2012年3月21日
記者会見資料
がれき問題での決議案について
日本共産党福岡市議団
東日本大震災のぼう大な災害廃棄物(がれき)は、岩手県・宮城県で復興の大きな障害になっています。その処理を被災地だけでおこなうことは困難であり、政府が被災地での処理能力を強化することはもちろん、被災県以外の協力を得て「広域処理」をすすめることが必要です。政府は、受け入れ先住民の健康・安全を守る立場で、その方策を責任をもってすすめていくべきです。
そのうえで、福岡市では、がれき受け入れについて安全上の特別の事情があります。
政府が想定しているがれき処理の方法は、放射性物質のついたがれきの焼却灰を、遮水シートや水の集排設備などによって、土の中に完全に閉じこめてしまう「管理型最終処分場」の中に埋めるというものです。
ところが、福岡市の最終処分場は、灰を積極的に空気と雨水にふれさせることで分解を早める「福岡方式」とよばれる独特の埋立方式をとっています。この「福岡方式」では、埋立場にしみこんだ雨水などが浸出水として埋立場の外に流れていき、汚水処理場で有害物質を取り除いて、博多湾に放流されるしくみになっています。
がれき処理について、福岡市は「放射性セシウムは、現在の(汚水処理)設備では除去できず、除去できる実用的な技術も確立されていない」「浸出水に放射性セシウムが出てくるかは、数年の経過を見ないと分からない」「放射性セシウムが博多湾に流出した場合、博多湾は閉鎖性水域であることから、海底の泥にホットスポット的に、放射性セシウムが集積する可能性が考えられる」と述べています。市長も議会答弁で「放射性セシウムが浸出水中に溶け出した場合には博多湾にすべて流れ出る」「現時点では技術的な面での安全性の確証が得られていない状況」と明言しています。
つまり、放射性物質を閉じこめることが技術的に不可能であることから、市民の安全上問題があります。受け入れを可能にするには「管理型最終処分場」を建設する以外にないということですが、それは物理的にも財政的にも現実的ではありません。
そうした状況のもとで、福岡市ががれきを受け入れることについて市民の理解を得ることはできません。
こうしたなか、3月15日、自民党市議団から「東日本大震災で発生した災害廃棄物の受入れに関する決議案」の提出について、わが党市議団に打診がありました。わが党は慎重に検討した結果、自民党に対し共同提案に加わることができないと返答しました。
その理由は、前述の通り、福岡市では安全技術の点で現状では受け入れが困難である客観的根拠があり、市民の理解が得られる状況にないにもかかわらず、「決議案」が受け入れの検討を要求する内容になっていることです。
また、「決議案」は市長に対して国や県との連携・協力を呼びかけるのみで、政府ががれきの放射性物質への対策を真剣に講じていない責任にふれておらず、現在の政府の基準や処理方法を容認しかねない内容になっていることです。
いま急がれることは、災害廃棄物の広域処理をすすめるために国に対し基準や処理方法を抜本的に見直すよう求めるとともに、被災地が求めている災害廃棄物処理の技術職員の派遣など本市独自の努力を緊急に強めることです。
こうした状況のもとでがれき受け入れに関する決議をこの予算議会中に採決する緊急性は乏しいと考えます。この問題は引き続き、市議会として市民の声もしっかり反映させて議論していく必要があります。日本共産党市議団はそのために力を尽くす決意です。
トピックス「福岡市議会 がれき受け入れ 安全上問題 共産党 決議賛同せず」
以上