2004年4月26日
福岡市長 山崎 広太郎 殿
日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国
幹事長 原田 祥一
星野美恵子
比江嶋俊和
倉元 達朗
中山 郁美
公立保育所の民営化の撤回を求める申し入れ
福岡市は「公立保育所の見直し」と称して、民営化の方針をうち出しました。現在21ヵ所の市立保育所を順次、民間へ移管していき、10年間で7ヵ所程度にするというものです。しかしながら、本市の保育所は民間保育園が137ヵ所と圧倒的に多く、政令市のなかでも最も公立保育所が少ないことが、これまでも問題にされてきました。しかも、中央区、南区、城南区には公立保育所は1ヵ所もありません。児童福祉法は「国及び地方公共団体は、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と定めていますが、これから見ても福岡市の保育行政は、極めて異常な状態にあります。
こうしたなか、公立保育所は保育施設、人員配置、保育内容など、本市の保育水準を維持する役割を担ってきました。公立保育所をなくして民営化していくということは、保育行政の公的責任をいっそう放棄するものであり、ひいては保育事業への営利企業の参入や保育所給食の業務委託化などに道を開いていくのは必至であります。
見直しにあたり山崎市長は、国の「次世代育成支援対策推進法」などを口実に、地域における様々な子育て支援サービスの充実を図るためとしております。しかしながら、4月6日の記者会見で、民営化によって「1ヵ所につき5千万円程度の経費削減」になると説明し、新聞でも「運営費八億円減」「270人の保育士の3分の2が配置転換」と報道されたように、民営化の目的が保育にかかる市の財政負担を削減するところにあるのは明らかです。
今回の民営化計画に対して、保護者である市民からは「今でも少ない公立保育所をどうしてなくすのか」「民間保育園の詰め込み保育や不祥事が相次ぐなか、安心してあずけられる公立保育所をもっと増やしてほしい」などの不安と疑問の声が出されております。また、現場の保育士からも「一方的な民営化や配置転換は許されず、保育士としての仕事がなくなる」などの怒りの声もあがっています。
しかも、今回の民営化方針という重大な保育行政の見直し問題を市の児童福祉審議会にも諮らず、議会にもかけずに一方的に市長がうち出して、わずか1ヵ月程度の「パブリックコメント」と称する形式的な市民意見を募集するだけで強行することは、手続き的にも極めて非民主的で「民営化先にありき」と言わなければなりません。
山崎市長は、民間保育園の運営費補助金をすでに6億円も削減しています。今回の市立保育所の民営化が強行されるならば民間保育園補助金もいっそう切り捨てられ、ひいては父母負担に跳ね返るとともに保育水準が低下することになるのは必至であります。財政難というなら、無駄と浪費の象徴である人工島事業の破綻救済のための税金投入こそやめるべきです。今、求められている子育て支援は、公立保育所の民営化ではなく、子どものための財政措置を大幅に増やし、高い保育料を引き下げ、詰め込み保育や待機児解消を図るため安心してあずけられる保育所の新・増設など、児童福祉法にのっとって市の責任を果たすことです。
したがって、わが党市議団は、市の公的責任を放棄し、保育水準を引き下げる公立保育所の民営化計画を直ちに撤回するよう強く申し入れるものであります。
以上
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