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日本共産党福岡市議団の特集記事福岡市「行革プラン」は撤回を

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日本共産党福岡市議団事務局長 中条正実  2013年4月記

「議会と自治体」2013年6月号寄稿

「稼げる都市づくり」への市民いじめ大計画

福岡市の高島宗一郎市長が打ち出した「行財政改革プラン」でさまざまな市民向け施策が切り捨てられようとしていることに、市民の怒りと不安の声が高まっています。日本共産党市議団(宮本秀国団長、5人)は、〝市民いじめの大計画である「高島行革」を撤回せよ〟と、議会で繰り返し追及しています。

私は、①今回の「行財政改革プラン」の特徴、市民向け施策の切り捨ての内容、②「行革」の真のねらいはどこにあるか、③党市議団の論戦と市民のたたかいについて、報告します。

1、「行財政改革プラン」の特徴

「行革プラン」は、昨年10月に「素案」が発表され、今年3月議会に「原案」が報告されました。4月から市民意見募集をおこない、こののち確定されようとしています。

原案は「これまでの行政運営の仕組みや発想、手法を抜本的に見直します」とのべ、そのとりくみの一つに「健全な財政運営」をあげています。その柱は「経常的経費の見直し」で、「行政運営の効率化、役割分担・関与の見直し、行政サービスの見直し、公共施設等の見直し」となっています。

さらにこれを具体化するものとして、「各局区室改革実行計画(原案)」が示され、各分野にわたる113項目が列挙されています。これら行革の対象として検討される項目は、当初81項目でしたが、12月議会で101項目へ、そして今回さらに拡大されたものです。

打ち出された113項目のうちの多くは、各種補助金の廃止や公共料金値上げ、公共施設の廃止など、従来からおこなわれてきた「行革」と比べても、大きくふみ込んだ内容となっており、福祉、医療、教育、文化などあらゆる分野で、市民に大きな影響を与えるものです。それは、「民間で担うことができることは民間に」、「優先順位の最適化」などと開き直って、かつてない冷酷非情な切り捨てを強行する、まさに「市民いじめ大計画」というべき内容です。(表1参照)

450億円以上の切り捨て・負担増

切り捨ての対象とされているのは、どれも関係者にとっては欠かせない補助金や市民サービスです。

「子ども・子育て支援新制度への移行に伴う本市子育て支援制度の再構築」と「高齢者施策・障がい者施策の見直し」については、詳細が明らかになっていませんが、市の独自減免や助成の廃止・削減がねらわれています。高齢者や障害者の個人給付といえば、高齢者乗車券(敬老パス)や敬老金・敬老祝品、障害者福祉手当などがあり、また子育て関係では、保育料減免、子ども医療費助成、就学援助などが切り捨ての対象となる可能性があります。

市民への影響額はいまだはっきりしていませんが、市当局は、現状のまま推移すれば「2016年度までの3年間で450億円以上」不足するため、「行革」によって財源を確保する、と主張しています(「素案」時点では「4年間で851億円」でしたが見直された)。かつてなく大規模な切り捨て・市民負担増だと言わなければなりません。

いずれにしても、「住民福祉の増進」という自治体本来の役割を否定するとともに、公的責任を放棄し、市民に自己責任と負担増を押し付ける「行革」は断じて許されません。

(表1) 検討されている市民向け施策の見直し・切り捨て
■行政サービスの見直し・効率化
  • 施設使用料(市民センター、体育館、市民プール)の見直し検討(高齢者減免廃止など)
  • 駐車場(同上と公園)の有料化
  • 子ども・子育て支援新制度への移行にともなう本市子育て支援制度の再構築(独自減免や助成の見直し)
  • 高齢者施策・障がい者施策の見直し(個人給付から事業への転換など)
  • がん検診にかかる自己負担金等の見直し(負担増)
  • 市営渡船事業特別会計の経営改善(志賀島航路の全廃検討)
  • 特別支援学校におけるスクールバス運行経費のあり方の検討(民間委託化)
  • 公立保育所民営化(4か所)
  • 留守家庭子どもクラブ運営(3か所廃止)
  • 生活保護適正化(就労支援や医療費適正化の強化)
  • 下水道使用料の政策減免の見直し(一般会計繰入の廃止検討)
  • 地下鉄の福祉割引乗車負担補助金の廃止(2013年度から一般会計繰入廃止)
  • 市営博多駅駐車場のあり方検討(利用転換を検討)
  • 道路・公園占用料(引き上げ)
  • (財)教育振興会における奨学金事業のあり方の検討
■補助金等の見直し
  • 九州交響楽団補助金(削減を検討)
  • 私立小中学校補助金のあり方の検討(2013年度から廃止)
  • 朝鮮学校補助金のあり方の検討(2013年度から廃止)
  • 住宅用太陽光発電システム等設置補助(補助額カット)
  • 生ごみ処理機等購入補助(2012年度末廃止)
  • シルバー人材センター助成の見直し
  • 福岡市社会福祉協議会運営費・事業費補助金の見直し
  • 特定優良賃貸住宅供給事業(家賃助成分の完了)
  • 高齢者向け優良賃貸住宅供給事業(家賃助成の廃止検討)
  • PTA協議会補助金等のあり方の検討(削減)
■行政運営の効率化
  • 人件費の縮減(退職金カット、住居手当の削減)
  • 技能労務職員の退職不補充
  • 「総務事務センター」(職員給与等業務の民間委託)
■公共施設等の見直し
  • 市立幼稚園のあり方の検討(全8園の廃止)
  • 婦人会館のあり方の検討(廃止)
  • 少年科学文化会館再整備(賃借入居方式)
  • 中央児童会館等建替え整備(定期借地・賃借入居方式)
  • 総合図書館指定管理者の導入および駐車場の有料化の検討
  • 博物館、美術館、アジア美術館(指定管理者制度導入を検討)
  • 市営住宅(指定管理者の住宅供給公社からの変更検討)
  • 今宿野外活動センター(廃止を含め検討)
  • 花畑園芸公園維持管理(廃止を検討)
  • 農村センター(廃止を検討)
  • 福岡サンパレス(あり方検討)
  • 海の中道青少年海の家・背振少年自然の家(指定管理者制度導入を検討)
  • 急患診療所(歯科)のあり方検討
  • 松濤園(養護老人ホーム)の建替等(民間活力の活用)
  • 保健環境学習室(移転統合)
  • ロボスクエア(移転統合)
  • 公共育成牧場(油山、背振市営牧場のあり方検討)
  • 公園の整備・管理(民間活力の導入等)
  • 公園(外郭団体による管理の変更検討)
  • 福岡市ヨットハーバー(民間活力の導入等)
■歳入の確保
  • 国民健康保険料の収納率向上(滞納対策強化)
  • 保育料(滞納対策強化)
  • 母子寡婦福祉資金貸付(償還指導強化)
  • 市営住宅使用料(滞納対策強化)
  • 市営住宅用地の有効利用(売却)
  • 学校給食費未納対策の強化(滞納整理の強化)

※「行財政改革プラン 各局区室改革実行計画(原案)」など福岡市資料から抜粋

2、次元の違う「行革」(市民いじめ大計画)の真のねらい

「ビルド・アンド・スクラップ」

この間の議会論戦で、だれのための「行革」なのかが浮き彫りになってきました。

「行革プラン(原案)」は、「福岡市の成長戦略を実現するために必要な財源を確保する」と明言しています。高島市長は、「将来を見据えた都市機能の強化や地域経済の活性化、都市の成長が必要。やめるものはやめていかなければならない。総点検だ。これが行財政改革プラン。スクラップ・アンド・ビルドではなく、ビルド・アンド・スクラップの精神で財源を確保する」(昨年10月の決算特別委員会総会での宮本団長の質問に対する答弁)と、そのねらいをあけすけに主張しています。

「成長戦略」といえば、大型公共事業や法人減税など大企業の応援ばかりです。

2010年11月の市長選挙で、自民党・公明党の支援をうけ、民主党などが推す現職を破って初当選した高島市長は、就任直後から「アジアのリーダー都市」を掲げて従来型の開発路線を継承し、破たんした人工島事業(注)への税金投入を推進しただけでなく、「稼げる都市」をスローガンに都心部の大規模再開発や、観光客や企業を呼び込む「成長戦略」に熱を入れています。こうした戦略は、市が策定した長期的な総合計画=「福岡市基本計画」、「第9次基本方針」にもそのまま反映しています。

市長は、「都市の成長が生活の質の向上に循環する」などと言って、大規模開発による「成長」が市民の暮らしに還元されるかのようにうそぶいています。しかしこれらは、市民生活を支えることよりも大企業の利潤追求を優先させるまちづくり・市政運営をすすめること、大企業のもうけづくりを合理化するための口実にほかなりません。党市議団が、〝どのように暮らしがよくなるのか〟と、その根拠をただしても、なにも説明できないのです。そこにあるのは、〝都市間競争に勝つことが正義だ〟という幻想だけです。

そうした中、「ビルド」の具体化がどんどんすすみ、まさに財界の意に沿った大型開発プロジェクトのオンパレードです(表2参照)

(注)人工島事業とは、1994年に着工された博多湾東部の埋立事業。401ヘクタール、当初総事業費4600億円。事業主体は国、市、第三セクターで分担。2012年度末の進捗率81%(面積ベース)。

2003年には、三セクの経営破たんを受け、その埋立事業の半分と400億円の借金を市が肩代わりしている。港湾関連用地も産業集積・住宅用地も計画どおりに売却できず、破たん救済のための事業見直しが繰り返され、公共用地として大規模公園や道路、こども病院、青果市場などの土地買い取りと整備にすでに631億円も税金が投入された。5度目となる昨年の見直しでは、ついに土地処分単価の大幅引き下げと定期借地方式導入が打ち出され、最終収支が最大で421億円の赤字になることが明らかになっている。

財界奉仕のための財源づくり

こうした開発行政を推進しようとすれば、当然のことながらばく大な財源が必要になります。そこで、市民サービス切り捨てによって財源を生みだし、それを財界奉仕にあてるというのが真のねらいなのです。

福岡市は、これまでも「行革」を推進してきましたが、今回の「行革プラン」は次元が違います。それは113項目という規模の大きさとともに、財界奉仕のためという真のねらいが堂々と語られていることです。

この背景には何があるのでしょうか。

一つは、高島市長自身の財界いいなりの姿勢があります。市長は就任後わずか2年数カ月の間に政治資金パーティーを2回も開きました。九州電力や西鉄(西日本鉄道を中核とした運輸・流通・不動産・レジャーなど約80社によるグループ)、福岡銀行など、地元財界の思惑通りの市政運営をおこない、その見返りを求めるという癒着の構図があります。

もう一つは、新自由主義・構造改革路線を復活させようという動きです。「行財政改革プラン」の策定のために市が設置した「自立分権型行財政改革に関する有識者会議」の座長は、北川正恭氏(早稲田大学大学院教授・元三重県知事)です。同氏は、財界人とともに小泉「構造改革」を後押しした「21世紀臨調(新しい日本をつくる国民会議)」の共同代表で、マニフェスト選挙を推進してきた人物です。財界と深いつながりがあり、道州制推進論者です。市民にほとんど知らされていないこの会議で、「行革をいっそうすすめよ」とけしかける議論がなされ、その「圧力」で市当局が暴走しています。

反省も展望もない

福岡市の市債残高は3会計合計で2兆4695億円、一人あたり171万円(2011年度末時点)と、大阪市に次いで政令市で2番目に多く、借金財政は深刻です。しかしそれは一体誰が作り出したのでしょうか。

着工以来18年間にわたって借金を増やしつづけてきた人工島事業こそ、借金財政の元凶です。造った土地が売れず破たんしたにもかかわらず、凍結も見直しもされずに継続され、その穴埋めに税金・公金が投入されて無理やり推進してきました。

また、住民追い出しの再開発・土地区画整理事業や必要のないダム建設なども強行されてきました。市民の反対を押し切ってムダな大型開発を推進してきた歴代市政と市議会の推進勢力(自民、公明、民主、社民、みんな、維新の各党が予算に賛成)の責任は重大です。

一方で、市民にたいしては、財政難を理由に、福祉切り捨てや市民負担増が強行され、教育予算も抑制されてきました。高すぎる国民健康保険料や介護保険料に市民が苦しんでいます。また、保育所(待機児1,300人)や特別養護老人ホーム(待機者3,500人)、市営住宅(最高倍率183倍)、児童館(わずか1ヵ所)、文化・スポーツ施設などの新増設や、学校校舎の改修(窓サッシ等の落下事故続発)など市民が切実に願っているものはことごとく後回しにしてきました。

また、職員が減らされつづけ、人口比で政令市一少なくなっています。

「行革プラン」はこうした従来型の逆立ちした財政運営になんの反省も総括もなく、市民に犠牲を押しつけるものです。そして、市民の暮らしも地域経済も向上させる展望をなに一つしめすことができないものにほかなりません。

(表2)大型開発・大規模公共施設整備の計画が目白押し
  • 人工島事業(進捗率81%=面積ベース。埋め立てなど今後の事業費は824億円。その他に破たん救済も。最終収支は最低で160億円の赤字)
  • 都市高速道路の延伸(香椎浜ランプから人工島へ2.5km。250億円)
  • 新こども病院(人工島へ移転。173億円)
  • 新青果市場(人工島へ統合移転。343億円)
  • 拠点体育館(人工島で整備。160億円)
  • 「博多港長期構想」の具体化(人工島から須崎ふ頭まで湾岸部を全面的・大規模に再編整備)
  • 企業立地交付金(誘致企業に1社最大30億円。総額255億円)
  • 特定都市再生緊急整備地域指定(天神、博多駅、ウオーターフロント地域の都心再整備)
  • 福岡空港第二滑走路整備(事業費1800億円)
  • 五ヶ山ダム(総事業費1050億円。進捗率62%)
  • 第2期展示場(中央ふ頭のマリンメッセ近辺に新設予定)
  • 幹線道路「天神通線」(250億円)
  • 九州大学箱崎キャンパス跡地に首都機能バックアップ誘致
  • 地下鉄七隈線の延伸(天神南駅-博多駅間)
  • 学校給食センター(4ヵ所を廃止し3ヵ所へ再編整備。1ヵ所70億円)
  • 香椎副都心公共施設(約115億円)
  • 中央児童会館の建て替え(4億円)
  • 拠点文化施設(市民会館の建替)
  • 青少年科学館(少年科学文化会館の移転整備)

※( )内記載の事業費には国等の負担分もふくんでいます。なお、各事業にたいする党市議団の賛否をしめしたものではありません。

※市資料「今後見込まれる大規模施設の建替」などをもとに党市議団で独自に作成。

3、党市議団の論戦とひろがる市民のたたかい

地方自治体の本旨は、住民の暮らしを守り福祉を増進させることです。高島市長の「行革プラン」は、この憲法と地方自治法の精神を真正面から否定するものです。党市議団は、高島市長の「行革プラン」が打ち出した市民いじめ大計画を一つひとつ追及するとともに、その真のねらいが財界奉仕・開発推進にあることを暴露してきました。

同時に対案もしめしてきました。国保料引き下げや子ども医療費無料化拡大などの暮らし応援、住宅リフォーム助成制度創設や身近な公共事業などの中小業者応援で、市民所得を増やして「地域循環型」、「内需拡大型」の経済対策を強化すれば、デフレ不況脱却にも税収増にもなり、財政再建にも有効だ、と主張しています。

党市議団は「行革」問題を連続的に質問し、議会報告ビラも連打し、議員が党支部といっしょに開く市政報告会などでも詳しく報告するなど、市民に知らせてきました。

切り捨てに反対する市民のたたかいは現在進行中ですが、議会論戦とあわせて4月までの到達をご紹介します。

市立幼稚園「すべて廃園」計画に保護者らが立ち上がる

市は2月、8つの市立幼稚園(赤坂、姪浜、和白、雁の巣、金武、入部、内野、脇山)をすべて廃園にする計画を発表しました。2014年度から募集停止し、2016年度末にすべてなくすものです。狙いは2億8700万円の経費削減です。

市教育委員会は、「近隣の私立幼稚園で受け入れ可能」、「市立は3歳児保育、時間延長、送迎バス、給食がなく、対応するには新たな財政負担が必要」、「老朽化した4園の建て替え経費が約8億円必要になる」、「園児一人あたりの市費負担は市立が私立の約5倍」などと説明しています。そして、「民間が担うことができるものは民間に委ねる」として全廃すべきだと主張しています。さらに跡地を民間売却することも検討されています。

党市議団は急きょ、市立幼稚園の実態調査と保護者や職員からの聞き取りなどに取り組み、3月の条例予算特別委員会総会で中山いくみ幹事長が質問に立ちました。

質問では、①比較的経済的負担の軽い市立幼稚園をなくせば、経済的理由で通えなくなる子どもが生じ、教育の機会均等に反すること、②障害児など私立に入れない子どもたちを受け入れてきたこと、③公立でこその教育内容も高く評価されていること、④地域住民との交流も盛んであることなど、市立幼稚園の大切な役割を浮き彫りにしました。そして、市立幼稚園の充実を怠り、ついに廃園しようという市の態度をきびしく批判しました。

一方、保護者や関係者が「市立幼稚園を守れ」と立ち上がり、「市立幼稚園を守る会」が組織され、署名運動が始まりました(4月末時点で約2万筆)。4月18日には、休園中の1ヵ所を除く7園すべてから保護者有志10人が市役所に集まり、教育長に直談判しました。

「地域との交流がこれほど盛んなのは、公立園ならでは」、「遊びを中心にしたゆったりとした教育をすすめてくれている」、「初めは経済的理由でいまの園に通ったが、いまではここしかないと思っている」、「子どもだけでなく、親も育ててもらった。親と子が向き合う時間をじっくりと確保してくれた」などの訴えが相次ぎました。これはテレビ、新聞が取り上げました。

教育委員会が各園で開いた説明会にも多くの保護者が詰めかけ、さながら反対集会の様相になりました。〝素晴らしい市立幼稚園をなくさないで〟との切なる訴えに、同席していた園長や職員が涙するという場面もありました。

やむにやまれぬ思いから自発的にはじまった運動ですが、党市議団はこの運動が発展し成功するよう激励し、結びつきを強めています。説明会に出席した党議員が、「教育を充実させるべき教育委員会が財政を理由に廃園するなど許されない。経費削減と言うがこれは3億円。人工島破たん救済の都市高速道路延伸に使う250億円があれば80年間維持できる」と発言すると、どこでも拍手が起こりました。地域の党支部としても、市立幼稚園を守る運動への協力をはじめています。

5月末までパブリックコメントが行われます。たたかいはこれからです。

少年科学文化会館「賃借方式」に、〝ホールなくさないで〟と署名5万筆

老朽化した少年科学文化会館の移転が決まりましたが、「行革」の対象とされ、会館を新築するのではなく、民間が建てるビルの一部に賃借入居する方式での運営にされようとしています。

市は「事業費の平準化のため」、「土地取得による初期投資が不要となる」、「維持管理コストを縮減できる」としています。つまり、〝直営で整備するよりも、賃借方式のほうが安くてすむ〟という「経費節減」を理由としているのですが、その根拠のなさが党の議会質問で浮き彫りになりました。

3月19日の市議会条例予算特別委員会総会で質問に立った星野美恵子副団長が「経費節減というが具体的にはどれだけ安くなるのか」とただすと、担当局長は「内部の資料であり事業費の試算ではない」などとしどろもどろになり、答弁不能となって審議がストップしました。そして、審議再開後の答弁は、「一つの試算として仮の数字を置き、30年間の負担額が直営では300億円、賃借では260億円と設定した。ただしこれは賃借に決めたという意味ではなく今後精査する」というものでした。

星野議員は、高島市長が自分のブログで「40億円を節約することができます」と断言していることをしめし、「決定したものではない」という局長答弁との食い違いを指摘し、「根拠のない数字を書いてあたかも賃借のほうが安上がりだと市民に知らせた。重大問題だ」、「謝罪せよ」と追及しました。これにたいし市長は、「一つのたとえ。議会への説明とブログとはまったく質が違う」などと開き直りましたが、「40億円節約」はまったくのでたらめであることがあきらかになったのです。

市の資料によると、毎年の維持費は直営でも賃借でも同じです。違うのは土地代や建設費用など初期投資分の借金返済ですが、直営の場合、30年後に返済が完了したあと大幅縮減となるのにくらべ、賃借の場合、その後も家賃を払いつづけることになります。40年、50年の長い目で見れば、直営のほうが断然「節約」になります。

そもそも子どものための文化施設の整備を「コスト論」優先でおこなおうとすること自体に大きな問題があります。

この少年科学文化会館の移転をめぐっては、現会館にある劇場型文化ホールを新施設では造らず、科学館に特化するという市の方針に対し、これまで利用してきた文化団体などから「ホールをなくさないで」と声があがり、署名が5万筆を超えています。全国の文化芸術団体からも賛同が集まっています。

市が責任を持った直営で、文化ホールを備えた「少年科学文化会館」を整備させるたたかいに、党市議団も全力をあげます。

九州交響楽団補助金カットするな

九州交響楽団(九響)は、今年創立60周年を迎える老舗、九州唯一のプロオーケストラで、福岡市を拠点に九州各地を中心に年間約130回の演奏活動を行っています。福岡市文化賞などを受賞しています。この九響への毎年1億6,000万円の市からの補助金が「行革」の対象にあげられました。

九響は公益財団法人への移行をめざし、累積赤字を解消するため、賞与カットや募金などにとりくんでいますが、補助金削減は九響の経営努力に水を差すもので、演奏家の確保や演奏活動にも影響しかねない重大問題です。

党市議団は、九響関係者から、楽団員を4人減らしたことなど、演奏活動維持への深刻な現状や要望を聞き取り、議会で市当局を追及してきました。2013年度は同額の補助金が予算措置されましたが、予断を許しません。

特別支援学校スクールバス指導員の民間委託化やめよ

特別支援学校児童生徒の通学バス乗降時の介助と安全確保のため、現在62人の通学指導員(嘱託職員)が配置されています。市はこれを民間委託にすることで経費を3割(600万円)カットしようとしています。

党市議団の熊谷敦子議員は、「行革プラン」の検討過程を把握するため、当局から31項目の「スプリングレビュー調査票」(「行革プラン」の策定に着手した昨年5月から4か月ほどかけておこなわれた「事務事業見直し」で、財政局が経費削減・財源確保の視点から提示した課題と見直し案、それにたいする各事業の所管局の意見、それをふまえて財政局がしめした見直し方針を時系列に記録した文書)を独自に入手しました。そのなかで教育委員会と財政局とのリアルなやりとりが発覚しました。

教育委員会は、「自閉傾向が強い児童生徒が多く、頻繁に指導員が交代することにより不安が高まり、バス車内で他害行動を起こすなどの危険な状況が予見される」、「指導員は保護者と教職員との密接な連携が必要。なんの説明もなしに、市が採用する公務員から民間採用に変更することはできない」と指摘していたにもかかわらず、財政局が一方的に民間委託をめざすとしていることが分かりました。

この問題も議会で取り上げ、撤回せよと迫りました。

市営渡船志賀島航路を全廃するな

市営渡船志賀島航路の乗降客数は減少傾向とはいえ、博多ふ頭と33分で結び、住民の足として利用されている大切な公共交通です。現在は赤字で、一般会計から4億4000万円を繰り入れています。

すでに「全廃」案が地元住民にしめされていますが、反対意見が強く、担当する港湾局も「協議を進めるのが困難な状況」と言わざるを得ないのが現状です。保守系議員も反発しています。

党市議団の綿貫英彦議員は議会質問で取り上げ、廃止撤回を要求しています。

4、たたかいの成果と共同の発展

「私学助成の廃止」「スポーツ大会補助金の削減」を撤回させた

市は当初、検討項目に「私立高校補助金(私学助成)の廃止」、「各種スポーツ大会補助金の削減」を盛り込んでいました。これにたいし、関係者が声をあげ、党市議団も議会論戦で追及した結果、撤回を勝ち取りました。

福岡市内は公立高校が少なく、高校生の53%が私学に通っています。市は私立高校22校に年額合計約5,000万円の補助金を出してきました。これが廃止されれば、学校経営に影響を与え、生徒と保護者の負担増につながることが心配されました。

党市議団が私学協会を訪問し懇談を申し入れたところ、快諾を得て、昨年12月、初めての懇談会が実現しました。校長先生をふくむ私学協会の役員4人は、「この数年補助金が削減されてきた。増額を要望しているのに廃止とは理解できない。ぜひ食い止めていただきたい」、「経済的理由でやめていく生徒もおり、独自に奨学金を出したりして支援している。保護者にこれ以上の負担はさせられない」など、切実な声が出されました。後日、協会として、教育委員会への陳情や市議会の会派まわりなどにとりくんだと聞きました。

党市議団は、私学関係者の声を議会で代弁し、私学助成廃止撤回をくり返し要求してきました。今年3月の予算議会での代表質問にたいし、教育長が「引きつづき助成をおこなってまいります」と答弁し、「行革」の検討項目からも消え、新年度予算も計上されました。

これには後日談があります。党市議団は4月初め、廃止撤回の結果を報告するため私学協会を訪れました。たいへん喜ばれ、感謝されました。懇談が弾み、志位委員長の演説会(4月18日)にお誘いしたところ、演説会当日、なんと私学協会の役員3人がこぞって来場し、議員のところまであいさつにこられたのです。共同の深まりを実感しました。

また、スポーツ大会補助金は、小中高校生をふくむ市民が国際・国内の大会に出場したり、各団体が大会を主催したりする経費を補助するものです。そのなかには「金鷲旗・玉竜旗高校柔剣道大会」という由緒ある大会もふくまれていました。そこで、党市議団は、情報提供と意見交換のため、柔道連盟、剣道連盟、テニス協会などを訪問しました。初めてのことに先方はびっくりされていたようです。これも議会でくり返し取り上げた結果、「行革」の検討対象から外させました。

一致する要求で住民と結びつく活動

「行革プラン」が幅広い市民への攻撃であるだけに、これとのたたかいも市民的なものになるのは必至です。「不当な高島行革から市民を守れ」と打って出れば、市民と党との共同がもっとひろがる可能性があります。

中山市議団幹事長は、「これまでつながりのなかった団体でも、要求のあるところにこちらから飛び込んでいき、情報を提供し、要求を聞き取り、それを議会活動や要求運動へと発展させていく活動が大事。大いに発展させていきたい」と語っています。

これまでともに要求運動に取り組んできた、いわゆる民主団体との共同を強めつつ、新しい分野の要求で一致する住民と結びつきをつくるチャンスだととらえ、いっそう奮闘したいと思います。

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