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2012年5月臨時議会
がれき問題での決議案に対する日本共産党の反対討論
2012年5月18日 星野美恵子議員
私は、日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております決議案第4号、「東日本大震災で発生した災害廃棄物の処理に関する決議案」について、賛同できないことを表明し、討論を行います。
自由民主党福岡市議団、公明党福岡市議団、民主・市民クラブ、みらい福岡市議団、無所属の会が提案している本決議案は、高島市長に対し、東日本大震災で発生した宮城県・岩手県の災害廃棄物、いわゆる「がれき」の本市への受け入れ・処理方法の検討などを求めるものであります。
東日本大震災のぼう大ながれきは、岩手県・宮城県で復興の大きな障害になっており、その処理を被災地だけでおこなうことは困難です。わが党は、政府が被災地での処理能力を強化することはもちろん、被災県以外の協力を得て「広域処理」をすすめることが必要だと考えます。政府は、受け入れ先住民の健康・安全を守る立場で、その方策を責任をもってすすめていくべきです。
しかし、福岡市では、二つの特別な事情から受け入れが困難となっています。
第一に、がれき受け入れについて、国ががれき焼却灰の処理方式として推奨しているように焼却灰を閉じ込めるのではなく、焼却灰を積極的に空気や雨水にふれさせる「福岡方式」を採用しており、処理場の浸出水から放射性セシウムが博多湾など環境中に出てくる危険性があることです。
第二に、博多湾は閉鎖性水域であり、放射性セシウムが集積し、いわゆるホット・スポットを形成するおそれがあることです。「福岡方式」のもとでは、がれきや焼却灰の放射能濃度がたとえ基準より十分に低くても、浸出水によって出てきた放射性物質が集積し、高濃度になってしまう場所が生じる危険性があります。博多湾から獲れる魚や貝は福岡市民の食を担うとともに、海水は淡水化によって市民の飲み水にもなっており、市民の安全に責任を持つ者であれば、これらの問題をいささかもあいまいにすることはできません。
わが党はがれきの受け入れについて真剣な検討をおこなった結果、以上の二点の問題を指摘してきました。本市も環境大臣宛の回答書で「福岡市の埋め立てには物理的な特性があるため、技術的な面での安全性の確証が得られておらず、困難と判断しています」と回答しています。
ところが決議案はこうした心配に何ら応えていません。わが党は議会運営委員会の場で自民党に質しましたが、特に見通しや選択肢があるわけではないことが明らかになりました。
それどころか、国の推奨するような管理型処分場を作ることになれば、莫大な時間と費用がかかり現実的でないと自民党自身が答えています。
また、本市が久山町と協定を結び、現在焼却灰の一部を同町にある伏谷の最終処分場に埋めていることについてどう考えるのか問いただすと、自民党は「久山町に対しては国と県の責任でおこなうべき」と答えました。他の提案会派からは「焼却灰を他市に渡すのも選択肢だ」とする意見も出されました。これは他の自治体への影響や自治権をかえりみない無責任きわまる態度といわなければなりません。
さらに、議会運営委員会では、本決議案が受け入れの可能性を一般的に検討するものではなく、受け入れを前提としたものであることを自民党が認めております。
この問題は、福岡市も技術上の問題を検証して「困難」と判断し、その理由について「市政だより」で全市民に知らせております。この1年、東日本大震災の災害廃棄物受け入れについて、本市によせられた市民意見589件のうち、受け入れ反対が67%、賛成が23%となっており、市民世論が大きく分かれているもとで、受け入れを前提にした決議を挙げることは許されないのであります。
以上のような理由から、わが党市議団は本決議案に賛同することはできません。
いま急がれることは、がれきの広域処理をすすめる最大の障害となっている放射性物質にかんする国のあいまいな安全基準や処理方法を抜本的に見直すよう求めるとともに、被災地が求めているがれき処理の技術職員の派遣など本市独自の努力を緊急に強めることです。日本共産党市議団はそのために力を尽くす決意です。
以上で、本決議案に対する、わが党の反対討論を終わります。
以上