2021年6月議会
6月議会を終えて
2021年6月23日 日本共産党福岡市議団
6月議会は新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の真っ最中に開会され、感染拡大防止・市民生活防衛とともに、感染拡大を招きかねない菅政権による東京オリンピック・パラリンピック強行の姿勢にどう立ち向かうかが鋭く問われました。
オリンピックや合宿の中止を市長に迫る
わが党は一般質問で、福岡市が選手団の合宿受入を進めている問題を取り上げました。市の感染防止策が破綻しており、感染が広がった場合には医療・保健機能に大きな負荷がかかることを批判し、受入中止を求めました。さらに、五輪そのものについても中止決断を国に求めるよう市長に迫りました。
これに対して市長は合宿について「先方から中止の意向がない限り受け入れる」という驚くべき答弁を行いました。これでは、どんなに医療が崩壊しても、先方からの意向がない限り受け入れることになります。また、五輪中止についても「言及する立場にない」などと無責任な態度を示しました。福岡市民の命と健康に責任を持たず、「命より五輪」という菅政権追従をする市長の姿勢は許されません。
また、わが党は市民クラブ、緑・ネットと共同して五輪中止を求める意見書案を提案しましたが、自民党・公明党・令和会などの反対で否決されました。
接種の改善検討の重要答弁引き出す――コロナ対策の改善を提案
わが党は、コロナワクチン接種の推進について具体的提案を行い、その中で保健福祉局長から「訪問診療を行なっている主治医に接種してもらうなど、接種機会を確保する方策を検討する」という重要な答弁を引き出しました。
コロナ禍での生活保護行政についても、全国に比べ3分の1しか保護の利用が伸びていない事態を検証し、テレビ・ラジオでの制度の周知や必要な人のもとに積極的に出かけて利用を呼びかけるアウトリーチを徹底するよう提案しました。
また、市長はコロナ禍での市民への追加支援策を提案しました。
プレミアム付電子商品券事業について、議案質疑でわが党は、これだけでは広範な中小業者を救済できないと指摘し、事業の改善とともに、持続化給付金の再支給や消費税減税の国への要請、幅広く使える福岡市独自の持続化給付金の創設を求めました。
生活困窮者自立支援金も提案されましたが、生活福祉資金の特例貸付を限度額まで借りた世帯などに限定した上で、さらに収入や資産の厳格な要件まで設けられています。目いっぱい借金した上に、幾重にもハードルを超えないと受給できない制度では、多くの困窮者が排除されてしまうとわが党は批判しました。要件を緩和した制度を市独自に創設するよう求めるとともに、生理用品の公共施設への常備や学生特別支援金の再給付などの支援策の追加を市長に提案しました。
わが党はこのように市長提案の改善を要求しつつも、コロナのもとで支援策を一刻も早く届ける立場から、市長提案自体には賛成しました。
性犯罪の刑法見直しを求める意見書が全会一致で採択
性暴力被害者などから強制性交等罪の「暴行・脅迫要件」撤廃の声が広がる中で、その問題を指摘して性犯罪に関する刑法見直しを求めた、わが党立案の意見書が全会一致で採択されました。ジェンダー平等推進の点で、重要な成果です。同じく、わが党が立案したヤングケアラー支援充実を求める意見書も全会一致で採択されました。
学校教育のデジタル化を推進する意見書については、財界の利潤追求優先や教員の自主性を無視した拙速な導入が前提とされていたため、立案した公明党に修正を提案しましたが、同党が拒んだため、わが党は反対しました。
土地利用規制法の廃止を求める意見書案も、わが党は市民クラブ、緑・ネットと共同で提案しましたが、自民党・公明党・令和会などの反対で否決されました。
デジタル化、名義後援、パワハラ――市政の問題点を厳しく追及
このほか、わが党は市政の問題点を厳しく追及する議案質疑・一般質問を行いました。
行政手続きのデジタル化を推進する条例案については、デジタル化一般は反対しないものの、窓口・相談業務の削減・廃止、デジタルを扱えず紙の手続きしかできない市民にとって利便性の後退が起きる危険性を指摘し、修正を求めましたが、市長が拒んだため反対しました。
髙島市政は「平和のための戦争展」などに続き、メーデーについても「特定の主義主張に立脚している」として、例年行ってきた名義後援を不承諾としました。不承諾を撤回し、根拠になっている要領を改定するようわが党は市長に迫りました。この問題と質問はメディアでも全国版で報道され、注目を集めました。
市消防局や市役所全体のパワハラ対策について、職員から告発があったケースを取り上げて検証し、対策として実効性の乏しい現在の市の指針の改定、ハラスメント禁止条例の制定などを求めました。この質問も新聞で報道され、注目されました。
正副議長職の「たらい回し」を厳しく批判
今議会において、自民党と公明党の議員が地方自治法で4年と定められている正副議長職を、途中で辞しました。事実上、同じ会派の別の議員に同職を「たらい回し」したもので許されません。わが党は厳しく批判し、反対しました。(別途、抗議声明を出しました)。
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わが党は、引き続き市民と野党の共闘をすすめ、コロナ禍のもとでの切実な市民要求の実現に全力をあげます。
コロナ禍での中小業者や生活困窮者の支援を求める(2021年6月15日 松尾りつ子市議の議案質疑)
デジタル化行政推進条例案の問題点をただす(2021年6月15日 倉元達朗市議の議案質疑)
メーデーの名義後援不承諾、ワクチン接種の問題点を追及(2021年6月16日 中山郁美市議の一般質問)
コロナ禍での生活保護行政、消防局・福岡市のパワハラ対策、五輪合宿問題について質問(2021年6月17日 堀内徹夫市議の一般質問)
「学校教育におけるデジタルトランスフォーメーションの適切な推進を求める意見書(案)」への反対討論(2021年6月23日 山口湧人市議)