トップ > 議会報告 > 議会での発言と答弁 全文 > 堀内徹夫市議の議案質疑 発言と答弁全文
議会報告「発言と答弁」全文
2025年予算議会
堀内徹夫市議の議案質疑 発言と答弁 全文
音声をもとに党市議団が文字起こしし、順番をわかりやすく組み替えたものです
堀内市議私は日本共産党市議団を代表して、議案第1号令和6年度福岡市一般会計補正予算案(第5号)、議案第12号令和6年度福岡市企業等成長支援事業特別会計予算案、議案第13号福岡市企業等成長支援事業特別会計条例案、議案第14号福岡市企業等成長支援基金条例案、議案第15号福岡市乳幼児等通園支援事業の設備及び運営の基準を定める条例案に関して質疑を行います。
九大ファンド
堀内市議質問の第1は、議案第1号、12号~14号の福岡市企業等成長支援事業についてです。これらの議案は、九州大学が全額出資する子会社「株式会社九大OIP」などが設立した「九大イノベーションチャレンジファンド」に本市が5億円を出資するために、特別会計と支援基金を新たに作るものです。九大ファンドには、本市5億円の他、福岡県5億円、九大5億円と、その他金融機関等から、合計25億円以上の規模で出資や寄付が想定され運用されます。福岡市が九大ファンドへ出資し支援する目的については、「新たな産業や雇用の創出」としていますが、この問題点について質してまいります。
大学支援のあり方(1問目)
堀内市議質問の1点目は、本市が公金5億円の出資をすることについてです。九大は国立大学法人であり、本来、支援しなければならないのは国です。しかし、自民党政治のもとで大学に配分する国立大学法人運営費交付金が2004年からの20年間で1631億円も削減されました。さらに、研究予算の「選択と集中」により政府の意を汲む、すなわち「稼げる大学」に研究を手厚く支援しようと動きが大きくなり、学問の自由や大学の自治が壊されてきました。そこでお尋ねいたしますが、本市が九大に公金を出して支援するのではなく、本来は国が支援するべきものだと思いますが、答弁を求めます。
経済観光文化局長企業等成長支援事業についてのご質問にお答えいたします。まず国が支援すべきとのお質しでございますが、「九大イノベーションファンド」につきましては、九州大学から福岡市に対して出資の要請があったものでございまして、市が出資することによって民間資金を呼び込み、九大OIPや専門人材による伴走支援が可能となり、成長性の高い研究開発型スタートアップを持続的に創出し、社会課題の解決を図るとともに、新たな産業や雇用の創出につなげるものであることから出資するものでございます。
いびつな税金投入では(1問目)
堀内市議本市は半導体関連企業等の集積を図ろうとし、九大は半導体関連企業との連携を強化しようとしており、そういう中で今回の支援が打ち出されています。今、国は、2030年度までに10兆円の公的資金を半導体分野に投入する計画を示すなど、成長分野として育てようとしていますが、その評価については賛否両論があります。本市がこうした流れに乗って、半導体関連企業等を想定した出資を行うことは、特定の企業等に利益をもたらすものになり、公金の運用として問題です。そこでお尋ねいたしますが、九大ファンドに本市が5億円も出資することは、半導体産業などの特定産業分野への支援を想定しており、このような税金投入はいびつな支援だと思いますが、答弁を求めます。
経済観光文化局長支援のあり方につきましては、民間による資金供給が十分ではない九州大学の研究成果を支援するものでございまして、特定の産業に限定した支援を想定しているものではございません。
半導体分野への支援、スタートアップの正当化(2問目)
堀内市議大学への支援のあり方をお聞きいたしましたけど、産業や雇用の創出につながるかのように表現されました。しかし、儲かればいいというのは、大学のあり方じゃありません。また市内にはたくさんの大学や高等教育機関がある中で、なぜ九大だけなんですか。さらには、私が確認したところ、ある九大の先生は、「文系は蚊帳の外で問題だ」と九大ファンドの事を指摘されていましたよ。そこでお尋ねいたしますが、今回の大学支援のやり方は不平等であり、自治体が支援するあり方としてはおかしいのではないかと思いますが、答弁を求めます。
また、半導体産業などの特定産業分野への税金投入は、いびつな支援ではないかとお聞きいたしましたが、これも「民間資金を呼び込む」などと答弁をされました。雇用の創出も不安定であり、事業の先行きも不安視する声は出ています。そういうものに公金を出していいのかが問われているんですよ。いま、国は半導体分野の支援に躍起になっており、ラピダスやTSMCなどにそれぞれ1兆円を超える補助金を出すと報じられています。この特定の関連企業等への交付金の出資とは、まさにいびつです。お尋ねいたしますが、半導体に特化する国の流れに乗っかって、失敗するかもしれない危険な事業に巨額の公金を支出するのは問題だと思いますが、答弁を求めます。そもそも本市はスタートアップに力を入れて重点政策を取り組んできましたが、雇用や税収の成果が不明瞭であり地域経済への影響はわからないのが現状です。そこでお尋ねいたしますが、そういうスタートアップ事業に九大の研究を味方につけて正当化しようとしているのが、実態ではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
経済観光文化局長大学支援およびスタートアップ支援についてでございますが、「九大イノベーションファンド」については、九州大学から福岡市に対して出資要請があったものでございまして、市が出資することによって民間資金を呼び込み、九大OIPや専門人材による伴走支援が可能となり、成長性の高い研究開発型スタートアップを持続的に創出し、社会課題の解決を図りますとともに、新たな産業や雇用の創出に繋げるものであることから、出資するものでございます。
次に、半導体に関するお質しでございますが、九州大学は半導体や健康・医療、環境・脱炭素、農水産など強みを有する分野を初め、各分野に豊富な人材を有しており、ファンドによる研究成果の事業化支援によりまして、半導体を含みます研究成果の社会実装担う人材の育成に寄与し、その高度な人材の集積を半導体の設計分野など、研究開発機能を中心とした企業の集積に繋げることで、税収の増加や雇用の創出を図ってまいりたいと考えております。
市の関わりと市民へどう還元されるのか(1問目、2問目)
堀内市議2点目は、九大ファンドの運用内容についてです。福岡市は出資することによって、有限責任事業組合に属することになります。そこで、事業選定に関して、出資する本市はどのように関与できるのか答弁を求めます。あわせて、今回の出資が市民生活にどのように還元されるのか、答弁を求めます。
経済観光文化局長支援対象の選定につきましては、大学の研究成果や事業化支援、知的財産、特許等に関して高度な専門性を有する九大OIPに加え、ビジネスにも知見を有する外部の有識者において候補を選定の上、福岡市を含む全ての組合員の同意により決定することとなります。また、市が出資することによって民間資金を呼び込み、九大OIPや専門人材による伴走支援が可能となり、成長性の高い研究開発型スタートアップを持続的に創出し、社会課題の解決を図るとともに、新たな産業や雇用の創出につなげるものでございます。
堀内市議本市の出資によって関与できるかと尋ねたところ、市の意見は反映されるようなことを言われました。しかし、事業選定の内容にどう関わるかなど、ガイドラインも公文書も、現瞬間は全くありません。例えば本市の出資金が特定の大企業や戦争のための研究に使われる可能性だって否定できません。さらに市民への還元については、全く具体性のない答弁でした。結局、九大ファンドの支援の内容に関与もできず、5億円を出しても市民生活には還元されない、こんな公金の支出の仕方がありますか。そこでお尋ねいたしますが、本市の5億円の拠出はあまりにも無責任だと思いますが、答弁を求めます。
経済観光文化局長ファンドの運用につきましては、支援した研究成果を基に起業される際に、新株予約権等を取得し、企業価値の上昇時に株式を売却することなどにより得られた利益を新たな研究成果に投資するという仕組みでございまして、毎年度、進捗状況の報告を求めるとともに、専門事業者によるモニタリングを行うこととしております。
市長答弁(3問目)
堀内市議本市が5億円を出資し、半導体を始めとする特定産業だけを支援する、また国の「稼げる大学」支援に乗っかって九大だけを支援するというものであることがはっきりしました。全く不平等です。これらの問題を指摘しても、局長は全て問題なしと言われましたが、民間企業が出資するんじゃないんですよ。5億円の原資は市民の税金なんです。こんなお金があるんだったら、学生の学費や奨学金の返済支援こそに回すべきです。したがって、このような問題だらけの九大ファンドの関連議案については、全て撤回するべきだと思いますが、市長のご所見をお伺いいたします。
市長「九大イノベーションファンド」につきましては、民間による資金供給が十分ではない九大の研究成果を支援するもので、市が出資することによって民間資金を呼び込み、九大OIPや専門人材による伴走支援が可能となって、成長性の高い研究開発型のスタートアップを持続的に創出し、社会課題の解決を図るとともに、新たな産業や雇用の創出につなげるものであることから出資するものでございます。
物価高騰対策
堀内市議質問の第2は、議案第1号令和6年度福岡市一般会計補正予算案(第5号)中、物価高騰対策重点支援地方交付金活用事業についてです。
国の物価高騰対策の規模について(1問目、2問目)
堀内市議1点目は、政府の物価対策の規模とメニューについてです。政府は、エネルギー・食料品価格などの物価高騰の影響を受けた生活者や事業者への支援事業として、昨年秋の新しい国会で、物価高騰対策の補正予算が可決されました。それを受けて、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金1兆1千億円が都道府県と市町村に給付されました。これには、低所得世帯支援枠として住民税非課税世帯当たり3万円が給付される。5千億円の枠組みと、地方自治体が地域の実情に合わせて必要な支援を細やかに実施できる「推奨事業メニュー」6千億円とがあります。そこでお尋ねいたしますが、「推奨事業メニュー」6千億円のうち、本市に来たのは26億円ですが、これで、いまの市民生活への支援としてふさわしい規模だと考えているのか、答弁を求めます。
財政局長物価高騰対策に関する質問にお答えいたします。国から示された物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の交付限度額につきましては、各自治体における人口や物価上昇率、財政力等を基礎として算定されたものでございまして、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地方公共団体が地域の実情に合わせて必要な支援を実施できるよう、交付されております。
堀内市議次に、政府の物価対策の規模とメニューについてです。26億円について、実情に合わせてやっていくんだというふうに言われましたが、実際にはそうじゃないことは今までの議論の中でもはっきりしました。縷々質してきたように全く足りません。これで適正な対策になっているなど開き直るなど許されません。帝国データバンクによると2024年の企業倒産件数は3年連続増で1万件に迫っており「物価高倒産」が過去最多を大きく更新したと報じられています。全国で中小企業者や福祉施設等の施設運営者が塗炭の苦しみに今直面しているんです。したがって、そもそも26億円では足りず、国に対して大幅な追加支援を求めるべきだと思いますが、答弁を求めます。
財政局長物価高への対応に係る国への要望につきましては、令和6年7月に行った指定都市要望の中で、地方向け交付金について、財政力に関わらず、必要額を措置することなどを求めております。今後も必要に応じ、他の指定都市と連携して国に要請を行ってまいります。
中小企業者支援・対象について(1問目、2問目)
堀内市議2点目は、燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援についてです。本事業は市民や中小企業者を対象として、電気、ガス、燃油などの価格高騰分の補填として、令和6年8月~10月と令和7年1月~3月の6ヶ月分のみを支援するものです。しかし、以前からわが党が指摘してきたように、物価高騰の大きな影響を受けている資材や食材については、支援の対象となっておりません。今回、この問題について何も改善されないまま提案されていることは看過できません。そこでお尋ねいたしますが、以前にも増して市内中小事業者には厳しい経営状況が広がっている中で、支援対象がこれまで通りの電気、ガス、燃油などだけに限定されているのは、おかしいのではないかと思いますが、答弁を求めます。
経済観光文化局長支援の対象につきましては、燃料費等の高騰による影響が様々な業種において生じておりますことから、多くの事業者に共通する経費である燃料費および光熱費について支援するものでございます。
堀内市議補正予算での中小企業者への支援対象が限定されているのはおかしいのではないかとお聞きいたしましたが、「適切」との答弁をされました。冷たいですね。南区のある工務店さんは住宅リフォームを手がけられていますが、物価高騰でキッチンユニットやユニットバスが2割から3割値上がりしたそうです。契約から完成まで数ヶ月かかることもあり、資材価格が短期間で急上昇したので、最初に決めた価格では予算も合わなくなり、赤が出た部分もあると言われています。しかし今回の支援では、電気、ガス、燃油などだけで、多くの中小企業者が求めている資材や食材への支援がありません。そこでお尋ねいたしますが、資材や食材を含めた支援に支援対象の範囲を広げるべきではありませんか。答弁を求めます。
経済観光文化局長支援の対象については、燃料費等の高騰による影響が様々な業種において生じておりますことから、市内中小企業を幅広く支援するため、多くの事業者に共通する経費でございます燃料費および光熱費について支援するものでございます。
中小企業者支援・金額について(1問目、2問目)
堀内市議申請の手続きの煩雑さに比べ、影響額の2分の1の支援では支援金額が少なすぎるという指摘も、申請者から多数出ていました。そのために申請を諦めるという人も少なくありません。そこでお尋ねいたしますが、今回も従前と変わらない影響額の2分の1という支援金額では今の物価高騰による負担増に見合っていないのではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
経済観光文化局長支援額につきましては、本来上昇したコストは価格に転嫁し、賃金の上昇につなげることが肝要であることなどを踏まえ、価格高騰による影響額の2分の1とするものでございます。以上でございます。
堀内市議影響額の2分の1の支援金額では少ないのではないかとお聞きいたしましたが、ここでも適切かのような冷たい答弁をされました。前回の支援金でガソリン代を申請された方は5千円しか出ませんでしたと言われています。仕事を休んで経理をしてまでする意味がないと言われているんですよ。そこでお尋ねいたしますが、支援内容を影響額の2分の1などとせず、その割合を引き上げるべきだと思いますが、答弁を求めます。
経済観光文化局長支援額につきましては、本来上昇したコストは、価格に転嫁し、賃金の上昇につなげることが肝要であることや、化学構造による影響が広範にわたり、市内中小企業を幅広く支援する必要があることなどから、価格高騰による影響額の2分の1とするものでございます。
介護・障害者施設等への支援(1問目、2問目)
堀内市議3点目は、介護・障害者施設等への電気代、食費支援についてです。この制度は、電気代・食費高騰の影響を受けた市内介護施設、障害者施設等に対して、価格高騰相当分の電気代及び食費代に限って支援を行うとされているものです。南区のある障害者支援施設は、電気代が3年前と比べて月額20万円多くかかっていると言われています。しかし、この施設がもらえる支援金を試算すると12万6千円にすぎず、これは1ヶ月の電気代高騰による負担増分にも届きません。そこでお尋ねいたしますが、今回の支援額の計算根拠について答弁を求めます。また、物価高騰で施設運営が大変な中、今回の支援額では足りないと思いますが、答弁を求めます。
福祉局長介護・障害者施設等への物価高騰対策についてのご質問にお答えいたします。支援金の単価については県と同じとしており、県の単価につきましては、複数の施設、事業所の電気料金および食材料費の実績に、令和5年度からの物価上昇率を反映させて設定したと聞いております。物価上昇率は、高圧電気料金が8.8%、低圧電気料金が11.4%、食材料費が15.0%と設定されております。次に、支援額についてのお尋ねですが、国から福岡市分として交付される重点支援地方交付金を活用し、必要な給付を行うものでございます。以上でございます。
堀内市議電気代の支援額の根拠を聞きましたが、県に準じたということですね。私が調べたところ、県の算定の起点は昨年3月とされているんですよ。福岡市消費者物価指数を見ると、物価上昇が始まる。2021年の平均と比べて、この時点で、昨年の3月時点で既に7%も上昇しているんです。これと、昨年の夏との差で、算定出していますから、たった1%の物価上昇分しか算定をあなた方していないんですよ。比較するのであれば、物価上昇が始まる2021年平均と比べるべきであり、このような県の算定方法を使っているのでは実態に合った支援とはなりません。また、この支援額では足りないとただしましたが、全く不足しているという認識もない答弁でした。現場からは1ヶ月分の電気代高騰による負担増分にもならない支援では全然足りない、そういう声が溢れているんですよ。したがって、介護・障害者施設への電気代の支援については、抜本的に支援金額を見直すべきだと思いますが、答弁を求めます。さらに、介護・障害者施設の現場からは、今回の電気代、食費の支援では全然足りないし、施設利用者の送迎などに欠かせない支出であるガソリン代の高騰への支援がないことへの声も上がっています。お尋ねいたしますが、介護・障害者施設への支援について、その対象範囲を電気代・食費に限定せず、ガソリン代を含めたものにするべきだと思いますが、答弁を求めます。
福祉局長支援が不十分ではないかとのお尋ねですが、県において、物価高騰の状況を踏まえて適切に支援の対象および単価を設定されたものと考えており、国の交付金を活用し、県と同じ対象、単価により必要な支援を実施するものでございます。
保育所等への支援(1問目、2問目)
堀内市議4点目は、保育所等への電気代支援についてです。この制度は、電気代高騰の影響を受けた市内保育所等に対して、電気代の価格高騰相当分に限って支援するものであります。南区のある保育所で毎月の電気代について調べてもらったところ、3年前には月13万円ぐらいであったのが最近は約20万円になっており、実に7割近い負担増となっています。しかしこの保育所への今回の支援額を試算するとわずか約10万円で、これは2ヶ月分の高騰分もありません。さらに物価高騰は食材費にも及んでおり、施設運営は火の車だと言われています。そこでお尋ねいたしますが、今回の支援額の計算根拠について答弁を求めます。また、この支援額では足りないと思いますが、答弁を求めます。
こども未来局長保育所等への物価高騰対策支援についてお答えいたします。今回実施予定の支援は、福岡県の補助制度を活用するものであり、その単価については、県において複数の施設の電気料金の実績に令和5年度からの物価上昇率を反映させて設定したと聞いております。物価上昇率は、高圧電気料金が8.8%、低圧電気料金が11.4%と設定されております。また今回の支援額につきましては、物価高騰の影響を受けた事業者の負担軽減のために国から交付される臨時交付金や県の補助制度を活用し、福岡県の補助要件に合わせて適切な支援を行うものでございます。
堀内市議電気代の支援額の単位の根拠について、こども未来局の計算も福祉局同様に、物価高騰対策とはいえない、いい加減なものであることがわかりました。本来、本市の保育所が物価高騰で何がどのくらい負担増になっているかの実態を調べて、その分への支援をするべきです。県の数字では、どこのどういう形状の保育所のデータかもわからないものであり、それを本市との関連性などを全く吟味することもなく、県の単価の数字だけを使って電気代の支援額を決めたという。あまりにも無責任な対応です。さらにこの支援金では足りないのではないかと質したのに対し、否定されました。全く足りませんよ。あなた方、実態全然見てないでしょう。子どものいる施設では、暖房は火は使えず、どうしても電気に頼らざるを得ません。また、子どもの健康管理の上でも、どうしても空調・換気設備をフル回転させなければならない。その電気代への支援が1ヶ月の負担増を少し上回るだけでは、物価高騰の影響を受けているのは、他にも食材費などの支出もあるわけですから、保育所の運営は財政的にも大きな困難に今、直面しているんです。そこでお尋ねいたしますが、保育所の電気代支援は抜本的に増やすべきだと思いますが、答弁を求めます。
こども未来局長今回の物価高騰対策支援については、県の補助要件に合わせており、県において物価高騰の状況を踏まえ、適切に支援額の単価が設定されたものと考えております。
庁舎建設等資金積立金について(1問目、2問目)
堀内市議5点目は、庁舎建設等資金積立金についてです。今回の補正予算の中で「庁舎建設等資金積立金の追加」80億円が計上されております。この積立金は、学校施設、市営住宅などの市有施設の老朽化に伴って、維持管理する財源として積み立てるものだとされています。物価高騰で市民が暮らしに困窮して支援を求める中で、80億円もの積み立てをこのタイミングで行うのかということが問われます。そこでお尋ねいたしますが、庁舎建設等資金積立金の当初予算はいくらだったのか、また今回補正で80億円を計上する理由とその財源について答弁を求めます。
財政局長庁舎建設等資金積立金の令和6年度当初予算の額は、利子収入積立金として1億8900万円余を計上いたしております。次に、今回の追加補正の理由についてですが、同積立金は条例の規定に基づき、公共施設の建設、増築、改築、改修、設備更新等に充てる経費として積み立てを行うこととしております。令和3年6月に策定したアセットマネジメント推進プランにおいて、公共施設の建て替えや改修などに要する費用は、今後30年間で約2兆4600億円と試算しており、これはプランを策定した令和3年度の関連予算の30年分と比べ、約5600億円上回ることなどを踏まえまして、持続可能な財政運営の観点から、一般財源の状況等を踏まえて80億円を積み立てることとしたものでございます。また、同積立金の財源は、市税を初めとした一般財源でございます。以上でございます。
堀内市議財政局長は、アセットマネジメントに必要だから積み立てると言われます。今、80億円を積み立てる理由は何もありません。庁舎建設等資金積立金の当初予算は1億8990万円だと言われました。たまたま今回税収が想定以上に増えたのでその税収をかき集めてきたということでしょう。これはお金があるときは、当初予算の40倍を超える補正予算を積み立てる、なかったら積み立てないということであり、全く杜撰な財政運営です。さらに、アセットマネジメント自体がいい加減な計画であることも吐露されたわけですよ。したがって、80億円の税収分を不要不急な庁舎建設等資金積立金へ積み上げるのはやめて、緊急に必要な物価高騰対策に振り替えるべきだと思いますが、答弁を求めます。
財政局長庁舎建設等資金積立金につきましては、将来の公共施設の建て替えや改修に備え、積み立てを行うものでございます。今後も市民が市有施設を安全安心に利用できるよう維持し、良質な公共サービスを持続的に提供していくため、一般財源の状況等を踏まえながら基金への積み立てを行ってまいります。以上です。
市長答弁(3問目)
堀内市議中小企業についても、それから介護・障害者施設についても保育所についても、いずれに対しても支援の上乗せ拡充を拒否されました。現場の求めからかけ離れています。しかも、支援を求める多数の市民には何の恩恵も今回ありません。そして、不要不急の庁舎建設積立金80億円については固執し、生活支援には振り向けようともしない。物価高騰対策は自己責任だと言わんばかりです。これでは物価高騰対策とは名ばかりです。したがって、物価高騰対策に充てる市独自の財源をつくり、中小企業者、介護・障害者施設、保育所などへの支援に上乗せ、横出しをするべきだと思いますが、市長のご所見をお伺いいたします。
市長福岡市ではこれまでも国の交付金等を活用しながら、学校給食の高騰対策や低所得世帯への給付金など、様々な物価高対策に取り組んできたところでございます。今般、物価高が依然として続いている中、国からの交付金に加え、独自に福岡市の一般財源も追加することで、中小企業等に対するエネルギー価格高騰への助成をはじめ、介護、障害者施設、保育所などへの支援や、商店街プレミアム付き商品券の発行など必要な経済対策を実施するものでございます。今後とも国の経済対策や物価高の状況を踏まえ、必要に応じ、国へ要望するとともに、必要な施策に着実に取り組んでまいります。
こども誰でも通園制度
堀内市議質問の第3は、議案第15号福岡市乳幼児等通園支援事業の設備及び運営の基準を定める条例案についてです。これはいわゆる「こども誰でも通園制度」について、設備や運営の基準を条例で定めるものです。「こども誰でも通園制度」は国が2026年度からの本格実施に向けて試行的事業としてすでに実施しているものであり、就労要件を問わずに保育施設等を利用できる制度です。しかし、保育士や関係団体からは「誰でも通園制度」への不安の声が上がっています。
預けられる子どもへの影響(1問目)
堀内市議まず、この制度によって、預けられる3歳未満の子どもは、一番の安全地帯である自分の親と一時的にも離れなければならなくなります。さらに、その離れた先で、週に1回会うか会わないかの大人たちや同じ年齢の子どもたちの中での生活を余儀なくされます。そこでお尋ねいたしますが、試行的事業で預けられる子どもにとっては大きなストレスとなるとなるなど悪い影響が出ているのではありませんか。答弁を求めます。
こども未来局長乳児等通園支援事業についてお答えいたします。子どもへの影響につきましては、毎週定期的に預かることにより、保育士による関わりや集団生活の体験が得られ、子どもの成長促進、食生活の改善といった効果が見られております。また、保護者が保育施設での子どもの様子を見聞きすることにより、家庭での育児の参考となったり、育児について、保育士に相談できるようになったことで、孤立感や不安感の解消にもつながり、保護者の負担軽減が子どもにも良い影響を与えることにもつながっております。
在園児への影響(1問目)
堀内市議条例案に定めてある余裕活用型乳幼児等通園支援は、いわゆる定員割れをしている保育所に子どもを一時的に預かりをしてもらうという制度です。この制度により既存の子ども集団クラスは、日替わりで「誰でも通園」の子どもと生活することになります。試行的事業では、クラスが落ち着かず、噛みつきやおもちゃの取り扱いなどに変化はなかったのでしょうか。お尋ねいたしますが、毎日通園しているクラスの子どもたちに負担を与えることはなかったのか、答弁を求めます。
こども未来局長在園児への影響につきましては、事業開始直後は、新たな子どもが入所したことによる戸惑いなども見られましたが、次第に落ち着いて過ごすようになったとお聞きしております。
職員への影響(1問目)
堀内市議保育所職員への影響はどうでしょうか。保育所では、保育士の給与が少なすぎる問題、実態と合わない配置基準が保育士の多忙を生んでいる問題、それらが絡み合って、慢性的な人手不足であることが、問題山積しているわけです。このような問題を解決することなく、この預かり事業を拡大したことによって、保育所職員に大きな負担増となったのではないかと思いますが、答弁を求めます。以上で1問目終わりにも目以降は自席にて行います。
こども未来局長保育所や職員にとっての負担につきましては、事業に従事している保育士からは、預かり直後は子どもが泣くので大変だといった声もございましたけれども、子どもも次第に環境に順応することで負担も軽くなったとお聞きしております。また、子どもの成長に触れ、地域の子育て支援に関わっている実感があるとの声もお聞きしており、本事業の実施が保育士の仕事のやりがいにつながっているものと考えております。以上でございます。
保育の場を不安定にしてしまう(2問目)
堀内市議預けられる子どもへの悪影響をお聞きしましたが、何も問題ないかのように言われました。特に子どもに対する視点が欠けています。預けられる子どもは0歳児からです。保育関係者が心配しているのは絶対的に0歳児の保育室での事故が多いからです。また、これまでにかかった病気や、医師からの指摘などの情報である既往歴について預けたいと思う親、親が正確な情報を保育所に伝えないままに預かりが始まる可能性についても危惧されています。喘息やひきつけが起きたときの対応など命に関わる問題になります。さらに毎日通園している在園児たちは、いつも一緒にいる仲間の中に知らない子が日替わりでやってくることになります。子どもたちにストレスが生じるのは当然です。にもかかわらず、何も問題ないと言い張る、あなた方の態度こそ大問題です。保育所の職員も負担増になるのではないかとお聞きしましたが、これについてもいい加減な局長の答弁でした。保育士は、今までの集団の1人1人を見ながら成長を見守っておられます。それまでの集団の中に新しい子が入ってくる。保育士と子どもたちとの関係が日々大きく変わるんです。「誰でも通園制度」の対象である3歳未満の子どもというのは、親との心理的距離を次第に取り、人間関係を広げながら発達していきます。そのため、周囲の大人による丁寧な支えと関わりが必要となりますが、「誰でも通園制度」には、その視点が全くないと、保育関係者は声を上げています。お尋ねいたしますが、試行実施で何も問題ないと言い切るような行政の姿勢では、「誰でも通園制度」によって安心できる保育の場を不安定にしてしまうことになると思いますが、答弁を求めます。
もう一つ重要なことは、誰でも通園制度により、子どもたちの集団に大きな変化が生じるわけですが、それに対する保育士の専門性を低くする制度になっているということです。条例案第23条の2では、国家資格を持つ保育士は、職員の半分以上でよしとしています。これでは日々変わる子どもたちの命の問題となりかねません。子どもは不安を訴え、泣き、怒り、駄々をこねます。これは自然なことです。その子どもの表現を理解し、受け止めてくれる専門家である保育士がいるから、子どもはその葛藤を乗り越えて、もっと広い人間関係や空間で生活することができるようになるんです。しかし、「誰でも通園制度」では、その体制は取れません。したがって、保育士は職員の半分で良しとするこの制度は、子どもの命と健康にとって問題だと思いますが、ご所見をお伺いいたします。以上で2問目を終わります。
こども未来局長今年度の事業実施に当たりまして、保育士資格を有する市の職員が実施施設を巡回し、適切に運営されていることを確認しております。次に、職員の配置基準につきましては、国の検討会における専門家の意見や、内閣府令で示された基準を踏まえ、類似事業と同様に、必要な研修を受講した人員人材を配置することも可能となっております。また、市の補助金を活用して保育士を増員し、保育の質が維持されているものと考えております。以上でございます。
市長答弁(3問目)
堀内市議局長は、保育の場を不安定にしてしまう制度の問題を指定し、専門職である保育士を半分で問題なしとしている条例の規定の問題について、それでよしと言われました。現場の苦労の上にあぐらかいているんじゃありませんか。現場では関係者が必死になって子どもたちを守っているから、あなたここで問題ないと言えるんですよ。保育とは、乳幼児を適切な環境のもとで発達させる営みです。保育所では、児童福祉法と保育指針に基づき、朝から子どもたちの健康状態に気をつけながら受け入れて、年齢や発達に合わせた遊びや活動、生活などの体験を通した総合的な関わりの中で、子どもの成長の援助を行っているんです。その保育の現場の環境を、この条例案は大きく変えようとしています。このままでこの実施拡大は保育所を単なる保育所に託児所に変質させようとする暴挙でしかありません。専門職員が半分でも危険性の高いゼロ歳児からの預かりも問題ないという。「こども誰でも通園制度」を認めるわけにはいきません。したがって「こども誰でも通園制度」については、現状のままでは全く開始できる状況ではなく、保育士の配置の改善など保育現場の整備をするまでは実施すべきではないと思いますが、市長の答弁を求めて、私の質問を終わります。
市長乳児等通園支援事業につきましては、福岡市は国の基準に独自の上乗せをした福岡市型のこども誰でも通園制度を実施しており、子どもの成長促進、食生活の改善、保護者の育児負担軽減など、子育て支援に大きな効果が見られ、利用者や実施事業者にも高く評価されております。今後とも、市民の皆さんが安心して産み育て、子どもが健やかに成長していけるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
九大ファンド、中小企業や福祉施設等の物価高騰対策、こども誰でも通園制度を問う(2025年2月17日 堀内徹夫市議の議案質疑)