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日本共産党福岡市議団の政策と活動

福岡市議会「空港出資条例案」再議の結果について

2017年4月25日 日本共産党福岡市議団

再議はしたが、議会の多数は「出資すべき」で揺るがず

福岡市議会の「再議」議会が4月11日から13日未明まで開かれました。3月議会で自民党市議団が、福岡空港の管理運営に公的関与を強めるため福岡市による運営事業者への出資を義務付ける「活力ある福岡空港づくり基金条例案」を議員提案し、市民クラブ(民進・社民系)による修正案を取り入れて賛成多数でいったん可決していましたが、高島市長が「出資しない」と固執し、これを不服として拒否権を発動したものでした。再度審議し、記名投票による採決の結果、自民党議員1人が反対に寝返り、賛成41、反対21で、再議の可決要件である「3分の2の賛成」に及ばず、否決されました。

この再議をめぐって明らかになったのは、①福岡空港を丸ごと民間営利企業に投げ渡し公共性と安全が脅かされる恐れがあるのに高島市長が無責任な態度に終始したこと、②高島市長が自分の主張を絶対不変として、最大与党会派である自民党とさえもまともな話し合いを避けて一方的に押し付け、議会では同じ答弁の繰り返しで論戦から逃げ、再三にわたる委員会出席要求を拒否し、議員への不当な圧力と切り崩し工作を行うなど、独断専行・議会無視の実態です。

条例案は否決されましたが、市長の主張に賛同したのは公明党、みらい福岡、自民新福岡の3会派、議会の3分の1に過ぎず、とても「高島市長が勝利した」という状況ではありません。逆に「出資すべき」という議員が増え、議会の多数の意見であることが明確になりました。


滑走路も民間丸投げで公共性・安全おびやかす高島市長を追及した日本共産党

空港の民営化は、安倍政権が「成長戦略」の柱にすえて強力に推進しているもので、福岡空港についてもこれまで国の管理だった滑走路を含めて2019年4月を目標に民間委託化されようとしています。

日本共産党は、空港の民営化・民間委託化は空港を民間資本の儲けのために利用し、公的な責任をあいまいにすること、維持更新費や安全のための投資が抑制され、防災、老朽化、安全対策が縮小される懸念が増大すること、さらに空港間競争を激化させれば空港同士の連携や役割分担を壊し、不採算路線の廃止縮小を加速させることになりかねないこと、などのことから一貫して反対しています。福岡空港も国が責任をもって管理すべきであり民間委託化は中止すべき、という立場です。

高島市長は安倍政権に追随し、「民でできることは民で」と言って福岡空港の民間委託化を推進し、運営事業者に出資せず経営に関与しないばかりか、空港の管理運営から完全に手を引こうとしています。こうした高島市長の方針で空港の公共性と安全が保たれるのかが争点になりました。

市長は、出資しなくても「市の関与は法定協議会や市が独自に設ける協議の場だけで十分」と説明しましたが、法的強制力もなく、市民の意見を反映させる保障もないことが日本共産党市議団の議会論戦で明らかになりました。しかも、これまで出資してきた福岡空港ビル会社の取締役会に高島市長は6年にわたり一度たりとも出席していないという無責任な実態が発覚しました。

市長自身が「民間の自由度を高めるため」などと言っているように、大企業がやりたい放題に利権をあさることを野放しにしたいからではないか――日本共産党は、市長と財界の狙いを暴き、公共性と安全をないがしろにする無責任な姿勢を厳しく批判しました。


「なぜ共産党は自民党の条例案に賛成したのか」の疑問にお答えして

自民党が議員提案した出資条例案について、共産党は議会で自民党に質問し、その答弁によって空港運営の公共性を保障するための措置であること、また民間委託が前提ではないことが明確になりましたので、賛成しました。もちろん、市が出資さえすればよいというのではなく、安全最優先の経営になっているか常にチェックし、市民の声を空港の管理運営に反映させる役割を果たすことは当然です。

空港の公共性をあいまいにし財界に丸投げしようとする高島市長の方針にきっぱり反対する日本共産党の立場を明確に示したと同時に、安全な空港運営を求めるという一致点で、自民党、市民クラブ、維新の会など他の会派と共同したものです。自民党は「市長の提案に何でも賛成ではなく、軌道修正に努めるのが与党の役割だ」と発言しています。


「〝空港より子育てや教育〟と言う市長をなぜ批判するのか」の疑問にお答えして

再議によって条例案が否決された後も、高島市長は「何億、何十億円の税金は子育てや教育に使うべき」などと繰り返し発言しています。しかし実態はまるで違います。

7万2,000筆もの署名を踏みにじって市立幼稚園をすべて廃園。保育士の処遇改善のための保育協会補助金を一方的にカット。就学援助の基準を改悪して1,700人の児童生徒を排除。子ども・教育を冷たく切り捨ててきたのが高島市長です。

「空港出資はリスクを伴う」という言い分もでたらめです。人工島やウォーターフロント再整備など、リスクいっぱいの無謀な大型プロジェクトに巨額の予算をつけ、失敗したらその穴埋めに湯水のように税金を使う、この路線をひた走っているのが高島市長です。何がなんでも出資しないための方便で子どもをダシにし、市民だましの発言を重ねる市長の態度は許されません。


「高島市長と自民党との小競り合いではないか」との疑問にお答えして

今回の対決軸を「市長対反市長派」と描くのは正しくありません。「福岡空港の公共性と安全確保のための公的関与のあり方」と同時に、「二元代表制に則った民主的で建設的な議会のあり方」をめぐって対決したというのが本質です。二元代表制とは、首長と議会のどちらもが住民から直接選挙で選ばれた代表であり、権限の大きい首長に対して議会は監視・チェックする役割があるというものです。

2月議会で市長提出議案が否決され、「出資決議」を採択、3月議会で「出資条例案」を可決、と3度にわたって「空港に出資しない」という市長の方針は明確に否定されました。ところが、市長は議会での真剣な議論をまるで聞かず、自らの方針こそ正しいと固執しました。こんな不誠実かつ議会無視の態度に対し、議会の多数の会派と議員が声をあげたのです。


とんでもない行政による議員への圧力、なりふり構わぬ干渉は許されない

極め付けは、市幹部も動員した、賛成議員に対する切り崩し工作です。3月議会の時点では再議にかけても賛成が3分の2以上だったものを、あらゆる手を使って態度を変えさせて、議決をひっくり返そうとしました。第3委員会では、「ある議員は中園副市長から翻意を迫られ、断ると『あなたの将来を案じています』とのメールが来た」、「別の議員は荒瀬副市長から後援会関係者を通じて対応を変えろと言わんばかりの説得を受けた」、「前回退席した議員は荒瀬副市長から『出席して棄権してもらえないか』と懇願された」という証言が出されました。行政が議員に圧力をかけるなどとんでもない話です。

さらに「市長自身から切り崩し工作を受けた」という証言も出され、「していない」という高島市長の本会議答弁が虚偽だった疑いが濃厚になりました。議会の総意として市長に委員会出席と説明を繰り返し求めましたが、市長は「出席の必要性の判断は困難」などと難癖をつけて拒否し続けたため、第3委員会は深夜まで待たされることになりました。

まさに、前代未聞の切り崩し工作と委員会出席拒否という高島市長の、二元代表制の精神を踏みにじる、なりふり構わぬ干渉、議会への冒涜(ぼうとく)を許していいのかが大問題になったのです。


日本共産党は議会運営委員会などの場で、公正で民主的な議会運営を積極的に提案して奮闘しました。市長の委員会出席拒否問題については全会派での継続協議になっており、引き続きがんばります。


2017年予算議会

声明「高島市長による「再議」表明について」


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