政策と活動
2020年4月10日
緊急事態宣言を受けての
新型コロナウイルス問題での申入れ
福岡市長 髙島宗一郎殿
日本共産党福岡市議団
団長 中山郁美
幹事長 倉元達朗
市議 綿貫英彦
市議 堀内徹夫
市議 松尾りつ子
市議 山口湧人
新型コロナウイルスの感染拡大にともない福岡県などを対象にした緊急事態宣言が発令されました。感染の爆発的拡大を抑えるために外出自粛の要請などをとることは当然であり、その実効性を最大限に高めながら、社会・経済生活への影響を最小限にすることが求められます。そのために、この新しい事態のもとで、わが党として調査などにもとづいて、貴職に以下の点を要請します。
1福岡市として「感染拡大防止協力金」を緊急に支給すること
わが党はこれまで「自粛は補償とセットで」という原則に立って実効性を高めるよう要求してきましたが、安倍首相はこの期に及んで自粛と一体の補償を拒み、7日の国会でも「個別の損失を直接補償することは現実的でない」と答弁しました。国に対し原則の転換と具体的な補償を求めるべきです。
同時に、国が拒否しているもとでも、自治体独自で支給することが必要です。
静岡県・御殿場市は、市内のバーやナイトクラブ、キャバレーなどに休業を要請し、休業による損失は100万円を上限に補償するとしました。
本市でも感染防止のために営業を自粛する中小業者にたいして、自治体として緊急に協力金を支給し、感染防止の実効性を最大にすべきです。
現在福岡県・市は休業の要請をしていませんが、生活のためにやむを得ず店をあけている業者も、苦境に立たされながらすでに店を閉めている中小業者も、どちらも協力を要請すべき対象とみなすべきです。
2制度融資の手続き・審査を簡素化し、利率を思い切って下げること。政策金融公庫の窓口もスムーズに受付できるように体制充実を求めること。
今回の事態をうけて中小業者が市の融資を利用しようとしても利率が1.3%もあり利用しづらいという声が寄せられています。政策金融公庫の特別貸付は利率がはるかに低いうえに、手続き・審査が市の制度融資ほど煩雑ではないこともあって、同公庫の窓口に申し込みが殺到しています。
西方沖地震の際には利率を0.9%に下げたことを踏まえ、今回の事態を受けての市の制度融資の利率を思い切って引き下げるべきです。また、窓口での体制を充実させるとともに、手続き・審査を簡素化すべきです。
政策金融公庫についても、窓口の体制充実を求め、迅速に融資が受けられるようにすべきです。
3文化・芸術団体等への直接給付を緊急に行うこと。
わが党が聞き取りをした文化・芸術の団体や個人(以下「団体等」)の多くは、今回の事態をうけて生活や事業を回すための日銭がなくなり、存続の危機に瀕しているほどの打撃をうけています。もともと事業の実施を通じて文化や芸術を広めるために、営利を目的とせずに活動しており、「融資をうけてしのぐ」というやり方は現実的ではありません。そのために、このまま手をこまねいていれば、これらの団体等がなくなり、本市から文化・芸術の灯が消えてしまうことになりかねません。鳥取県では「文化芸術は発表機会がなくなると活力を失い、担い手がいなくなる」として、公演を無観客でライブ配信する場合などに助成をおこなっており、本市でも文化・芸術団体等に対し、一度だけでなく、継続的に現金が渡せるような支援を急いで行うべきです。
4PCR検査体制を抜本的に充実し、保健所人員も強化すること。
「医師が必要だと判断したのに、PCR検査が受けられない」という事例が各地に生まれています。本市では1日240件の検査能力に対して実際の検査数が最大で250件に達しており、限界に近づいています。また、「帰国者・接触者相談センター」を通さないと「帰国者・接触者外来」まで行けないことによって、検査を受けたくても受けられない状況が生じています。PCR検査の体制を抜本的に充実させ、また、同センターを通さなくても検査ができるよう国に求めるとともに、現場での運用を変えるべきです。
同時に、クラスター感染などを追跡することをふくめ、国の「基本的対処方針」で定めている通り、保健所の抜本的な強化は欠かせません。
5介護事業所の感染症対策の必要経費、デイケア中止などによる減収分を全額補償するとともに、実態を調査すること。
職員に感染者が出た福祉施設では、人手が足りなくなった上に、感染を恐れて出入り業者が来なくなったり、高い費用を請求されたりしています。また、職員の家族も仕事に行けず、保育園も子どもを預かってくれないなどの極度の困難にも置かれています。
感染者が出ていない施設でも、感染症対策のために特別の費用が必要となり、さらにデイケアの中止などで大きな減収が出ています。
マスクや消毒液など感染症対策の必要経費や減収分の補償をするよう国に求めることが必要です。国が手を打たないもとでも、市として緊急に実態を調査しつつ、補償などの支援をすべきです。
6生活保護制度の周知を「市政だより」1面などで行うこと。
新型コロナウイルスの影響によって派遣切りや「ネットカフェ」からの追い出しが起きており、急激に生活苦に陥る危険が高まっています。最後のセーフティネットとしての生活保護の活用が求められており、「市政だより」1面で案内するなど制度の周知を図るべきです。
7「福岡市感染症危機管理専門委員会」を立ち上げ科学的根拠にもとづく対策やリスク・コミュニケーションを行うこと。
外出自粛要請や学校臨時休業は、科学的根拠をもとにすべきであり、また、わかりやすく丁寧な説明によってこそ市民の行動変容に効果を発揮します。
福岡県が「新型インフルエンザ等対策行動計画」に定められた学識経験者等からなる「福岡県感染症危機管理対策委員会」を設置し、対策を諮問するなど専門家の技術的助言を積極的に活用しているのに対し、本市は「行動計画」に定める「対策本部」は立ち上げましたが、いまだに同計画に基づく「福岡市感染症危機管理専門委員会」は設置せず、市長は「思いつき」と取られるような記者会見を繰り返しています。
すぐ設置を行い、科学的根拠に基づく対策と、専門家の意見に基づくリクス・コミュニケーションを行うべきです。
8トップダウン方式の決定、拙速で一方的な「公表」をやめること。
市立学校の臨時休業をゴールデンウィークまで延長することが決められましたが、この決定について感染症の学識経験者はもとより、現場からの聞き取りや実態の調査はまともに行われておりません。また、決定後も学校や留守家庭子ども会関係者に連絡がなく、先に市長のブログで知った市民から問い合わせが殺到するなど、現場に困難がもたらされています。
市長が「スピード感」を演出するために、関係者への連絡・準備・協議などを無視して、一方的にブログやツイッターで宣伝するやり方は、現場の混乱を招いています。
トップダウンで重要な決定を行うのでなく、専門家や現場の声をきき、よく実態をつかむとともに、決定をした場合は速やかに現場に伝え、準備ができるようにし、公表の方法も見直すべきです。
以上
(教育長宛)緊急事態宣言を受けての新型コロナウイルス問題での申入れ