2009年1月30日
福岡市長 吉田 宏 様
日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国
幹事長 中山いくみ
星野美恵子
ひえじま俊和
倉元 達朗
熊谷 敦子
こども病院人工島移転「検証」に関する
虚偽答弁と証拠隠ぺいに抗議する
真相を市民に明らかにし、新病院準備を凍結し、
第三者機関による再検証を求める
こども病院の人工島移転の「検証・検討」について、わが党市議団が指摘してきたコンサルタント会社「PwCアドバイザリー」への委託問題や、現地建て替え試算の上乗せ問題が改めて指摘されています。市民から「始めから人工島ありきのでたらめなやり方だ」「吉田市長は責任を取れ」など怒りの声があがっています。わが党は、以下の点について吉田市長に抗議するとともに、こども病院人工島移転の決定過程の真相を明らかにするため質問への明確な回答を求めるものです。
わが党市議団は、病院移転事業検証・検討チームが現地建て替え費用を 128.3億円と試算した際、PwC報告書で85.5億円だったものをゼネコンの意見をふまえて1.5倍にした不当性をただしてきました。2008年10 月9日の決算特別委員会総会において、吉田市長は、わが党の質問に対し「非常に経験の豊かなゼネコンの専門家に現地を見てもらい、参考になるご意見をいただいたものであるが、企業名を出さないという条件のもとにヒアリングを行っているので、企業名の公表については控えさせていただきたい」と答弁し、検証チーム責任者だった靏川副市長は「昨年8月10日前後にゼネコン3社を訪問」と答弁しました。後日当局が市議会に提出した資料には「委託報告書をもとに、現地も確認いただいたうえで、意見を求めた」「担当者がヒアリング相手先企業を訪問」「1.5倍は費用を見込むべきとの意見を頂戴した」と明記されていました。
しかしながら、今回の報道によると、ゼネコン側から「電話で聞かれ、更地に新築するより現在地での建て替えの方が高いと答えただけ」「1.5倍など具体的な数字は言っていない」「コンサルの報告書や図面も見せられていない。現地には行っておらず、広さが何平方メートルかも知らなかった」(読売1月25日)という証言が出されています。これは議会答弁と食い違うものです。
聞き取りの時期についても「約2週間前の7月27日にあった庁内会議で、既に128億円と書き換えた資料を配布」(毎日1月27日)と報道されています。議会答弁が虚偽だったことは明らかです。
この証拠となる、ゼネコンからの聞き取りに関する文書がすでに破棄されたことも問題です。吉田市長は「すべて保管する必要はない」などと記者会見で述べていますが、人工島移転決定の根拠となる重要な証拠書類であり、「公文書毀棄罪に当たる可能性は十分にある」とも指摘されており、市長の責任は重大です。都合の悪い証拠を隠蔽した疑いもあります。
そもそも重要な試算をゼネコンに無償でさせること自体異常です。新病院建設をめぐる業界との癒着、利権あさりなど、第二の「ケヤキ・庭石事件」を生み出してはなりません。
吉田市長は、こども病院の人工島移転の根拠を揺るがす大問題が提起されているにもかかわらず、あまりにも他人事の態度です。市長は1月27日の記者会見で、聞き取り先のゼネコン社名について「知らない。作業内容のすべてが報告されるわけではない」(読売1月27日夕刊)と述べ、また、現地建て替え試算をおこなった2007年7月のPwC報告書について、「こんな文書みたことない。初めて見た」(朝日1月27日)と述べたと報じられています。
こうした事態で浮き彫りになったのは、わが党が指摘してきた通り、吉田市長が「見直す」との公約を守るつもりはさらさらなく、検証チームに丸投げして、ゼネコンと癒着して異常な手続きによって人工島移転の結論へ導く一方で、市民と議会には「ゼロから検証」などと言いながら、総務省との起債協議など秘密裏に人工島移転の準備を着々と進めてきたということです。市長は「きちんと検証した」と開き直っていますが、経緯をろくに把握もせず、議会で虚偽の答弁をおこない、いまだゼネコン名さえも知ろうとしていません。実態は市民と議会に対する欺瞞、侮辱に他ならず、根拠は完全に破たんしており、このまま強行することは断じて許されません。
以上のように、吉田市長がおこなった「検証」は一片の正当性もなく、まさに「偽装」だったことが裏付けられました。わが党は、吉田市長に対し、公約違反で人工島移転先にありきの「検証」とそれに基づく「決定」に改めて抗議するとともに、議会における虚偽答弁と関係文書の破棄・隠ぺいの調査さえ拒否し、「問題なし」との態度で強行していることに強く抗議するものです。そして、「検証偽装」に基づいて策定された「新病院基本構想」はその根拠を失っており、撤回するとともに、人工島の病院用地購入や病院事業の地方独立行政法人化、PFI導入などの具体化作業をただちに凍結し、市民や医療専門家、第三者を入れた新たな機関によって白紙から再検証し直すことを強く要求します。
わが党は市長に対し以下の点について質問します。2月6日までに回答を求めるものです。
(1)ゼネコンからの聞き取りについて、いつ、誰が、どの会社に、どのようにしておこなったのか。その内容と経緯について市長は認識していたか。
(2)関係文書の内容と、いつ、誰が、誰の指示によって、どのように破棄したのか。市長は文書破棄についてどのように関わったか。
(3)2007年7月のPwC報告書について、市長が検証検討チームからいつ、どのような報告を受けたか。病院移転に関するすべての委託報告書について、市長はいつ、どのような内容の報告を受けたか。その際、市長はどのような見解だったか。
(4)検証の根拠が揺らいでいる一連の問題について市長の責任を明らかにすること
以上