トップ > 政策と活動 > 予算要望 > 2015年度予算要望

政策と活動

2015年度予算要望

2015年度予算編成に関する申し入れ

2015年1月13日

福岡市長  髙島宗一郎 様
福岡市教育委員長  八尾坂修 様

日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国
副団長 星野美恵子
幹事長 中山 郁美
熊谷 敦子
綿貫 英彦

安倍政権は昨年末の総選挙で自民・公明両党が衆議院の3分の2を占めたことを背景に、アベノミクス推進、集団的自衛権行使にむけた安保法制、原発再稼働など国民多数の意思に背く暴走政治をいっそう加速させようとしています。しかしながら、アベノミクスの株高円安で大企業は空前の利益をあげる一方で、貧困と格差はますます広がり、「トリクルダウン」の経済政策の破たんは国際的にも明確になっています。また、集団的自衛権行使、原発再稼働、沖縄米軍基地建設、社会保障と労働法制の改悪、そして先送りした消費税増税など、どの問題をとっても国民の多数は反対しており、安倍政権は大きな矛盾に直面しています。「地方創生」も大企業のための規制緩和や社会保障の切り捨て、道州制に向けた都市再編など地方自治の拡充に逆行する内容を盛り込んでおり、押し付ければ行き詰まりは必至です。安倍政権の「この道」には先がありません。

総選挙で日本共産党が8議席から21議席へ大きく躍進し、安倍政権の暴走政治ノーの国民の意思が示されました。沖縄では4つの小選挙区すべてで自民党が敗北したように、新基地建設ノーの一点共闘の力で県民が政治を動かしています。消費税に頼らない別の道、暮らし第一の経済再生、憲法9条を生かした平和外交、原発ゼロの日本、基地のない平和で豊かな沖縄―この「5つの転換」を国民共同の力で進めることこそ、先の見えない今の日本の政治を前向きに打開する方向です。

高島市政の4年間を見れば、破たんした人工島事業に毎年100億円超の予算を付けて救済し、「アジアの拠点都市づくり」などと言って都心部とウォーターフロントの大規模再整備を推進し、さらに貧困と格差を広げるアベノミクスに追随して国家戦略特区に手をあげ、雇用の規制緩和や法人税減税など財界言いなりに突破口を開こうとしています。その財源づくりのために「行革」と称して市民犠牲の大号令をかけ、福祉や教育の充実を求める市民の切実な願いに冷たく背をむける市政を加速させています。先の市長選挙で高島市長は「1万人の雇用創出」「成長進行中」などと宣伝したものの、38.73%という低投票率、高島市長の絶対得票率21.7%という低い水準にとどまりました。市民は高島市長に白紙委任を与えたわけではないということを肝に銘じるべきです。

本来、地方自治体の役割は住民の生活と福祉を守ることです。国の悪政から市民生活を守る防波堤となり、また市民の暮らしと中小企業・業者の営業を支える景気対策で地域経済を活性化させることこそ、いま求められています。わが党は、憲法と地方自治法の精神に立って、福祉・子育て・教育の充実や地域経済・雇用対策、安心・安全なまちづくりと環境保全など、市民生活の応援を基本にした市政へと抜本的に転換することを強く要請するものです。

よって、貴職が2015年度予算編成にあたり、以下の重点要望を実現されるよう申し入れます。

以上


↑ 上へ

2015年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望

1 安倍政権追随をやめ、市民本位の市政運営へ転換を

(1)安倍政権が国民多数の反対の声を踏みつけにして、憲法9条を破壊し、戦後日本の国のあり方を根底から覆して「海外で戦争する国」への道を開く集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を強行したことは、立憲主義を根底から否定する歴史的暴挙に他ならない。安倍首相は2015年最初の記者会見で安全保障法制の整備を表明したとおり、憲法破壊と「戦争する国」づくりへ暴走している。高島市長は市長選の際の「憲法9条の改正に賛成か」「集団的自衛権の行使を認めることに賛成か」との新聞アンケートに対していずれも無回答だった。集団的自衛権が行使され日本がアメリカと一緒に海外で戦争することになれば福岡市民とりわけ若者が殺し殺されることになるのであり、またアジア諸国との友好関係の発展にとって重要な位置にある福岡市の市長が「国任せ」「国言いなり」の無責任な態度を続けることは許されない。市長として憲法遵守の立場を明確にし、集団的自衛権の行使に反対を表明すること。

(2)安倍政権の経済政策「アベノミクス」によって、大企業が空前の収益をあげ内部留保を過去最高の285兆円にまで膨らませる一方で、勤労者の実質賃金が17か月連続で前年を下回り、非正規雇用が2000万人を突破し、消費税増税や円安による物価上昇などに見られるように、貧困と格差がいっそう拡大している。アベノミクスは「大企業や富裕層がもうかればいずれは庶民の暮らしに回る」という「トリクルダウン」の経済論に立っているものだが、2014年12月に発表されたOECD(経済協力開発機構)報告書「格差と成長」が「多くのOECD諸国で、過去30年間で富裕層と貧困層の格差が最大となった。格差拡大は各国の経済成長を損なっている」と分析し、「OECDはきょう、トリクルダウンという考え方を捨て去った」と報じられたように、この道は先がないことは明白となっている。にもかかわらず、高島市長がアベノミクスを礼賛しているのは異常である。さらに安倍政権与党の自民・公明両党は2015年度「税制改正大綱」を決めたが、大企業を潤わす法人税減税のために外形標準課税の強化など中小企業に犠牲を押し付け、また減税で生じる穴を消費税10%への増税で埋めることを狙ったものである。大企業優先から国民の暮らし第一へ経済政策を切り替えることが求められており、市長は国に対し、貧困と格差を拡大するアベノミクスの撤回を求めるとともに、安倍首相が強行を明言している2016年4月の消費税10%への増税は市民生活と中小企業・業者を苦境に陥れ、経済も財政も壊すことになるのは必至であり、中止を強く要求すること。

(3)高島市長は「福岡の成長進行中」ということを強調しているが、現実には市内の雇用は正規から非正規に置き換えられて、市民の給与収入は減少し、生活保護世帯は増え、中小企業はますます苦しくなるなど市民の貧困が広がる一方で、大企業と富裕層ばかりが潤い格差が拡大している。市民生活を顧みず、財界奉仕に熱中する高島市長の「都市の成長」「アジアのリーダー都市」は破たんしている。市政運営の基本を、市民の暮らし、福祉、教育の充実、中小企業・農林水産業支援による地域経済活性化など市民本位へと抜本的に転換すること。

(4)国家戦略特区について

国家戦略特区は安倍政権がアベノミクスの「第3の矢」として大企業応援の「成長戦略」の柱にすえたものであり、特区を突破口にして大企業の儲け拡大のじゃまになる規制を取り払い、全国に広げるのが狙いである。高島市長が打ち出した「グローバル創業・雇用創出特区」は、外国企業の呼び込みと企業の創業を促すとされているが、「解雇自由化」など重大な市民犠牲の危険をはらんだものである。他方で、大企業優遇の法人税減税と突破口を開こうとしている。この特区について多くの市民が理解していないなか、市長が一方的に進めることは許されず、撤回すべきである。

  • 「雇用特区」で活用される「雇用指針」は、「外国企業や新規開業企業に雇用ルールを教える」などというものではなく、経営側に都合のよい解雇の方法や判例を示すものであり、「首切り自由化」「総ブラック企業化」に道を開くものに他ならない。設置された「雇用労働相談センター」ではすでに「解雇指南」のセミナーが経営者向けに開かれており、市民の知らぬ間に具体化が始まっている。市長が当初提案した「開業5年以内の解雇規制の緩和」「事前型の金銭解決制度の導入」は、正規雇用でも条件を満たせば解雇できるよう労働ルールを壊すもので、労働者保護や安定雇用の拡大という視点が完全に欠落したものだったため、強い批判の世論を受けて取り下げざるを得なかった。労働者の使い捨てをいっそう加速させる労働法制改悪への突破口を福岡市で開くことは許されない。雇用特区は中止するとともに、雇用労働相談センターは廃止すること。
  • 高島市長はスタートアップ法人減税と称して「創業5年以内の企業の法人実効税率を15%程度に引き下げる」ことを提唱しているが、政府は2015年度に実施しないことを決めた。そもそも企業にとって需要の有無こそが立地の最大の判断材料であり、法人税減税したところで企業誘致が進むと言うのは幻想であり、法人税減税の創業効果を実証した例はない。また、減税分の財源について市長は「ダメージなんてほとんどない」と述べているが、無責任極まりなく、結局市民の税金が充てられるのは必至である。ソフトバンクが純利益788億円に対して納税額わずか500万円(税負担率0.006%)にすぎないなど、日本の大企業は優遇税制のもとで大幅に軽減されており、市長が法人税減税を主張するなど見識が問われる。特区での法人税減税の計画はやめること。
  • 国の規制改革における「国際医療拠点における外国医師の診察、外国看護師の業務解禁」については、医療関連産業における創業支援、外国企業の呼び込み等に医療を利用し、特定地域、特定医療機関において国内医療関連法からの逸脱を認め、医療・看護の質に格差を生じさせるものである。関係団体からも国家試験や在留資格、日本語能力等の問題においても懸念、反対の意見が表明されているやり方について導入することは許されず、本市で受け入れるために「区域会議」へ提案することはやめること。
  • 航空法の高さ規制の緩和について、国から承認された天神明治通り地区に続いて他地区にも広げることが計画され、また中心部のマンションの容積率緩和についても市は国に提案しているが、これらは、都心部の乱開発、超高層ビル・マンションの乱立による景観の破壊と、無用な地価高騰をもたらすものであり、また再開発を誘導するために税金・公金を投入したり大企業優遇を進めたりすれば市財政にも影響する。こうした問題について、市長が財界の言いなりになって、市民には知らされず合意もないまま強引に進めることは許されない。高さ規制・容積率緩和の計画を撤回すること。

(5)行財政運営のあり方と市職員の配置・労働条件等について

  • 市長が策定した「行財政改革プラン」は、財界奉仕の大型開発プロジェクトを推進するための財源を確保するために、教育、福祉、医療、文化、交通などありとあらゆる市民サービスを「スリム化、効率化」の名で切り捨て、負担増を押し付けるものに他ならない。市民犠牲の行革は許されず、「行財政改革プラン」は撤回して具体化を中止するとともに、不要不急の大型開発のムダづかいを一掃するなど、市民本位の財政再建を進めること。受益者負担の見直しと称した、市民センター、体育施設、文化施設、公園、動植物園、美術館、博物館など市民利用施設の使用料値上げ・高齢者利用料減免の廃止・付設駐車場の有料化をしないこと。
  • PFI方式など公共施設の整備・管理の民間への丸投げが高島市政のもとで加速されている。中央児童会館などの整備で導入されている官民協働方式(PPP)や定期借地・賃借入居方式についても、市民の財産である貴重な公有地を西鉄やUR、JRなどに投げ渡して商業ビルを建てさせ、大企業だけが儲ける仕組みであり、公的責任を完全に放棄するものである。今後、必要な公共施設の整備にあたっては、民間丸投げ・利益保障の方式ではなく、行政が直接責任を持ち、利用者の要望に沿った整備と管理・運営となるよう抜本的に見直すこと。現在計画されている市民会館と市民体育館の建て替えにあたっても民間手法を導入しないこと。
  • 公の施設の指定管理者制度について、公募制や民間営利企業の参入は、市民センターや体育館、駐車場・駐輪場など公共施設を儲け道具に変質させるとともに、市民サービスの低下や労働者の非正規化・低賃金・劣悪な労働条件など問題が多く、抜本的に見直して、原則直営に戻すこと。行革プランで検討されている、博物館、美術館、アジア美術館、総合図書館をはじめ公共施設の指定管理者制度の導入をやめ、直営で事業を充実させること。
  • 本市職員数は人口あたりで政令市最低となっているにもかかわらず、「行財政改革プラン」は人件費の抑制及び組織のスリム化と称して、さらに職員数を削減することを打ち出している。人口が増えている一方でこれ以上削減することは職員に労働強化と過重負担を強いて、ひいては市民サービスを低下させるものに他ならず、職員削減を中止すること。また、技能労務職関係業務の退職不補充を改めること。
  • 慢性的な人員不足のもとで市職員は長時間・過密労働に苦しみ、精神疾患も多く、改善は急務である。職員が「全体の奉仕者」として公正で民主的な行政業務に専念し、心と体の健康を保持できるよう、区役所や福祉関係、教育、防災など必要な部署を増員し、嘱託・臨時職員を定数化するとともに、サービス残業を根絶し、超過勤務手当は実態どおり支払うなど、賃金・労働時間などの労働条件を改善すること。
  • 区役所をはじめ各職場で職員削減と一体に、派遣や業務委託など低賃金・不安定な非正規雇用への置き換えが進められているが、「官製ワーキングプア」を生み出すものであり許されない。しかも派遣や委託などを多く受けているのが、麻生太郎副総理の実弟である麻生泰氏(九経連会長)が会長を務める「麻生グループ」や、産業競争力会議で大企業の利益を代弁する竹中平蔵氏が顧問を務める「株式会社パソナ」(南部靖之社長)などであり、行政職場でありながら非公務員である労働者を超低賃金で使い捨てて大企業がボロ儲けし放題という異常事態となっている。行政責任を放棄する非正規への置き換え政策を改め、区役所などの派遣導入や業務委託の拡大を中止して正規職員を配置すること。
  • 税務職場等における派遣社員導入は「クーリング期間」を悪用した脱法行為であり、ただちに中止し、本市正規職員を配置すること。
  • 市職員の生活に深刻な影響を及ぼし市民サービスの後退にもつながる、職員給与の引き下げ政策を改めること。給与引き下げについて国が押し付けている「地方公務員の給与制度の総合的見直し」を実施しないこと。
  • ごみ清掃や下水道などの委託人件費が年々下がっており、積算にあたっては、委託労働者の基本給や各種手当を増額し、労働条件の改善を図るよう市が責任を持って委託企業を指導すること。
  • 「カワイイ区」事業は毎年1000万円もかける必要もなくムダづかいであり、廃止すること。
  • 外郭団体の見直しについては、開発推進型の外郭団体・第3セクターを聖域とすることなく、存続の意義のなくなった「博多港開発株式会社」を解散すること。九電の利益保障するために利潤分を上乗せし市財政を食い物にしている「株式会社福岡クリーンエナジー」を解散し、東部清掃工場を直営化すること。

↑ 上へ

2 国保・医療・年金・介護・福祉・障害者施策など社会保障制度の改悪を中止し充実を

 歴代政権が強行してきた社会保障の連続改悪を受け、市民からは「これ以上年金が減ったら生きていけない」「保険料が高すぎて払えない」等、命の危機にさえさらされた悲鳴が上がっている。その様な中、安倍政権は2015年度予算編成において社会保障費の「自然増」を「聖域なく」見直すとして、大幅削減を行うことを繰り返し表明し、財務省は医療・介護・生活保護・障害者分野にとどまらず年金支給額の削減にも踏み込む姿勢をみせており「抑制策の総ざらい」という異常な様相となっている。憲法25条が全ての国民に保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を脅かし国民の暮らしと安心の土台が危機にさらされている中、「住民の福祉の増進を図ることを基本」とする地方自治体の役割がまますます重要となっている。

(1)国民皆保険制度の根幹である国民健康保険制度の充実について

  • 本市の国保世帯の平均所得は約88万円、所得200万円以下の低所得者がその約86%を占める中、所得233万円の3人世帯で44万円等、異常に高い保険料が「払いたくても払えない」事態を生み出し、保険料滞納世帯が国保世帯の21.9%にのぼる等深刻な事態となっている。本市の保険料が異常に高くなっているのは、保険料の未納見込み分31億円、高額所得者の賦課限度額の超過額59億円等を保険料に上乗せしていることに加え、法定外繰り入れを最高時と比較し約25億円も削減していることにある。「上乗せ方式」をやめ繰り入れを大幅に増やし保険料を引き下げること。
  • 国に対して、まずは、「応益割」部分を国の支出で1人1万円引き下げ、中・低所得者の負担軽減により逆進性を緩和し、その後は25%台に引き下げられた国庫負担割合を元に戻すよう要求すること。
  • 現在本市においては3人家族で所得571万円という到底高額所得者とは言えない世帯が年81万円もの保険料上限額を強いられている。上限額引き上げは止め、「応益割」偏重の是正等、逆進的な国保料を生み出している算定式の見直しこそ行うこと。
  • 治療費が窓口全額自己負担となる「資格証明書」交付世帯は1万1749世帯で加入世帯の5.1%、期限を区切った「短期証」の発行は3万282世帯で加入世帯の13.2%にも上り全国最悪となる中、受診を我慢して重症化・死亡する等許されない事態を引き起こしている。面談できないことを理由に「特別な事情」を調査しないまま保険料滞納世帯に対し機械的に資格証・短期証を発行するやり方は許されず、全ての国保世帯に保険証を交付して医療を受ける権利を保障するとともに、制裁措置を規定した国保法9条の改正を国に求めること。
  • 本市の保険料減免世帯比率はわずか4.4%に過ぎず、極めて低い水準にある。市独自減免制度については、当面、「所得の減収が前年比20%以上」に適用するよう元に戻して改善するとともに、所得減少の場合のみにとどめず中小零細業者や低所得者層の実態に即して、適用対象をひろげること。
  • 国民健康保険法44条に定める失業など所得減少世帯に対する窓口一部負担金減免制度について、本市では適用が0件という異常な事態となっている。担当部署での周知徹底を図るとともに、医療機関への要請や市政だより等の活用を強化し広報・周知を図り、必要な世帯の活用を促進するとともに国に対して厳しい基準見直しを求めること。
  • 本市における国保料滞納者に対する差し押さえは、2013年度2383件(約6億2000万円)と異常な多さとなっており、この中には公的手当が入る口座を狙い撃ちにしたものも含まれている。昨年11月16日の参議院厚生労働委員会においてはこの様な狙い撃ちは禁止されることを保健局長が初めて認め、機械的な「滞納処分」をしない旨を周知徹底するとの答弁がなされている。公的手当をはじめ年金、子どもの学資保険さえも差し押さえる冷酷、異常なやり方はただちにやめること。
  • 「国保の構造問題」を解決しないまま住民負担増や滞納制裁強化につながる「都道府県単位化」については全国知事会も反発しており、進めないよう国に求めること。
  • 建設国保等、国保組合が取り組んでいる独自給付事業は公的医療保険の本来の趣旨にかなったものであり、国庫補助を維持するよう国に求めること。

(2)後期高齢者医療制度について

  • 後期高齢者医療制度が強行されて以来、既に2回にわたる保険料値上げが行われ、高い保険料が払えず滞納したお年寄り3177人の内、1187人が正規の保険証を取り上げられ短期証となっている。あらゆる手立てを取り保険料負担を軽減するとともに、お年寄りを医療から排除する短期証発行はやめるよう広域連合に求めること。
  • 安倍内閣は保険料の「特例軽減」を打ち切り現在の2倍、3倍、5倍、10倍の保険料負担となる世帯を生み出そうとしている。低所得・低年金の高齢者世帯を狙い撃ちにした大負担増は許されず計画を撤回するとともに、高齢者を年齢で区切り、負担増と差別医療を押し付けている後期高齢者医療制度そのものをただちに廃止し元の老人保健制度へ戻すよう国に求めること。

(3)医療制度の改善について

  • 2006年に医療型療養病床の大幅削減と介護型療養病床の全廃が決定されて以降、診療報酬の連続引き下げも行われる中、入院患者が医療機関から追い出される事態がひろがってきた。安倍政権は更に昨年6月に強行可決した「医療・介護総合法」によって都道府県が主導し病床を一層削減させる「病床機能報告制度」を導入するとともに国が医療給付費を削減するために都道府県に策定させている「医療費適正化計画」を見直し新たな「支出目標」を持たせようとしている。市長は「医療難民」「介護難民」を増大させ、患者・家族、医療現場に多大な負担と困難を背負わせる強権的な病床削減、「患者追い出し」強化を止めるよう国に求めること。
  • 年間2.6兆円もの診療報酬削減が続けられてきたことにより、医療機関は経営危機に陥り、「医療崩壊」を引き起こす大きな要因となってきた。加えて2014年度に「基準の厳格化」が行われたことによりこれに対応できない病院は更なる経営悪化へと追い込まれている。市長は患者負担を増やすことなく診療報酬の抜本的な増額を図り連続削減以前の水準に戻すよう国に求めること。
  • 歴代政権の失政により引き起こされている医師、看護師不足が「医療崩壊」の一因となり、本市においても産科、小児科等で顕著となり、住民の医療を受ける権利が脅かされており、急患診療所の運営にも影響を及ぼしている。市長は、「医師数抑制」路線を転換し大学等への医師増員、養成への支援強化を行うとともに「行革」による看護学校の切り捨てを止め「看護師確保緊急計画」を策定し抜本的な対策に乗り出すよう国に求めること。また、本市独自に医師、看護師増員対策を進めるとともに、急患診療所については現在の診療体制を維持できるよう医師会の要望に応えること。
  • 本市において無料定額診療を実施する医療機関を増やすとともに、制度の広報を充実させ、国に対しては支援の強化と薬剤費への制度適用を求めること。
  • 安倍政権は「新成長戦略」に医療分野も位置づけることにより、「患者申出療養制度(仮称)」を設け保険外治療を拡大、医療法人と社会福祉法人を統合した「持ち株会社型法人」の創設を可能とする医療法人制度への改変による大企業の手法持ち込み、TPP参加による「混合診療」の解禁や薬価の高騰、医療への営利企業の参入など医療の安全や治療の平等を脅かす規制緩和を次々に進めようとしている。市長は日本の医療を日米大企業の新たな儲け口とするために国民の命と健康を犠牲にする医療の営利化・市場化につながるあらゆる動きに反対し、TPP交渉から撤退するとともに、国民皆保険に基づく医療体制の充実を図るよう国に求めること。

(4)こども病院、市民病院について

  • 市長がこども病院の人工島移転を強行した結果、西南部地域の子どもたちがかかりたくてもかかれない事態を大量に生み出し、大学病院等の受け皿確保も極めて不十分なままとなっている。市民との約束を裏切ることは許されず、市長は約束通り唐人町の旧こども病院の土地を活用して西部地域の小児医療を守る手立てをとること。
  • 新こども病院においては、医師、職員不足が深刻となり、開業当初独特の負担と相まって過重負担が生じている。職員を正規で増員するとともに現場職員の意見を踏まえ、労働条件の改善を図るよう市立病院機構を指導すること。患者が通院に利用できる唯一の公共交通手段であるバスについては、当初からの指摘通りルートや便数の不足が顕著となっており患者、職員等に大きな不便をもたらしている。ルートや便数を増やすようバス事業者に要請するとともに、補えない場合は市が直接運行する等の手立てをとること。駐車場の職員利用については拡充をはかること。
  • 国家戦略特区指定を受けて特区会議に提案しようとしている「高度医療提供のための病床規制の特例」を活用しての病床増については事前に職員や関係者への相談は行われないまま独断的に進められ、不信と不安を生んでいる。一旦中止し、関係者との丁寧な協議を行うこと。
  • 市民病院については、職員の雇止めに対して「不当解雇」として訴訟となる等、職員の処遇や運営をめぐって強権的なあり方や管理体制の問題が顕著となっている。麻生グループ主導の経営手法や人事のあり方を排し、公立病院本来のあり方に立ち返るよう指導すること。

(5)真に安心できる年金制度の確立について

  • 年金保険料の際限ない値上げ、繰り返される給付削減、支給開始年齢の先送り等、年金制度の連続改悪の強行に加え、消費税増税、アベノミクスによる物価上昇の直撃で高齢者の生活困窮と年金不信が広がる中、安倍政権は新年度「マクロ経済スライド」を初めて発動させ年金額を更に削減しようとしている。市長は国に対し、保険料の引き上げをやめ、減らない年金制度へと転換するよう求めること。
  • 公的年金制度の中に最低保障の仕組みがないのは先進国では我が国だけであり、財源は消費税増税ではなく無駄の一層、富裕層・大企業への優遇是正、応能負担の原則に立った所得税の累進課税の強化等によって確保し最低保障年金制度を確立するよう国に求めること。
  • 給資格期間の25年から10年への短縮については消費税増税の先送りとセットで行うのは許されず、無条件で早期に行うよう国に求めること。

(6)介護保険制度の改善について

  • 2012年4月施行された介護保険法改悪により、生活援助時間の削減が強行され、 会話やコミュニケーション、掃除等の時間が大幅に削減され利用者の状態悪化など深刻な影響が出ている。これに加え、昨年6月に可決された「医療・介護総合法」では要支援者の介護はずし、特養ホームからの要介護2以下の締め出し、利用料の2割への引き上げ、低所得者の施設利用の際の「補足給付」の打ち切り、多くの高齢者を介護サービスの枠外へと追い出し負担を増大させる等、公的介護保障を土台から掘り崩す大改悪が強行実施されようとしている。また、保険料についても現行の国庫負担割合のままでは今後大幅な引き上げが利用者に押し付けられることになる。市長は、「生活援助」等2012年に基準が改悪されたサービスを元に戻すとともに、総合法に基づく改悪を中止・撤回するよう国に求めること。また、当面、現行のサービス後退や保険料・利用料の引き上げを行わない独自の手立てをとること。
  • 本市の介護保険料は基準額である市民税本人非課税世帯で年額6万4344円等大きな負担となっており、高い利用料と合せ悲鳴が上がっている状況である。現在策定中である第6期介護保険事業計画においては更に基準額で年額5300円〜1万円程度もの引き上げが見込まれており、所得階層によっては年額2万円以上もの引き上げも生じることになる。国庫負担割合について消費税増税を財源にすることなくただちに10%引き上げるとともに、国の制度として低所得者のための保険料、利用料の減免制度をつくるよう求めること。一般会計からの繰り入れも行い保険料の引き下げを図るとともに、当面市独自の利用料減免・助成制度を設けること。
  • 本市の特別養護老人ホーム待機者は、依然4047人も生み出されており、抜本的な増設が急がれている。しかし、次期整備計画においては僅か804人分にとどめるという極めて不十分かつ問題の大きいまま策定しようとしている。市長は希望者全員が速やかに入所できる計画へと見直し、小学校跡地等の公共用地を無償貸与し早急に待機者解消を図ること。また、生活支援ハウスの増設やグループホーム、宅老所などへの支援強化を図ること。
  • 特別養護老人ホーム等の居住費と食費の全額自己負担によって入所者が負担増に耐えられず、退所等を余儀なくされる事態も生じている。国に対し、こうした利用者負担を軽減するよう要求するとともに、本市では特養施設や小規模多機能施設、ショートステイ、デイサービス等の食費等に対する減免制度を設けて救済するなど、低所得者対策を拡充すること。
  • 相次ぐ介護報酬の改悪によって、事業所の運営は悪化し、現場の介護労働者の賃金体系も抜本的な改善が図られず、離職者が相次ぎ慢性的な人材不足を招いている。しかし、安倍政権はあれこれ理由をつけてさらに大幅な引き下げを図ろうとしている。市長は、国の介護報酬引き下げに反対し大幅な引き上げを求めること。その際、保険料上昇につながらないよう引き続き国費で措置し増額するよう求めること。また、本市において介護施設職員の人件費に補助を行う独自制度を設けるなど介護人材確保のための方策を講じること。

(7)高齢者など個人給付等の拡充について

  • 老人医療費助成制度を復活するとともに、老人クラブの補助金を増額すること。
  • 本市の高齢者乗車券制度は所得制限を撤廃し全ての高齢者に交付するとともに、請願採択されたタクシーへの利用拡大については新年度当初から実施すること。また、申請については窓口だけでなく郵送でも認め、広報も充実させ対象者全員が利用できるように改善すること。

(8)本市原爆被害者の相談事業を維持・強化するための運営費補助を拡充するとともに、ふくふくプラザの駐車場使用料を全額免除すること。被爆者全員に市営地下鉄や渡船の福祉乗車(船)証を交付すること。また、国や県に対し、被爆二世の希望に応じて「被爆二世健康手帳」を交付し、被爆者援護法に定める健康管理手当支給の疾病について被爆二世の希望者に医療費の助成をおこなうとともに、原爆症認定を被爆者の実態にあった方法に改善するよう求めること。

(9)薬害C型肝炎に関し、カルテの有無等で救済対象を限定するなどの対応を改めすべての被害者の救済をはかり、製薬企業にも謝罪・補償・再発防止をおこなわせるなど、全面解決にとりくむよう、国に求めること。薬害B型肝炎に関しては、体制を整備し大幅に遅れている和解金支払いを急ぐとともにすべての被害者救済を進め、治療費助成を創設するよう求めること。併せてウィルス性肝炎患者の治療推進と生活支援に向け、肝炎対策基本法の更なる充実と「肝炎治療7カ年計画」の拡充を求めること。

(10)アスベスト(石綿)は肺がんや中皮腫などを引き起こす原因となっており、アスベストが使われていた工場・建設現場で働いていた労働者や近隣住民が、国や企業を相手取って、九州をはじめ全国で裁判闘争に立ち上がっている。市内でも吹付けだけでなく成形板として多く建築資材に使われながら、解体・改修工事において野放しに近い状態にあり、本市も工事における実態を把握していない。市として工事現場の実態調査を行うとともに、アスベスト成形板を使っている建築物の調査費用や解体・改築の工事費用への補助をおこなうこと。成形板をふくめ、アスベスト含有建材の石綿障害予防規則の立場で安全な処理を徹底させ、市のかかわる公共施設の工事では厳格に守らせるとともに、廃棄場を確保すること。吹付けだけでなく成形板をふくめアスベストを扱う建設労働者の防塵マスクの普及につとめ、市内業者への購入補助をおこなうこと。成形板をふくむアスベストの被害や対策について市民に周知や広報を強化すること。国民健康保険の特定健康診査の問診において職種や経歴に応じて石綿被害を明らかにできるように対策をとること。

(11)生活保護行政を充実すること

アベノミクスと髙島市政のもとで貧困と格差が拡大し、本市においても2014年9月には生活保護世帯が前年同月と比較して約600世帯増加し3万2573世帯となり、過去最多の深刻な事態となっている。そのような中、安倍政権は、申請にあたって書類提出の義務付け、親族の扶養義務の強化、基準引き下げなど、憲法25条に定められた国民の生存権を保障する制度の根幹にかかわる大改悪を強行したことは極めて重大である。国民の生存権をまもるために保護申請の門前払いや強権的な保護の打ち切りなど、排除と切り捨ての保護行政をあらためることが求められている。

  • 人権侵害を引き起こしている「生活保護ホットライン」は廃止するとともに、本市で20万世帯以上と推計される、生活保護が必要でありながら保護を支給されていない世帯の把握と保護の開始をはかる体制を整えること。
  • 生活扶助基準の引き下げの影響を調査し、国に撤回を求めること。あわせて生活保護費を全額国庫負担にするように国に要求すること。
  • 2006年の生活保護老齢加算の廃止によって、高齢者は食事回数を減らしたり、水光熱費や冠婚葬祭等交際費の節約などを強いられ、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」をも営めない深刻な実態にある。市長は国に対し、直ちに老齢加算の復活を要求すること。また、住宅扶助・冬季加算等の各種扶助・加算措置の引き下げをやめるよう国に求めること。
  • 公立高校の所要額を目安にしている「高校就学費用」は極めて不十分であり、私立高校への進学を困難にするばかりか、授業料・入学準備金・修学旅行費など不足額を「生活扶助費」やアルバイト料等で補填しなければならないのが実態である。国に対し、基準を抜本的に見直し増額するとともに、大学、専修学校等への進学者については強制的に世帯分離して保護を打ち切るやり方をやめるよう要求すること。
  • 保護世帯がいつでもどこでも安心して医療を受けられるために、病院を選ぶ権利を保障するとともに、通院が月15日以上の患者へのしめつけをやめ、長期入院被保護者の実態を無視した6か月以内の強制退院を強要しないよう国に求めること。また、医療でのジェネリック(後発医薬品)の使用義務づけは多くの学識者から「尊厳を傷つける」との緊急共同声明が出されており、市として強要をやめ、国にも求めること。保護世帯が受診の際に医師などから「若いから働け」「怠けるな」などの侮辱発言を受けたという訴えがいくつも寄せられており、市として医療機関に対し生活保護の受給は憲法にもとづく正当な権利であり、人権侵害の発言は許されない旨を徹底すること。
  • 扶養義務者に対する調査や通知については扶養することが保護の前提・要件ではないことを周知徹底すること。
  • 生活保護申請について、これまでと同様に口頭の申請でも受け付けるとともに、申請希望者に対して口頭でも可能であることを必ず告げること。
  • 生活保護は市民の「最後のよりどころ」であり、「面接」「指導・助言」を口実に不当に保護申請を排除することは許されない。申請権を保障するために、必要な申請用紙を各区福祉事務所のカウンターおよび誰でも手に取れるわかりやすい場所に常設し、相談者にもれなく申請用紙を渡して、いつでも申請できるようにすること。また、だれでも無条件に申請できる権利があることを必ず告げること。資産調査のさいの本人・家族の同意書は一括としないこと、およびそのような改善を国に求めること。
  • 生活保護申請が急速に増大するなか、本市の体制は国のケースワーカー配置標準数「80対1」をはるかに上まわる「99.8対1」となっており、現場に多大な困難をもたらすなど実態に合っていない。不安定な嘱託職員や任期付短時間勤務職員等で間に合わせるのではなく、標準数を満たすよう、正規のケースワーカーを大幅に増員して、迅速で親身な対応ができるようにすること。
  • 現場では病気や年齢等を無視した就労強要指導、扶養義務や辞退届けを「協力」の名で行政側が強要したり、保護決定前から就職活動を要求し、事実上それを決定の「要件」にしているケースなど、人権無視の対応が依然続発している。研修などによって、憲法・生活保護法および 2010年4月14日付通知の趣旨に沿った対応を徹底すること。また保護決定は 14日以内の法定期限を厳守するとともに、保護費の支給明細書を受給者本人に分かるように改善すること。
  • 猛暑のもと生活保護世帯は電気代を節約するために冷房もつけず、熱中症などにかかるなど体調を壊す事態も生じている。生活保護世帯のエアコン購入のための一時扶助を支給するよう国に求めること。また生活保護の夏季一時扶助費の新設と期末一時扶助費の大幅増額を求めるとともに、それが実現していない現状では、国の生活保護とは別に、市独自の「福祉手当」を創設し、夏期・年末にそれぞれ支給すること。
  • 行財政改革プランで生活保護受給世帯の下水道使用料金について、生活扶助費に含まれているとして減免の見直しが検討されている。生活保護受給世帯の負担増につながる下水道使用料金の減免制度を廃止しないこと。
  • 求職活動の交通費は無条件に支給すること。また、医療機関への通院にかかる交通費について、実費に対してケースワーカーが勝手に費用を算出して「抑制」したり、本人の実態を無視して医療機関をかえさせたりするケースが増えており、本人の意思を尊重し、医療をうける権利を阻害することのないように支給すること。
  • 行政の手抜かりや勝手な都合で、生活保護の「不正」扱いにされる不当なケースが後を絶たない。生活保護法78条に該当する、いわゆる「不正」の扱いについて行政側の誤り・行き過ぎがないか調査するとともに、保護行政全体に強権的な対応がないかチェックする第三者機関を設置すること。

(12)市内のホームレスは2014年1月に245人と再び増加に転じたにもかかわらず、生活保護適用件数は昨年より減っている。自立支援センターなどへの強制入居はさせず、本人の要望があれば民間住宅へ入居させること。あわせて民間ボランティアやNPO支援団体への補助金を大幅に増額すること。またホームレス保護受給者を食い物にする「貧困ビジネス」(囲い屋)等については、実態を調査・把握し適正に対処すること。あわせて急迫保護入院の場合、退院即打ち切りでなく、療養が継続できるよう居宅の確保や就労の斡旋などの抜本的な自立支援策を講じること。ホームレス患者受け入れ医療機関への入院協力金を増額すること。

(13)障害者施策について

  • 障害者の権利を守る運動の高まりの中、障害者権利条約の批准、障害者差別解消法の制定が行われた。本市でも障害者44団体が「福岡市に障害者差別禁止条例をつくる会」を結成し、手弁当で差別事例を集めて実態を詳細に記した中間報告を作成するなど、同条例の制定にむけて画期的な動きが起きている。ところが髙島市長は市長選で同会から条例制定を問われても、制定を明言しようとせず、そればかりか中間報告を読みもしていないことが明らかになった。同趣旨の条例を制定する動きが他の政令市に広がる中で、市長の後ろ向きの姿勢は許されない。本市でも実効ある障害者差別禁止条例を制定すること。
  • 「行財政改革プラン」で障害者施策について「個人給付から事業への転換などを検討」とされているが、現行施策の削減・廃止はせず、本市における市独自の負担軽減制度や、重度心身障害者福祉手当を存続・充実させること。重度心身障害者医療費助成制度については所得制限を撤廃すること。
  • 障害者が65歳になるとそれまでうけてきたサービスを継続できなくなる問題について、障害者総合支援法と介護保険法との選択ができるようにすること。また、64歳まで障害者福祉サービスを給付され、65歳以降も同様のサービスを介護保険より受けている場合、利用料1割の自己負担について、住民税非課税の者については福岡市が補助すること。
  • 手話についての理解や周知を深め、手話による意思疎通手段の選択、情報取得、利用機会の拡大・保障をめざす「福岡市手話言語条例」を制定すること。
  • 聴覚障害者用ビデオテープの制作・貸出など聴覚障害者への情報提供施設をつくること。
  • 手話通訳者派遣事業の派遣要件を大幅に緩和し、すべての聴覚障害者を対象とすること。
  • 重度障害者の入院中ヘルパー介護の「コミュニケーション支援」事業について、施設利用者にも適用し、利用者の意見を反映して活用できる対象事業を拡大すること。就学前障害児のホームヘルプ利用については必要な時に使えない厳しい要件審査をやめて改善すること。
  • 視覚障害者の同行援護事業の利用上限時間や利用条件を緩和すること。
  • 精神障害者に対するJRや西鉄等の交通運賃割引、市営渡船の運賃割引を他の障害者と同等に実施し、格差をなくすよう、事業者との本格協議と市の手だてを講じること。
  • 行動障害の強い自閉症者が利用できる短期入所を増やし、必要なときに必要なだけ利用できるようにすること。
  • 精神科病院の病棟・病床の一部を「居住系施設」に転換することは、障害者権利条約第19条に定める居住地選択の権利、「特定の生活施設で生活する義務を負わない」とする定めに反するものであり、このような転換をやめるよう国に求めること。
  • 地域生活に移行するための大切な「受け皿」となる障害者グループホーム等への設置費、運営費補助は実態にあっておらず、大幅に増額して施設増設を推進すること。
  • 障害者権利条約第19条では「障害のある人が、他の者との平等を基礎として、居住地及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活するよう義務づけられないこと」と定めており、地域でも施設でも安心して暮らせるようにし、とりわけ本人の意思に反して施設から追い出されることなく、施設も「終の住処」としても利用できるようにすること。
  • 障害者の雇用について、本市職員の採用を抜本的に増やすとともに、民間企業に採用増を要請し、そのための本市独自の補助制度をつくること。
  • 障害児・者の日常生活・補装具の購入に対する国の給付が不十分な中、経済的負担は大きいものがあり、市独自に支援制度を創設すること。また、車いす・杖・補装具等の申請・給付決定の手続きを簡素化するとともに、車いすの修理において行政の事務手続きにかかる時間を短縮すること。
  • ガイドヘルパーによる病院内移動や散歩、政治活動、宗教活動等の移動支援について他の自治体では認められているにもかかわらず本市では厳しく制限・排除している実態について、識者からも障害者に対する基本的人権侵害だとの厳しい批判の声が上がっている。プライバシー侵害にもあたる利用者の細かい利用報告書の提出義務付けを含め、異常なあり方を改善すること。また、就学している障害児をスクールバスの乗降場所まで送迎するさいに、移動支援事業を利用できるようにすること。
  • 視覚障害者にとって重要な誘導ブロックの破損や危険な構造を改善するとともに、自転車の危険走行等によって安全をおびやかされている視覚障害者等の安全を守る手立てを検討すること。
  • 市内の無年金障害者の実態・生活を調査し、担当部局を設置すること。特別障害給付金をすべての無年金障害者に広げるよう国に求めるとともに、その実現までの間、市として給付のない無年金障害者に対する施策の検討を行うこと。
  • 国の障害基礎年金が更新時に支給を打ち切られる事例が相次いでいる。不当な支給打ち切りをやめるよう国と年金機構に求めるとともに、要件緩和を国に求めること。

(14)貧困対策について

  • 市民を犠牲にし大企業の応援をはかるアベノミクスと高島市政のもとで生活保護世帯が本市で過去最多になるなど貧困が広がっている。市民全体および市内の子どもの貧困実態・貧困率の調査をおこない、本市独自の目標・指標を定めて総合的な貧困削減計画をつくること。これらを推進するために、生活保護の担当部局とは別に、貧困・生活困窮対策の独自の部局をつくること。生活保護申請や生活困窮者相談を役所で待つのではなく、性風俗産業で働きながら貧困に苦しむ若い女性など、真に必要な人に支援が届くようにアウトリーチ(積極的に出かけて困窮者を探し、声をかけ、制度につなげる)を強化すること。
  • 高齢者や障害者、ひとり親家庭に対して、水道・下水道・ごみなど公共料金等の福祉減免をおこなうこと。低所得者に対する住民税などの独自減免を促進すること。
  • 生活困窮者への対策として、生活福祉資金貸付制度や緊急小口資金貸付制度を無利子・無保証人にするなど抜本的に拡充することをはじめ、個人向け・離職者向け・個人事業者向けのセーフティーネット貸出制度を拡充すること。
  • 厚生労働省は、生活困窮者が公共料金滞納で電気・ガス等をとめられた状況で発見される事案が発生したことをうけ、関係部局・機関との連絡・連携が十分に図られていない自治体があると指摘する通知を出した。本市は水道料金の滞納による給水停止が2万件にも及ぶのに、ほとんど保護や生活困窮者対策にはつなげていない。事業者からの連絡を待つのではなく、滞納世帯に「生活保護のしおり」などを届け、アウトリーチによって積極的な相談に乗り出す体制をつくること。
  • 生活困窮者自立支援事業は人材派遣会社であるパソナに委託されているが、他機関との連携をとらないなど委託の責任が果たされていない事例が報告されている。パソナへの無責任な委託をやめ、市直営にすること。

(15)高齢者や生活困窮の世帯の孤立化をふせぐ重要な役割を担っている地域の民生委員・児童委員を増員するとともに、費用弁償の抜本的増額を国に求め、当面市独自の上乗せ分を増額するなど待遇の改善を図ること。また、民生委員・児童委員の仕事や負担が重く、担い手づくりに困難が生じており、仕事や負担を軽減し、担い手づくりをすすめること。

(16)公共性と非営利性を特徴とする社会福祉法人に、儲けへの課税となる法人税を課すことは重大な問題がある。社会福祉法人への法人税課税をしないよう国に求めること。また、厚生労働省は障害者施設を運営する社会福祉法人に対し、職員の退職金に対する公費補助をカットする案をまとめており、削減・廃止をやめるよう国に求めること。

↑ 上へ

3 人工島など大型開発をやめ、防災・生活・安全優先のまちづくりへ転換を

(1)人工島事業について

髙島市長は土地が売れたと大宣伝しているが、実際には原価を大きく割り込むまで引き下げ、企業立地交付金を「プレゼント」しなければ売れないというのが実態である。さらに、みなとづくりエリアについては新青果市場用地や道路など15.1㌶(163億5900万)、まちづくりエリアは道路用地など6.1㌶(50億2700万円)、博多港開発工区についても道路・公園・病院用地など34.3㌶(307億3100万円)、用地だけでも総計で55.5㌶を購入し521億円以上もの税金・公金が投入されているなど、市が買い取って穴埋めをしているのが現実である。ハコモノ整備も含めると税金投入は多額にのぼっている。さらに今後、120億円の拠点体育館、250億円の都市高速道路が計画され、企業立地交付金は260億円も予定されている。土地単価をどんどん引き下げ、売れば売るだけ赤字が増え最悪410億円の赤字という負の財産を抱えることになる。毎年100億円もの推進予算は税金の無駄使いの最たるものである。

  • 市のコンテナ貨物取扱量について、2013年は86万7000TEUであり、2014年も9月までの速報値でみると前年同時期と比べも大きくは伸びていないのが実態であり、市が目標としている2015年100万TEUの達成には程遠い。また人工島地区への3万㌧以上のコンテナ船の寄航状況についても、2014年は前年と比較しても隻数、総トン数とも大きく減少している。国も事業化の見通しを立てられない状況にあり、必要のないD岸壁の整備はやめること。
  • みなとづくりエリアの土地について土地処分単価の大幅引き下げで、売却すればするほど赤字となっている。しかも、総合建設業の溝江建設株式会社や建材卸の越智産業株式会社など、国際物流拠点の形成という、みなとづくりエリアの整備目的とは関係のない企業に売却せざるをえないのが実態であり、計画そのものが破綻している。今後577億円もの税金を投入する、みなとづくりエリアの埋め立て事業は凍結すること。
  • まちづくりエリアについて、売れない土地を処分するために「定期借地方式」を導入し大規模商業施設の立地や新産業・研究開発ゾーンへのベンチャーや研究機関の立地を目指しているが、土地処分の見通しはなく、収支が赤字となる事は明らかである。また、センター地区についても「東アジアなど広域から人が集まる…人工島の中核施設を形成する」としながら、結局できるものはスーパー銭湯と調剤薬局であり、計画の破綻は明らかとなっている。120億円もの投資である拠点体育館の整備計画を撤回するとともに、税金・公金による破たん救済である公共施設の導入をやめること。
  • 市長は産業界の要求をのんで、人工島に進出する企業に対する交付金を最大30億円へ大幅拡充している。みなとづくりエリアに進出した上組には約6億円の税金を投げ渡しておきながら、操業開始後の雇用人数も把握していないなど許されない。雇用される正規職員の数も税収効果についても不明確な立地交付金制度は税金の無駄使いであり廃止すること。
  • 巨額の赤字となる人工島の収支計画について、港湾整備事業基金を枯渇させ、港湾特会の破たんが必至であり、借金返済のための一般会計からの税金投入をしないこと。

(2)市長は「アジアのリーダー都市づくり」の名で、「特定都市再生緊急整備地域」等の国指定を振りかざし、都心部で九電・福銀等の七社会や福岡地所中心の計画である天神明治通り沿いの再開発に対し、容積率の規制緩和や税制の優遇、金融支援を行うとともに、新たな天神通線の整備などを計画している。さらに、銀行やゼネコンのもうけづくりのための基盤整備に、再開発や区画整理、緊急性のない道路づくり等々の手法を駆使し、いくらになるかすらわからない莫大な公金投入の計画をつくことは異常であり、このような都心の大型開発路線を突き進むことは許されず止めること。

(3)ウォーターフロント地区について、市長は総事業費がどこまで膨らむか一切明らかにしないまま、大型クルーズ船対応の施設整備や中央ふ頭の埋め立て、公園や第二期展示場の整備、集客・商業施設の誘致などの大規模な再整備を推進し、さらに同地区と天神・博多駅とを結ぶ公共交通機関の整備まで検討している。市民生活向上に役に立たないばかりか、一部の開発企業のみを儲けさせ、市財政に破たんをもたらす、こうした再整備計画は直ちに中止すること。

(4)福岡空港の2013年の乗降客数は1929万人と回復しつつあるとはいえ2002年の1968万人すら下回っている実態である。また飛行機の小型化に伴い国は容量限界をこれまでの時間あたり32回、年14.5万回から、誘導路増設もあわせ時間あたり37回、年17万回へと大幅に修正しており、滑走路増設の必要性がないのは更に明白になっている。国・市の財政状況から見ても空港問題は、既存ストックの有効活用や、近隣空港との連携等で解決すべきであり、1800億円もの公金をつぎ込み不必要な滑走路増設を行うことは許されず、やめるよう国や県に要求し、本市としてこの計画から撤退すること。また西鉄などの利益のために滑走路を含む空港施設を民間委託することは、公的責任をあいまいにし、安全性や公共性を脅かすものであり、市長は「民間委託の検討を進める」ことに対する同意を取り下げること。

(5)箱崎の九大跡地については、民間事業者への土地の切り売りではなく、歴史的価値のある建物を保存しつつ、市が責任を持って土地を確保し、子どもの文化ホールや児童館、保育園、子ども家庭支援センター、特養ホームなどの複合施設や箱崎中学の移転を行い、総合研究博物館、研究機能を備えた総合環境・防災ステーションなど4校区協議会提案にある地元住民の要望を反映した利用計画をたてること。

(6)大名・簀子小学校などの跡地は市民の貴重な財産であり、民間売却でなく保育園や特別養護老人ホーム、文化施設、公園、避難場所等々、地域に必要な公的活用を行うこと。

西部市場跡地は地元住民要望の近隣公園を早急に設置するとともに、東部・青果両市場跡地についても民間売却でなく公的に活用すること。

(7)香椎駅周辺地区土地区画整理事業については、住民や商店街等との話し合いを促進し、商店街の活性化につながるまちづくり計画にむけて住民参加で見直すこと。

(8)公営・公的住宅行政について

良好な居住環境の住まいを確保し、安心して住み続けたいというのは多くの人々の共通の願いであり、この願いを個人の努力にまかせるのではなく権利として保障することが国際的流れとなっている。アベノミクスと高島市政の下での格差と貧困の広がり、さらに家族構成の変化、高齢化の進展などによる地域コミュニティの喪失、「孤立死」の多発が社会問題になっており、これらは住まいについて人間らしく生きる権利が損なわれていることを示している。いまや住まいを権利として位置づけることを本格的に検討すべき時期に来ており、低廉で良質な公営住宅の必要性はこれまで以上に高まっている。

  • 市営住宅全体では、2013年度1万3461件もの応募に対し、募集戸数は昨年より百戸以上少ない906戸しかなく倍率は昨年を上回るものとなっている。特に単身高齢者住宅では2075件の切実な応募に対し56戸の募集しかなく、まさに何年待っても入居できない深刻な事態である。必要な市民が入居できるよう、建替中心の建設抑制政策を改め、大幅な新規市営住宅建設計画をたてるとともに、民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅にするなど多様な供給方式の活用で公営住宅を大幅に増やすこと。
  • 市住の建替え跡地については、安易な民間売却でなく、公的に活用すること。
  • 従来特別随時募集制度等で救済されていた「家主の都合により突然の退去要求を受けた世帯」については、新たな随時募集制度では救済されない。高齢者等だけでなく一般の低所得世帯にとっても結局路頭に迷わざるを得ない深刻な問題である。住宅に真に困窮したこれらの世帯の救済策を早急に講じること。
  • 市営住宅における低所得の若年単身世帯・新婚子育て世帯枠を拡大するとともに、民間住宅入居に際しての家賃補助制度をつくること。
  • 市営住宅内の公園管理について、自治会役員の高齢化等で困難な団地については一方的に自治会に押し付けるのではなく市が責任を持って管理すること。
  • 福岡公団自治協の調査によれば、市内UR賃貸住宅の居住者のうち65歳以上の高齢世帯、年収251万円未満の低所得世帯がともに過半数を占め、公営住宅の代わりとなる貴重な役割を果たしている。こうした中で、安倍内閣が家賃引き上げ幅の拡大、引き上げ周期の短縮、低所得高齢者への特別措置の廃止を盛り込んだ家賃改定ルールの改悪をうちだしたことは重大である。住民無視のルール作りをやめ、家賃値下げを行うよう国に求めること。市内で約3700戸に及ぶUR賃貸住宅の用途廃止計画は、本市の住宅政策に深刻な影響を及ぼすものであり、計画を中止し、公共住宅として守り充実させるよう国に求めること。また、「家賃の4倍以上の収入」という入居要件は単身の生活保護世帯の排除につながっており、入居要件を緩和し、必要としている人が入居できるよう国に要求すること。

(9)分譲マンションの共用部分のバリアフリー化、省エネ化、アスベストの除去などの支援とともに、大規模修繕など、マンションを長持ちさせるとりくみの支援を行うこと。また、すでにいくつもの自治体が実施しているように集会所、通路、ゴミ置き場、公園などは、その公共性にふさわしく固定資産税を減免し、維持管理費等の補助、防犯灯や受水槽の電気代等の補助などを行うこと。

(10)空き家の倒壊等による被害の防止のため、市の体制強化をはかるとともに、空き家を貴重な社会的資産にするために空き家情報の提供、住宅の改修への様々な公的支援など必要な施策を早急に実施すること。

(11)中高層建築物等建設にかかる紛争について

  • 中高層建築の標識設置は2012年度555件が2013年は528件と漸減しているにもかかわらず、苦情・相談件数は122件が155件へと約1.3倍になっている。特に近年、住民の努力で守られてきた良好な住環境を破壊する強引な中高層住宅建設の深刻な事例が後を絶たない。開発規制を強化するために用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の周知と積極的適用に努めること。
  • 市が提案した「新高度地区の導入」について、実行を求める請願が2012年に市議会で採択されたにもかかわらず、「検討中」などとしていたずらに実施を先延ばしすることは許されず、建築物の高さによる圧迫感の軽減、周辺環境と調和した街並みの形成等のためにも当初案を土台に早急にまず実施すること。
  • 「建築紛争の予防と調整に関する条例」については住環境を守るための実効性を持つことが非常に重要になっている。他都市ですでに実施されているように標識設置期間の延長や、近隣説明会の義務付けと範囲の拡大等々の改善は即時行うとともに、住民合意を前提にするなどより実効性を持つ内容に抜本的に改訂すること。また市は住民の立場で建築業者に対し、条例を遵守した真摯な話合いを行い、住環境を守るよう強く指導すること。市の指導に従わず、住民との話し合いに応じないなど誠意が見られず、また工事協定も結ばないまま一方的に工事強行を行う業者に対しては、市工事の入札時にペナルティを課すなどの罰則規定を盛り込むこと。また、そのためにも都市計画・まちづくりに関し、自治体独自の条例制定権を全面的に認めるよう、国に対して法改正を要求すること。

(12)緑地保全(保全林)の地区指定を促進するとともに、予算を大幅に増額し、都市緑地の保全・買取を積極的に推進すること。併せて緑の再生にも計画的に取り組むこと。保存樹事業については、所有者の負担軽減策を講じること。

(13)動植物園の再生計画の実施により、入場者数は全国9位で100万人に迫っている。より市民に親しまれる動物園とするため、再生計画の実施にあたっては市民や飼育職員の意見も十分反映させ、計画的に予算を確保し、植物園エリアとの相互活用も含めてよりよい整備計画とすること。また必要な動物の確保を行うこと。また既存の施設についてもより動物本来の自然生態を見せる展示方法の導入や飼育環境の改善などの工夫を行うとともに、改修計画を前倒しして推進すること。あわせて動物園はレクリエーションの場だけでなく、博物館法にもとづく種の保存と保護、教育、調査・研究などの重要な役割を担う施設である。「受益者負担」などとして入場料の値上げは行わないこと。また高齢者から憩いの場を奪う入場料の減免制度は廃止しないこと。

(14)交通対策について

  • 西鉄などのバス運行事業者によるバス路線の休廃止に続いて運行便数の削減が拡大し、新たな公共交通不便地域を作り出すなど依然として深刻な社会問題となっている。公共交通機関としての責任を果たさせるためにも西鉄などにこれ以上の路線廃止や便数削減を行わないように強く要求すること。
  • 本市では、生活交通対策として柏原3丁目地区でコミュニティバスの試行運行が実施中であるが、全市的には極めて不充分である。公共交通不便地域が拡大している状況の中で、不便な地域における生活交通対策として必要であるコミュニティバスの運行について、市が主体となることや、財政措置を行うなど本格的運行を開始すること。また高齢者等の買い物や通院などの生活交通網の充実を図ることため条例を抜本的に見直すこと。
  • 天神地区を中心に都心部への交通流入量を抑制する対策の具体化が求められており、パークアンドライドなど対策を推進していくとともに、公共交通機関への乗り換え促進をはじめ自動車交通の総量抑制などに取り組むこと。
  • 西鉄貝塚線と地下鉄との乗り継ぎを解消し、区間を三苫駅まで延伸する相互直通運転のために、西鉄との協議を急ぎ、早期に事業化すること。
  • 高齢者や障害者が要望しているノンステップバスや低床バスの導入率は9.5%と低い水準にある。国は2020年度までに導入率70%を目指すとしており、本市においても実効性のある年度目標を定め、積極的に導入を図ること。また、JR筑肥線及び西鉄大牟田線のホームドアについては、新技術の活用を含めて直ちに設置するよう関係事業者に申し入れるとともに、推進のための協議会を設置すること。併せて、公共公営交通機関において、西鉄バス停や地下鉄駅での視覚障害者への音声案内について、視覚障害者団体など関係者の要望を踏まえ改善の取組みを強化すること。
  • 近年、自転車は環境にやさしく、また手軽で健康に良い交通手段として利用者が増えているなか、自転車事故が増加し、その安全な利用環境が求められている。本市が2014年3月に策定した「福岡市自転車空間ネットワーク整備計画」は、2022年までの10カ年で約100㌖を整備するとしているが、現状は5路線、6.4㌖と極めて不充分である。従って、自転車レーン整備については年次計画を立てる等その整備を急ぐとともに、指導員の配置など積極的に進めること。
  • 市長は、行財政改革プランで市営渡船事業のうち志賀島航路について便数の減少、大岳の廃止を強行しようとしている。しかしながら地元住民は市長提案を受け入れられないと厳しく批判し、撤回を求めている。関係住民が長年にわたって生活・通学航路として利用してきた志賀島航路の便数の削減、及び大岳の廃止案を撤回すること。

(15)本市の水道用水供給施設能力は、海水淡水化、大山ダム建設によって77万7700立方㍍と拡大してきたが、水道用水の一日平均給水量はこの10年間約40万立方㍍とほとんど変化はなく、過大な施設整備となっている。従って、過大な水道用水供給計画は抜本的に見直すとともに、必要のない五ヶ山ダム建設は、渇水や治水対策についても問題があり、県や国に中止を要求すること。

(16)本市では乙金浄水場での今後の浄水処理方式について、現在の「急速ろ過方式」を継続するのか、「膜ろ過方式」に切り替えるのか検討を行っている。しかしながら膜ろ過方式は、必要とする施設整備や維持管理費、更に膜の整備や交換、消費電力などに多額の事業費を必要とすることや、何よりも民間委託化で企業の利益補償が行われることになる。しかもどちらの方式でも浄水される水道水の水質は基本的に何も変わらない。従って、膜ろ過方式の検討はやめるとともに、現在の市直営による急速ろ過方式による浄水場の運営・管理を引き続き行うこと。

(17)脱原発、原子力事故から市民を守るために

昨年原発に関する2つの画期的な判決が出された。そのひとつは、大飯原発運転差し止めた訴訟で福井地裁が「憲法上の権利である生存を基礎とする人格権が極めて広範に奪われる可能性は原発事故のほかは想像しがたい」とし、こうした事態を招く具体的な危険性が万が一でもあれば「差止めが認められるのは当然」と下した判決である。もう一つは福島原発事故で自死した女性の損害賠償を東京電力に命じた福島地裁判決である。この2つの判決が示しているのは、人類と原発は共存できないということに他ならない。約7500人が参加した川内原発再稼働反対集会、玄海原発運転差し止め訴訟の原告数は約8900名となり、どの世論調査をみても原発再稼働反対が過半数となっている。ところが安倍政権は原発を「重要なベースロード電源」として将来にわたって維持・推進し、原子力規制委員会が定めた「新基準」をテコに再稼働をねらっている。その「新基準」たるや杜撰なもので、EUで採用されているコアキャッチャーはなくてもよいとされ、また火山対策でも巨大噴火は予知できるとして、川内原発の再稼働を進めていることは重大である。川内原発は、本市から250㌖圏内、さらに玄海原発は本市から50㌖圏内に位置しており、市長は市民の「人格権」を守る立場から「原発のない社会」をめざして行動する責務がある。ところが高島市長は原発再稼働については「国の判断にゆだねる」とするなど、安倍政権追随の姿勢であり、150万市民の長としてこんな無責任な態度は到底許されない。

  • 市長は国の判断とせず、市として「脱原発宣言」を行うこと。
  • 市として九電と国に対して、川内原発および玄海原発の4基すべての再稼働中止と早急な廃炉を強く要請すること。
  • 本市の避難計画では150万市民が避難することは不可能であり、250㌖圏内の住民が影響を受けるような最悪規模の事故も想定した地域防災計画・避難計画を策定するとともに、国まかせでなく市独自に避難指示が出せるよう専門機関を設置すること。
  • 九電と締結した原子力安全協定は、事故時に直接福岡市への連絡をさせるとともに、事故後対策だけでなく、再稼働や施設の変更にあたっての本市への事前説明・了解、立入調査などの内容を盛り込むよう見直しをすること。

(18)再生可能エネルギーについて

  • 国は、電力会社が太陽光などの電力の買い取りをいつでも制限できるなど制度の抜本的な見直しの方針をしめし、それを受け九州電力は今年1月中旬より条件付きでの買い取りをおこなうと発表している。これによりメガソーラー計画をする自治体や事業者、市民からは不安と怒りの声があがっている。電力買取り制限をおこなわないように九電と国に求めること。
  • 本市には太陽光・風力の市内利用可能量をすべて導入すれば市内全世帯の電力消費をまかなえる潜在能力がある。しかし本市の「福岡市環境・エネルギ-戦略有識者会議」の提言で出されている再可能生エネルギーの目標は2030年で市内電力量の8%を担うものでしかなく、市として2020年までに市内の一次エネルギーの2割、30年までに3割を再生可能エネルギーと省エネルギー技術でまかなう目標を定めること。
  • 市有施設・市有地で太陽光、風レンズ風車などの風力、小水力などの発電の活用を前項の目標にふさわしく抜本的に拡大すること。太陽光発電の「屋根貸し」を公共施設でもすすめるとともに、民間施設や個人住宅で普及するため市が積極的な支援をおこなうこと。
  • 九州大学と共同で開発している風レンズ風車および、九州大学が実証実験をしてきた浮体式洋上風力発電などの支援を強化すること。
  • 住宅用太陽光発電システム設置を飛躍的に増やしていくために補助金制度を抜本的に充実すること。

(19)原発事故子ども・被災者支援法は具体化されたが、支援対象者は福島県の中でも限定されており、内容も原発被災者の実態にあったものになっていない。同法の支援対象地域を狭めないよう国に求めるとともに法の対象から除外された自主避難者が相談できる部署の設置をおこなうこと。

(20)耐震計画・対策の前倒しなどについて

東日本大震災の教訓をふまえて真に市民の安全確保をするため、緊急に以下の耐震計画の前倒しの手だてを講じるべきである。

  • 24棟2883戸の市営住宅、庁舎・消防署や福祉施設など既存公共施設6施設の耐震改修が残されており、とりわけ水道施設は耐震改修の進捗率が20%、下水道施設は41%など公共土木構造物の耐震改修は遅れており問題である。災害時に被災者を受け入れる公共建築物の耐震化は喫緊の課題であり、耐震計画を前倒しして早急に取り組むこと。
  •  荒津の石油コンビナートや、西戸崎の石油タンク、東浜のガスタンク等の震災時の安全が懸念されているにもかかわらず、耐震化率は数年間58%という状態が続いているのは問題である。危険物貯蔵所施設の耐震化状況を早急に調査し、耐震対策と津波対策を徹底し、安全性を確保すること。
  • 民間建築物耐震化促進事業の耐震改修助成を抜本的に引き上げ、住宅の耐震化目標を前倒しして実現すること。あわせて、人命救済のための耐震ドア、耐震ベッド、窓や屋根の補強だけでも活用できるようにするなど、助成要件を緩和し、民間建築物の耐震強化の促進を行うこと。また制度の周知・広報も強めること。

(21)地震・津波対策について

  • 政府の地震調査委員会は今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を地図上で示す「全国地震動予測地図」の2014年版を発表したが、それによると福岡県の県庁所在地の周辺の確率は6%から8%と上昇している。また昨年8月国は津波防災地域づくり法にもとづき、本市に影響を及ぼす津波として新たに菊川断層や西山断層を波源とする津波想定を公表した。それによると最大津波高は菊川断層を波源とする津波1.7㍍となっており、2012年公表した対馬海峡東の断層を波源とする最大津波高2.15㍍より低くなっているが、到達時間は対馬海峡東断層を波源とする津波96分に比べ西山断層を波源とする津波は8分と非常に短い。震災・津波について市として想定外を想定し、最悪の事態に備える見直しをただちに行うこと。
  • 最悪の津波を想定し、津波避難ビルの必要数の確保、避難ビルの認証シールやオートロック対策など実効性ある対策を早急にとること。
  • 地域での高齢者などの要援護者の避難支援体制を市が責任を持ってつくり上げ、災害時に現実に機能するように地域との連携を日常不断に図ること。

(22)市内にある757か所の急傾斜地崩壊危険箇所のうち、解消されたのは県が特に危険だと指定したわずか3〜4%程度である。年々集中豪雨発生などによる危険は高まっており、地権者の協力も得ながら、県に指定区域の拡大を求めるとともに、市としても積極的な取り組みをすすめ、早急な解消につとめること。

(23)本市の消防力の整備状況は、国の指針に照らしてポンプ車は3台不足し、人員は69人も不足しており、特に予防要員の充足率は82.1%しかない。市民の命を守る上で重要な消防力であり、早急に増車・増員すること。また救急救命士も大幅に増員すること。

(24)一昨年起きた安部整形外科(博多区)の火災で高齢患者など10人が犠牲となり、市民はもとより全国に大きな衝撃が走ったが、火災原因となっているスプリンクラーについては、現在有床診療所160施設のうち、設置されているのが6施設であり極めて遅れている状況である。早急に全診療所に設置できるように国に予算の増額を求めるとともに市が独自支援をおこなって設置させること。また火災自動通報装置をただちに設置させること。併せてすべての福祉・医療施設について、火災の自動通報装置やスプリンクラーの設置などの防災・消防体制の整備を、国と市の責任ですすめること。

(25)河川水害対策について

  • 市街地を流れる那珂川の水害対策等については、「広域基幹河川整備事業」を早期に完成させるよう県と国に要求すること。また内水排除を進めていくためにも貯留池などの施設整備を行うこと。
  • 若久川については、護岸の嵩上げや河床掘削、バイパス雨水管、若久団地内に調整池の整備など浸水防止対策を具体化し、早期に事業化を図ること。
  • 樋井川の浸水対策については「床上浸水対策特別事業」は終了するとしているが、浸水防止対策のためには、護岸整備・嵩上げなどの補強が必要であり県へ要求すること。当仁中学校跡地や小学校、公園などの公的施設を活用して、地下貯水施設等を早期に設置すること。また、浸水被害にあった田島、鳥飼、長尾地域での浚渫など改修を急ぐとともに、上流域での浸水対策については、公共施設などを活用した調整池やバイパス雨水管などの整備を早急に具体化させること。
  • 周船寺川の河川改修事業については、いまだに進捗率44%である。計画の前倒しで河床掘削や護岸整備を急ぐこと。
  • 須恵川流域の松島校区については、2012年度に完了したとされる浸水対策では不十分であり、河床掘削など抜本的な河川改修事業を改めて県に要求すること。
  • 今泉など天神周辺地区の浸水対策は緊急性が求められている。雨水整備レインボープランとして進められている雨水幹線整備や貯留施設、浸透施設等の前倒し整備を早急に行うこと。また下水道の分流化についても年次計画を立て事業を推進すること。

↑ 上へ

4 地球温暖化対策と環境問題について

(1)地球温暖化対策について

  • 地球温暖化は世界的な異常気象の発生や生態系の破壊など目に見える形で進行しており、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を減らし、温暖化を抑えることは、全人類にとって差し迫った課題となっている。ところが我が国は、京都議定書の第二約束期間(2013~2020年)の取組みを拒否し、安倍首相が2020年までに1990年比3.1%増という“増加”目標を表明したうえに、2020年以降の削減目標の検討が進んでいないという状況である。すでに欧州連合(EU) は昨年10月に、2030年までに1990年比で40%削減の目標を決めており、安倍政権の立ち遅れと無責任ぶりは世界的に際立っている。従って、世界で第5位の温室効果ガス排出国である我が国(CO2で世界の3.4%、2010年)が削減の国際責任を果たすことは当然であり、意欲的な削減目標へ見直すための対策を早急に取ることを国に要求すること。
  • 本市における二酸化炭素の排出量は、2013年度は前年度比111%増と増加傾向にあり、業務・産業部門が43%、運輸部門が23%と依然として業務・産業部門が高い。本市の「地球温暖化地域推進計画」では、業務部門は二酸化炭素の排出量を基準年度に対して14%削減する目標であるが達成するどころか逆に増加している。従って、最大の課題である大規模事業所等の排出量の削減に向け、積極的な目標とするよう働きかけること。

(2)微小粒子状物質、いわゆるPM2.5は、粒径が非常に小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、肺癌、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響が懸念されている。本市では、2013年度は全測定局で環境基準を達成していません。従って、大気汚染物質の排出量を減らすため国際的な協力の強化を国に求めるとともに、市として市民の健康への影響調査や、科学的な知見に基づく市民へのわかりやすい情報提供を行うとともに、発生源・影響への解明・研究を進めるなど、PM2.5対策の強化など積極的な取組みを行うこと。

(3)光化学オキシダントについては、2013年度も昨年に続いて全測定局で環境基準値を達成していない。従って、自動車排ガス対策の強化を国に求めるとともに、本市庁用車の低公害車等の積極的な取組みとともに、民間業者への普及を促進すること。

(4)博多湾の水質は、2013年度のCOD75%値の経年変化において東部海域の環境基準点2か所の内1カ所が再び未達成となり、中部海域でも環境基準点3か所のすべてで未達成となっている。従って、未達成海域の原因究明及び対策を取るとともに、港湾内部生産や下水排水の規制など保全策の充実を図ること。

(5)和白干潟については、クロツラヘラサギ、ミヤコドリなど多様な希少種が飛来し、休息場や餌場となっている。国は、2013年11月に国際的にも重要な湿地であることを踏まえて和白干潟だけでなく多々良川河口を鳥獣保護区の指定に加え2023年まで延長した。市長は、和白干潟・多々良川河口については、鳥獣保護区の「特別保護区」指定を国に働きかけるとともに、2015年の第十二回ラムサール条約締結国会議で登録地に選ばれるよう積極的な取組みを行うこと。

(6)ごみ行政について

  • 本市のごみ処理量の状況は、これまで毎年減少傾向にあったものが2012年度から家庭ごみ処理量及び事業系ごみ処理量とも増え始め、2013年度も引き続き増加し、減るどころか増加状態となってきている。「新循環のまち・ふくおか基本計画」では2025年度までにごみ処理量を11万㌧削減し47万㌧以下にするという減量目標の達成は困難となってきた。過大な施設で大量生産、大量消費、大量焼却を前提にした計画でなく「拡大生産者責任」の立場で行政と市民、事業者が一体となったリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の推進などごみ減量を基本とする計画に改めること。
  • 本市のごみリサイクル率は、2013年度30.8%と前年度比で僅かな増にとどまっている。「循環のまち・ふくおか基本計画」で定められている2025年の目標値38%を達成していくためには、具体的な計画の策定とごみ減量に積極的に取組むこと。また、家庭系及び事業系の可燃性ごみについては、再資源化、リサイクル化を一層促進するためにも分別収集を拡大すること。
  • 本市の2013年度における一般廃棄物の内事業系ごみ処理量は、前年度に比べて増加しており、事業系ごみの減量対策の拡充が求められている。企業任せでなくオフィス紙ごみや食品廃棄物のリサイクル等の奨励、ごみ減量の指導や目標設定など積極的な取組みを行うこと。また2015年度に廃止するとしている「ごみ処理手数料の減免制度」については、厳しい経済状況の下で中小企業や業者に新たな負担を押し付けることは許されず存続すること。

(7)産業廃棄物の投棄によって引き起こされている環境汚染は深刻な社会問題となっている。2009年に改正された土壌汚染対策法では3000平方㍍以上の土地を改変する場合に調査を義務付けることなどが盛り込まれたが、法改正前に廃止した事業所に適用されないなど不充分なものであり、操業中の工場敷地や、工場敷地を別の工場に売却した場合にも、調査を義務付けるよう国に求めること。また、本市においても厳重な立ち入り監視・調査・指導を行い、「福岡市産業廃棄物処理施設の設置に係わる紛争の予防及び調整に関する要綱」を条例化し、違反者への罰則規定を強化すること。

↑ 上へ

5 中小企業の営業を守る総合的施策、農林水産業の再建を

(1)中小企業・業者対策および経済対策について

  • 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在であり、本市では企業の98.7%を占め、働く人の72%が働いており、雇用の担い手となっている。しかしながら国の調査「経済センサス」では市内の事業所数と従業員数について、2008年度から2012年度までの4年間で4780事業所が廃業し、4万2703人の従業員が失業している。企業収益についても2010年度と2013年度を比較すると資本金10億円超の法人市民税は138%のびている一方、1億円以下では95%になっている。さらにアベノミクスや消費税の大増税は、中小企業にあらたな困難をつくりだしている。本市においても2014年1~6月の倒産件数は77件、負債額約57億円となっており、安倍首相が言う「大企業をもうけさせればいずれは国民にまわる」という「トリクルダウン」論は破綻している。従って、高島市長の「都市の成長が暮らしの成長につながる」という大企業中心の経済政策を根本的にあらためるとともに、中小企業憲章にもとづく「中小企業振興条例」を制定し中小企業の振興を図ること。
  • 福岡市の経済や雇用を支えている中小企業に対する予算は2014年度24億円であり、一般会計の0.31%にすぎない。広範な中小企業の要求に応えられるよう、中小企業予算を大幅に増額すること。あわせて、市内の全中小商工業事業所を対象にした対面・ヒヤリングによる経営実態調査を実施し、施策に反映させること。
  • 景気回復のための経済対策には公共事業だけでなく、地場中小企業の仕事づくりにつながる民間需要の拡大が不可欠である。住宅リフォーム助成制度は中小業者の仕事おこし、地域経済の活性化とともに住宅の寿命をのばすなど環境対策としても効果が明らかとなっており、福岡県内で23市町村、全国では6県628市区町村と実施自治体が大きく広がっている。住宅リフォーム助成制度の創設を拒否し続ける異常な姿勢をやめ、地場中小企業の仕事づくりになる、対象工事を限定しない住宅リフォーム助成制度を本市でも創設すること。あわせて、商店リフォーム制度についても創設すること。
  • 人工島をはじめとする大型公共事業に偏重した現状を見直し、生活密着・福祉型公共事業への本格的な転換をすすめること。競争入札資格のない未登録業者に、自治体が建設工事や修繕工事等を発注する際の小規模工事登録制度について、これ以上先送りにする事は許されず、直ちに実施すること。
  • 官公需が地域の中小企業の仕事起こしに役立つよう、運用状況を調査し、地元中小企業優先へ発注率を大幅に高めるなどの改善をはかること。トライアル発注認定事業の改善・充実をはかること。
  • 建設業界では低賃金などの理由で若者の入職が減り、技術継承が危ぶまれる事態となっている。今年度、公共工事設計労務単価が平均で8%引き上げられたものの、現場には反映されていない。下請代金の未払いや大手ゼネコンによる低単価発注などをやめさせるためのルールが守られておらず、実態を調査し対策を講じること。また「公契約に関する基本法の制定を求める意見書」が本市議会で採択されるなど公契約法(条例)の制定を求める運動と世論は大きく広がっている。川崎市、相模原市などの政令指定都市を含む全国11自治体に広がり、福岡県内でも直方市で公契約条例が制定された。自治体の仕事を受注する企業に人間らしく働ける賃金と労働条件を義務づける「公契約」条例の制定をすすめること。
  • 一般競争入札の運用にあたっては、地元中小企業・業者の仕事確保の観点から、一定額以下は大企業を排除する逆ランク制度を採用すること。
  • 国に対し全業種100%保証の「セーフティーネット融資」の復活を求めるとともに年利1%未満、保証料全額補助の融資制度をつくること。あわせて社会福祉協議会の窓口を各区役所に置き、生活資金や生業資金の相談が行える体制をとること。
  • 本市ではこの10年間に商店数が4割減っているにも関わらず、市の商店街活力アップ支援事業、商店街空店舗等再生事業などの商店街支援策の活用は非常に少ないままである。地元商店街や商店を守るため、実態や要望を踏まえた十分な支援をおこなうとともに商店街対策予算の増額を図ること。また、2013年度福岡市高齢者実態調査では「近所にできれば外出したいと思う場」について「買い物を行う場」と回答した高齢者が25.4%と最も多いなど、身近な所に買い物場所がない高齢者が増えている。買い物弱者対策事業として2013年度から始まった「地域との共生を目指す元気商店街応援事業」について支援内容を買い物弱者対策をすすめている自治会や商店街などが支援を受けやすいように改善するとともに予算を抜本的に増やすこと。

(2)雇用の改善について

  • 安倍政権は労働法制の大改悪をすすめようとしている。職務や勤務地を限定した「限定正社員」制度、「金さえ払えば解雇できる」仕組みの導入など、「解雇自由の国」づくりや、派遣労働についても「臨時的・一時的業務」に限定するという、世界であたり前の大原則を投げ捨て、低賃金で不安定雇用の派遣労働をいっそう拡大することも強行しようとしている。さらには、実際に働いた時間に関係なく、事前に定められた時間を働いたものとみなす裁量労働制の拡大、労働時間規制がルーズになりやすいフレックスタイム制の要件緩和、労働時間規制を全面的に外す「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入で、「残業代ゼロ」「ただ働きと長時間労働自由の国」づくりもねらわれている。こうした労働法制の規制緩和を許せば、日本社会全体が、労働者を「使い捨て」「使いつぶし」にする総ブラック企業化となり、「働く人が世界一住みにくい国」にされてしまうのは明らかであり、労働法制の規制緩和をやめるよう国に要請すること。
  • 若者をはじめ働く人を過酷な労働に追い込んで、モノのように「使い捨て」「使いつぶす」ブラック企業は国政の大問題である。昨年、我が党はブラック企業規制法案を国会に提出した。法案提出後に厚生労働省は、5000をこえる事業所に調査に入り、82%の事業所が法令違反を犯していたことを明らかにし、是正指導・勧告をおこなっている。本市も過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにするブラック企業の根絶に向けて、専用の相談窓口を設置し、労働者向け対策リーフレットを作成し、身近な所で入手できるように普及、啓発すること。
  • 大学生の就職内定率は、国の調査において 2014年度新規学卒者の就職内定率は全国で2014年10月1日時点で68.4%、高校生では71.1%となっている。県においては大学生等の就職内定率は10月末時点で54.9%、高校生が62.5%と非常に厳しい状況が続いている。本市として学生の就職難打開の手だて、就活支援をいっそう強化すること。
  • 2014年11月の労働力調査によると、非正規労働者数が前年同月に比べ48万人増えて2012万人になった。この調査で2千万人を超えるのは初めてであり、役員を除く雇用者全体に占める非正規労働者数の割合は38.0%に達している。福岡市内の非正規労働者数は2012年、27万2400人と2007年と比較して4万3300人も増え、労働者数全体に占める割合は4割を超えている。このような中、高島市長は市職員を正規職員から非正規職員に替えている。市長自ら非正規を増やす姿勢をあらためて、市職員の正規化をすすめること。あわせて市長が直接地元財界や大企業に正規雇用の維持・拡大を強く要請すること。
  • 労働に関する法令や制度等をわかりやすく解説している「働くあなたのガイドブック」については2013年度1万部しか作成されていない。2015年度に改訂・作成される際には「ブラック企業対策にかんする記述を増やし、作成部数についても高校生や大学生、専門学校生に対して1人残らず行きわたるように抜本的に作成部数を増やすこと。あわせて、高校の授業での活用、卒業生への配布の復活など積極的な活用を図ること。

(3)農林水産業の振興について

  • 我が国の農林水産業の存続を根底から脅かしているのは、例外なき「関税ゼロ」を原則とするTPPへの参加問題である。交渉は秘密裏に進められているが、あきらかになっているだけでも日本に対する関税撤廃の要求はつよく、安倍内閣は、国会決議の農産5品目の「聖域」扱いも、関税引き下げとセーフガード(緊急輸入制限)の組み合わせなどによる大幅譲歩が伝えられている。農林水産物の関税が撤廃されれば政府の不十分な試算でも、農林水産業の生産額は3兆円減少し食料自給率は27%まで低下する。TPP交渉からの撤退を求める大学教員の会の作業チームによる試算では、関連産業や地域経済を含めた減少額は10.5兆円、就業者数の減少は190万人にものぼる事があきらかになっており、農林水産業に壊滅的な打撃を与えるとして、JAや消費者団体などが広範な国民とともに反対しているTPPについて、市長は参加反対表明を行うとともに、政府に対して交渉からの撤退を求めること。
  • 安倍政権が進めている「農業改革」は、農地にたいする営利企業の進出を厳しく規制している農地法を骨抜きにし、その実行者である農業委員の公選制を廃止、小生産者(家族農業)が協力・団結して農業生産と農家の暮らしを守るための農協の事実上の解体である。政府に対して農民の自治的な農地管理や協同組合を否定し、家族農業とその共同を基本とする農政の民主的な側面を根底から覆す農業改革をやめるよう求めること。
  • 食料自給率向上のためには農業の振興が不可欠であるが、農業所得については米価の低下傾向にあり、稲作の収益率が悪化する中、農産物価格保障対策や経営安定政策が不十分で農業従事者が安心して農業に励むことができない。米だけでなく、本市において生産量が多い花卉、野菜の価格安定対策や助成制度を改善・拡充することを国に要望するとともに地産地消の取り組みを強化し本市農業を守ること。
  • 燃油や飼料などの生産資材価格の高騰が経営に与える影響の大きい施設園芸や畜産などには直接補てん措置が不可欠であり、市独自の制度をつくること。
  • 耕作放棄地の増加で農地の荒廃が広がっており、これ以上増やさないことは、国土の保全のためにも重要な課題である。市民農園を拡大するとともに市民参加型の生産について市がイニシアチブをとること。
  • 2013年における本市の農家の経営主の平均年齢は69.7歳となった。農業従事者は2012年と2013年を比較すると187人も減少している一方で、農林業総合計画における本市の新規就農数の目標は8人であり、極めて低い目標になっている。農業従事者が増加するような目標を設定すること。農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすことと同時に青年就農給付金制度を本市のような都市近郊農業にも充分に活用できるよう要件の緩和を国に要求すること。あわせて、ふくおか農業塾の定員の拡充を図ること。また株式会社への農地取得・利用を厳しく監視するよう国に求めること。
  • 有害鳥獣による農産物被害においては、本市で圧倒的に被害の大きいイノシシについて、電気柵等の防止策を講じた結果、被害額は減少の傾向にあるものの、被害は未だになくなってはいない。引き続きワイヤーメッシュ、電気柵の設置などを行う事。また該当する鳥獣の生態や繁殖条件の調査、増えすぎる鳥獣を適正な密度に減らす地域や自治体の取り組みを支援するよう国に申し入れること。また、鳥獣が里山に下りずに生息できる森林環境の整備をはじめ国が鳥獣被害対策交付金を大幅に増やし、農家や自治体の防護柵・電気柵・わなの設置、捕獲物の利用などへの支援を強めるよう申し入れること。
  • 林業は地場産業であるとともに、森林は、木材資源の供給とともに、国土や環境の保全、水資源の涵養(かんよう)、生物多様性の保全など、国民生活にとって欠かせないものとなっている。また、低炭素社会にむけた大きな可能性を持っており育成していかなければならない。しかし、安い外材の影響で市内産木材の需要が伸びず、荒廃森林も増えている。市内産木材を使用した住宅建設や改修に対してインセンティブを与え、地元木材の利用・販売促進に努めること。公共建築物や住宅、道路施設、土木事業等への市内産木材の使用を広げること。あわせて、公共施設への木質バイオマスを燃料とする器具の導入を図ること。
  • アベノミクスによる円安による燃油や資材価格の上昇による経費増大と産地魚価の低迷が、漁業と漁民経営の存続を深刻に脅かしている。漁民の所得保障と価格安定対策を国に求めるとともに、漁場環境の保全、改善や後継者問題に取り組むために振興策の充実をはかり予算を増やすこと。また、石油価格や漁船・漁具、養殖用飼料の価格高騰による経営困難を打開するため、現在、時限立法で措置されている軽油引取税などの免税措置を恒久化し、資材価格の安定と省資源型漁船や漁法にたいする援助を強め、消費者価格の安定をはかるよう国に求めること。

↑ 上へ

6 憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもの成長・発達を中心にすえた教育・文化行政の推進を

今日、いじめや体罰・暴力、家庭の経済状態による教育格差拡大、その異常さが国際機関から厳しく指摘されている過度の「競争」や「管理」等、様々な問題に多くの国民が心を痛めており、教育の深刻な行き詰まりの打開が求められている。しかし安倍政権は教育予算を切り縮め「海外で戦争する国」「弱肉強食の経済社会」という国策に従う人づくりのため教育委員会制度を改悪し「道徳の教科化」等教育内容への介入を強める等、教育の分野でも暴走している。高島市長はこれら政権の動きに追随し学校や公民館への日の丸掲揚、「グローバル教育」を押し付ける等、教育への異常な介入を行う一方で教育予算を最低水準に抑制し続けてきた。平和と民主主義を土台とした憲法と子どもの権利条約を生かし、全ての子どもの「人格の完成」を目指し一人一人が大切にされる教育の再建こそが急がれている。

(1)一般会計の6%台で推移し史上最低水準となっている本市の教育予算は、抜本的に増額すること。

(2)教育を民間の儲けの道具にする異常なPFI、指定管理者手法について

  • 学校給食センター再整備については4か所から3か所への統廃合による1か所1万3000食という過大規模化、学校給食公社の廃止・職員リストラを一体として進める重大問題がPFI手法により強行され、麻生グループ等大企業の儲けづくりのために利用されている。また小学校給食においても直営をやめる理由が無いにもかかわらず調理員のリストラと一体に民間委託が全校に拡大されようとしている。給食センター再整備についてはPFI手法を中止し、公社方式を存続するとともに小学校給食の民間委託は中止し現行の非常勤職員制度を改め、文部科学省基準以上の人員を市の正規職員で配置し、責任を持った調理を直営で行うこと。また、財政状況を理由に、狭隘化や老朽化等、労働環境が劣悪となっている給食室・控室については直ちに改善すること。
  • 脊振少年自然の家、海の中道青少年海の家に指定管理者制度が強行導入され、麻生グループが選定されたのに続き、総合図書館及び新東図書館にも指定管理者が導入されようとしており関係者や利用者から厳しい反対の意見が寄せられている。パブリックコメントで寄せられた意見の大多数も反対であったことを踏まえ、図書館を民間の儲けの道具にし、その機能を後退、変質させる指定管理者制度の導入をやめること。

(3)行財政改革プランに基づく教育切り捨てについて

  • 市立幼稚園の廃止計画の道理の無さは、説明会・パブリックコメント、7万2000筆余の議会請願で既に明確になったにもかかわらず、未だに計画を撤回しない市長と教育委員会に対し、市民と関係者の怒りは高まっている。早急に計画撤回を決断、発表し、施設設備の充実を図り、長年行っていない教諭の独自採用を復活させること。
  • 特別支援学校送迎バスの民間委託が強行され、西鉄と株式会社麻生介護サービスの利益を生み出す一方、子どもの安全・発達への懸念が高まっている。指導員は市の直接雇用に戻すとともに、ルートを増やし増便すること。
  • 重要な役割を果たしている市教育振興会高校奨学金の見直し計画は「民間活用」で滞納対策を強化し、適用資格を厳しくするものであり撤回し本市奨学金については入学支度金の貸付時期の前倒し、奨学資金の増額・所得要件等の基準緩和、定員増等改善を図るとともに給付制奨学金を創設すること。国、県の修学資金が適用できない世帯を救済できる市独自の「緊急貸付制度」を創設すること。
  • 学校用務員については「拠点校方式」の導入により「退職不補充」方針が取られ、学校施設の維持管理・補修に支障をきたすだけでなく、教職員の多忙に拍車をかけ職員集団機能を低下させるものとなっている。「不補充」方針を撤回し、必要数の採用を行い全校への配置に戻すこと。

(4)「新しいふくおかの教育計画」等について

  • 本市の教育計画は、財界要求に基づき「世界に羽ばたく人材育成」などとして、英語教育をことさら強調するなど歪んだ内容となっている。全ての児童・生徒の人格の完成を図る教育の本旨に立った計画へと改めること。
  • 子どもと学校間の競争を激化し、教職員の困難を増大させている一斉学力テストは、やめること。
  • 学校や公民館への日の丸掲揚、君が代斉唱の強制をやめること。
  • 中学校の職場体験先に自衛隊を選定している学校については生徒の発達上問題があり、憲法の精神にも反するものでありやめるよう指導すること。また、防災訓練の会場になっている学校等において訓練と関係のない自衛隊関連のビラが配布される問題が生じており、自衛隊車両の体験試乗等も含め行わないよう、厳しく申し入れること。
  • 相次ぐ体罰の根源にある要因を教育委員会として解明し、根絶のために取り組むこと。
  • 教科書採択については教育委員会が独断で決めることなく、教員や保護者らの意向を反映して公開し、民主的に行う仕組みを堅持すること。

(5)教育条件、体制の整備・充実について

  • 全学年での35人学級実施が現場の切実な願いとなっている中、独自の「ガイドライン」を理由に拡充しない姿勢は異常であり許されない。ガイドラインは破棄し当面本市独自の常勤講師の採用等必要な手立てをとり、全ての学年、学校に拡充するとともに30人以下学級に足を踏み出すよう国・県に強く要求すること。
  • 後を絶たないいじめの根絶に向けて、いじめは人権侵害であると位置づけ、学校及び教育行政の子どもに対する安全配慮義務、集団的に対応する学校の責務、いじめられた子、いじめた子に対する徹底したケア、被害者の真相を「知る権利」を保障することを原則として取り組むこと。設置されている「いじめ防止対策推進委員会」等の各種組織については、それら原則に立ち実効性のあるものへと適宜改善すること。
  • 不登校生に対応するまつかぜ・はまかぜ学級と同様の施設を増設すること。
  • 「学校規模適正化」については子どもを中心に考え、情報の公開と住民合意を基本にまた、据え、一方的な押し付けを行わないこと。また、統合校の通学区域の拡大にともなう児童・生徒の安全対策については十分な手立てをとるとともに、一人あたりの校地面積の縮減による詰め込みにならないよう配慮すること。志賀島小学校については住民の不信を生んだこれまでの進め方について真摯に総括し、住民要望を生かし丁寧な検討を行うこと。
  • 小中連携教育は、教職員の過度の負担につながらないよう人的配置を充実させるとともに、様々な問題が指摘されている「一貫教育」への移行は行わないこと。
  • 土曜授業の実施やエアコン設置を理由にした夏休みの短縮は、子どもと教職員からゆとりを奪い疲労が拡大する等、弊害が指摘されており行わないこと。
  • 危険な通学路について専門家による実態調査を行い、住民要望を踏まえ関係局と共に改善に向けた年次計画を立て、早急に完了すること。
  • 教育委員会については保護者、子ども、教職員、住民の願いをつかみ教育施策をチェックし改善する、教育への見識や専門性を持つ人物を確保する、政治的介入から教育の自由と自主性を守る、憲法と子どもの権利条約の立場に立って行政を行う等、住民自治の機関としての改革を行い、会議については非公開が多い現状を是正し、公開すること。「日本軍慰安婦は無かった」「日本の戦争は自存自衛とアジアの開放が目的だった」等の特異な立場に基づいて教科書や教育現場へ圧力をかける動きについては許さない立場を堅持すること。
  • 中学校部活動の相次ぐ廃止に歯止めをかけるために、当面補助指導員の更なる充実のための予算増額を図り、顧問の確保・育成のための抜本的な方策を検討すること。また部活動予算の縮減により練習試合等の実施に支障がでるばかりか、市大会、県大会等上位大会出場旅費も不足している事態を解消するため関連予算を増額すること。
  • 貧困と格差の拡大の下、給食費さえ払えない低所得の保護者も増え、就学援助制度の充実は、さらに切実になっている。国が示しているクラブ活動費・生徒会費・PTA会費については直ちに項目に加え、国に対して財政措置を求めること。また、基準改悪は行わないこと。
  • 給食食材の高騰等を理由にした小学校で月300円、中学校で400円の給食費の引き上げは子育て家庭の困難をひろげるものであり、高騰分の補てんは当面市費で行い値上げはやめること。他都市に習い無料化への検討を始めること。

(6)教職員体制について

  • 教職員は休みたくても休めず慢性的な長時間過密労働を強いられ、精神疾患等による休職者は減らない等、健康破壊が深刻である。過重・超過勤務の抜本是正のため、人的加配など実効性ある措置を取るとともに、休暇を取りやすい環境を整え教職員の休憩室については法令通り適正に設置すること。教職員の「全体の奉仕者」としての責務や勤務実態を無視した給与等削減をやめるとともに非常勤講師等の賃上げを図ること。また、異常な非正規化を改め、必要な人員は正規で採用するとともに、地域行事等勤務時間外の活動への参加押し付けは行わないよう指導すること。
  • 過度な競争や管理教育ではなく一人ひとりの子どもの人権・命を大切にする教育を推進することは、いじめ・体罰根絶にとっても重要である。職員研修は同和偏重からこどもの権利条約等の関係法令や発達の観点などを学び生かす研修へと改め充実させること。
  • いじめや不登校をはじめとする諸問題を改善するためにも、専門のカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを正規化し全校配置するとともに養護教諭の複数配置をひろげること。
  • 全ての学校図書室で新年度中に図書標準100%を超えるとともに、新聞配備を完了すること。また、図書教育充実のために専任の司書を正規で配置すること。司書教諭については市費加配の活用等による授業時数の軽減を図り、司書業務を行える条件をつくること。
  • 「指導力不足教員」政策と結びついた「新勤務評価制度」は、ILO(国際労働機関)・ユネスコ(国連教育科学文化機関)から「教員の地位勧告」に抵触すると指摘され根本的見直しを直接勧告されている。本市においても「目標管理」による教職員評価制度が教師の自由を奪い現場を硬直化させており、やめること。
  • 教職員の採用は定数内講師ではなく正規を基本に拡充するよう県に強く求めること。教員免許更新制をやめるよう国に求めること。

(7)学校教育施設について

  • 外壁のコンクリート片落下等人命に関わる重大事故が後を絶たず、チェック体制が厳しく問われている。施設・設備をはじめとする学校環境・安全点検は現場だけに押し付けず、予算を組んで専門家により少なくとも年1回は行い、必要な改善は速やかに実施すること。
  • 築30年以上の大規模改造未実施校について全て来年度着手するとともに、危険なブロック塀の改修は直ちに完了すること。プールについては財政負担を理由に改築しない方針を撤回し必要な改修・改築は速やかに実施すること。
  • 教室の温度について、夏期は30℃以下、冬期は10℃以上とされている国の環境衛生基準違反状態を続けることは許されず、普通教室に続き特別教室についてもエアコン設置計画をつくること。普通教室へのエアコン設置についてはPFIではなく、直接発注・施工に変更し地場企業の参入を拡大すること。
  • 学校のいたる所にスレート板やPタイル等、アスベスト含有材が使用されており、破損時には飛散し危険であるにもかかわらず、対処方法等について学校への周知は不十分である。学校からアスベストを全て撤去する指針を策定し、当面の取り扱いについては緊急対策を図るとともに、対処後の報告を義務付けること。
  • フロアにトイレが無い等、不足している学校については増設を行うとともに「臭い」「汚い」「暗い」等の問題等について早急に解消すること。
  • 生徒数が1000名を超えている実質過大規模校を放置し教室不足等の問題を放置することは許されず、地域コミュニティーに混乱をもたらす校区調整ではなく、早急に分離・新設を行い、当面教室の増設等、緊急の対応を行うこと。また、教育環境整備の観点から人口の流入抑制等の対策を他局とも協議し手立てをとること。

(8)特別支援教育について

  • 通常学級で学ぶLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障害児に対応する支援体制の遅れにより、困難が拡大している。関係局と連携し成人まで対応できる「発達障害者支援センター」を増設するとともに、「介助員」「支援員」を大幅に増員して必要な児童・生徒に行き届くようにすること。「支援員」については、2か月という短期の臨時的任用という配置は問題であり、安定・継続できる雇用体系とすること。小中学校の特別支援学級については希望者のいる学校全てに直ちに設置するとともに、既存の教室にも手洗い場やシャワー等要望の高い施設を整えること。
  • 児童・生徒数が増え、教室不足や職員室の狭隘化に陥り現場でのやりくりでは限界に達している東福岡・生の松原特別支援学校等について、新年度当初に間に合うようプレハブ等での緊急対策を行うこと。併せて特別支援学校の今後の生徒数を見据え、学校増設、教室増設の抜本的な計画を立て準備に入ること。
  • 博多高等学園については入学希望者が増え選抜により入学できない生徒が生み出されている。希望する全員が入学できるように定員を増やすこと。
  • 市内に1か所も無い視覚障害特別支援学校について、設置に向けて県と協議し早期に実現すること。
  • 特別支援学校を卒業した生徒の希望する進路保障に向けた対策を抜本的に強化すること。

(9)高等教育について

  • 実質教育委員会からの押し付けとなっている「市立高等学校活性化に向けた取組方針」は撤回し、特色ある教育の推進は現場での民主的な議論に基づく自主性に任せること。本市独自の私学助成は拡充を図ること。
  • 国に対し、奨学金の無利子化と返済無用の奨学金創設について求めること。

(10)私立幼稚園の運営は幼児の減少や人件費の負担増などで極めて厳しい状況にある一方、共働き家庭の子の預かり保育の実施による対応にも苦慮しており、教諭の待遇改善を図るためにも、運営費補助等を大幅に増額すること。

(11)本市の「人権教育・啓発基本計画」は、「同和問題の解決に向けた取り組みの手法・成果を生かす」などとして同和偏重に歪められており、人権を侵し、差別を温存する同和教育の延長となるニセ「人権教育」の押し付けはやめること。学校研修、連絡会等を通じての解放同盟の教育介入を排除し「全市一斉人権教育研修会」については廃止するとともに、学校やPTAへの「同和研修」の強要、解放同盟の運動や主張に加担する「研修」名目での職員の出張及び加配教員の偏重配置をやめること。

(12)予算を増額し、総合図書館及び分館等の蔵書充実を図るとともに、地域による格差を是正するため、図書館増設を急ぎ、当面「移動図書館」(仮称)を実施すること。また、司書は正規職員として増員すること。

(13)社会教育施設及び青年センターについて

  • 公民館に対し「自治協議会のセンター」などとして仕事が押し付けられており、社会教育施設としての責任を果たせない事態をも生み出している。本来の役割を果たすため必要な人員を確保できるよう予算を増額すること。また狭隘化、老朽化等が進んでいるにもかかわらず建て替え計画のない公民館について、早急に150坪館へと建て替え整備を行うこと。
  • 公民館のミニ図書館事業は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(ツタヤ)から古本の提供を受け公民館に配架し、公民館が設置した古本回収ボックスに地域住民から寄付を受けた古本をツタヤに提供するというものである。これは提供された古本でツタヤが利益をあげることにつながり、特定の営利事業に寄与することを禁止する社会教育法第23条に抵触するものであり、この事業はただちにやめること。
  • 団体の利用に関して、社会教育法や条例・規則から逸脱して干渉が行われる事例があるが、誤った対応をしないよう現場を指導すること。
  • 早良区や南区で要望が強い地域交流センターについては、場所の選定と施設計画を早急に進めること。併せて土地の選定にあたっては、早良区の候補地の一つとなっているUR四箇田団地については、住民追い出しにならず、住民合意のもとに進めること。
  • 今日、青年は自己責任論で苦しめられ、孤立化が進む一方、ボランティアや地域貢献に対する意識は高まり、交流や連帯の場はますます重要になっている。青年が、仕事帰りにも気軽に集える施設としての青年センターを老朽化等の理由で廃止することは許されず存続、施設の改善充実を図り、増設も検討すること。

(14)文化行政について

  • 市内における演劇やダンス等の専門性に対応できる中規模ホールが不足するなか、音楽や演劇などの練習や発表の場として、また、文化クラブや教室などの体験活動の場としての役割を担ってきた少年科学文化会館のホールを多くの市民の反対する中でなくすのは許されない。新設される科学館に設置される300席のホールについて楽屋、照明、音響の整備を行い、演劇や音楽など講演会以外の用途にも使用できるようにすること。また、拠点文化施設整備だけに終わらせずに、800席の子どものための劇場型ホールを小学校、中学校跡地などに建設すること。あわせて香椎副都心公共施設に整備される800席のホールについては劇場型ホールとして整備すること。
  • 市民会館の建て替えに伴う拠点文化施設の基本計画策定にあたっては、ホールの設計やあり方等について文化団体、利用団体や幅広い市民の参画のもと具体化すること。
  • 2013年度の音楽・演劇練習場の稼働率は千代、大橋、祇園の3施設とも7割後半から9割の稼動となっている。2013年度の抽選倍率についても千代が2.1倍、大橋が3.68倍と高く、なかなか利用できない状況となっている。施設のない西南部地域に抜本的に施設を増やすこと。またぽんプラザホールは利用料金がやすく、舞台機構もすぐれており小劇場として多くの団体が利用している。同様の小劇場を増設すること。
  • 福岡市美術館のリニューアルに当たって民間ノウハウの活用と財政負担の軽減、平準化を図るとしてPFI方式を選択するとしている。しかしながら、美術館は市民の文化教養、芸術文化の発展に寄与するための社会教育施設である。民間のノウハウを導入し、収益性を重視する余り本来の継続的な研究、研究機会が失われる懸念があり、福岡市美術館のリニューアルにあたってはPFI方式はやめ、直営で行うこと。
  • 1953年に創立された九州交響楽団は、1973年からプロオーケストラとして青少年育成のための演奏活動など、九州各地で年間約130回の演奏会を行っている。さらに、福祉施設でのアウトリーチ活動など、社会貢献活動も積極的に展開している。高島市長は行財政改革プランで本市の文化芸術の振興に大きな役割を果たしている九州交響楽団への補助金を見直そうとしている。補助金の削減で演奏家の確保や演奏活動に影響を及ぼすのは明らかであり九州交響楽団の補助金について行革からはずすこと。

(15)文化財について

  • 埋蔵文化財センターの収蔵スペースの不足に対応するため、旧福岡政府倉庫を取得することが検討されている。検討にあたっては、収蔵スペースの確保だけではなく、市民への展示・公開を積極的に行う展示スペースの確保を行う事や文化財を調査・研究、保存・管理していく本格的体制の構築を図ること。併せて、埋蔵文化財行政の拡充を図るためにも関連予算の増額と専門職員の増員を含め体制強化を図ること。
  • 福岡城址の整備に当たっては、観光や集客目的で天守閣の復元を検討するなど史実に基づかないやり方は許されずやめること。

(16)スポーツ行政について

  • スポーツ基本法では「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」と定め、本市のスポーツ振興計画においても、スポーツは都市政策上も重要な役割があるとしている。そのためにも各区体育館、市民プールなど老朽化しているスポーツ施設は増築・改善・充実をすること。また身近なところで野球・ソフトボール・テニス・サッカー・ラグビー・ダンス・スケートボード・フリークライミングなど気軽に使える運動場やスポーツ施設を新・増設すること。
  • 身近に利用できる学校施設開放の使用料の改定では、これまで以上に利用者負担を増やさないこと。
  • 市民体育館については、人工島の破たん救済のために移転することは許されず、当面は耐震改修をおこなって使用をすること。
  • 本市の体育館やプールなどのスポーツ施設の管理については、指定管理者制度の導入により民間管理会社などがおこなっているところがあるが、利用者から利便性が低下したと不満の声があがっている。利用者の立場にたった運営のために、指定管理者制度をやめ、直営にもどすこと。

↑ 上へ

7 一人ひとりの子どもが大切にされ、安心して子育てできる市政に

(1)子育ての経済負担軽減を求める市民の願いは切実である。髙島市長が「子どもの医療費無料化の充実」を1期目に公約しながら、これを反故にしたことに対し、市民の怒りがわきおこり、中学3年生までの入通院無料化を求める6万6000人分もの請願署名が提出され、わが党もくり返し議会で要求してきた。こうした中で市長は「入院は中学3年まで、通院は小学生までの助成拡大」を口にせざるをえなくなったが、未だに実施時期も、助成の範囲も、通院の対象年齢も明らかにしていない。中学3年生までを助成の対象にしている政令市が20市中16市にまで広がるもとで、このような怠慢はもはや許されない。福岡市でも4月からただちに通院・入院ともに中学卒業まで無料にすること。あわせて、子どものメガネ・コンタクトにかかる費用も助成対象とすること。

(2)保育行政について

  • 本市は2014年4月に一瞬だけ「待機児童ゼロ」を「達成」したが、保育園に入れない「未入所児童」は1000人を超えていた。しかも、髙島市長は「待機児童ゼロ」の「公約達成」の名目を整えるために、申込の異常な前倒しや「待機児童」カウントからの切り捨てによって無理矢理つくりだした虚構にすぎず、2014年10月1日現在、待機児童477人、未入所児童2151人と依然深刻な実態は変わっていない。適正規模の認可保育所を、新築中心に抜本的に増やし、保育園に入れない子どもをなくすこと。また、以前行っていた市有地の無償貸与を復活させるとともに、民有地の借り上げに対する市独自の補助制度をつくること。
  • 本市では保育施設の基準の条例化に際し面積基準を改善しなかった。戦後すぐに制定されたこの基準は、本市がわずかな上積みをしているとはいえ諸外国と比較しても低い水準であり、現場からは「かみつきも多く、ゆったりした環境であればトラブルも減る」などと抜本的な改善を求める声があがっている。児童福祉審議会の付帯意見の趣旨を踏まえて、保育所の面積基準を抜本的に引きあげるとともに、財政措置を拡充すること。
  • 保育施設の職員配置基準については、保育士対子どもの人数を0歳児は1対2、1歳児は1対4、2歳児は1対5、3歳児は1対10、4・5歳児は1対15へと改善をすること。また障害児を受け入れる保育所全てに保育士を加配すること。併せて病気の発症しやすい幼児のために看護師等を配置するなど財政的補助をおこなうこと。
  • 保育所での豊かな「食育」としての給食をめざすために、3歳以上児の主食を含めた完全給食を実施すること。あわせて、給食は「自園方式」を原則とし、外部委託をやめるよう規制すること。
  • すべての子どもの発達の権利を保障するため、児童福祉法24条2項の施設・事業(保育所以外)においても、福岡市の責任で格差のない施設条件をつくるとともに、すべての保育施設について、営利企業の参入や風俗施設近辺への立地を規制すること。
  • 九州大学箱崎キャンパスの移転に伴い、敷地内にある認可保育所の「まつぼっくり保育園」の現地・周辺での存続や良好な周辺環境の確保を求める請願署名4187筆が議会に提出された。園・九大・市の三者の協議のもと、園が現地を買い取る判断をしたが、キャンパスの跡地利用をめぐって、同園付近に道路が計画され、近くに大型商業施設が誘致されるおそれがあり、予断を許さない事態が続いている。市が責任を持って同園が良好な周辺環境のもとで現地およびその周辺で存続できるようにすること。
  • 市は公立保育所を最終的に7か所まで減らそうとしている。本市の民営化検証委員会でも、移行に伴うトラブルも絶えない事が報告され、民営化された保育所では職員の不当な首切りもおこなわれている。公立保育所の民営化による公的責任の放棄は許されず、民営化は中止するとともに、公立保育所を増やすこと。
  • 本市の保育料は3歳未満児で、均等割りのみの課税世帯で比べると、他政令市の2倍以上の高い保育料となっており、低所得世帯には大きな負担となっている。市費繰り入れを増やし、保育料を引き下げること。併せて認可外保育所を利用する保護者への補助限度額をさらに引き上げて負担軽減を図ること。
  • 本市では保育士不足が大変深刻化しているが、これは保育士の劣悪な労働条件に起因している。今年度、国の安心こども基金を活用した保育士等処遇改善をおこなったものの、多くは一時金の支給でとどまったのが実態であり、ベースアップにはつながっていない。
    • 少なくとも「福祉職俸給表」のもとで働く公務労働者と同水準の賃金、諸手当、一時金を実現するよう予算措置をすること。
    • 非正規職員の賃金を時間額1200円以上にし、フルタイムで働く非正規職員を正規職員にするために、財政措置をおこなうこと。
    • 年休の消化や休憩の代替のための人員を確保できるように本市独自の手だてを講じること。
    • 民間の保育職場の調理員の格付けを保育士並みにするよう、本市独自の手だてをとること。
  • 市は「保育の新制度」への移行を口実に、保育協会補助金を削減する動きを強めている。もともと児童福祉法は自治体に保育の義務を課してきたが、福岡市では市が公的施設を整備せず、そのかわりに保育の質を確保した民間園を数多く整備させる「福岡方式」がとられてきた。公が担うべき保育の役割を長年担ってきた保育協会の補助金を削減をすることは許されず、削減計画をやめ、補助金を大幅に増やすこと。
  • 認可外保育所は、24時間保育や、一時・休日・延長保育、障害児保育など、市民の多様な保育要求に応え、地域の子育て支援、家族支援に大きく貢献し、保育行政の補完的役割を果たしている。認可外保育所への運営費の補助を創設すること。併せて、認可化をめざしているところには、財政支援をさらに増やすこと。
  • 政令市のほとんどが実施している産休明け保育を、本市においても市の責任で早急に実施すること。また保育ニーズを踏まえて、休日保育、病児・病後児デイケア事業など特別保育事業を拡充させること。
  • 「保育の新制度」実施にともなう保育所の施設整備補助金の廃止をとりやめるよう国に求めるとともに、建設・改修のための補助制度を維持・充実させること。また、強引に幼稚園を認定こども園へ移行させたりするようなことはせず、園・職員・保護者の意思で決められるようにすること。小規模保育所に移行を希望する施設に対し、必要とされている連携園の確保が困難な施設に対しては市が積極的に支援をおこなうとともに、小規模保育終了後の子どもの3歳以降の保育が保障されるように市が責任をもつこと。
  • 保育施設等への申込は、髙島市長の「待機児童ゼロ公約達成」を偽装するために昨年度は例年よりも1か月以上前倒しし、保護者などに負担を強いるものとなったが、今年度は在園児についてはさらに半月早く締切日を設けている。今後、日程に余裕をもたせるなど、保護者に負担を押しつける申込方法を改めるとともに、期日までの書類の不備を理由にした機械的な切り捨てをやめること。
  • 子どものアレルギー疾患について、除去食の給食を行っている保育所に補助を行うこと。

(3)留守家庭子ども会について

  • 厚生労働省の「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」ではクラス定員を40人以内とし、各クラスに職員を2人以上おくことを原則とした。本市のすべての留守家庭子ども会について、実際に40人以下に分割した施設をつくり、正規指導員をそれぞれに2人以上配置すること。
  • 留守家庭子ども会の施設の建て替えや増築を急ぐとともに、指導員や補助指導員も大幅に増やすよう基準を見直すこと。
  • 留守家庭子ども会の利用料と運営費の負担を軽減すること。
  • 障害児を受け入れる子ども会へは、まず正規指導員1名を加配し、その上で、障害児童数に合わせ指導員を加配すること。
  • 専門性が必要である指導員・補助指導員の賃金を引き上げること。指導員の超過勤務分や勤務日以外の行事参加分の手当てについては保障をすること。また、夏休みなど学校が長期休業中、保護者や現場の声に応えて開所時間を早めるために、指導員の引き継ぎ時間を確保できるよう、制度・財政上の手だてを講じること。子どもの成長・発達のためにも経験豊かな指導員こそ必要であり、5年間の任期付き雇用を撤廃するとともに、希望する職員については、そのまま採用すること。指導員の専門性の確保のために、週休指導員・加配指導員・補助指導員を含め全指導員に対し事前研修など資格取得に必要な措置をとるなどの対策を講じること。また、高学年の子どもについての指導員研修を行うこと。補助指導員の待遇が不十分となっており、待遇改善を図るとともに、公務災害補償に準じる労働災害補償を行うこと。

(4)放課後等の遊び場づくり事業(わいわい広場)において運営を委託された企業が、登録児童以外に遊具を使わせないなどの機械的な運営をしており、地域から苦情が出ている。この事業を麻生グループなど民間営利企業に投げ渡すことをやめ、子どもと保護者の声が十分に反映されるようなものに変えること。

(5)民間の学童保育所への実態調査をおこない、役割を明確にし、支援を検討すること。

(6)児童館について

  • 中央児童会館について、本市においては児童館が中央児童会館1つしかなく、建て替え工事期間中の閉鎖は許されず、市有地などを使って代替施設を確保すること。同会館の建て替えについては、PPPの手法で市有地を民間に貸す現行の計画は、コスト削減と西鉄など民間の利潤確保最優先であり、直営で行うこと。また、新施設は専門職員の配置、中高生むけに十分な広いスペースの確保、利用者負担の抑制などの点で現計画には問題が多く、子どもと市民の声を反映して抜本的に見直すこと。
  • 児童館は子どもたちが放課後や休日に安心してすごすことができる重要な施設であり、公有地を活用して小学校区ごとに専門職員のいる児童館の建設をめざし、まずは各区に早急に設置すること。

(7)児童虐待防止について

  • 本市の児童虐待の相談は前年度より増加し、10年前の1.6倍と依然深刻な事態である。親身な相談活動ができるように専門職である児童福祉司、児童心理司、弁護士資格をもつ職員を大幅に増員すること。児童家庭支援センターは設置されたものの、児童相談所自体は不足しており、一時保護所の不足解消をふくめ児童相談所を増設すること。職員の継続性と専門性を高めること。
  • 児童養護施設の職員配置基準について条例を改善し、人員増をはかること。

(8)母子・寡婦福祉資金は、制限が多く必要なときに借りにくくなっており、借りやすいよう制限を緩和すること、および貸付額の増額を国に求めること。また、各種貸付制度は申し込みから2週間以内に貸与できるように借入れ手続きを簡素化すること。

(9)ひとり親家庭医療費助成の対象制限を緩和すること。

↑ 上へ

8 女性の声を市政に生かし、真の男女平等社会実現へ

安倍政権は「アベノミクス」で「女性の活躍促進」をうたいながら、貧困と格差を拡大してきた。雇用労働者の4割を占めるのが女性だが、その大半を占めるパートや非正規の女性たちは、不安定な雇用で低賃金におかれている。また保育や雇用条件などの問題で妊娠・出産を機に6割の女性が仕事を辞めざるを得ない状況にある。このような中、麻生太郎副総理兼財務相がこのような状況をつくってきた自公政治に無反省に「子どもを産まないのが問題」と若い世代に少子化の責任を転嫁する暴言を行ったことに国民の怒りが沸き起こっている。日本は男女平等度で世界142カ国中104位と発達した資本主義国のなかでもっとも遅れているのが実態であり、子どもを産み育てる女性が差別や不利益を受けない社会へと改善することが早急に必要となっている。

(1)労働における男女差別撤廃について

  • 2020年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%にするという政府目標があるにもかかわらず、課長級以上の職員704名中女性はわずか80名で10.2%とこの5年間でわずか3%程度しか改善されていない。あと6年で20%引き上げて目標を達成するため、女性の採用、管理職への登用を積極的に進め、昇給、昇任などの差別を一掃すること。また、各種審議会の女性参画率は2010年までに35%にという市の目標にもかかわらずいまだに達成していない。政策、方針決定への女性の参画を促進するために審議会等委員の改選時において所管課への働きかけを強め、早急に大幅な引き上げをはかること。
  • 自営業・農業において、妻など家族従業者への給与を経費として認めない所得税法56条は人権侵害であり、また後継者づくりも阻害しており廃止し、働きを正当に必要経費と認めるとともに、病気や出産のときも安心して休めるような支援制度をつくるよう国に要求すること。また市として自営業・農業にたずさわる女性の仕事と健康など総合的な実態調査をおこない、改善をはかること。

(2)法律で夫婦同姓を義務づけている国は先進国では日本だけであり、憲法と国連女性差別撤廃条約の精神にそって、選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間の廃止、戸籍法に残る婚外子差別規定の撤廃など家族に関する法律上の差別をなくすため、早急に民法の改正を行うよう国に求めること。

(3)セクハラやパワハラは女性労働者の人権と働く権利を傷つける重大な行為であり、罰則などの強制力をもった「セクシャル・ハラスメント防止条例」をつくり、その一掃に努めるよう指導すること。当面、セクハラや女性労働者の様々な訴えに対し、被害者の保護、助言・指導・勧告が効果的に行えるよう、相談・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を各区に設置すること。

(4)DV被害の防止、被害者の保護と自立支援について

  • 本市への2013年度のDV相談は4061件と引き続き多く、早急な対策が必要である。各区の子育て支援課に臨床心理士を配置するとともに、アミカスを含めて子連れの相談者のために保育士や学習援助者の体制をつくること。また相談支援体制の充実及び関係機関の連携強化を図り休日・夜間の相談体制を整え、切れ目のない支援に取り組むこと。
  • 自立に要する費用の補助、不足している母子寮の増設、民間シェルターへの補助金など支援の拡充、一時保護から自立に向う中間的施設(ステップハウス)の開設・運営への助成を図ること。
  • デートDV防止教育等若年層への教育啓発の実施対象校を拡大し、充実させること。また、更生と再発防止のために加害者へのカウンセリング、教育などを行うこと。

(5)男女共同参画センターは南区のアミカスに限るのではなく、各区1か所ずつ、低料金で気軽に利用できる便利な場所に建設すること。

(6)母子家庭の年平均就労収入は179万円であり、両親と子ども世帯平均の3割にもとどかず、相対的貧困率は約55%という事態である。その中でさらに非婚母子世帯はいっそう深刻な状況である。非婚母子世帯の不利益解消のため、すでに11の政令市で所得税法上の寡婦控除を適用する「みなし控除」制度を取り入れており、さらに新年度からは横浜市も実施すると報道されている。先行する他都市同様、本市でも「みなし控除」制度を導入すること。また非婚の母にも寡婦控除を適用するとともに、ひとり親家庭の命綱である児童扶養手当を支給開始5年後に半減する措置を撤回し、支給額の引き上げ、所得制限の見直し、多子加算の引き上げなどをすすめるよう国に要求すること。

(7)「慰安婦」問題とは、日本帝国主義の侵略戦争と植民地支配のもとで軍の統制・監督下におかれた「慰安所」で女性たちが多数の兵士の性の相手を強制させられたという強制使役の事実そのものであり、女性の人権を無視し、じゅうりんした性奴隷制度の問題にほかならない。一部の報道に誤報があったからといって、日本軍がこの重大な犯罪を犯したという事実を歴史から消し去ることはできない。安倍内閣による異常な「河野談話」否定の議論は、「慰安婦」問題の本質と実態を隠し、重大な戦争犯罪を行った勢力を免罪するものであり許されない。被害者は高齢化し、解決は緊急の課題である。国連やILOなどの国際機関、海外の議会からも求められているように、日本政府に歴史の事実を直視し、「慰安婦」問題の真の解決のため、国による謝罪・賠償をおこなうよう強く要求すること。

↑ 上へ

9 癒着のない清潔、公正、平和、市民参加の市政を

(1)高島市長はこども病院の医療アドバイザー業務を株式会社麻生に、背振少年自然の家と海ノ中道青少年海の家の指定管理者は麻生教育サービス、また高齢者生活支援人材育成事業は麻生介護サービス株式会社に担わせるなど本市の介護・福祉・教育の様々な事業に麻生グループ企業を参入させ、その拡大を図っている。市長が麻生財務大臣の関係する麻生グループと癒着することは許されず、公平・公正な市政運営をおこなうこと。

(2)昨年発覚した市長の出張問題では、出張自体の必要性のなさ、公務と私的用務の混同が大きな問題となり、出張命令書や航空運賃の領収書、情報公開文書の偽造などの疑いは依然解明がされていない。市長は「事務処理のミス」などと言い逃れしようとしているが、出張命令書の訂正作業と過年度支給の手続きさえ終わらせず、2013年度決算に付したことは前代未聞である。このようなデタラメな公金の使い方はやめること。

(3)高島市長は、政治資金パーティを4年間で5〜6回おこない、数千万円の収益をあげている。このパーティの世話人に名を連ねているのが、中央児童会館建て替えを行っている西鉄関係者や九大六本松跡地に移転する科学館の入居賃借料だけで莫大な利益を得るJR九州など地元財界である。このように地元財界の利益を最優先する市政運営の見返りである実質企業献金にほかならない政治資金パーティはやめること。

(4)市長はあたかも市民の意見を聞くかのようにして市民意見募集やパブリックコメントをおこなっているが、「福岡市総合図書館新ビジョン」のパブコメでは指定管理者導入について、反対ないしは慎重に対応すべきという意見が大半を占めた結果となったにも関わらず導入を進めるなど、意見を全く無視して形だけの意見募集でことを進めるのは極めて問題である。このような取り扱い方は改め市民からの要望を政策決定に取り入れること。併せて各種審議会など委員の市民公募枠を新設・拡大すること。

(5)2012年度93件、2013年度103件と年々増えている総合評価方式入札は、技術提案能力や施工能力などで対応できない地場中小企業者の受注機会が少なく、結果的に大手ゼネコンに有利な方式である。また当局は評価内容についても「知的財産権保護の立場から公表できない」などとして議会にも明らかにせず、談合の有無も含めてチェックできない事態となっている。このような総合評価方式については、談合防止をおこなうために評価内容の公開を行うこと。また地場中小企業の受注機会を確保する方式にするなど抜本的な見直しをおこなうこと。特命随意契約やプロポーザル方式の在り方については、特定業者との癒着構造によって入札の公正・公平さが失われており、制度の総点検を行い抜本的な見直しをおこなうこと。

(6)高島市政になって消費者生活センターへの相談件数は最高になっており、複雑・多様化する市民の消費相談には公平性・中立性が保たれなければならないが、本市の相談業務は営利団体である株式会社に委託されている。このような中県弁護士会は「特定の事業者との利害関係を持つ可能性にある企業が消費生活業務に従事すること自体、業務の公平性、中立性を疑わせるものである」とし「市の本来業務として執行すべき」と意見書を提出している。従って消費者センターの相談活動は委託業務ではなく、市直営でおこなうこと。また委託先の変更に伴い給与削減がおこなわれていることは許されず、給与など処遇改善を図るとともに人員体制の増強をおこなうこと。また相談のための研修に全員参加させること。併せて「福岡市消費生活条例」に基づき、不当な取引行為事業者への是正勧告を強化すること。

(7)特定非営利活動(NPO)法人は、福祉や社会教育、文化、芸術、環境保全などの分野で社会貢献の重要な役割を果たしているものの、人材や資金の確保に苦労している。NPO法を整備して法人格がとりやすい制度にするよう国に求めること。法人税減税財源にあてるため認定NPO法人の優遇税制措置を削減することに反対し、優遇税制措置を法人市民税減税だけでなく拡充すること。

(8)昨年9月「特定危険指定暴力団」に指定されている「5代目工藤会」の最高幹部らが逮捕され起訴されたが、本市におきた2011年2件、2012年1件の発砲事件は、市民の安全で平穏な生活を著しく脅かしており、また県警の情報漏えい問題は暴力団との癒着構造を示すもので許されないものである。「福岡市暴力団排除条例」の趣旨に鑑み、市民生活の安全確保のためにも県警に対し暴力団一掃の取り組みの強化を強く要請すること。

(9)本市が進めている「防犯のまちづくり推進プラン」では刑法犯認知件数は減っているにもかかわらず、プランの成果指標に「自分の住んでいる地域が犯罪の少ない安全なまちだと思う人の割合を高める」などと体感治安の数値を上げることを目標にしていることは適切ではない。犯罪のない安全なまちづくりをおこなうためには、犯罪が激減している原因を科学的に分析し、それにもとづいて犯罪を減らす具体的な対策をたてること。また、増え続ける高齢者犯罪については、孤立をなくす居場所づくりや貧困をなくす取組みをおこなうこと。20年間で9か所も減らされた交番を増やすよう県警に申し入れること、併せて防犯パトロールについては、住民が自主的に参加できるようなものを奨励し、そのための住民への啓発パンフレットなどを行政がしめすこと。

(10)全国では同和事業が終結し、本市においても2012年度予算から同和対策事業を一般事業へと移行したにもかかわらず、いまだに特別扱いが続けられている。また部落解放同盟福岡市協議会へ2013年度は2400万円の補助金が出され、その約7割は人件費にあてられるなどまさに税金丸抱えとなっているのが実態である。部落解放同盟福岡市協議会への補助金の支出と特別扱いはやめること。

(11)自治協議会発足から11年を迎える中、「地域コミュニティとの共働の在り方・最適化」について検討が行われ、国の介護保険制度の見直しと連動し、「高齢者の見守りと日常生活支援」を自治協に押し付けようとすることに、自治会関係者から反対や懸念の声が噴出した。しかしその後も「地域のまち・絆づくり検討委員会」を設置して自治協にその役割をおしつけようとしている。このように「パートナー」と称して、本来行政がやるべき仕事を押し付けたり、介入したりするやり方は、自治会活動に支障を来たすなど、様々な矛盾を生んでおり、こうした住民自治組織の自主性を壊すやり方はやめること。

(12)市民の平和と安全を守るために

  • 自衛隊が導入する新型輸送機MV22オスプレイを佐賀空港に配備する計画をめぐり、周辺住民から騒音や米海兵隊による同機の使用には不安や怒りの声が上がっている。佐賀空港へ配備されれば、自衛隊春日基地や福岡空港へ飛来することが想定され、市民への危険性が危惧される。オスプレイの県内上空での訓練など一切拒否するよう国に要求すること。
  • 九州でも急増している米軍の危険な低空飛行訓練はやめるように国に要求すること。
  • 米軍板付基地は、2012年69機、2013年52機と米軍機が飛来しており、市民にとっても危険な事態である。市長は、米軍板付基地と米軍背振山通信施設の即時全面返還を国と米軍に対して強く要求するとともに福岡空港の軍事利用に反対すること。
  • 博多港への米軍及び自衛隊の入港を拒否するとともに、「非核神戸方式」を導入すること。
  • 市長は、議会が議決した「平和都市宣言に関する決議」だけでよしとせず、本市として非核自治体宣言を行うこと。
  • 今年は戦後70周年・被爆70周年という節目の年、若い世代に戦争の悲惨さ・被爆の実相を伝えていくためにも国連の軍縮大使や各国政府代表などが参加している原水爆禁止世界大会やニューヨークで今年おこなわれるNPT再検討会議などに高校生派遣をはじめ若者の派遣をおこなうこと。また福岡大空襲や原爆に関する常設平和資料館の設置、「はだしのゲン」の上映会、市役所ロビーでの原爆資料展など総合的な平和事業をおこなうためにも予算を大幅に増やすこと。併せて高齢化が進んでいる博多港引き揚げ者の方々の資料収集を再開するとともに保管場所の設置や大々的な展示会などをおこなうこと。

以上

↑ 上へ

関連記事2015年度予算要望を提出

>>>「申し入れ」一覧に戻る
>>>「声明」一覧へ
>>>「政策と活動」トップへ

政策と活動
議員の紹介
トピックス
議会報告
市議会ニュース
リンク
お問い合せ

↑上へ