2005年7月14日
福岡市長 山崎 広太郎 殿
日本共産党福岡市議団
団長 宮本 秀国
「人工島事業点検の改ざん問題」に関する質問状
7月9日付読売新聞が、1面で「人工島収支黒字に改ざん」と報じ、市民に大きな怒りを呼び起こしています。
この報道によると、ケヤキ・庭石事件をめぐり、第3セクター博多港開発の経理担当幹部が、1999年の人工島事業点検の際に収支試算を改ざんしたことを、福岡地検に対して供述し、また公判でも証言したとのことです。
その内容は、同幹部が、人工島事業の計画見直しの際、博多港開発部分について「実際の収支試算は200億円の赤字だったのに、市港湾局の指示で43億円の黒字に書き直した」というものです。200億円の赤字を内容とする報告書を提出した後、港湾局から「黒字でないと公表できないので、何とかならないか」と指示を受け、借入金の支払金利を低く設定し約16億円の黒字に変更した報告書を提出したが、さらに港湾局から黒字幅を50億円前後にするよう指示を受けて、土地売却益を水増しして再提出したとのことです。同幹部は、「港湾局の申し入れ通り都合の良い数字を並べた」と述べたと報じられています。
この証言内容は極めて重大であり、看過できないものです。
山崎市長が1999年9月に発表した人工島事業の点検の結果は、博多港開発工区の都市機能用地が40億円、市工区の港湾関連用地が46億円、あわせて86億円の黒字となるというものでした。同年9月議会では、当時の港湾局長が、土地処分単価について「合理的な範囲の単価である」「専門的な調査が実施された」「具体的な数字をもとに収支試算を行った結果、長期的に採算はとれるものと考えている」と答弁し、黒字を根拠に人工島事業を継続することを判断したと述べています。その「黒字」が改ざんによって作られたものであるとすれば、人工島事業の点検は何の意味もなかったということに他なりません。
わが党は当時から、何の根拠もなく土地処分単価を引き上げたことなどを指摘し、「単なる数合わせにすぎない。結論先にありき、まともな点検などされていない」と批判してきましたが、今回報道によってまさにその指摘どおりだったことが証明されました。
人工島事業の点検がどのように改ざんされたのか徹底的に糾明する必要があります。
報道によると、当時の港湾局幹部は「赤字になれば責任問題も生じる」「最終的には高度な政治判断だった」と述べ、また「事業点検プロジェクトチームにすべて報告した。市上層部も把握していたはず」と証言していますが、点検改ざんに山崎市長が関わったのかどうかを明らかにすることは避けて通れない問題です。
人工島事業を含む大規模事業点検は、山崎市長が98年の市長選挙で掲げた「大型開発も『引き返す』勇気を持って点検します」との公約の実行を迫られて行ったものです。市長は議会で「市民に対する私の政治責任」などと述べていますが、市長が主導して人工島事業の点検を改ざんしたのであれば、市民を騙し愚弄する極めて悪質な行為であり、その政治責任は市長辞職に値するものと言わざるを得ません。
さらに市長は今月12日の記者会見で、人工島事業の点検について「事業継続を前提としたもので、赤字でも継続」と発言したと報道されていますが、市民との約束である「開発行政からの転換」という市長公約を2重3重に踏み破るものであり、絶対に容認できず、強く抗議するものであります。
したがって、わが日本共産党市議団は、山崎広太郎市長に対し、次の事項について質問します。市長が徹底調査を行い、7月24日までに誠実に回答されるよう強く要求するものです。
- 博多港開発幹部」が証言したと報じられた、人工島事業の博多港開発工区が200億円の赤字となる収支試算の報告書とはどのような内容か。また、それを修正して16億円の黒字とした2回目の試算報告書はどのような内容か。これらを含め、改ざんはどのような経緯で行われたのか。
- 港湾局が博多港開発に対し、収支試算が黒字になるよう改ざんを指示したのは事実か。改ざんを主導したのは誰か。
- 人工島事業の点検の改ざんについて、山崎市長が当時承知していたか、どのように関与したか。
- 人工島事業の点検において、福岡市工区の港湾関連用地の収支試算についても改ざんがなかったのか。
- これらに関係するすべての文書を公開すること。
以上
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