2021年予算議会
福田まもる議員に対する問責決議案 提案理由説明
2021年3月26日 中山郁美議員
私は、日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております決議案第1号福田まもる議員に対する問責決議案の提案理由を説明いたします。
去る2月13日、朝日新聞は「関係者の取材による」とし、自民党新福岡の会長である福田衛市議会議員が、昨年12月に選挙区内の4つの神社に酒2本を奉納していたことを報じました。また、翌日には西日本新聞が本人への取材においてこのことを事実だと認めたことを報じました。これらの事態を踏まえ、2月15日、日本共産党福岡市議団は阿部真之助議長に対し福田議員が所属する自民党新福岡に対して全容を早急に調査し、議会に説明するとともに、記者会見などにおいて公表・説明するよう働きかけることを要請しました。
これを受け2月22日に代表者会議が開かれ、福田議員本人及び自民党新福岡の中島幹事長より説明がなされ、報道内容が事実であることが明らかとなりました。その場で福田議員は「有権者に誤解と疑念を与えた」「今後は厳に慎む」等とし「酒については可能な範囲で回収した」と述べ、問題のある行為であったことを事実上認めたのであります。しかし一方で、一連の行為について、「個人の信仰心によるもの」「大祭参加時に相応のものとして納めた」「公職選挙法には抵触しないと認識している」等と述べる無責任な態度をあらわにしたのであります。
朝日新聞の記事によると酒を受け取った神社4か所についてはいずれも「神事の対価という認識は無かった」としているとのことであり、小林良彰慶応大学名誉教授は「今回のケースは政治家個人への特定の役務の提供に対する債務の履行とは言えず寄付とみなされる」と指摘していることをみれば、同市議の日本酒奉納は寄附行為に相当し、公職選挙法第199条の二「公職の候補者等の寄附の禁止」に抵触することになります。
また、「福岡市議会議員の政治倫理に関する条例」第3条(1)では「市民全体の代表者としてその品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと」、同(2)では「市民全体の奉仕者として行動するものとし、その地位を利用して金品を授受しないこと」とされているのであります。
全国各地で同様の事件が繰り返される中で同市議が毎年神社への金品の奉納を繰り返していたことは、「疑惑を持たれるおそれのある行為をしない」という上記条項に照らしてみれば、「軽率だった」という説明で済むものではありません。
さらに同条2項で「議員は、政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない」と定められています。
我が党は、代表者会議において福田議員及び自民党新福岡は記者会見等を開くなどして自ら有権者・市民に対し事実経過を直接説明し審判を仰ぐとともに、自ら身の処し方について明確にすべきだと指摘しましたが、「取材に真摯に対応してきた」「代表者会議で説明・謝罪しておりこれ以上のことは必要ない」等と述べ、その後も福田議員は引き続き会派代表としての役職を勤め続ける等、今日に至るまで、何一つ対応していないのであります。代表者会議は、議長が必要に応じて招集し主宰する任意の会議であり、その会議の場で説明・謝罪したからといって市民や議会に対する説明責任を果たしたとは到底言えないのであります。
本市議会においては2003年の市議選において当選した当時の福政会所属であった2名の議員陣営における大規模な選挙違反が発生し、関係者が多数逮捕、起訴されるという事態となり、2名の内一人は本人自身が公職選挙法違反で逮捕、起訴され議員辞職しました。もう1名は、議員として居座っていたために、我が党は辞職勧告決議案を提案する等し、後に辞職することとなったのであります。このような不祥事を二度と繰り返してはならないというのが福岡市議会における政党・会派の違いを超えた教訓となっているはずです。また今日国政においても安倍前政権、菅政権の下で次々明らかになる閣僚や政治家・官僚に対する接待問題や、2019年参院選における河井案里夫妻による大規模買収事件など、政治と金の問題が噴出しており、国民・市民の政治に対する厳しい視線が注がれているのであります。そのような中、福田議員が公式に自ら市民に対する説明も謝罪も行わず、このまま何もなかったかのように議員活動を続けることは、到底容認できません。更に、本市議会がこのまま同議員と所属会派の態度を容認すれば、福岡市議会に対する市民の信用を失墜することにもつながりかねません。
尚、本日10時から行われた議会運営委員会の場において、福田議員が委員外委員として委員長に発言を求め、本件についての「お詫び」なる発言を行ったとのことですが、これは本日の議事運営に関わる議題とは関係のない自らの一身上の事柄についての釈明に過ぎず、議会運営委員会における発言としては極めて不適切であり、到底正式な発言とは言えないものであります。決議案が提案される本日になっての、まさにアリバイ作り的な態度だと言わなければなりません。
本当に反省し、正式に議会に対する説明と謝罪を行う気があるならば、議長に対し然るべき場を設けることを要請する等の行動をとるべきであったのであります。
清潔で公正な議会を確立することが不可欠であることについてはこの議場内の全ての議員が同意されるところであると信じるものであります。よって我が党は、議会の意思を明確にするために、本決議案を提案するものであります。以下、案文を朗読いたします。
福田衛市議が神社に酒を奉納した問題に関する申入れ(2021年2月15日)