トップ > 議会報告 > 2002年3月臨時議会> 日本共産党の代表質問

議会報告

2002年3月臨時議会

日本共産党の代表質問

2002年3月5日 比江嶋俊和議員

私は、日本共産党市議団を代表して、山崎市長の施政方針と二〇〇二年度予算案、及びその他の諸議案について、市長並びに教育委員会に質問いたします。

日本経済はいま、所得、消費、生産が連鎖的に落ち込み、物価下落が同時に進む、かつて経験のない、いわゆる「デフレの悪循環」の危機に陥っています。昨年の企業倒産は一万九千四百四十一件に及び、完全失業率は昨年末には過去最悪の五・五%となりました。サラリーマンの賃金は名目で前年比一・二%減、全世帯の消費支出は二・七%減で九年連続マイナスなど、国民生活関連の指標は過去最悪を更新し続けています。小泉内閣が「構造改革」と称して、倒産、失業、社会保障きりすてなどの激痛を国民に押しつけていることが、こうした景気の悪循環をいっそう深刻にしているのであります。

小泉内閣が誕生して十ヶ月が過ぎますが、経済政策だけでなく、外務省疑惑にフタをする政治姿勢でも、アメリカ追随の外交、テロを口実にした有事法制推進でも、「自民党を変える」どころか、自民党政治をよりいっそう危険な方向へ推し進めようとしているのが実態であります。

日本共産党は、人間を人間として大切にする社会をつくるために、雇用を守る社会的責任を企業に果たさせること、持続可能な社会保障制度のための財政支出、直接税中心の総合・累進課税、生計費非課税を原則とする税制の民主的再建などを提案しておりますが、こうした方向への転換こそ、国民生活を守り日本経済を再生させる道ではないでしょうか。


そこで、まず最初に、二〇〇二年度政府予算案についてお尋ねします。

小泉内閣の二〇〇二年度政府予算案は、医療費を中心に社会保障費を削り国民に負担を押しつけ、文教費や中小企業対策費は削減する一方、従来型公共事業を継続し、軍事費を増額、大銀行支援の七十兆円枠も温存するなど、大企業・大銀行応援、暮らし冷遇の予算となっています。また地方交付税の削減や地方自治体への借金押しつけをすすめています。小泉内閣は不良債権の早期最終処理と大企業のリストラ応援で倒産と失業を増大させ、さらに消費税の引き上げを検討するなど、経済も財政もいっそう悪化させる道を突き進もうとしています。これでは、消費不況から抜け出すことはできません。今日の経済危機を打開するためには、経済運営の軸足を、国民の暮らしと営業に置く方向に転換することが求められているのであります。

したがって市長は、市民生活を守り、地域経済をたてなおす立場から、政府に対し、「構造改革」をきっぱり中止し、むだな公共事業をやめるとともに、税制の民主的再建で歳入の改革も行い、雇用と暮らし、福祉、介護、年金、教育など国民生活予算を充実し、地方交付税など必要な地方財源を確保し、景気回復と財政再建にふみだす予算に抜本的に組み替えるよう要求すべきだと思いますが、ご所見をお尋ねします。併せて、消費税の大増税には反対すべきだと思いますが所見を求めるものであります。


次に市長の施政方針と予算案について、お尋ねします。

市長は所信表明で「市政の舵取りを任せていただいてから三年有余が経過し、この間、「市民のために、市民とともに」という基本姿勢の下、市政の運営に取り組んでまいりました。」などと述べられました。しかしながら、市民のためと言うなら市民への約束、公約の遵守こそが求められているものであります。ところが、あなたはスタート時から、公約を投げ捨て、市民を欺き続けてきたというのがこの三年間の実態ではありませんか。「開発行政からの転換で生活優先の市政を実現する」「腐敗の一掃と財政再建に取り組む」この市民への約束は市政のどこに生かされたでしょうか。市民が否定したはずの「アジアの拠点都市づくり」を継続し、一方で敬老パスなど市民生活を切り捨てる「第二次行財政改革」を断行する。さらに経営管理手法の導入などといって本来、市がやるべき清掃工場などは民間委託し、今度は博多港開発というディベロッパーまがいの三セクを逆に公共事業に取り込んでいく。まさに理念も哲学もないやり方です。DNA運動では職員の意識改革が進むどころか、木山事件をはじめ相次ぐ汚職腐敗に対する幹部職員の態度はまさに、腐敗を温存する体質を見せつけただけでした。開発行政の継続に加え、国の従来型景気対策にも追随し、市長の四年間で借金は三千六百四十七億円も増えるのであります。まさに、公約放棄、市民への裏切りにほかなりません。

こうした中で、新年度、市長がやろうとしていることは、破綻した人工島や博多リバレインに人も予算も集中し将来に渡る負担を市民に押しつけるなど、開発破綻を救済し、なりふりかまわず開発行政の拡大へと突き進むことであります。新年度予算が発表された直後の新聞各紙は「新年度予算三セク関連重く、生活へしわ寄せ懸念」「目立つ市債残高」などと報じました。「市民のため、市民とともに」どころか、銀行やゼネコンなど大企業のためということが色濃く打ち出されているのが最大の特徴であります。企業も市民も経営と暮らしを切り詰め、本市においても税収が減額の一途をたどっている中、なお拡大基調で進む市長の施政方針は、まさに破綻にむかって突き進むものであり、地域経済と市民生活にいっそうの困難がもたらされることは明白であります。

したがって、市長は、銀行やゼネコンをパートナーとし、福岡市を開発会社と化すのでなく、市民が主人公を名実ともに実行し、「住民の安全、健康、福祉を保持する」自治体本来の姿に転換すべきだと考えますが、市長の所見をお尋ねいたします。

次に二〇〇二年度、予算案の基調についてお尋ねします。

新年度予算案の特徴は、限られた財源の中で、福祉や教育など生活関連予算は抑制・削減する一方、最大の開発である人工島へ予算を一極集中させるものであり、「あとは野となれ」とでも言うべき破滅型予算となっていることであります。

一般会計予算案は、三年ぶりの増額となりましたが、その主な要因は商工金融資金や博多港開発への低利融資の償還金など諸収入の増、基金のとりくずし、臨時財政対策債などであり、市税や利子割り交付金の減額など税財源の減少が顕著であります。市債は五・三%の減となっていますが、市債残高は一般会計だけでも一兆三千百九十三億円にのぼり、起債制限比率は前年比で一ポイント以上上昇し、一七・七%にものぼる危険な状態であります。

歳出面では子ども総合センター建設や子ども行政の一元化などにより保健福祉費ののびはあるものの、多くの待機者を抱える特別養護老人ホーム整備費は新規がわずか三カ所分、保育所整備費も増築二カ所にすぎません。教育費はまたも削減され、一般会計に占める構成割合は八・二%と過去最低を更新し続けています。さらに国保が医療・介護合わせて一・八三%の値上げ、また、市立高校等授業料も値上げするなど市民負担増も押しつけられています。一方、人工島には他局の予算も集中し、過去最高の三百四十三億円、区画整理六事業で百三十三億円、都市高速道路に六十三億円など大型開発には莫大な予算がくまれ、さらに国際会議場建設など従来の公共投資が委託金に姿を変えてゼネコンの仕事づくりが行われているのであります。また、イベント予算も膨れ上がっております。この結果、年度末の借金総額は三会計合計で二兆五千九百三十二億円となり、市民一人当たり百九十一万円にものぼるのであります。まさに、とどまるところを知らない借金地獄と言わなければなりません。

市長はこうしたゼネコン浪費の破滅型予算案を抜本的に見直し、暮らし、福祉、介護、医療、教育、環境を最優先する市民本位の予算に改めるべきだと思いますが所見のほど、お尋ねいたします。


次に本市の将来をも左右する当面の最重要課題についてお尋ねします。

質問の第一は、全庁あげて人工島建設を推進する市長の異常な開発行政についてであります。本市最大の事業である人工島事業については、新生銀行による博多港開発株式会社への融資打ち切りなど、開発破綻が明らかになっております。こうした中で、市長は博多港開発の債権を担保せよという銀行団の要求に応じ、増資や二百億円の低利融資、土地の買い上げなど、銀行支援の事業見直しを行ったのであります。開発者負担である道路や公園を、三百億円を超す市費を投入して肩代わり整備し、さらに、上物整備などリーディングプロジェクトの名で巨額の市費を投入する計画であります。新年度は人工島整備に過去最高の三百四十三億円の予算を計上する一方、推進本部を総務企画局にもうけ、環境局、都市整備局、土木局、建築局、経済振興局など各局予算も総動員し事業を急テンポで進めようとしています。こうしたやり方が、何千億円というあらたな負担を市財政に及ぼすとともに暮らしや福祉の切り捨てにつながることは明白です。また、すでに六百五十億円を超す市費を投入している下川端再開発でも、SBC破綻救済策として新年度八億円余の予算を組み、地下二階を賃貸して今後、年間一億三千万円もの家賃を払い続けることを提案しているのであります。さらに、新空港の推進、国際会議場建設、香椎駅周辺など六つの区画整理事業、九大を核とした学術研究開発拠点づくりなども進めようとしています。これらは、自らの公約を反故にし、前桑原市政から引き継いだ「アジアの交流拠点都市づくり」をいっそう肥大化させて市政を開発優先に特化させるものであり、本市の財政危機をいよいよ深刻にするものであります。これはまさに、自民党政治そのものであり、市長選挙の今年、銀行やゼネコンなど経済界の支援を得たいがための大判振る舞いではないかとの声がだされるのも当然であります。市政の主人公は市民です。市長は、破綻救済と開発行政の拡大をやめ、真に生活優先の市政への転換をはかるべきであります。したがって人工島など大規模事業については住民投票などにより市民の判断を仰ぐとともに市民参加で再度、事業の点検を行い、中止や縮小を含む見直しを行うべきだと思いますが、市長の所見をお伺いいたします。

質問の第二は真の財政再建と行財政改革についてであります。

昨年の敬老パスの縮小・廃止などに続き、今年は民間保育園への補助金の大幅削減、市立高校授業料等の値上げ、また、国保料など各種料金の値上げも提案されています。行財政改革の名で生活関連予算が次々に削られていますが、本市の借金は減るどころか、増える一方であります。借金のおおもとにある開発・イベント行政にメスを入れることなしに財政危機を克服できないことは明白であります。市長は起債発行額と償還額の均衡を図り、プライマリーバランスは実現したと言われましたが、外郭団体等で行っている国際会議場や東部清掃工場建設、さらに臨海工場のPFIによる余熱施設の建設費など「かくれ借金」でごまかし、さらに、国の景気対策等に応じた補正予算で実際の借金残高は膨れ上がるのであります。したがって市長は「行財政改革」の名でツケを市民に回すことをやめ、借金の根本原因である大型開発予算にメスを入れるとともに、繰り上げ償還や低利借り換えの促進、また大企業・高額所得者優遇の不公平税制を是正する新規税源など真の財政再建に取り組むべきだと思いますが、所見のほどお尋ねいたします。

質問の第三は汚職・腐敗の一掃と再発防止についてであります。

木山総務企画局長の逮捕に続き、浜田副議長の逮捕など、本市の公共事業をめぐり相次いで汚職腐敗事件が発覚しました。開発行政のもとで作り出された政・官・業構造癒着の一掃は市政の正常化に欠かすことのできない緊急課題であります。しかるに市長の対応は、真相究明は地検や警察まかせ、発注当事者としての責任は棚上げで、まさに腐敗体質を温存する姿勢に終始していると言わなければなりません。市長は事件の真相解明に特別の手だてを尽くし、構造癒着を一掃すべきだと思いますが所見をお伺いいたします。また、入札制度変更後も談合がなくならない現状を改善するため、談合情報があった場合には、当該企業を外すとともにクジで半数に減らして入札を実行する、横須賀市などのように予定価格に抽選制を導入する、指名業者の事前公表はしない、地場中小企業の保護のために逆ランク制を導入するなどを行うべきではないかと思いますが所見を伺います。併せて、不正を許さない職場づくりのため、市長、三役をはじめ幹部職員がその姿勢を改めることこそ求められていると思いますが所見のほどお尋ねいたします。


次に、市民のくらし、医療・福祉、雇用、営業等を守る諸問題についてであります。

質問の第一は、雇用対策についてです。

昨年一年間の有効求人倍率が〇・五九倍、福岡地区ではそれを下回る〇・五一倍となるなど、雇用・失業問題は社会と経済にかかわる深刻な事態となっています。小泉「構造改革」のもと、倒産、リストラ、失業が加速し、市民は将来不安におびえています。そこで、市長は、一方的な解雇禁止、希望退職、転籍などの強要をやめさせる「解雇規正法」や「サービス残業根絶法」など、実際に雇用拡大につながる法的措置を国に求めるべき、と思いますがご所見をお伺いします。また、本市職員の削減をやめ、長時間、過密労働の常態化を解消するため職員を増員するとともに、市内の主要企業に雇用拡大の働きかけを行うべき、と思いますがご所見をお伺いします。

質問の第二は、本市経済を支える中小企業の振興についてであります。

長期に及ぶ不況に加え、小泉内閣が進める、「構造改革、不良債権処理」によって、本市中小企業はいっそう苦境に追い込まれ、企業倒産も過去最悪の水準で推移しております。全事業所の九九%を占める中小企業を守ることはまったなしの課題となっています。こうした中、中小企業対策費はペイオフに伴う制度変更分を除けば、ほぼ前年並みにとどまり、一方で、人工島を対象とした企業立地促進制度や博多リバレインでのにぎわい広場事業など開発破綻救済、大企業支援の新規事業とその予算が提案されています。全く逆立ちした経済振興策と言わなければなりません。市長は、経済振興策の基本を開発破綻救済や「構造改革」路線におくのでなく、既存産業の保護を基本とし独自の「地域振興計画」を策定すべきと思いますが所見を伺います。具体的には中小企業向け官公需発注比率の七〇%以上への引き上げ、親企業の倒産など下請け保護策や大型店廃業に伴う零細テナント対策の強化、空き店舗対策など商店街対策の充実、全庁あげた中小企業の仕事起こしなどに取り組むべきだと思いますが市長の所見を伺います。また、制度融資について予算は増額されていますが、貸し渋りなどで実際には必要な融資を受けられないというのが現実であります。したがって、「一般の金融機関から融資を受けることが困難なものへの資金提供」を目的とする信用保証協会本来の役割を発揮させるとともに、本市の制度融資に対する貸し渋りをやめさせる具体策を実行すべきと思いますが明確な答弁を求めるものであります。

質問の第三は農業の再建についてであります。

コメの輸入自由化や輸入野菜の急増容認など政府による日本農業の切り捨てによって、本市農業も衰退の一途をたどっています。したがって市長は、農産物の完全輸入自由化に反対し、実質的輸入規制の導入、下落した米価や野菜価格の下支え制度の確立を国に要求するとともに、減反率を少なくとも県平均とし、所得保障を含む市独自の農業育成、助成策を講ずるべきと思いますが所見を求めます。

質問の第四は、政府の医療大改悪から市民の健康を守る問題についてです。

政府は、高齢者医療を原則一割負担とし上限を引き上げ、六ヶ月を超える入院費用の一部保険はずしなどを二〇〇二年度から、さらに、健康保険本人の三割負担を二〇〇三年四月から実施しようとしております。これらが強行されれば、市民は負担増に耐えかね受診抑制が急増し、かえって病気の悪化を招き本市の国保財政をも圧迫することになるのは必至であります。いま緊急に求められているのは、国の負担を増やし、高い薬価にメスを入れ、支払い能力に応じた保険料負担とし、医療を受けやすくするなど、早期発見・早期治療に努めることであります。したがって、市長は、国に対し患者負担増と保険はずしなどの医療大改悪をやめるよう、直ちに要求すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

質問の第五は、本市の国民健康保険行政についてであります。

市長は、高過ぎて払えない国保料の滞納者から保険証を取り上げ、全国最悪の一万二千件にものぼる「資格証明書」を発行して市民の医療を受ける権利を奪ってきました。こうしたなか、二〇〇二年度もまた保険料の値上げが提案されており、介護分と合わせて、前年度比一・八三%増の年額一人当たり八万六千四百八十円にもなるものです。深刻な不況やリストラのもと、政府の医療改悪と合わせた今回保険料引き上げはいっそう滞納者を増やして医療を受ける権利を奪い、皆保険制度の根幹である国民健康保険制度の崩壊を招かざるをえません。したがって、市長は、保険料の二〇%分にとどまらず市費を大幅に繰り入れて保険料を引き下げるとともに、国民健康保険法第九条三項にも反する資格証の発行は直ちにやめ、保険証は原則交付し、生活保護基準の一三〇%の所得までは全額減免できるように減免制度を改善するなど、市民が安心して医療を受けることのできるようにすべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。

質問の第六は、介護保険制度の改善、高齢者福祉の充実についてであります。

制度発足二年を経た介護保険は、保険料の満額徴収や重い利用料負担等により必要な在宅サービスが制限され、特別養護老人ホームの待機者も二千九百人以上にのぼるなど、いよいよその深刻な実態が明らかになってきています。こうしたなか、高齢者が安心してサービスが受けられるよう保険制度の改善と福祉の充実が求められております。本市は介護給付費準備基金積立金を十一億円余も有しており、市長は、今こそ、多くの自治体が実施している住民税非課税世帯など低所得のお年寄りに対する保険料や利用料の独自減免制度を創設するとともに、生活保護「境界層」の減額措置制度を拡充して必要なサービスが受けられるようにするべきではないかと思いますが、ご所見をお伺い致します。併せて、介護保険外の周辺サービスの予算を増額して要介護度別の制限撤廃や助成限度額の引き上げなど一層サービスを拡充すべきではありませんか。市長のご答弁を求めます。また、二〇〇二年度の特養ホーム整備は新規が三ヶ所二百四十人分しか計画されておらず、待機者を早急に解消するため、予算を大幅に増額すべきではないかと思うが、市長の所見をお伺いします。併せて、早良消防署跡地など高齢者施設の「市有地無償貸与」による建設を促進すべきと思いますが、所見を求めます。

在宅介護については、低介護報酬のもとでケアマネージャーやホームヘルパーは過酷な労働実態におかれ、お年寄りの在宅サービスが充分に行き届いたものになっておりません。したがって、市長は、市民福祉サービス公社が「最後のよりどころ」となるよう、独立採算制の一事業所扱いを改め、必要な市費を持ち出してヘルパーの増員や労働条件の改善を図るなど、体制拡充をおこない公的責任を果たすとともに、国に対して介護報酬等の改善を要求すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

次に、個人給付事業については、お年寄りいじめの敬老無料パスや渡船無料制度の縮小・廃止、老人医療費助成制度の所得制限などを、もとに戻して高齢者の福祉を拡充すべきだと思うが、市長の答弁を求めます。

質問の第七は、生活保護行政等についてであります。

長引く不況や失業の増大、雇用の悪化のもとで、市民の「最後のよりどころ」である生活保護の充実が緊急に求められています。こうしたなか、本市においては、市長の冷酷極まる保護行政のもと、「面談」と称して市民の申請を受け付けず、南区で手遅れ死亡事件が起こりました。市長は、今こそ、憲法二十五条に基づき困った人がいつでも申請できるように保護申請書等を窓口カウンターに置くとともに、人権侵害に及ぶ扶養義務や就労の強制、「同意書」や辞退届の強要をやめ、また廃止した福祉見舞金を復活するなど、本市の冷たい生活保護行政を改善すべきだと思うが、明確な答弁を求めるものであります。

さらに、中嶋学資保険裁判については、福岡高裁判決を受け入れて直ちに上告を取り下げるべきではありませんか。市長の答弁を求めます。

また、不況・リストラによるホームレスは本市でも激増し深刻な社会問題となっております。市長は、生活保護の適用を「住所不定」を理由に拒否する違法な運用を改め、抜本的なホームレス自立・支援対策を早急に講じるべきではないかと思いますが、お尋ねをいたします。

質問の第八は、障害者(児)の対策についてであります。

本市の身体・知的障害者は増加の一途をたどり、重度・重複化の傾向とともに、高齢化が進み、また、精神障害者も急激に増加しております。障害者が地域社会の中で普通に暮らし、自立、社会参加していくため、新たな対応が必要であります。

したがって、養護学校卒業生の通所授産施設の増設や貴重な就労の場である小規模作業所への市の助成の増額、拡充をすべきと思いますが、所見をお尋ねいたします。

また、東部障害児療育センターを早急に整備するとともに、西部障害児療育センターは、作業・理学療法士など専門職員等を増員配置すべきと思いますが、市長の所見をお尋ねします。

今日、精神に障害がある人の増加に対応する適切な施策が急務となっており、精神保健福祉センターの増設をすすめること、また介護保険の施行により、障害者の六十五歳以上に対するホームヘルプサービスが後退しないよう自己負担なしの上乗せ制度をつくることについて、併せて、所見をお伺い致します。

バリアフリー化のため、JRなどの既存駅についてもエレベーター、エスカレーターの設置を促進すべきと思いますが、お尋ねをいたします。

質問の第九は、市民の保健・衛生と保健所行政についてです。

市長は昨年、「保健福祉センター」の名で保健所を福祉事務所と統合し、専門職員の削減等で保健・予防・衛生の仕事を大きく後退させました。こうした中、結核や食中毒の急増、相次ぐ院内感染、狂牛病や雪印食品事件など市民の安全や保健・衛生をとりまく環境は危機に瀕しており、保健所の機能強化が求められております。したがって市長は、保健所本来の機能と役割が果たせるよう、医師をはじめ保健婦や診療放射線技師、食品衛生検査技師等を増員配置して、市民の健診・相談・指導や食品監視体制等を強化・拡充すること。また国に対し輸入食品検査・食品添加物等の規制強化と表示義務化、HACCP制度の是正など、食品衛生法等の抜本改正を求めるべきだと思いますが、所見をお伺いします。

質問の第十は、青年の雇用、及び文化・スポーツの問題についてであります。

青年の雇用問題は極めて深刻であります。県内の新規学卒者の就職内定率は、昨年十二月末現在、大学・短大・高等専門学校あわせて四九・二%にとどまっています。高校生の就職については五四・五%と昨年同月比で五・一ポイント下回っており、昨年に続いて過去最悪を記録しようとしています。特に女子高校生は男子生徒より二〇ポイントも低く、厳しい状況にあります。市長は、市内の企業に採用枠の拡大を要請するなど、緊急に特別な手立てを取ること、同時に、女子学生に対する就職差別の実態調査と是正の申し入れをおこなうべきと思いますが、ご所見をお伺いします。また、市として教育、福祉、防災分野の市職員の拡充、嘱託職員の正職員への採用、教員採用増などを検討すべきです。

併せてご答弁を求めます。青年のための文化・スポーツ施設は、その利用のニーズにこたえ、青年が集える施設を各区につくるべきと思いますが、ご所見を伺います。


次に、子どもの健やかな成長と教育の問題について質問いたします。

質問の第一は、保育行政についてであります。

長引く不況の下で、働く女性が急増し、保育行政の充実は緊急な課題となっております。市長は、他都市並に市費を繰り入れ、保育料を引き下げるべきではないかと思いますが、ご所見をお伺い致します。同時に、保育士の労働条件や保育の質の低下につながる、民間保育園への補助金の大幅削減をやめるべきだと思いますが、併せて答弁を求めます。

保育所待機児は七百三十人と、減少するどころかいっそう増加しており、市長は、児童福祉審議会答申まちをやめ、三苫や姪浜など、必要な地域に保育所を新設するとともに、補完的役割を果たしている無認可保育所について条件の整った所を直ちに認可し、待機児の解消を行うべきと思いますが、所見をお伺いいたします。また、全ての無認可保育所への助成制度を創設するとともに、要求の強い産休明け保育の実施に踏みきるべきだと思いますが、併せて答弁を求めます。

質問の第二は、乳幼児医療費助成制度についてであります。

乳幼児医療費助成制度は貴重な子育て支援であり、全都道府県、全市区町村で実施されており、さらに政令市の多くは初診料の自己負担分への助成を行っております。市長は直ちに初診料を無料にするとともに乳幼児医療費助成は、入院だけでなく通院治療も就学前児童まで拡大すべきだと思いまが、ご所見をお伺いします。 また、国として乳幼児医療費助成制度を早期に創設するよう要求すべきだと思いますが、併せてご答弁を求めます。

質問の第三は子ども行政についてであります。

市長は、新年度から子ども行政を一元化するとしています。しかしながら、今回、保健福祉局に移管される留守家庭子ども会事業や校庭開放事業などは、学校とのかかわりが深くもともと社会教育分野でやってきたものであり、混乱をもたらすことは明らかであります。特に留守家庭子ども会事業は、三十年間、市教育委員会・行政と市民が育て、設置率と学校内設置については全国的にも先進的な事業として高く評価されてきたものであります。同事業を保健福祉局に移管すれば、留守家庭子ども会と学校との関係が希薄になることは明らかです。また、保育事業と同じように指導員の人件費や施設費などを保護者負担とすることは許されません。したがって、留守家庭子ども会の事業内容の後退につながる、保健福祉局への移管はすべきでないと思いますが、市長と教育長の明確な答弁を求めるものであります。併せて、指導員を増やすなど態勢を整え、土曜日も開設すべきと思いますが、答弁を求めます。また、児童扶養手当の切り下げをしないよう国に対して、強く要求すべきではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

質問の第四は、子どもに悪影響を及ぼす場外馬券場設置等に関してであります。

福岡ドームへの場外馬券場設置については、文教地域のまん中で、すぐそばには市立中央養護学校や、こども総合相談センターもあるため、地元の住民やPTAをはじめ多くの市民から「青少年への悪影響が懸念される」等反対の声がおこっております。市長はこれらの市民の声に応え、キッパリと反対を表明し、三競馬組合、ダイエー福岡ドーム、農水省へ設置しないよう働きかけるべきだと思いますがご所見をお伺いいたします。併せて、博多駅前の場外車券場についても、設置しないよう国に働きかけるべきと思いますが、所見を求めます。

質問の第五は、児童館建設についてであります。

本年四月からの学校五日制の完全実施を前に、子どもたちに「休息・余暇」の権利を保障するための抜本策が求められております。「児童に健全な遊びを与え、健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とする」児童館は、児童健全育成の拠点として、国もその設置をすすめているものであります。神戸市には百十六ヶ所設置されておりますが、福岡市は一ヶ所しかありません。市長は学校五日制に対応した美術館等の無料開放、また公民館で組まれる自主企画に参加するなどにより対応するとしていますが、公民館は児童館の代わりにはなり得ず、子どもたちが自由に出入りでき、安心して仲間と楽しめる児童館の建設は市の重要な課題であります。

したがって、市長は、子どもと親の願いに応え、早急に専門職員のいる児童館を小学校区ごとに設置すべきだと思いますが所見をお伺いいたします。

質問の第六は、児童虐待を含む相談体制等についてであります。

本市の児童虐待に関する相談件数は、二〇〇一年度、十二月末で二百七十一件へと激増しております。児童虐待に総合的に対応するために、児童相談所に心理療法士や児童福祉司などの専門職員を増員、配置し、相談事業の充実と対策を推進すること、また、不足している一時保護所や児童養護施設について、施設の増設をすべきではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。

質問の第七は、学校教育についてであります。

一点目は、子どもたちの成長と発達を保障する学校づくりについてであります。

子どもと教育の現状は、学級崩壊、非行、いじめ、体罰、不登校の増加等々いっそう深刻になっております。このような中、新年度から学校週五日制とともに系統性を欠く新「学習指導要領」も完全実施されます。多くの国民は受験中心の教育制度を温存したままの、授業時数の大幅削減等に危惧と不安を抱いています。また奉仕活動の強制や教員管理の強化、児童生徒の出席停止措置等いわゆる教育三法や、政府による中教審への教育基本法見直しの諮問などは、競争と管理の教育政策を一段と強化するものに他ならず、これは「高度に競争的な」教育制度の改善を求めた国連の勧告にも反するものであります。子どもと教育の深刻な状況を克服するには、憲法・教育基本法、さらに子どもの権利条約に則り、「真理と平和を希求する人間の育成」のため過度の競争教育を改め、基礎的な学力の保障など、すべての子どもたちの成長、発達を中心に置いた学校教育に改めるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

またその実現のためにも、いま緊急に必要なことは、三十人以下学級を速やかに実施することであります。国立教育政策研究所の調査等でも、少人数学級の方が子どもの理解が深まるという結果が出ております。いまや自治体決議は過半数を突破し、署名は全国千八百万人、県下で五十一万人余に及ぶなど行き届いた教育のための少人数学級はまさに国民要求となっており、新年度実施を含めると、京都や大阪府をはじめ少なくとも十七道府県、さらに市町村等が何らかの独自措置を行うのであります。市長は三十人以下学級の即時実現を国・県に強く要求するとともに、その実現までの間は、仙台市のように本市自身の責任において年次的にでも実質三十人以下学級を実施すべきだと思いますが、所見をお尋ねいたします。

二点目は、民主的な学校づくりについてであります。

本市の「学校サポーター会議」は、職員会議やPTAを超えて校長の一方的学校支配をサポートするもので、かえって学校運営やPTA活動に支障をきたす等の問題も出ております。勉強がわかる楽しく安全な学校づくりのためには、何よりも職員会議を上意下達の場にするのでなく、教職員の合意形成を尊重するとともに、保護者や子どもたちの意見が学校運営にいかせる体制をつくることこそ必要であると思うが、教育長のご所見をお伺いいたします。

三点目は、市立高校等授業料値上げと学校指定用品についてであります。

長引く不況で、今でも子どもたちの教育を受ける権利が侵害されており、これ以上市立幼稚園や高校授業料の引き上げで保護者に過重な負担を強いるべきでないと思いますがご所見をお伺いいたします。また、学校指定用品は、多くの学校で品目が一方的押し付けで増やされ、安価な市販品での代用は許されず、実態は保護者に「過重負担」を押しつけるものになっております。しかも特定業者との癒着も生みかねず、市教委は早急に実態を調査し、学校指定用品は基本的に廃止すべきだと思いますが所見をお伺いいたします。

四点目は、障害児教育についてであります。

障害児教育については、子どもと保護者の選択権を重視し、障害児が安心して通学できるよう、すでに多くの自治体で実施している介助員制度を導入すること。また、西長住小学校だけでなく、当仁小をはじめ肢体不自由児が通う学校へエレベーターを早急に設置すべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。

五点目は、高等教育を受ける権利の保障についてであります。

県内私立高校の学費滞納率は三年連続で全国最悪であり、長引く不況のもと、経済的理由での退学や修学旅行不参加が激増するなど深刻な事態が広がっております。なかでも私学に大きく依存してきた本市での影響はいっそう深刻であり、学ぶ権利の保障のためにも早急な公的援助が求められております。県に授業料補助の大幅増額と、奨学金の充実を行うよう要求するとともに、市の奨学振興会の高校奨学金については貸付対象枠を拡大し、年度途中の希望者も含め、全員採用するよう充実を図るべきだと思いますが、教育長の明確な答弁を求めるものであります。また、働きながら学べる定時制高校への進学希望者は増加し、近年市周辺の定時制含めても対応できておらず、市が早急に通学に便利な場所に普通科の定時制高校を設置するとともに、県にも設置を要求すべきだと思いますがお尋ねをいたします。併せて、小泉内閣による大学の日本育英会奨学金・無利子貸与枠の一万六千人分削減は、高等教育の機会を奪うものであり、撤回するよう国に要求すべきだと思いますが所見をお伺いいたします。

六点目は、安全で快適な教育環境の実現についてであります。

老朽校舎の改善は子どもたちの安全のためにも切実な問題であり、改修・改築計画の策定を急ぐとともに、緊急箇所の補修等については即時実施すること。大規模校である姪浜中の分離や、内浜小などの児童急増校の施設整備など早急に実施すべきだと思いますが明確な答弁を求めます。また小中学校の教室暖房について、調査を理由に何年も先送りすることは許されず、即時実施すべきだと思いますがお尋ねをいたします。


次に都市づくりの諸問題についてお尋ねします。

まず質問の第一は、人工島建設であります。

同事業については、先に述べたように、本市の将来に重大な被害を及ぼすことは明白であります。市長は、破綻した人工島建設の推進をこの際、きっぱりとやめるべきです。新たな埋め立てや浚渫工事を凍結し、計画を縮小すべきではありませんか、答弁を求めるものであります。また、竣工した土地については、巨額の市費投入をやめ、その利用を市民参加、市民本位で見直すべきだと思いますが、所見をお尋ねします。博多港開発については、二期工事をやめ、同事業部門を廃止するとともに、現行資産の活用と管理のみの会社に整理縮小すべきだと思いますが、併せてご所見を伺います。また、市長は市民や環境省への抵抗をやめ、博多湾・和白干潟を国設鳥獣保護区特別保護地区に指定し、「ラムサール条約」登録湿地とすべきだと思いますが、所見をお尋ねします。

質問の第二は、下川端再開発事業の開発破綻救済等についてであります。

本市が出資もしていないエスビーシーに税金を投入する市長のやり方は全く異常であります。したがって、エスビーシー破綻処理は経営者責任で行わせ、博多リバレイン地下二階へ三施設を入居させる新たな負担は撤回すべきだと思うが、市長の明確な答弁を求めるものであります。併せて、「都市未来ふくおか」から出資を引き上げ、解散を要求するとともに、渡辺通一・三丁目市街地再開発計画は中止すべきだと思いますが、お尋ねをいたします。また、開発型第三セクターは経営破綻やその恐れが強く、縮小・廃止すべきだと思いますが、ご所見を伺います。

質問の第三は、市長のすすめるイベント行政についてです。

新年度、イベント行政がさらに拡大されようとしています。人工島の開発破綻救済が目的で巨額の市費を投ずることとなる都市緑化フェアは中止するとともに、従来からのアジアマンスやロボカップなどイベント行政を改めるべきだと思いますがご所見をお伺いします。また、姉妹都市交流など莫大な税金を投入して行われる国際交流事業についても、この際見直すべきではないかと思いますが、併せてお尋ねをいたします。

質問の第四は、「新福岡空港構想」についてです。

市長は、新福岡空港の早期実現にむけて、約一億円の予算を計上しました。しかし、一兆五千億円といわれる建設費の本市や国、県の負担割合は未定で、本市が巨額の負担を求められるのは明らかです。空港建設先にありきの「新福岡空港構想」は撤回し、国の責任で佐賀、新北九州両空港への分散や政策誘導など、現福岡空港の当面する需要増大への対応を国と協議・具体化するとともに全ての情報を公開し、市民・県民の広い議論にゆだねるべきではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

質問の第五は、香椎駅前の区画整理事業についてであります。

地価下落のおり、市街地での区画整理については、多大な問題をひきおこしており、もともと住民の多くが反対している香椎駅周辺土地区画整理事業については、この際、白紙に戻して、まちづくり計画を協議すべきだと思いますが、市長の答弁を求めるものであります。

質問の第六は、国際会議場と自然動物公園構想についてであります。

公約違反の国際会議場については、周辺施設を含め、計画を見直すべきであります。市長の所見をお尋ねします。

また、自然動物公園構想は、自然破壊、巨額の財政負担、市民犠牲を伴うものであり、きっぱり取りやめるべきであります。併せて、現動物園については、存続し計画的にリニューアルを行うべきだと思いますが、市長の明確な答弁を求めるものです。

質問の第七は、九大移転等についてであります。

九大移転については、本来、九大と国の負担で行われる事業であり、必要もない演習林の購入など九大の移転にかかる九大側の資金計画破綻の救済はやめるべきであり、バブルの計画に過ぎない「九州大学学術研究都市構想」の推進はすべきでないと思いますが、ご所見を伺います。

また、九大跡地を含めた六本松のまちづくりについては、住民参加・住民合意を徹底し、情報は常に公開すべきだと思いますが、所見をお尋ねします。

質問の第八は、交通対策についてです。

東部や西南部に加え、都市高速と西九州道の直結による天神地区の交通渋滞の解消は緊急の課題であります。市長は、天神一極集中の是正、国道四九五号線の拡幅と博多バイパスの延伸、福岡外環状線の整備を早急に実施すること。併せて、西鉄宮地岳線と地下鉄との直通運転を三苫まで延伸すべき、と思いますがご所見をお伺いします。

質問の第九は、水問題についてであります。

本市はもともと水資源に恵まれておらず、そのもとでの福岡一極集中の都市づくりが、周辺市町村にまで被害を及ぼしているのであります。

したがって、開発による水需要の増大を抑えること、節水策の強化をはかること、この両面で限られた水資源を有効に利用することこそ求められています。市長は、これ以上の人口、水需要を拡大する都市開発・膨張策を改め、新基本計画の策定にあたっては、制御機能を明確に盛り込むとともに、水需給計画を抜本的に見直すべきだと思いますが、お尋ねいたします。

また、海水淡水化事業は、実施例のないプラント施設でつくる水を日常の飲用水に使うなど安全性は軽視され、コストが高くなるにもかかわらず、強引にすすめられており、市長は、企業団とともに海水淡水化事業を中止して、見直しを行うこと、なお、工業用水の水道用水への転用の促進や、五ヶ山ダムの工事を凍結し、必要性について再検討するよう、県に要求すべきだと思いますが、ご所見を伺います。

質問の第十は、相次ぐ乱開発から住環境・緑を守る問題についてです。

各地でマンション建設等の開発がおこなわれ、周辺の住環境、日照障害、交通問題、自然環境破壊など、近隣住民との紛争が多発しております。市長は、建築紛争条例に「市民の住環境を守る」ことを「市の責務」と定めるなど、条例を強化するとともに、用途地域等の見直しにあたっては、建築物等の高さ制限の規制強化をはかること。また、開発行為により都心部の緑が激減しており、緑地保全の地区指定を促進するとともに、予算を大幅に増額し、市民との共同で都市緑地の保全・買取を積極的に推進すること。また、風致地区の本市の基準はすべて第三種で規制が弱く、第一種、第二種に指定し直し、開発に対する基準を強め、緑の保全に努めるべき、と思いますが、ご所見をお伺いします。

質問の第十一は、市営住宅対策の充実についてであります。 

市営住宅の入居希望者は増え続けているにもかかわらず、市長の新規住宅抑制政策によって市営住宅の不足がいっそう深刻になっております。公募倍率は一九九七年度二・三六倍と比べて五倍の一一・八〇倍にも跳ね上がり、高齢者単身住宅の倍率は四三・九三倍にも急増しているのであります。したがって、市民が住宅に困窮している今こそ、市長は「住宅は福祉」の観点に立ち、新規市営住宅を大幅に増やすとともに、高齢者単身住宅の戸数を早急に増やすべきであります。併せて、住宅供給公社が博多港開発の破綻救済のために土地を買い取るなどの住宅政策は、低廉な住宅を求める市民ニーズとは相反するもので、許されるものではないと思いますが答弁を求めるものであります。

質問の第十二は、環境行政についてであります。

一点目は、ごみ収集の有料化問題についてであります。

「循環型システム研究会」は、負担の公平やごみ減量などを理由に家庭ごみの有料化を打ち出しました。しかしながら、ごみ処理は自治体の責任で行うべき事業であります。しかも、ごみの有料化がごみ減量につながらないことは、すでに伊達市や出雲市などの実績から見ても明らかであります。したがって、家庭ごみの有料化はすべきでなく、粗大ごみ収集ももとの無料に戻すべきと思いますが、所見のほどお尋ねいたします。また、家電リサイクル法の施行によって、不法投棄や家庭内滞留が増加しております。国に対して、製造者責任を明確にするなど法の抜本改正を求めるとともに、市として低所得者のための助成制度を設けるべきだと思いますが、市長のご所見をお伺いします。

二点目は、ごみ処理基本計画の改定についてであります。

新年度、ごみ処理基本計画の改定が行われる予定となっております。ごみ減量の基本は、ごみの排出抑制、リユース、リサイクルであり、見直しに当たっては、ごみ処理における市の責任を明確にするとともに、ごみ増量ではなく、実際に減量になるように見直すべきであります。市長の所見をお尋ねします。また、臨海清掃工場への他都市からのごみ持ち込みは設立の経過と住民合意に照らして絶対に許されるものではありません。もともと、一般廃棄物は区域内処理が原則であります。したがって大野城・太宰府両市からの臨海工場へのごみの受け入れはやめるべきと思いますが、市長の明確な答弁を求めるものであります。

三点目は、東部清掃工場建て替えなど施設整備のあり方についてであります。

東部清掃工場建て替えに伴う三百トンもの増設は、現在の可燃性ごみの処理実績が計画を大きく下回っていることや臨海工場の低すぎる稼働率を見るなら、その必要は全くなく、施設規模は大幅に縮小見直しをすべきであります。同時に、ごみが増えることを前提とした施設整備のあり方はこの際抜本的に見直すべきではありませんか、ご所見をお伺いします。併せて、福岡クリーンエナジーへの清掃工場委託はやめ、直営で行うべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。

四点目は、地球温暖化対策など足元からの環境対策についてであります。

新年度、地球環境対策の推進として、低公害車の普及などの施策が提案されております。しかしながら、一方でヒートアイランドに拍車をかける自然環境破壊の人工島建設を推進するなどしており、この是正こそ必要であります。したがって、市民参加のもとでエネルギーの浪費や公共事業の無駄を無くし、低エネルギー生産・消費構造の転換を図るなど、実行ある施策を確立すべきではありませんか、ご所見をお伺いいたします。

都市づくりの最後に、新マスタープランに関してであります。

本市は、これまでの開発行政のもとで、自然環境破壊とともに、様々な都市問題をひきおこしてきました。今回マスタープランの策定にあたっては、都市膨張政策を根本的に改め、水や自然と調和し、環境、交通、住宅、福祉などを重視した市民本位のまちづくりへ転換すべきだと思いますが、市長の所見をお伺いします。


次に、清潔、公正、平和の行政推進についてお尋ねします。

質問の第一は、清潔、公正な市政を実現する課題についてであります。

本市の公共事業をめぐって河本建設談合・贈収賄事件をはじめ、副議長あっせん収賄事件、「念書」事件など汚職・腐敗事件がたて続けに発覚し、政官業の構造癒着の根深さが明らかになりました。これらの事件は鈴木・外務省疑惑と同様、議員・政治家と業界そして行政が一体となって進めた醜悪な腐敗そのものであります。公共の利益を守り、市民の福祉向上に力を尽くすべき市議会議員が、法を犯して秘密の情報をとり、業者に教え、謝礼を受け取る、また自らの利益のために口利きやハコモノ行政を誘導するなどは、絶対に許されるものではありません。したがって、政官業構造癒着の根を断つため、政治倫理条例に企業・団体献金の禁止を盛り込むとともに、退職幹部の外郭団体や民間企業への天下りを規制する措置を講ずるべきだと思いますが、市長のご所見をお伺いします。また、行政の透明性、公開性の確保を図るために情報公開条例については、非公開対象を縮小し、相手先、場所など全て公開すべきだと思いますが、併せて答弁を求めます。

質問の第二は、同和問題についてであります。

三十二年にわたる同和特別対策によって部落問題は基本的に解決しました。国はこの事態を踏まえ、いっさいの同和特別対策の終了を明確にし、そして全国的にも終結・廃止が大きな流れになっています。ところが市長は、差別が残っているとして「福岡市人権・同和行政基本方針」を定め、新年度の同和対策では、現在の百三事業のうち廃止は十八事業にすぎず、一般行政に取り込んでも実質同和特別枠として残す三十二事業、さらに特別対策としてそのまま残す四十二事業、十一事業の経過措置を含めて八十五事業は継続するのであります。同和予算は二十四億四千八百万円も計上されており、前年度比十四%の削減にしかなっていないのであります。これは同和問題の普遍化、永久化につながるもので時代逆行も甚だしいと言わざるをえません。したがって、市長は、「福岡市人権・同和行政基本方針」を直ちに撤回し、同和特別対策は全面的に廃止するとともに、解同市協議会への団体補助金四千九百三十万円は全額削除すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

質問の第二点は、同和啓発、同和教育についてであります。

今日では、同和地区住民との社会交流や結婚など各分野で国民融合が大きく前進しております。したがって、本市が行う行政主導の同和啓発は逆に部落問題を固定化させるものであり、直ちにやめるべきだと思いますが、所見をお伺いします。また、同和地区の児童生徒の不就学、進学の格差などは基本的に解消しており、同和教育は廃止するとともに、同和教育の継続を図る「人権教育基本方針」の策定は行うべきではないと思いますが、併せてご所見をお伺いします。

質問の第三は、博多港と福岡空港の軍事利用を許さない問題であります。

米国が、テロ根絶を看板にして報復戦争をアフガニスタン以外の世界に広げる動きを強め、北朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸国」だと決めつけ軍事力行使を示唆するとともに、今年を「戦争の年」にするとし、また、日本政府がこれを容認・追従する立場に立っていることは極めて重大な問題であります。市長は、自衛隊に米軍の武力行使と一体不可分の輸送・補給活動を押しつけるテロ対策特別措置法の廃止及び、有事法制定をしないよう国に要求すべきだと思いますが、所見をお尋ねいたします。また、福岡空港は、米軍機の軍事利用が強化されつつあり、市長は市民の願いである板付基地の全面返還を強く要求するとともに、博多港については、「友好・親善」「休養」「補給」など、いかなる目的であれ、米軍による博多港・港湾施設の軍事利用を許さず、「非核神戸港方式」を適用すべきだと思いますが、明確なる答弁を求めるものであります。


以上、私は、山崎市政の三年間を問うとともに、百三十五万市民のくらし、福祉、営業、教育、環境、平和等を守るため、「人間が人間らしく大切にされる市政」への転換を要求し、質問してまいりました。市長並びに教育長の誠意ある、かつ明確なご答弁を求めるものであります。長時間のご清聴に感謝し、日本共産党市議団の代表質問を終わります。

↑ 上へ戻る


>>>「2002年3月臨時議会」トップへ戻る

>>>「議会報告」一覧ページへ戻る

政策と活動
議員の紹介
トピックス
議会報告
市議会ニュース
リンク
お問い合せ

↑上へ