政策と活動
ウォーターフロント開発計画の大破綻について
2021年9月6日
日本共産党福岡市議団の中山郁美団長は、2021年9月6日、以下の談話を発表しました。
一、福岡市は、「ウォーターフロント地区(中央ふ頭・博多ふ頭)再整備の事業内容の見直しについて」とする報告を9月議会に行います。「感染症の影響により、これまで通り、『MICE』『クルーズ』『賑わい』が融合した一体的なまちづくりを進めることは難しい状況にある」として、計画の大幅縮小を打ち出しました。特に、クルーズや国際定期便などがコロナ後も回復が見通せなくなり、中央ふ頭北側に誘致しようとしていた複合商業施設やホテルは「誘導も困難」だとして、「長期的課題」という名前で事実上「お蔵入り」になりました。また、同地区へのアクセス手段としてロープウエー構想が消えた後も、地下鉄延伸など大がかりな交通投資を狙う動きがありましたが、今回の報告で「BRT及び路線バスで対応可能」とされ、これも潰れました。髙島市長はクルーズを念頭に「観光は『一丁目一番地』の重点施策」だとして、同地区に「天神・博多に次ぐ第三の集客拠点」をつくることを掲げてきましたが、こうした髙島市政および財界のもともとの構想は、完全に破綻したと言わざるを得ません。
一、わが党は、ウォーターフロント開発計画については、市民の莫大な税金を注ぎ込みながら、儲かるのは財界・大企業や特定企業だけであり、市民にはほとんど還元されない事業であると指摘し、中止を市長に迫ってきました。市民からも、クルーズ観光やMICE施設を軸にした呼び込み政策は地元への恩恵がなく、負担ばかりが目立つことが不満として上がっていました。特にロープウエー構想については保守層や与党を含めて市民から厳しい批判の声が広がり、市長は構想の撤回に追い込まれました。このようにもともと無理のある開発計画が、コロナによるパンデミックで劇的な破綻を見せたというのが今回の事態の本質です。
一、コロナを経験した世界は、たとえパンデミックが収束しても単純に元の状態に復することはなく、観光のあり方や働き方をはじめ、すべてが大きく様変わりすることは明らかです。特に、「外需頼み」「インバウンド頼み」という呼び込み型経済政策の脆弱さが浮き彫りとなり、地域の中小企業や市民の家計を応援する経済政策に切り替える必要性がいよいよ鮮明になっています。ウォーターフロント開発計画そのものを完全に中止するとともに、コロナ前の、旧態依然の発想を前提にした髙島市政の呼び込み型政策の数々、すなわち「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」、箱崎九大跡地の「スマートイースト」、世界水泳選手権誘致、人工島事業なども同様に抜本的な見直しを行うよう強く求めるものです。
以上