トップ > 議会報告 > 2024年12月議会 > 議会での発言と答弁 全文 > 中山郁美市議の議案質疑 発言と答弁全文

議会報告「発言と答弁」全文

>>> 「議会での発言と答弁全文」一覧へ

2024年12月議会

中山郁美市議の議案質疑 発言と答弁 全文

音声をもとに党市議団が文字起こしし、順番をわかりやすく組み替えたものです

  1. 物価高騰緊急支援給付金
  2. 第10次福岡市基本計画
  3. 拠点文化施設

中山市議皆さんおはようございます。質疑に入ります前に、一言申し上げます。昨日、ノルウェーオスロで日本被団協がノーベル平和賞を受賞されました。学生時代から原水爆禁止運動に身を置いてきた1人として心から祝意を表しますとともに、長年のご努力に感謝申し上げます。これを機に日本政府が核兵器禁止条約に参加し、本市においては、一刻も早く非核都市宣言が行われることを心から祈念するものであります。

私は日本共産党市議団を代表して、議案第185号令和6年度福岡市一般会計補正予算案(第4号)のうち、物価高騰緊急支援給付金、議案第254号第10次福岡市基本計画、議案第198号福岡市拠点文化施設条例の一部を改正する条例案について質疑を行います。


物価高騰緊急支援給付金
給付金について

中山市議まず、物価高騰緊急支援給付金についてです。現下の物価高騰はとどまるところを知らず、各方面に深刻な打撃をもたらしています。10月に行われた衆議院解散総選挙では、政治と金の問題に加え、国民の大きな関心時は経済対策であり、市民生活をいかに応援する政治をつくるのかが問われたのであります。そこでまず、収束のめどが立たない現在の物価高騰に対し、髙島市長は市民生活への影響について、その深刻さをどう捉えているのか、ご所見を伺います。

福祉局長物価高に係る支援給付金についてのご質問にお答えいたします。物価高につきましては、賃上げなどの動きが見受けられるものの、賃金上昇が幅広く波及するまでには一定の時間を要することなどから、家計への影響が生じているものと認識しております。

中山市議選挙後、発足した第2次石破内閣は、物価高騰緊急支援給付金を含む物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の追加補正を閣議決定し、現在行われている臨時国会でこれが審議されており、可決されれば全国の自治体に通知するとされております。本市ではこれを踏まえ、本議会において本給付金の給付に必要な予算補正が提案されているものであります。そこで今回想定されている給付金の対象、金額、給付のスケジュール、並びにこれまで同様、民間大企業に給付業務を委託するのかについてお尋ねをいたします。

福祉局長給付金の対象や金額等につきましては、国から示された内容に沿って、住民税非課税世帯に1世帯当たり3万円、そのうち子育て世帯については、子ども1人当たり2万円を加算して支給することとしており、国から制度の詳細が示され次第、速やかに支給できるよう準備を進めてまいります。また、事業の実施手法については、業務委託により実施したいと考えております。以上でございます。

中山市議物価高騰の影響について局長は、一定の影響はあるということを認められたものの、その深刻さには言及されませんでした。捉え方が甘いと言わなければなりません。この物価高騰はとりわけ低所得世帯に大きな打撃となっています。生活保護世帯や非課税の年金生活者では、保護費や年金収入は実質減り続ける中、襲った物価高騰の影響で「暑くてもエアコンはつけない。外出は極力控える」等が珍しくない状況へと追い込まれ、憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活は到底保障されておりません。局長の答弁によれば今回の緊急支援給付金については非課税世帯に1世帯3万円、対象世帯に子どもがいれば1人につき2万円ずつ上乗せされるとのことですが、これでは非課税世帯の経済的困窮を打開するものには程遠いと思いますが、ご所見を伺います。

福祉局長給付金の対象や金額等につきましては、物価高や家計の状況等を踏まえ国において適切に設定されているものと考えております。

中山市議給付スケジュールについては国が基準日を示すのを待ってからと悠長な考え、これを示されました。国が示してからだと、その他人事の姿勢は問題です。この時期は年越しに様々な出費がかさむ時期であり早急に対象者の手元に届ける必要があります。国の決定を待たなくても市の判断で年内、若しくは年明け早々に給付する手立てをとる必要があるのではありませんか、ご所見を伺います。

福祉局長給付のスケジュールにつきましては、国から制度の詳細が示され次第、1日でも早く支給できるよう準備を進めてまいります。

中山市議給付の対象についてはこれまでのほとんどの給付金と同様、今のところ非課税世帯に限るとのことですが物価高騰の影響を受けているのは非課税世帯ばかりではありません。本市のホームページで確認すると、給与収入が100万円を超えるところから住民税は課税される。つまり例えばパートなどで月々の収入が9万円しかなくても、課税世帯となり今回の給付金の対象から外されます。病気や災害で親を亡くした子どもなどを支援している「あしなが育英会」が今年7月に行った調査では、奨学金制度を利用している子どもの保護者のうち、9割を超える人が「収入が物価上昇をカバーできていない」と回答するなど厳しい現状が浮き彫りになりました。販売業の収入と遺族年金で月の収入が20万円前後というある母親は、昼食抜きで1日2食、入浴は2日1回、こんな実態が明らかになっています。これらは、非課税世帯のみを対象とする給付金では支援を必要とする多くの世帯を置き去りにすることを示しているのではないかと思いますが、ご所見を伺います。またこのやり方はこれまで同様、非課税か課税かの違いによって機械的に対象者を選別するものであり国民の中に分断をもたらすやり方だと思いますが、ご所見を伺います。

福祉局長給付金の対象等につきましては、本給付金は非課税世帯への支援として、国から一定の条件が示され全国的に実施されるものであり、国において適切に制度設計されているものと考えております。

中山市議給付方法については、またも民間大企業に業務を委託して行うとのことです。新型コロナが襲った最初の定額給付金10万円の際には本市が当初約7億円で業務委託した株式会社パソナはまともな仕事をせず給付時期を大幅に遅らせたため市職員まで動員された問題について、住民監査請求まで起きました。しかも市からの委託費のうち業務に従事した労働者に支払われるべき賃金分の多くが会社側にピンハネされていました。その他の各種給付金等の大規模業務委託においても数々の問題が浮き彫りになりました。今回も大規模業務委託で進めるなら給付の遅れや不適正な賃金での働かせ方が繰り返されるのではないか、ご所見を伺います。

福祉局長業務委託により実施することにつきましては、民間のノウハウを活用することにより短期間で確実な業務遂行が期待できるものと考えております。従事者に対しては相応の賃金が支払われるものと考えております。以上でございます。


市民生活への支援について

中山市議地方創生臨時交付金には非課税世帯給付金以外にも、約6千億円分の「推奨事業メニュー」が示されており、エネルギー・食料品価格等の物価高騰に伴う低所得世帯支援や学校給食費等の支援をはじめ、事業者支援等8項目のメニューが示されております。なぜこれらのメニューを活用しないのか、市民生活への支援は非課税世帯への給付金だけで十分だと考えておられるのか、お尋ねをいたします。コロナ禍で大きな傷を受けた市民生活は、新型コロナが5類に移行された後も、襲い続ける物価高騰によって回復のめどが立たない状況です。コロナ禍においては国の支援対象にならないものについても飲食店へのテイクアウト支援や学生への給付等、市独自制度が実施されました。そこで、現在の市民生活の状況からすれば、少なくともコロナ禍に匹敵する規模の独自対策も必要ではないか、ご所見を伺います。

財政局長支援給付金についてのご質問にお答えします。国の重点支援地方交付金を活用した追加の経済対策につきましては、国の補正予算成立後に示される福岡市への交付額などを踏まえ検討してまいりたいと考えております。なお、住民税非課税世帯への給付金につきましては、国から一定の条件が示されていることから、できる限り速やかな給付に向けて補正予算案を提出いたしたものでございます。以上です。

中山市議国が示す給付金以外の「推奨事業メニュー」について活用しない理由についての局長答弁、国が示してないからということでしたが、納得できるものではありません。国は8つのメニューとして、物価高騰に伴う負担軽減のための低所得世帯支援を既に上げています。非課税世帯以外への支援はこれを活用できます。また、子育て世帯への学校給食費等の支援も示されており、給食無償化に対する大きな要求を踏まえれば活用しない手はありません。医療・福祉施設等への物価高騰分への支援も示されており、これも活用しないというのは理解できません。これらの「推奨メニュー」についても活用するよう補正予算に追加する手立てをとるべきではないか、ご所見を伺います。

財政局長国の交付金を活用した追加の経済対策につきましては、国の補正予算成立後に示される福岡市への交付額などを踏まえ、市として取り組むべき内容を十分に検討した上で、議会にお諮りしてまいりたいと考えております。以上です。


市長答弁

中山市議非課税世帯給付金について、局長は十分か不十分かについては明言されませんでした。しかし、これでは足りないことは明瞭です。電気代・ガス代の政府補助金は今年6月、7月、11月、12月は打ち切られたため跳ね上がりました。米の価格も上昇するなど家計は打撃を受け、さらに年が明ければパン製品約1200品目をはじめ4月までに約4000品目が一斉値上げされる見込みであり、負担増は続きます。「1世帯3万円ではすぐになくなってしまう」というのが当事者の声であり、市独自に上乗せすべきです。給付時期については一刻も早くと言われましたけれども、この緊急性はわかっておられないですね。年越し費用に充てられるようにするためにも、国がこれ補正予算を通す見込みですけれども、それを待たずして基準日を独自に想定するなどして年内給付も可能な手立てをとるべきです。給付対象を非課税世帯に限定することについて、局長は「国がやること、適正だ」との姿勢ですが、元々困窮している低所得世帯全体をいかに支援するのかは重要な問題であり、国がやらないなら自治体として独自の経済支援策に踏み出すべきです。そもそも今回の財源となる物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金に掲げられている「推奨メニュー」には「低所得のひとり親世帯への給付金等」も示されています。活用しない手はありません。またこれ、額がわからないからというのは活用しない理由にはなりません。なぜなら、非課税世帯給付金分の4908億円を上回る6000億円分が「推奨メニュー」分として既に閣議決定されており、「有効に活用してほしい」という通知まで来ているからです。これ局長ご覧になってないですかね。したがって給付金は非課税世帯以外の低所得世帯にも対象を広げ、市独自に金額上乗せを行うとともに、早急に届ける手立てをとるべきだと思いますが、ご所見を伺います。また、国の「推奨メニュー」も最大限活用し、学校給食無償化、新たな事業者支援をはじめ本市でも実施実績がある下水道減免等に踏み出すことを決断し、今回の補正は増額するよう見直すべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。併せて、国に対して、最も即効性のある消費税減税をはじめ、抜本的な賃上げ策、社会保障や教育に関する国民負担軽減など総合的な経済対策を実施するよう求めるべきだと思いますが、市長のご所見を伺います。

市長国の経済対策につきましては、今まさに税や社会保険の負担のあり方、物価高への対応などが議論されているものと承知をしております。福岡市といたしましては、これまでも国の交付金等を活用しながら中小企業や介護施設等への光熱費支援、学校や保育所の給食費支援など様々な経済対策に取り組んできたところであり、今議会におきましても、まずは迅速に支援が行き届くよう低所得世帯への給付金の支給を提案いたしたものでございます。今後とも国の経済対策や物価高の状況を踏まえ、必要に応じ国への要望を行うとともに、必要な施策に着実に取り組んでまいります。


第10次福岡市基本計画
貧困打開策について

中山市議次に、第10次福岡市基本計画についてです。ほぼ10年ごとに改定され市政の基本となる基本計画はコロナ禍の影響でその策定作業が遅れ、2025年度から10年間の計画案が今議会に提案されております。私は、本計画の素案が公表された後の6月議会で、その基本的な考え方について確認し、見直しを提起いたしました。また、その後、審議会等でも素案について議論が交わされ今日に至ったと聞いております。そこで共産党市議団の提起や有識者や市民からの意見がどう反映されたのかを中心にお尋ねしてまいります。

まず、SDGsとの関連についてです。総務企画局長は6月議会で素案について「8つの分野別目標について関連するSDGsのゴールを示している」との答弁をされました。しかし、SDGsの一丁目一番地としてターゲット1で掲げられている「貧困をなくす」という課題については、具体的な文言もなく数値目標もなかったため、私は「所得300万円以下の世帯を半減させる」などの具体的数値目標を掲げるべきだと指摘いたしました。ところが今回議案には「貧困をなくす」という文言はおろか、低所得層の所得を引き上げるなどの具体的な数値目標も見受けられません。今回も素案のときと同様、SDGsのシールは記載されているものの、具体的な対策はありません。これで、本市の貧困打開策が具体的に進むと考えているのか、答弁を求めます。

総務企画局長基本計画についてお答えいたします。まず貧困対策については、様々な施策に関わるものと考えておりますが、例えば、施策1-3「すべての人が安心して暮らせる福祉の充実」や施策2-2「困難を抱える子どもや若者を支え、誰もが健やかに成長できる社会づくり」などにその理念を反映しているものと考えており、その実現に向けた具体的な取り組みについては、基本計画の方向性に沿って策定する政策推進プラン等で検討してまいります。

中山市議貧困をなくすための数値目標や具体的方策が掲げられていないことについて局長は「政策推進プランで示す」と従前からの答弁を繰り返されました。しかし、基本計画の中に「貧困」という言葉さえなく、これを「なくす」も「減らす」も書かないというのは国際的にも最も重要とされている基本的な指標を福岡市は無視しているということを内外に示すことになります。6月議会ではSDGsが掲げる貧困は所得下位40%のところであり、本市においては「年収300万円以下」の世帯がこれに匹敵することを局長も認められました。この層の所得をどう成長させるか各国、各自治体が掲げるべきというのがSDGsの要請です。この課題は個々の政策で掲げればよいというものではなく、市政のあらゆる分野で貫く柱にしなければなりません。したがって、貧困をなくすという文言も数値目標も掲げない計画ならば基本計画足り得ないと思いますが、答弁を求めます。

総務企画局長貧困対策については福祉の充実など関連施策にその理念を反映しており、数値目標については政策推進プランや分野別計画の中で検討してまいります。


ジェンダー平等について

中山市議次にSDGsのターゲット5で掲げられているジェンダー平等についてです。今回の案の中ではジェンダーという文言さえ見受けられず、管理職における女性の割合の引き上げや8割が女性となっている低所得の本市会計年度任用職員の待遇改善について数値目標も掲げられておりません。これでは、本市においてジェンダー平等に向けての取り組みは行わないことを内外に示すことになります。なぜ文言も数値目標も記載がないままなのか、お尋ねをいたします。また、総合計画審議会においては部会を含むこの間の議論において、ジェンダー平等についてどのような意見が出されたのか、その取り扱いはどうなったのか、答弁を求めます。

総務企画局長ジェンダー平等については、施策1-1「多様な市民が輝くユニバーサル都市・福岡の推進」の中で性の違いなどに関わらず、すべての人にやさしいまちの実現を目指し、インクルーシブなまちづくりや男女共同参画の推進などに取り組むことを掲げており、数値目標については政策推進プラン等で検討してまいります。また、総合計画審議会では、パブリックコメントにおいて女性の活躍の文言を、男女共同参画や、ジェンダー平等などの文言に修正した方がいいのではないかなどのご意見をいただいたことを踏まえ、ご審議いただきました。その中で男女共同参画という言葉は英訳する際にはジェンダーイクオリティという言葉が用いられており、男女共同参画とジェンダー平等は同義であるという認識のもと、関連法令や組織の名称などで男女共同参画が広く使われ、共通認識として一定浸透していることなどを勘案し、男女共同参画の文言を取り入れることとされたものでございます。

中山市議文言も数値もない理由について局長は「男女共同参画は政策推進プランで進めていくから記載していない」「英訳すればジェンダーになる」などというお粗末な答弁をされました。これも国際的にはあまりにも遅れた認識です。局長の答弁では不十分でしたが、総合計画審議会の生活の質部会では「ジェンダー平等等男女共同参画の意味は違うのでジェンダー平等の表現を入れるべきだ」という意見や「ジェンダーに関しては性は多様であるという見方をすべきであり具体的な政策の記載や提案をやってほしい」という意見も出されています。わが党の堀内議員も同部会でパブコメにジェンダー平等を書き込むべきという意見が見られることを示し、記載することを強く求めました。当事者を初めとする市民の意見を無視することは許されないと思いますが、ご所見を伺います。

総務企画局長ジェンダー平等についてはパブリックコメントで市民の皆さんがいただいたご意見などを踏まえ総合計画審議会でご審議いただき男女共同参画の推進など関連施策にその理念を反映しております。


「都市の成長路線」について

中山市議次に「都市の成長路線」についてです。髙島市政における現計画は「都市の成長と生活の質の向上の好循環」を柱にされてきました。そのもとで人口は増え続け、行き過ぎた開発による諸問題や地価の上昇等、市民生活には悪影響を及ぼす事態となっております。例えば一人当たり市民所得は2013年度からの比較可能な7年間で見てみると年40万円下がった。決算消費支出は9年間で月1万円下がった。勤労者世帯のエンゲル係数は9年間で21.8から24.5へと2.7ポイントも上がっております。生活の質は明らかに下がっております。都市の成長は生活の質の向上にはつながらなかったというのが実態です。私が6月議会において示した通りです。その上で、この路線を踏襲すればこの歪みはさらに拡大することを指摘し、見直しを求めました。しかし、今回の計画案には、これも全く反映されておりません。市長は、本市の市民生活がこれ以上壊れても構わないと考えておられるのか、ご所見を伺います。

総務企画局長「都市の成長」の取り組みについては日本全体で人口減少が進み福岡市においても2040年頃には人口減少局面に転じると見込まれる中で、市民生活の質を持続的に高めていくためには、地域経済の活性化を図りながら「生活の質の向上と都市の成長の持続的な好循環を」つくりだしていく必要があると考えております。

中山市議「都市の成長」路線をこのまま進めれば市民生活は今以上に壊れていくという私の指摘には局長はこれまでの答弁を繰り返されました。市民生活を直視しない姿勢にはほとほと呆れます。この路線で向上したのは「市民の生活の質」ではなく、大企業の儲けです。西鉄、福銀、九電工は内部留保を2~3倍に増やし、九電以外の七社会も同様だというのを私が6月議会で暴露した通りです。これら地元財界関係者から儲けの一部が政治資金パーティーなどで市長に還元され続けてきたというのが実態ではないですか。だからこの路線は美味しくてやめられない。これが市長が「都市の成長」という名目で大型開発に突き進んできた理由であり、局長ら幹部はこれに追随し、市職員も従わされてきた。非常に憂うべき状況です。向こう10年間の客観的な数値目標についてもあれこれ理由をつけて掲げないのも生活の質を向上させる気がないからだと言わざるを得ません。このように、次期基本計画で、市民の暮らしは顧みず一部大企業と市長の利益を優先させる更なる10年間にすることは許されないと思いますが、ご所見を伺います。

総務企画局長「都市の成長」の取り組みについては、その成長の果実により市民の生活の質をさらに高めていくものであり「生活の質の向上と都市の成長の持続的な好循環」に向けて市政を着実に推進してまいります。以上でございます。


数値目標について

中山市議最後に数値目標についてです。向こう10年間の取り組みの目標について、素案においては数値目標について市民の意識を指標として示すとされており、私はこれでは客観的、科学的な指標にはならないことを指摘し、項目ごとの具体的な数値目標を掲げるべきだと求めました。局長は「引き続き効果的な指標のあり方を検討する」と答弁されましたが、今回も何も変わっておりません。そこで、政策推進プランなどに数値目標を掲げるから基本計画には掲げなくてよいというのは、基本計画の目指すものを曖昧にする方便にすぎないと思いますが、ご所見を伺います。

総務企画局長数値目標については、第9次基本計画において指標の設定に課題があったことなどを踏まえ、第10次基本計画ではすべての分野別目標で市民意識を図ることにより、目標全体の進捗に対する市民の実感を大切にするとともに、各施策事業における客観的なデータ等については政策推進プランに位置づけ、社会の変化にも柔軟に対応しながら基本計画と政策推進プランを具体的に推進していくものでございます。以上でございます。


市長答弁

中山市議次期基本計画について、局長は貧困をなくす課題もジェンダー平等を推進する課題もいずれも記載することを拒否されました。市民生活を向上させ、人権を前進させるまともな数値目標も掲げない。審議会等で出された真摯な意見も市長の意に沿わないものは切り捨てる。ひどい姿勢です。その一方で「都市の成長」は引き続き推進すると強弁されました。これまでの路線を踏襲し、天神ビッグバンや博多コネクティッドはさらに推進、そして今後新たにスマートイーストやウォーターフロントネクスト等の巨大開発や大型の交通体系づくり等に踏み出す構えです。これではこれまで以上に貧困・格差が拡大するのは目に見えています。これはまさにSDGsの掲げる「持続可能」な社会を目指す視点を実質無視し、真っ向から逆行するものであり「SDGsウォッシュ」とのそしりを免れません。本市を「アジアの拠点都市」どころか世界の流れに取り残される孤立都市にして良いのか。厳しく問われているのであります。したがって、第10次基本計画については、破綻したアベノミクスにもとづく「都市の成長」路線と決別し、貧困打開、ジェンダー平等などSDGsが掲げる項目と数値目標を明確に記載するものへと抜本的に見直す必要があると思いますが、市長の答弁を求めます。

市長福岡市では現在の第9次基本計画において、「都市の成長と生活の質の向上の好循環」を作り出すことを基本戦略として掲げまちづくりを進めております。これまでの取り組みの結果人口165万人を超え、企業の立地や創業が進み、市税収入はコロナ前の令和元年度まで7年連続で過去最高を更新し続け、令和4年度以降再び過去最高を更新しております。この成長の果実を生かし、子育てしやすい環境づくりや教育環境の充実、安全・安心なまちづくりなどに積極的に取り組み、「元気なまち、住みやすいまち」として国内外から高い評価をいただいているところでございます。この魅力あるまち福岡をさらに発展させ将来に引き継いでいくため、多くの市民の皆様のご意見を取り入れ、本議会でご審議いただいている第10次基本計画に基づき、「人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市」の実現を目指してしっかりと取り組んでまいります。


拠点文化施設
劇場法で定める観点について

中山市議次に拠点文化施設条例改定案についてです。来年4月に開館が予定されている拠点文化施設については老朽化した福岡市民会館を建て替え、文化の拠点にするというものであり、今回条例案はその名称を「福岡市民ホール」とするためのものであります。須崎公園に建設中の拠点文化施設の位置づけについては本条例において「多彩な舞台芸術の公演および多様な市民の文化芸術活動等の場を提供することにより、本市における文化芸術の振興および文化芸術を通じた交流の促進を図り、もって心豊かな市民生活の実現と都市の魅力向上に寄与するため」に設置すると掲げられております。しかし「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」いわゆる劇場法で掲げる無形の文化遺産である実演芸術を守り育てる観点や必要な人材の育成などの観点は見受けられません。そこで、新たな拠点文化施設は劇場法が定める劇場や音楽堂としての位置づけをしていないのか、お尋ねいたします。

経済観光文化局長拠点文化施設についてのご質問にお答えいたします。まず拠点文化施設につきましては「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」いわゆる劇場法を踏まえ、舞台芸術の公演や市民の文化芸術活動等のための場の提供に加え、講演を企画実施することや、多様な主体と連携し協働することで、社会課題の解決に貢献することなどに取り組むこととしております。

中山市議局長は拠点文化施設について「劇場法」に則って運営するという趣旨のことを答弁されました。しかし、いろいろ言い訳されましたが結局設計や運営等について利用当事者の意見は取り入れなかったし、これからも反映させる気はないということが明確になりました。アンケートやモニタリングでは、これは話になりません。劇場法では個人を含め社会全体が文化芸術の担い手であることについて国民に認識されるように設置者や活動団体、芸術家等が相互に連携協力することをうたい、短期的な経済効率性を一律に求めることのないようにと記されております。そこで、今回改定予定の拠点文化施設条例にもこれらの観点を加える必要があるのではないか、ご所見を伺います。

経済観光文化局長拠点文化施設についてのご質問にお答えいたします。まず劇場法で定める観点につきましては、様々な主体と連携し協働を図る運営体制とすることをPFI事業の要求水準に記載し事業者に提案を求めており、その実現を図ることとしております。


文化・演劇関係者などの意見反映、中ホールについて

中山市議本施設については多くの市民がそのオープンを心待ちにしてきたものであり、運用についても市民が納得し喜ばれるものにしなければなりません。そこで、この拠点文化施設の設計、運営方針等について、実際に利用を希望している地元の文化・演劇団体関係者や専門家の意見をどのように反映させてきたのか、今後、オープンを経て日常的に利用当事者の意見を運営に反映させる仕組みについてどうするのか、ご所見を伺います。

経済観光文化局長地元の文化演劇団体関係者や専門家からの意見については、基本計画の策定の際に伺っておりまして、それらの意見を踏まえPFI事業の要求水準を作成し、事業者に提案を求めその実現を図ることとしております。また、開館後は施設利用者へのアンケートや、毎年度行うモニタリングを通してニーズの把握とサービス改善に努めていくこととしております。

中山市議本市に決定的に不足している公的中規模ホールの一つとして今回整備される中ホールに対しては、少なくない市民が特段の期待をしています。2016年度末に当時の少年科学文化会館における764席の貴重な中規模ホールが福岡市科学館への改編の際に多くの市民の反対を押し切り廃止されたからです。「子どもたちに豊かな文化」をとして重要な役割を果たし、「少文ホール」として、子どもから大人まで親しまれていたホールの代替施設が待ち望まれてきたのです。そこで、拠点文化施設の中ホールは、少年科学文化会館のホールの役割と機能を継承するものになるのか、答弁を求めます。併せて、少年科学文化会館ホールと新たな中ホールについて、同じ条件、時間帯における使用料の比較並びに減免規定に違いはあるのか説明を求めます。

経済観光文化局長拠点文化施設の中ホールにつきましては、少年科学文化会館と同規模の約800席のホールを整備するものでございます。また、施設使用料についてでございますが、平日夜間18時から22時までの使用料で申しますと、拠点文化施設の中ホールが4万4千円、少年科学文化会館が2万5千円。土日祝日の終日使用料で申しますと、拠点文化施設の中ホールが10万5千600円、少年科学文化会館が5万円となっております。最後に、減免の要件と割合についてでございますが、拠点文化施設では本市または公益財団法人福岡市文化芸術振興財団が主催するときは5割減免、本市または同財団が経費の一部を負担して共催するときは2割減免となっております。少年科学文化会館では、本市が主催しまたは経費の一部を負担して共催するとき、本市の教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関がその行事に利用するときは10割減免。本市が経費の一部を負担して後援するとき、18歳未満の者を主体とする団体が利用するとき、市長が青少年の健全育成を図ることを直接の目的とした催し物であると認めるときなどは5割減免となっております。以上でございます。

中山市議新たな中ホールが少年科学文化会館ホールの役割と機能を継承するものになるのかについては、明言できませんでした。そもそも少年科学文化会館は1971年の5月5日「こどもの日のプレゼント」として、足かけ3年の工事を経て「少年文化会館」としてオープンし子どもたちをはじめ多くの市民から大歓迎されました。舞台設備や座席の使用も子どもの演劇鑑賞にふさわしいものとされたため、年間を通して児童演劇や音楽発表会等で高い利用率を保っていました。本来、この機能を失わないように現地での建て替えか移転建て替えが求められたものを、髙島市長は六本松に科学館のみを移転をし文化ホールの廃止を強行しました。その際には「新たな拠点文化施設の整備検討などにおいて全市的なホールについて検討する」と答弁されていたのです。しかし、新たな中ホールについては子どもの視点は外され、児童演劇等の鑑賞団体であるこども劇場や地元の劇団等文化団体の声も生かされず、少文ホールとは似て非なるただの貸館にされようとしております。少文のホールに親しみ、その存続を願った子どもや文化関係者の期待をこのまま裏切ることは到底許されないと思いますが、答弁を求めます。

経済観光文化局長拠点文化施設では市民会館の役割を継承する約2000席の大ホールに加え、少年科学文化会館と同規模の約800席の中ホール、最大150席のいっせきの配置が可能な文化活動交流ホールを整備することといたしておりまして、市民の文化芸術活動等の場としてご利用いただきたいと考えております。

中山市議使用料の比較については答弁された通り、土日祝日の前日利用や平日の18時から22時までの利用等、こども劇場等子どもを主体とする団体が利用する頻度が高い時間帯では新たな中ホールは、少文ホールの2倍近くになっています。減免規定は基本的に変わっていないため、これらの団体が負担する額は従前の約2倍となります。また別に調べたところ、現市民会館の大ホールと新たな大ホールとの比較でも一般利用で1.7倍と高くなっています。これでは、新たな施設は「拠点文化施設」という掛け声とは裏腹に、使用料の大幅な引き上げによって利用できない団体が出てくるのではないかと思いますが、答弁を求めます。

経済観光文化局長拠点文化施設の利用料金については、福岡サンパレスや他都市の類似したホールの料金を参考にその上限額を設定しております。なお減免については市民会館の規定と同じ要件としているところでございます。以上でございます。


市長答弁

中山市議局長は、新たな市民ホールについて、市民や文化団体の参画や連携など、市民が主役の運営や人材育成の場にする観点での条例改定、これは極めて曖昧な答弁をされました。子どもを主役に文化の発信地となっていた少文ホールの理念を継承させることについてもやる気がないことが浮き彫りになりました。少文の存在そのものも忘れておられるような答弁であります。2012年「少文ホールをなくさないで」という切実な思いで請願署名を寄せた4万5千人を超える子どもや市民の願いを何と心得るのか。本当に酷い態度です。使用料も引き下げるつもりがない冷たい答弁をされました。やはりあなた方は市民ホールについて、国内や国外からの集客拠点、インバウンドのためのただの貸館としか見ていないということがよくわかりました。口では「劇場法に則って運営する」と言いながら、やろうとしていることは全く違いますよ。この法律では、劇場、音楽堂等を「文化的基盤」と位置づけ「文化芸術を継承し、創造し、及び発信する場であり、人々に感動と希望をもたらし人々の創造性を育む文化拠点」と規定し、個人を含め社会全体が文化の担い手として参加することや人材育成の重要性がうたわれています。この理念に沿えば、使用料についても市民や地元の劇団・文化団体等が利用しやすい使用料に抑えることも必要です。運営手法として民間企業の営利目的のためのPFI手法のままでよいのかということも問われてきます。したがって、新たな市民ホールについては運営に地元の演劇・音楽等の関係者が日常的に参画できる仕組みを作り、文化の発信、人材育成、社会包摂の場としての位置づけを明確にすべきではないか。答弁を求めます。また、新たな中ホールについては少なくとも少文ホールと同等の使用料に引き下げるとともに、大ホール等その他の施設についても現市民会館並みに引き下げるよう改定するとともに地元の劇団や鑑賞団体等に対する減免制度を設ける規定を条例に加えるべきではないか答弁を求めます。今回、市民ホールがオープンしても、市内の中規模ホールが決定的に不足している状況に変わりありません。そこで中規模ホールの更なる増設を進めるべきだと思いますが、市長の答弁を求め私の質疑を終わります。

市長拠点文化施設につきましては、多彩な舞台芸術の公演および多様な市民の文化芸術活動等の場を提供することにより、本市における文化芸術の振興および文化芸術を通じた交流の促進を図り、もってこころ豊かな市民生活の実現と都市の魅力向上に寄与するため、建て替え期を迎えた市民会館を継承する大ホールに加え、新たに演劇などの専門性にも対応できる約800席の中ホール、最大150席のいっせきの配置が可能な文化活動交流ホールを整備することとしており、令和7年3月28日の開館に向けて着実に整備を進めてまいります。以上です。

>>>「議会での発言と答弁全文」一覧へ戻る

2024年12月議会 一覧

3万円給付金、市の基本計画、新「市民ホール」についてただす(2024年12月11日 中山郁美市議の議案質疑)

政策と活動
議員の紹介
トピックス
議会報告
市議会ニュース
リンク
お問い合せ

↑上へ