2006年2月10日
福岡市長 山崎 広太郎 殿
日本共産党福岡県委員会
委員長 岡野 隆
日本共産党福岡県議団
団 長 瀬川 康之
幹事長 高瀬菜穂子
八記 博春
山口 律子
日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国
幹事長 中山 郁美
星野美恵子
原田 祥一
比江嶋俊和
倉元 達朗
「サムシング」計算物件での
耐震偽装発覚の事態を受けての緊急申し入れ
福岡市は、2月8日、設計会社「サムシング」(仲盛昭二社長)による「構造計算書」の偽装事件が発覚したと発表しました。
「サムシング」の関与した物件は、1980年代から2002年までに、約1万件を構造計算したとされています。福岡県の調査によれば、約6000棟の構造計算を必要とする「サムシング」関与の建築物が市内にあります。今回、偽装が見つかった3物件については、いずれも安全性が問われるものではないとされていますが、姉歯元建築士が関与した物件のような危険な建築物が市内に多数存在する疑いがあります。
今回の偽装3物件は、いずれも福岡市が建築確認検査したものであり、その偽装を見落とした責任は重大だと言わねばなりません。原因究明とともに、疑わしきすべての物件の再計算調査、および再発防止のための対策と充分な体制が求められます。
「サムシング」は、糟屋郡篠栗町の2棟のマンション管理組合から、構造計算書が偽装され耐震性能が不足していることを理由に、建て替え費用の賠償を訴えられている設計会社です。
今回の事件は、市内の中高層住宅で生活する市民にとっては、大きな衝撃です。この市民の不安を解消する責任が行政に求められています。
そして、今回の一連の耐震偽装を招いた元凶は、くりかえしわが党が指摘しているように、98年の建築基準法の改定です。「官から民へ」の流れの中での規制緩和が推進され、市民生活の安全が脅かされています。姉歯以外の偽装に直面した福岡市として、国へも積極的な要望を出し、市民生活を守るべきです。
わが党は、11月17日の姉歯・元一級建築士の偽装発覚以来、「サムシング」による偽装についても、議会質問や申し入れなどで、調査と提案をおこなってきました。
したがって、わが党は、福岡市が、住民の安全を守り、建築行政における責任を果たす上において、以下の対策を緊急にとられるよう申し入れるものです。
記
- 福岡市は、ただちに「サムシング」の仲盛元社長や所属していた一級建築士の事務所に立ち入り調査をおこない、関与した物件の把握と調査、すべての構造計算書の再計算をおこなうこと。
- 福岡市が確認検査機関としてなぜ、見落としたのか、その実態を明らかにすること。また、耐震偽装の再発防止に努めるために、構造計算ができる専門職員(正規職員含む)を大幅に増やすこと。
- 市民の安全な住環境を確立するために、福岡市は、事態を公表するとともに、マンション管理組合および関係業者から、計算図書の提出など協力を求め、構造計算書調査費補助事業について、無償でおこなうこと。
- 確認検査機関の日本ERIが確認検査した「サムシング」関連の建築物についても、すべて調査すること。
- 耐震強度不足による建築物の耐震改修についての助成を制度化すること。
- 以上の対策の充実を図るため、国に対して、財政措置を要求すること。建築確認図書の保存期限を延ばすなど建築基準法等の改正を要求すること。
以上
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