り組んでまいります。以上です。
3問目(教育長答弁)
綿貫市議体育館空調整備事業について、教育長は他都市で効果が認められると言われましたけれども、私が伺った学校環境衛生基準に適合するのかとその質は守られるのかという問いには答弁をできませんでした。また断熱はなくても空調の効果はあると答弁されましたけれども、断熱がないことを理由にエアコン設置を拒否してきた今までの答弁がいかにいい加減なものだったのか自ら白状されました。しかし結果的には高くつく疑念が拭えません。本市では過去に、共産党市議団が求め続けた教室へのエアコン設置について頑なに拒否をし、その場しのぎで扇風機を設置したことがありましたが、全く無駄なものになりました。今回の断熱なしの空調方式では効果が薄く、費用もかさみ、扇風機の二の舞になりかねません。結局教育長は「断熱が必要」「多額の費用がかかる」としてこれまで拒否してきたものを、「断熱はいらない」「136億円かかっても構わない」と、これまでの答弁を180度転換されました。教育長がこんな無責任なことでいいのか、厳しく問われますよ。エアコンのリース業界からの特段の働きかけでもあったのではないかと疑念を生じさせることにもなります。災害時に安心して利用できる担保もない。これは真に市民が望む学校体育館の空調設置整備とは別のものです。したがって税金を使って整備する学校体育館の空調については、教育長も市長も度々答弁してこられたように、断熱を施した上で真に効果のあるものにするべきだと思いますが、教育長の答弁を求めます。
教育長断熱化を伴う整備につきましては、設計施工で1校当たり2年程度を要すること、また現況から見て、全校整備には15年以上を要することから早期整備は実務上困難と考えております。そのため、断熱化を実施せずとも人が活動するフロア付近だけを効率よく冷やすことができ、短期間で整備が可能な空調方式を採用して速やかに整備に着手することとしたものでございます。
不登校問題
フリースクール支援など不登校児童支援(1問目、2問目)
綿貫市議質問の第3は不登校児童生徒についてです。2023年度不登校児童生徒数は5177人と過去最高となっています。行き過ぎた管理や競争で学校が息苦しい場となっており、子どもたちを学校から遠ざけているこのような要因をなくすべきとのわが党の質問に、教育長は努力をされているかのような答弁をされました。しかし、本市の不登校児童生徒数は増加の一途をたどっています。そこで1つ目に、本市の不登校対策についてただしてまいります。新年度予算では、教育委員会は、不登校生徒等を対象に特別な教育課程を編成して、4月から教育を実施する。「百道松原中学校」を開校しますが、当初の想定数が40人から60人でしたが、現在97人を受け入れる予定だと伺っています。また、教室に入りづらい児童の学校生活中の見守りを行う教育支援員を、現在小学校の28校から40校に拡充するとしています。お尋ねしますが、不登校児童生徒数が5177人もいる中、これらの支援だけでは不十分だと思いますが、ご所見を伺います。
教育長不登校問題についてのご質問にお答えいたします。まず、不登校児童生徒への支援につきましては、全ての市立中学校に校内支援教室を設置し、専任の教育相談コーディネーターが支援に当たるとともに、各区に1ヶ所教育支援センターを設置して支援にあたっております。また、全ての市立学校にスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを配置するとともに小学校28校には教育支援員を配置しております。さらに、不登校児童生徒が自分のペースで学習できる動画教材の無償提供や引きこもりがちな児童生徒に対する大学生相談員の派遣、ICTを活用したオンラインルームの開設など児童生徒の状態に応じて様々な支援に取り組んでおり、令和7年度には、学びの多様化学校を開校するなど、今後も支援の充実を図ってまいります。
綿貫市議不登校児童の児童数の規模から支援が不十分ではないかという質問に、教育長はいろいろとやっているように答弁をされました。しかし、いまだその数は増え続けています。百道松原中学校は既に想定の倍の人数を受け入れざるを得ない状況で、新年度拡充するという教育支援についても雇用契約によらない有償ボランティアという低い処遇で配置するもの配置するもので、とても現状に見合った対応とは到底言えません。そのような中、不登校児童生徒の受け皿になっているのがフリースクールです。本市では、校長の許可のもとになりますけれども、フリースクールへの出席が学校出席となります。フリースクールは学校に通えない子どもたちに、その子に応じた場所を作っている極めて重要な教育インフラとなっています。しかし、フリースクールに通うためには高い学費を払う必要があり、月5万円で年間60万円という負担をされているご家庭もあります。また運営側にも経営に苦しんでいるという現状があります。そこでお尋ねいたしますが、公的に不十分な不登校児童生徒の受け皿になっているフリースクールへの支援は、新年度予算で計上されているのか、ご所見を伺います。
教育長不登校問題についてのご質問にお答えいたします。まず、フリースクールの支援とその予算措置につきましては、福岡県が財政的な支援を実施しておりまして、福岡市ではフリースクールに通う児童生徒に動画教材を提供するなど連携を図ってございます。また、現在保護者に対してフリースクールの授業料を助成している政令市はなく、福岡市では、令和6年度に教育支援センターの設置を全国に拡大し、令和7年度には、学びの多様化学校を開校すると、不登校児童生徒の学びの場の確保に取り組んでおります。また不登校の要因につきまして改めて申しますと、文部科学省の分析によりますと、保護者の学校に対する意識の変化やコロナ禍の影響による登校意欲の低下、特別な配慮を必要とする児童生徒に対する早期からの適切な指導や必要な支援に課題があったこと等が背景にあるとされておりまして福岡市においても同様であると考えております。
不登校の要因(1問目、2問目)
綿貫市議2つ目に不登校の要因についてです。教育を数値で評価し競わせる競争主義は、国連・子どもの権利委員会から「極度に競争的な教育制度が子どもに発達の障害をもたらしている」と、日本政府に対し、繰り返し勧告が行われてきました。全国知事会も「都道府県で順位をつけても意味がない」と疑問を呈している全国学力テストに、本市は国に対してやめるようにとの意見もせず、参加し続けています。また、不条理な校則など行き過ぎた管理教育もまだまだ見受けられます。お尋ねしますが、本市でもこれだけ多くの不登校児童を生み出している背景には、このような行き過ぎた管理や競争の教育があると思いますが、ご所見を伺います。以上で1問目終わり2問目以降は自席にて行います。
教育長学校教育の内容について、行き過ぎた管理や教育の競争が不登校児童生徒を生み出しているというご指摘でございましたが、「令和の日本型学校教育」において、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実を通して、主体的対話的な学びの実現の必要性が示されております。福岡市においても、子どもを主体とした学びを通して、自らの問いや目標を持ち、自ら考え判断し行動できる資質や能力の育成に努めてまいります。以上でございます。
綿貫市議不登校児童生徒数が増えている要因について尋ねたところ、教育長はごまかされておりますけれども、不登校児童生徒の深刻な状況に向き合ってほしいと思います。教育を競争と管理で歪めたままでは、子どもの不登校は増えるばかりです。本市はその反省もなく策定中の「第3次教育振興基本計画案」の中で「目指す人間像(こんな人になってほしい)」として「自分の可能性を信じ、様々な変化や困難に主体的に向き合い、他者と力を合わせ、豊かな人生やよりよい社会を切り開く人」として身につけてほしい力を示し、そのもとに基本方針として政策を策定しています。これは教育行政の側からこのような人になりなさいと理想を押し付けるものです。チャレンジしたくてもできずに苦しんでいたり、傷ついている人もいます。こういった本市の姿勢が子どもたちにストレスを与えて不登校児童生徒の増加につながっているんです。本市の教育行政も、子どもや教員の側に理想を押し付けるのではなく、子どもの「人格形成」を第一に考える教育こそ実践すべきです。したがって、第3次教育振興基本計画案の「目指す人間像」という一方的な主観の押し付けでは、不登校児童生徒問題は解決するどころか、ますます子どもたちを追い込み、不登校対策に逆行するのではありませんか。ご所見を伺います。
以上で2問目を終わります。
教育長第3次教育振興基本計画で示す「目指す人間像」につきましては教育基本法や学校指導学習指導要領の趣旨を踏まえ、さらに福岡市の基本計画との整合性に鑑み、変化が激しく、複雑で将来の予測が困難な時代において、福岡市の子どもたちが未知の環境や変化を前向きに受け止め、豊かで幸福な人生を送り持続可能な社会の作り手となることができるよう示したものでございまして、行政の主観を一方的に押し付けるものではございません。以上でございます。
3問目(教育長答弁)
綿貫市議教育長はフリースクールへの予算計上は県がやっていると、市はないと答弁をされました。また第3次教育振興基本計画案は適正だとも答弁をされました。しかし今質してきましたように、そもそも不登校の要因を作ってきたのは、行き過ぎた競争と管理教育だということは、国連からも勧告され、研究者や教育の現場からもその弊害が指摘され続けてきていることでも、明らかです。何より全国的な不登校児童生徒の増加が、子どものSOSであることを物語っているのではないでしょうか。この不登校の要因を作ってきた教育行政が子どもたちの教育権を奪っていると私は思います。教育を保障するというのは、第3次教育振興基本計画案で掲げる理想を押し付けるものではなく、子どもたちの発達する権利、教育を受ける権利を保障していく義務を遂行することです。したがって、不登校児童生徒の受け皿となっているフリースクールの運営並びに保護者負担の軽減のために補助を行うべきと思いますが、教育長の答弁を求めます。また、子どもたちを学校から遠ざけている要因である競争教育や管理主義を改め、子どもの権利条約や日本国憲法に則した子どもの人権を守る学校教育への転換こそが図られるべきだと思いますが、最後に教育長の答弁を求め、私の質問を終わります。
教育長フリースクールへの支援と予算措置につきましては先ほどの答弁と繰り返しますが、福岡県が財政的な支援を実施しておりまして福岡市ではフリースクールに通う児童生徒に動画教材を提供するなど連携を図ってございます。次に学校教育を展開すべきとのお質しにつきましても先ほどの繰り返しになりますが、中教審で示されました「令和の日本型教育」において全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実を通して、主体的対話的な学びの実現の必要性が示されてございます。福岡市においても子どもを主体とした学びを通して、自ら問いや目標を持ち、自ら考え判断し行動できる資質や能力の育成に努めてまいります。以上でございます。