しんぶん赤旗 2003年5月30日
電話塔建設強行に住民怒り 抗議で中断
NTTドコモは見直せ
福岡市早良区でNTTドコモ九州が携帯電話の電波塔建設を強行した為、地域の住民から「住民の同意もなく工事をするな」と建設反対の運動がおこり、現在、建設工事が中断しています。
近くに病院、幼稚園…住民合意ない
わずか27坪
ドコモが建設しようとしているのは、高さ40メートルの電波中継塔を含む電話基地局です。場所は野芥4丁目の国道263号と市道が合流する三角地帯です。ドコモのパンフレットでは、携帯電話基地局の標準面積は100坪になっていますが、ここはわずか27坪しかありません。
これまで地域の住民は、「住んでよかった野芥のまち」を合言葉に、協力しながら街づくりをすすめてきました。ここの三角地帯についても、見通しが悪く、信号機のない交差点として、住民が十数年前から、安全対策を市に求めてきたところです。
国道の交通量は、今でも1日約1万5千台。それが、工事関係の車両が頻繁に出入りするようになれば、「いっそう交通事故や交通渋滞がひどくなるのでは」という不安が広がっています。
近くには病院や幼稚園、小学校などもあり、主婦の平川久美子さん(56)は、「電磁波の影響も心配です。私たちは、電波塔建設に絶対反対というのではなく、『ここはふさわしくない』といってるんです。そこをわかってほしい」と話します。
説明なく工事
住民が反対運動を起こしたのは、昨年7月です。三角地帯を購入したドコモが、住民に説明会も開かず工事を開始したことから、住民はただちに抗議し、工事を中断させ、緊急の住民説明会を開かせました。
町内会も反対運動の決議をあげ、校区自治連合会を中心に建設反対の請願書名を集め、昨年9月の市議会には全会派が紹介議員となって約8千人の署名を提出しました。市長にも「代替地の検討も含めて、NTTに工事の中止と話し合いの継続を指導するように」と陳情しました。
説明会は、これまで6回ひらかれました。住民側は、ドコモが他の携帯会社といっしょに市長と締結した「携帯電話中継鉄塔の築造に関する協定書」(2000年6月)には、「近隣の生活環境に配慮する」「良好な近隣関係を損なわない」「計画の概要を事前に説明する」と明記されており、この協定を守るように訴えました。
しかし、ドコモ側は「住民の了解を取れとはなっていない。十分に話し合いなさいとなっている」と繰り返すばかり。とうとう、4月30日の説明会では「理解がえられなかった」として工事の再会を表明しました。
そこで、住民は翌日から、「NTTドコモ 住民の話を聞け」のプラカードや「強行着工反対!」の横断幕を掲げ、交代で監視行動をつづけ、資材の搬入などを阻止してきました。ドコモ側も「5月中は工事をしない」と約束し、工事が中断したままになっています。
信用できない
監視運動を続けてきた住民は、「ドコモのやりかたは信用できない」と怒ります。「『きょうは、もう工事はしません』という言葉を信じて現場を離れたら、掘削機を運びこまれたことがある。こんなやりかたは許せない。ひきつづき反対運動をつよめていきたい」と話します。
日本共産党は、中山いくみ市議が当初から、住民の合意がない建設に反対し、住民とともに建設中止を訴えてきました。田隈支部の筒井忠義支部長も住民の一人として運動の先頭に立っています。
中山議員は、「NTTドコモは、代替地の検討を含め、計画そのものの再検討すべきだ」と話しています。