しんぶん赤旗 2002年8月2日
福岡市児童福祉審議会答申 保育所「新設」を明記
「待機児童の急増」「つめ込み保育」が大きく問題になるなか、福岡市児童福祉審議会が7月26日に出した「今後の保育行政のあり方について」の答申は、1988年以来、行われてこなかった保育所の「新設」に必要性を明記しました。昨年10月、市長の諮問をうけていました。
待機児解消策 限界に達する
答申では、増築や定員増などの待機児童解消策が、「地域的には限界に達している」と指摘されています。
具体的には、とくに保育需要が高いと思われる地区として東区の和白・三苫、博多区の那珂・板付、南区の老司・花畑、城南区の長尾・片江・堤、早良区の有田・田村、西区の姪浜・内浜・下山門をあげ、これらの地域に新設を含めた整備の必要性を明記しています。
これまで日本共産党市議団は、保育所の新設を要求し、3月の予算議会では、市当局が新設を約束する答弁をしていました。審議会委員の綿貫英彦市議は、審議会でも新設をくりかえし要求しました。
無認可保育施設に対する対応についても、答申は、指導と支援を行い認可を行うのが望ましいとし、さらに無認可保育施設に入所している児童と職員の健康診断の助成も明記しています。
保育所の新設や無認可保育施設の認可化など、市民の長い間の保育運動の成果です。
保育の質低下 招かぬ対策を
一方、答申は、小泉内閣が待機児童解消策として掲げている、保育の設置主体制限の緩和に伴う営利企業等の保育分野への参入に道を開くものにもなっています。
「福岡市保育団体連絡会」事務局の野林圭子さんは、分園による保育所の整備ではさらなる保育の質の低下を招くと指摘し、「いまこそ、子どもたちの豊かな発達を中心に考え『新設』による保育所の整備を行ってほしい。営利企業の保育参入もやめてください。市は子どもたちの今を、豊かな育成を第一に考えてください」と語ります。
無認可保育施設は、核家族化や働く女性の増大など、社会の変化に伴い増大するさまざまなニーズにこたえてきました。しかし、「無認可」のため、市からの助成は一切ありません。
答申には健康診断の助成は明記されたものの、運営費などの助成制度は盛り込まれていないなど、多くの問題点も含まれています。
無認可保育施設のネットワーク「保育ネットワーク福岡」の福井英二会長は語ります。「無認可保育施設は市からの助成もなくギリギリの運営。『条件を満たした』園は市内に2つしかありません。基準にあうまで待つのではなく、認可基準になるように運営費などの助成を認めてほしい。無認可保育所に通う子どもたちを施設の『認可』『無認可』で区別しないでください」