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日本共産党福岡市議団の政策と活動

高島市長による「再議」表明について

2017年3月31日 日本共産党福岡市議団

福岡市議会が28日の本会議で可決した「空港出資条例」に対し、高島市長は同日、拒否権を発動する「再議」を表明しました。市議会はこれにそなえて第1回定例会(予算議会)の4月12日までの会期延長を決定しました。4月11日に本会議を開き、同条例案を再度審議したのち、採決することになります。

日本共産党市議団は、今回の「再議」には道理がなく、市長に対し取り下げを求めるものです。


「空港出資」問題とは

空港の民営化を推進する国が主導して、2019年4月を目標に福岡空港の滑走路とターミナルビルを民間企業に委託する計画が進められています。新たに作られる運営会社に対し地元自治体による出資が認められていますが、福岡県は出資する一方、福岡市は出資しないことを昨年決めていました。

今年2月議会では、これまで市が出資してきた空港ビル会社(第3セクター)の株を売却したことによって生まれた約64億円の収入について、そのうち約30億円を子ども関係の基金に、約20億円をスポーツ振興の基金にそれぞれ積み立てるなどの補正予算が成立しました。一方、市長が提案した、約8億円を空港周辺のまちづくりに活用するための基金条例案は、与党で最大会派の自民党市議団も反対するなど議会の理解を得られず否決されました。

同時に「福岡空港の運営に関する出資についての決議」が賛成多数で可決されました。さらに自民党は「活力ある福岡空港づくり基金条例案」を議員提案しました。その目的は「福岡空港の運営に関する出資を通じて、市民生活と本市の成長に不可欠な基幹インフラである福岡空港の活性化、安全性の確保等及び福岡空港の周辺における地域振興に関し本市に求められる責任を果たす」(第1条)とされ、福岡空港の運営事業者に対する出資の努力義務を市長に課すものです。同条例案は記名投票の結果、賛成多数で可決されました。


共産党は空港を財界に丸投げする民間委託化に反対

日本共産党は、空港の民間委託化は国民の共有財産である空港を民間資本の儲けのために利用しようとするものであり、公的な責任をあいまいにすること、収益確保を優先する民間に委ねれば、維持更新費や安全のための投資が抑制され、防災、老朽化、安全対策が縮小される懸念が増大すること、さらに民間委託によって空港間競争を激化させれば空港同士の連携や役割分担を壊し、不採算路線の廃止縮小を加速させることになりかねないこと、などのことから反対しています。福岡空港は国が責任をもって管理すべきであり、民間委託化は中止すべきです。そのうえで、国、県、市と地元財界によって福岡空港の民間委託化が進められている今、空港の運営を民間に丸投げするのではなく、公共性と安全性をしっかり確保する仕組みをどう作るかが問われます。

高島市長は「民間の自由度を高めるため(出資しない)」と発言したように、地元財界が空港運営で儲けるために好き放題させたい、そのために市はカネも口も出さないということに他なりません。高島市長が出資しないと固執するのには、こうした財界奉仕の思惑があることは明白であり、日本共産党は認めるわけにはいきません。

自民党に対しては議会で質問し、自民党からは「空港運営に対する公的な関与を福岡市が継続していくことこそ本市が果たすべき公共の責任である」と答弁がありました。空港運営の公共性を保障するための措置であること、民間委託が前提ではないことが明確になったことを受けて、日本共産党は「空港基金条例」案に賛成しました。これは、空港の公共性をあいまいにし財界に丸投げしようとする高島市長の方針にきっぱり反対する日本共産党の立場を明確に示したものです。


「空港よりも子育て、教育」と平然とウソをつく高島市長

「再議」とは地方自治法に定められた首長の権限の一つで、正当な理由がなければならないとされています。高島市長はまだ再議の理由を示していませんが、28日の会見で「何億、何十億の税金は市民生活に身近な子育て、教育など喫緊の課題に使っていくべきだ」(西日本新聞3月29日)などと述べたと報じられています。あたかも、高島市長が子育てや教育への予算配分に熱心であるかのような言い分ですが、これは事実を逆さまに描くとんでもない主張です。

保育所未入所児を3千人も生み出しておきながら認可保育所を抜本的に増やさず、子どもの通院医療費に自己負担を導入し、児童館を造ろうとしないなど、子育て支援の予算を抑え続けているのが高島市長です。教育についても、新年度予算の教育費は一般会計のわずか6・2%と最低水準にとどめたことによって、少人数学級を拡充せず、特別教室のエアコン設置もせず、給食費無償化もしないなど子どもと保護者の願いに背を向け、学校現場に困難を押し付けているのが高島市長です。

さらに、不要不急の福岡空港第2滑走路建設(2千億円)や都市高速道路の延伸(500億円)でムダづかいを積極推進しているのは高島市長のほうです。人工島でも毎年100億円規模の予算をつぎ込み、どれだけの財政投資をするかわからない「天神ビッグバン」やウォーターフロント再整備の推進に躍起になっています。開発の財源づくりのため敬老金廃止を強行しようとしています。

こうした自らの無謀なムダづかいと子育て・教育・高齢者切り捨て行政の実態を覆い隠し、空港出資条例に賛成した共産党を含めた議員を非難するなど言語道断です。平然とウソをつく政治手法は安倍首相とそっくりですが、こんな手口で市民だますなど断じて許されません。


議会軽視・独断専行の高島市長による再議に道理なし

再議での可決には出席議員の3分の2以上の賛成が必要になります。28日の本会議では、空港出資条例案に対し自民党、市民クラブ(民進・社民系)、日本共産党、無所属議員が賛成し、公明党、新自民が反対、みらい福岡と維新は賛否が分かれ、緑ネットは退席し、その結果39対20となりました。このままでは勝算がない市長は「地道に1人でも2人でも(理解者が)増えるよう努力するしかない」(朝日新聞)と言って、議員に態度変更を迫っています。

そもそも、市長が与党会派と調整もせずに、重要な方針を勝手に決め、議会に押し付けたことが間違いです。この間、「市長派」とされる3人が自民党市議団から離脱して新しい会派を結成するなど、高島市長の議会軽視・独断専行のやり方に対し、与党勢力の中で矛盾が拡大していることが浮き彫りになりました。


日本共産党は再議の取り下げを求めるとともに、再議となった場合には高島市長を徹底追及してがんばる決意です。


2017年予算議会

福岡市議会「空港出資条例案」再議の結果について


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