代表質問
2003年度代表質問(質問のみ)
2003年2月25日 黒田ハツ子議員
(1)
私は、日本共産党福岡市議団を代表して、山崎市長の施政方針と二〇〇三年度予算案、及びその他の諸議案について、市長並びに教育委員会に質問いたします。
国民の暮らしと日本経済は、これまで経験したことのない深刻な危機に直面しています。先日発表された家計調査でも、サラリーマン世帯の実収入は一昨年にくらべ27万2000円も減っています。完全失業者はいぜんとして過去最悪水準の5.5%、昨年の企業倒産は、戦後二番目に多い1万9458件にのぼっています。自民・公明中心の小泉内閣がこの2年間にやってきたことは、懸命にがんばっている企業を「不良債権処理」の名でつぶし、倒産と失業を激増させること、「財政が大変だ」といいながら、大型公共事業や軍事費は聖域にしたまま、医療・年金・介護・雇用保険など社会保障の改悪につぐ改悪で、国民に負担増と給付削減を押しつけることばかりであります。今、住民を守るべき地方自治体のあり方がするどく問われているのであります。
そこでまず最初に、二〇〇三年度政府予算案について、お尋ねします。
小泉内閣の二〇〇三年度政府予算案は、この大不況のもとで、医療制度の改悪、介護保険料の引き上げ、年金給付額の引き下げ、雇用保険の改悪など社会保障の全分野に及ぶ改悪で2兆7千億円。発泡酒、たばこの増税や配偶者特別控除の廃止、消費税の特例廃止など、庶民増税が1兆7千億円。あわせて4兆4千億円もの負担増を押しつけようとしています。その一方で、公共事業は聖域にして、関西空港第2期工事や諫早湾干拓事業などムダづかいとして中止を求められている大型公共事業をひきつづき推進しようとしています。
税収が5兆円も減ってしまった来年度予算案は、国民負担増による不況と税収減の悪循環に陥った、小泉政治の破たんの象徴であります。税金の使い方を変えることにしか、この悪循環から抜け出す道はありません。およそ不況からの脱出をめざすことを真剣に考えるのなら、何をさしおいても、国内総生産の約6割を占める家計消費をあたためることを最優先すべきです。大型公共事業などに根本的にメスをいれ、社会保障を中心にすえた財政に根本的に転換することこそ、問題解決の道であります。
したがって市長は、市民生活を守り、地域経済をたてなおす立場から、政府に対し、「構造改革」をきっぱり中止し、むだな公共事業をやめるとともに、税制の民主的再建で歳入の改革も行い、雇用と暮らし、福祉、介護、年金、教育など国民生活予算を充実し、地方交付税など必要な地方財源を確保し、景気回復と財政再建にふみだす予算に抜本的に組み替えるよう要求すべきだと思いますが、ご所見をお尋ねします。あわせて、消費税の大増税には反対すべきだと思いますが、所見を求めるものであります。
次に、市長の施政方針と予算案について、お尋ねします。
市長は所信表明で「これまで、『市民のために、市民とともに』という基本姿勢」で取り組んできたなどと述べられました。しかしながら、山崎市長は、多くの市民が「埋立工事の凍結、縮小見直し」を求める人工島建設では、博多港開発の破たん救済に莫大な税金を投入し、開発を強行しようとしています。その一方で、敬老無料パスの縮小廃止、民間保育園の補助金カットなど、市民犠牲をさらに進める「行財政改革」を強行してきたのであります。また、ケヤキ・庭石疑惑をはじめ市政を揺るがす汚職腐敗事件が相次いでおり、清潔な市政の確立が求められているにもかかわらず、所信表明で一言も触れなかったのであります。こうした実態を見るならば、市長に『市民のために、市民とともに』などと語る資格があるのか、厳しく問われるところであります。
さらに市長は今後の方向として、「元気都市・福岡」「施策の選択と集中」などとのべて、人工島、新福岡空港、九州大学学術研究都市構想の三大プロジェクトをはじめ都心部の市街地再開発など、巨大開発をさらに進める開発会社化の道を突き進んでいます。また、清掃工場に続いて保育園を民間委託し、さらに葬祭場などPFIやPFI的手法を広げるなど、まさに営利企業化しようとしています。新年度予算案について新聞各紙は、「やり繰り算段人工島重視」「人工島重点投資は疑問」「財政再建足取り重く」などと、報じているのであります。こうした市政運営では、地域経済と市民生活を犠牲にし、市財政も破たんに向かって突き進むのはさけられません。したがって、市長は、銀行やゼネコンをパートナーとし、福岡市を開発会社化、営利企業化する道ではなく、「住民が主人公」をつらぬき、暮らし・福祉をささえる「自治体らしい自治体」づくりへ転換すべきだと考えますが、市長の所見をお尋ねいたします。
次に、二〇〇三年度予算案の基調についてお尋ねします。
新年度予算案の特徴は市税収入の減少など財源がいっそう苦しくなる中で、福祉や教育など生活関連予算は抑制・削減する一方、最大の開発である人工島へは2年続いて予算を一極集中するなど、まさに破滅型予算となっていることであります。
一般会計の歳入は市税の連続減に加え、地方交付税の見直しによる臨時財政対策債への振り替えで市債発行が大幅増加するなど、財政運営の不安をさらに強めるものとなっております。歳出面では教育費がまたも削減され、一般会計にしめる構成比は7.7%にまで落ち込みました。市営住宅の建設費も前年より7億円削減されピーク時の4分1となる23億円。4600人もの待機者をかかえる特別養護老人ホームの新設はわずか4カ所、14億円、中小企業対策費は前年並みの13億円で予算のわずか0.18%にすぎません。生活保護費をはじめ福祉予算は抑制され、国保料は介護保険の見直しで2.29%もの値上げが押しつけられています。一方、人工島には他局の予算も集中し、過去最高の347億円、区画整理6事業で125億円、都市高速道路に70億円など大型開発には莫大な予算がくまれ、葬祭場など従来の公共投資が委託金に姿を変えてゼネコンの仕事づくりが行われているのであります。また、イベント予算も膨れ上がったままであります。この結果、年度末の借金総額は3会計合計で2兆6678億円となり、市民一人当たり194万円にものぼるのであります。起債制限比率も17.3%となり、本市財政はいよいよ深刻な状況を呈しております。
市長はこうしたゼネコン浪費、市民犠牲の破滅型予算案を抜本的に見直し、暮らし、福祉、介護、医療、教育、環境を最優先する市民本位の予算案に改めるべきだと思いますが所見のほど、お尋ねをいたします。
(2)
次に、本市の将来をも左右する当面の最重要問題についてお尋ねします。
質問の第一は、人工島の強行、新福岡空港建設についてです。人工島について我が党は当初から必要性も実現性もないと指摘してきましたが、現状はまさにそのとおりになっています。銀行団から博多港開発株式会社への融資の打ち切り、事業の見直しなどが出され、市長は破たん救済のために総合公園、都市緑化フェアなど公園や道路等の都市基盤整備の肩代わりをはじめ、住宅用地の大半を市住宅供給公社に押しつけるなど売れない土地の買収、さらに鉄軌道の導入など新事業計画をつくり、2000億円もの税金を投入しようとしていますが、その計画も資金計画に、早くもほころびが出ている状態です。にもかかわらず、新年度は過去最高347億円の税金投入を各局予算も総動員して強行しようとしています。こういうやり方をやれば、まさに福岡市の将来に取り返しのつかない禍根を残すことになります。
巨額の税金投入となる新事業計画を白紙に戻すとともに、市工区を含め、埋め立ては凍結し、市民参加で計画を縮小見直すべきだと思いますが、市長のご所見をお伺いします。あわせて、経営破たんが顕著になっている博多港開発は、現行資産の活用と管理のみの会社に整理縮小すべきだと思いますが、答弁を求めます。
また、市長が推進を表明している新福岡空港構想は、莫大な地元負担をもたらすことは明らかであり、世論調査でも7割が反対しており、白紙に戻すとともに、空港問題は新北九州空港や佐賀空港との連携、既存ストックの有効活用を検討すべき、と思いますが、ご所見をお伺いします。
質問の第二は、ケヤキ・庭石疑惑の徹底究明と汚職・腐敗の一掃についてであります。
人工島開発の破たん救済への新たな税金投入が問題になる中で、発覚したケヤキ・庭石疑惑は、市政をゆるがす大問題であります。昨日の100条調査委員会において、第3セクターの博多港開発が、ケヤキ600本と庭石1万トンを利用計画も使用目的もないのに約10億円をかけて購入した巨額の無駄づかいで、西田藤二元市議のファミリー企業3社が5億円もの転売益を得ていたことが明らかになりました。さらに、この取引が元助役の志岐真一前博多港開発社長との二人三脚で仕組まれた疑惑、また、転売益が西田元市議の国政選挙での選挙資金にも使われた疑惑も深まり、いま徹底究明を求める市民の怒りの声が大きく高まっています。
市長は、疑惑の徹底解明とともに利権をあさった政治家、および特別背任行為の博多港開発の志岐真一前社長ら役員などを告発すべきではないかと思いますが、お尋ねします。
第二点は、公共工事をめぐる汚職・腐敗の一掃についてであります。本市では自民党パーティー券事件に次いで現職の総務企画局長が逮捕された河本建設談合贈収賄事件、副議長あっせん収賄事件、ケヤキ・庭石疑惑と汚職事件が絶えることなく起きています。開発市政のもとで政官業の癒着がつくられ、公共工事が食い物にされている実態が次々と明らかになっています。しかるに、市長が、自らの政治資金パーティー券を公共工事受注業者が購入することを当然視するなど、癒着構造を温存することは重大であります。腐敗の根底に政官業の構造癒着があることは明らかであり、ここに思い切ったメスを入れなければ、ゆがんだ市政運営や汚職腐敗を一掃することはできません。
従って、企業・団体献金の禁止、少なくとも本市公共事業の受注企業の献金や政治資金パーティー券の購入をただちに禁止すべきではないかと思いますが、市長のご所見を伺います。また、退職幹部の外郭団体や利害関係のある民間企業への天下りや、口利き・あっせんを規制する措置を講ずるべきだと思いますが、あわせて答弁を求めます。
さらに、談合を防止するため、一定数の入札参加者の除外や予定価格の決定に抽選くじを導入すること。また、地元中小企業を保護する観点から、逆ランク制度を採用すべき、と思いますがご所見をお伺いします。あわせて、不正を許さない職場づくりのため、市長、三役をはじめ幹部職員がその姿勢を改めるとともに、内部告発をした職員の保護などを検討すべき、と思いますがお尋ねをいたします。
(3)
次に、雇用、営業、くらし、医療・福祉を守る諸問題についてであります。
質問の第一は、雇用対策についてです。
福岡地区の雇用情勢は過去最悪の事態にあり、その打開のために政治が役割を発揮しなくてはなりません。新たな失業者を増やさないため、大企業の身勝手なリストラを奨励する「産業再生法」の廃止と「解雇規制・雇用人権法」の制定、また雇用創設のために「サービス残業根絶法」、また、緊急措置として失業者への生活保障の拡充、臨時就労事業の創設、青年失業対策などを含む「失業者対策臨時措置法」の制定がどうしても必要です。市長は、これらを国に働きかけるべきではないかと思いますが、ご所見を伺います。また、雇用創出のひとつとして、教育、福祉、防災分野の市職員の拡充を行うべきと思いますが、答弁を求めるものであります。
とくに失業者の増大への対策は、一刻の猶予もなりません。本市として、子どもの教育費などへの緊急助成や、住宅ローンへのつなぎ融資を実施するとともに、臨時のつなぎ就労の場を保障すべきではありませんか。市長の所見を求めます。
質問の第二は、中小企業対策についてであります。
本市経済の主役である中小企業は、今日の深刻な不況に加え「不良債権処理」等で、倒産あるいは廃業に追い込まれる企業が後を絶たず、自殺する中小業者も急速に増えています。地域経済を立て直す上でも、中小企業対策を抜本的に充実することは、まさに緊急課題であります。そのためには、わずか13億円程度の中小企業対策費を大幅に増額し、また、全庁をあげた対策会議の設置など市の体制も強化することが必要だと思いますが、所見を伺います。また、公共事業を大型開発中心から市民生活に密着した分野を中心としたものに切りかえることで、中小企業向けの仕事を大幅にふやし、中小企業向け官公需発注比率は当面70%以上へ引き上げ、150億円の仕事を確保すべきと思いますが、明確な答弁を求めるものであります。
「不良債権処理」の掛け声の下で貸し渋りや貸しはがしが横行しており、「貸し渋り・貸しはがし防止条例」の新設など、本市の制度融資を業者の苦境を解決するよう改善充実すること、また、営業が困難な場合の返済凍結や延長、小口の直貸し制度の新設を急ぐべきではないかと思いますが、所見をお尋ねします。商店街の再生をはかるため、大型店の一方的な進出や撤退を規制する民主的なルールづくり、商店街の振興対策を強めるべきではありませんか。答弁を求めます。
質問の第三は、農業の再建についてであります。
日本人の主食であるコメの輸入自由化など、政府による日本農業の切り捨てによって本市農業も衰退の一途をたどっています。したがって市長は、農産物の完全輸入自由化に反対し、実質的輸入規制の導入、下落した米価や野菜価格の下支え制度の確立を国に要求するとともに、減反率を少なくとも県平均とし、所得保障を含む市独自の農業育成、助成策を講ずるべきと思いますが、所見を求めます。
質問の第四は、政府の医療大改悪から市民の健康を守る問題についてであります。
健康保険本人3割負担など医療制度の大改悪で、来年度は1兆5100億円もの負担増が国民に襲いかかろうとしています。高齢者の患者負担増が実施された昨年10月以降、在宅酸素療法患者の治療中断など受診抑制が広がっており、今回の改悪によって深刻な事態がさらに広がることは明らかです。こうした中で、日本医師会など医療四団体も改悪反対の声をあげています。したがって、市長は、市民の健康と命を守る立場から、国に対し改悪した老人医療制度を元に戻し、3割負担増を凍結するよう、直ちに要求すべきではありませんか。所見を伺うものであります。
質問の第五は、本市の国民健康保険行政及び市立病院問題等についてであります。
市長は、二〇〇三年度も国保料を2.29% 、一人当たり8万8400円への値上げを提案されております。この間、市長は相次ぐ値上げで滞納者から保険証を取り上げ、1万4000件にものぼる「資格証明書」を発行して市民の医療を受ける権利を奪ってきました。いま、深刻な不況やリストラのもと、こうした保険料引き上げはいっそう滞納者を増やして医療にかかれなくし、皆保険制度の根幹である国民健康保険制度の崩壊を招かざるをえません。したがって、市長は、市費を大幅に繰り入れて保険料を引き下げるとともに、保険証の取り上げをやめて原則交付し、減免制度を拡充するなど、市民が安心して医療を受けることができるようにすべきだと思いますが、お尋ねをいたします。また、こども病院と市民病院の統合一体化はやめるとともに、人工島への統合移転は許されないと思いますが、答弁を求めるものであります。
質問の第六は、介護保険制度の改善と高齢者対策等についてであります。
市長は新年度、保険料を月額3586円へと9%もの引き上げを行おうとしています。しかしながら、介護保険がスタートして三年がたち、高すぎる保険料や利用料負担、基盤整備の遅れで必要な介護サービスが受けられないなど、いよいよ「保険あって介護なし」の実態は深刻になっています。したがって市長は、国の負担割合を当面30% まで増額するよう求めるとともに、一般会計から繰り入れ、保険料を据え置き、また、新設する減免制度については要件を緩和し、対象を拡充すべきだと思いますが、答弁を求めます。あわせて、利用料負担についても第1段階無料、非課税世帯は3%に軽減するなど在宅介護サービス利用料の助成制度を創設すべきだと思いますが、市長の所見を伺います。
第二点目は、サービス基盤整備についてです。特別養護老人ホームの入所待機者が急増し4600人にのぼっているにもかかわらず、次期整備計画ではわずか860人分しか計画されていません。したがって、市長は、早急に待機者を解消できるよう整備計画を抜本的に見直し、新年度予算も大幅に増額すべきと思いますが、お尋ねします。また、市民福祉サービス公社については、独立採算の一事業者扱いをやめ、必要な予算措置をしてヘルパーの増員や労働条件の改善を図るなど、体制を拡充し公的責任を果たすべきだと思いますが、市長のご答弁を求めます。
第三点目に、老人医療費助成制度は、所得制限を元に戻し、さらに拡充すべきであります。また、高齢者の社会参加を促進するために、敬老パスは無料制度を復活し拡充し、渡船料の高齢者無料制度を復活させるべきだと思いますが、答弁を求めるものであります。
質問の第七は、生活保護行政及びホームレス対策等についてであります。
長引く不況や雇用情勢の悪化のもと、最後のよりどころである生活保護は毎年、増え続け、保護行政の改善が急務となっています。市長は、「指導・助言」の名による申請権の侵害をやめ、申請書を窓口カウンターに置き、福祉見舞金を復活するとともに、生活保護法に反する「123号通知」を破棄するよう国に求め、人権侵害に及ぶ扶養義務や就労の強制、辞退届の強要をやめるべきだと思いますが、所見をお尋ねいたします。また、ホームレスの人々は福岡市で500人にのぼっており、市長は「住所不定」を理由に拒否することなく生活保護の適用をすすめるとともに、住居など自立対策を確立すべきだと思いますが、ご所見を伺います。学資保険裁判については、福岡高裁判決を受け入れて直ちに上告を取り下げるべきではありませんか。市長の答弁を求めます。
質問の第八は、障害者・児対策についてであります。
障害者支援費制度のスタートにあたって、国のホームヘルプサービスの利用の上限設定は、障害者団体の抗議で一応撤回せざるをえませんでしたが、市長は、国が責任を果たすよう求めるべきだと思いますが、市長のご所見を伺います。すべての障害者に確実な手立てを取るとともに、サービスが低下することのないよう基盤整備を緊急かつ集中的に進めることが求められています。市長は、本市の障害者プランの目標を抜本的に見直して引き上げ、初年度の予算措置を大幅に増額すべではありませんか、あわせて、利用料が現行の水準を上回らないようにするため独自助成を検討すべきと思いますが、答弁を求めます。東部療育センターの整備については、運営主体を社会福祉事業団とし二〇〇五年度には開所できるようにすべきだと思いますが、市長のご所見を伺います。
質問の第九は、市民の保健・衛生行政についてです。
結核やO・157等食中毒の急増、狂牛病の発生や偽装食品問題、輸入及び遺伝子食品の氾濫、相次ぐ院内感染問題など、市民の保健・衛生をとりまく様々な問題が起きており、保健所の機能強化が従来にもまして求められております。したがって、市長は保健福祉センターを抜本的に見直し、保健所本来の機能と役割が果たせるよう、医師をはじめ保健師や診療放射線技師、食品衛生監視員等の専門スタッフを増員配置して、健診・相談・指導・監視体制などを強化するべきではないかと思いますが、お尋ねをいたします。また、食品安全の確保に関する福岡市の総合的な基本方針を策定し、必要な予算措置をおこなうとともに、消費者が参加する常設の懇話会を設置し、消費者団体が参加する意思決定の場を制度化する必要があると思いますが、所見を伺うものであります。
質問の第十は、青年の雇用および文化・スポーツの問題についてであります。 青年の雇用問題は過去最悪で、福岡県の高校生の就職内定率は昨年12月現在、52.4%と過去最低なっており、市内の企業に採用枠の拡大を要請するなど特別の手立てをとるべきであると思いますが、ご所見を伺います。青年のための文化・スポーツ施設は不足しており、その利用ニーズにこたえ、青年が集い利用できる施設を各区につくるべきと思いますが、所見の程、お尋ねをいたします。
(4)
次に、子どもの健やかな成長と教育の問題について質問いたします。
質問の第一は、保育行政についてであります。
本市の保育料は高く、子育て世代にとって大きな負担となっています。市長は、他都市並に市費を繰り入れ、保育料を引き下げるべきではないかと思いますが、お尋ねをいたします。また、削減した民間保育園への補助金を元に戻し、さらに大幅に増やすべきだと思いますが、併せて答弁を求めます。入所待機児は昨年11月現在、911人と急増しており、当面4月の受け入れに対応できるように行政の責任で緊急策を講ずるとともに、3ヵ年計画による三苫など11箇所の「新設」だけにとどめず、不足するすべての地域に保育所を新設すること、また無認可保育所すべてに助成するとともに、条件の整った所は直ちに認可すべきと思いますが、ご所見を伺います。
質問の第二は、乳幼児医療費助成制度についてであります。
私は初当選した32年前、乳幼児の死亡率が非常に高い問題を取り上げ、乳幼児医療費無料化を求めました。その後、現在の助成制度が実現しましたが、若い世代の負担を軽減するためにさらに改善充実が切実に求められています。市長は、ただちに初診料を無料にするとともに、助成対象を、入院だけでなく通院も就学前まで拡大すべきだと思いますが、所見をお伺いします。 また、乳幼児医療費無料化を国の制度として実施するよう申し入れる考えはありませんか、あわせて答弁を求めます。
質問の第三は、留守家庭子ども会についてであります。
働く親の増加のもとで留守家庭子ども会の役割が高まっていますが、施設の狭さや指導員の不足、入会制限が大きな問題になっています。子どもたちに豊かな放課後を保障することは行政の責任です。希望者を全員受け入れるために、施設の拡充や未設置校区の解消、正規指導員の増員をおこなうべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。昨年からの保健福祉局への移管に伴って、様々な問題も生じています。この事業は学校の中で実施され、校長の助言を受けながら長年市民と市教委で築いてきたものであり、教育委員会に戻すべきであると思いますが、市長のご所見を伺います。
また、この際、土曜日開設に踏み切るとともに、指導員の任期付き雇用制度は撤廃すべきではないかと思いますが、あわせて答弁を求めます。
質問の第四は、児童館建設についてであります。
福岡市には、33年前に設置された中央児童会館が一つあるだけで、市長は新たな設置はしないとしていますが、たとえば神戸市には116ヶ所あり、児童の健全育成の拠点としての役割を果たしています。国もくり返しその整備充実を推進しています。子どもたちが自由に出入りでき、安心して仲間と楽しめる児童館の建設は親と子の強い要求であり、緊急な課題となっています。
したがって、市長は、早急に専門職員のいる児童館を小学校区ごとに設置すべきだと思いますが、明確な答弁を求めるものであります。
質問の第五は、児童虐待を含む児童相談体制等についてであります。
児童虐待による子どもの死亡や不登校など、深刻な相談が急増しています。児童相談所に心理療法士や児童福祉司などの専門職員を増員、配置し、相談事業の充実と対策を推進すべきではないかと思いますが、所見をお伺いします。また、県が百道松風園をこの3月で廃止としており一時保護所や児童養護施設を増設するとともに、子ども総合相談センターは、個別援助体制の充実や児童虐待通告システムなどが必要だと思いますが、あわせて答弁を求めます。
質問の第六は、教育行政についてであります。
第一点目は教育政策のゆがみをただし、憲法・教育基本法に基づく教育を実現する問題についてであります。
教育基本法は前文で、民主的な国家づくりや世界平和の貢献など、憲法の理想の実現における教育の役割を示し、「真理と平和を希求する人間の育成」をうたっています。今日ほど、子どもたち自身が主体となり、一人ひとりが大事にされ、人格の個性的な開花をすすめることが求められているときはありません。教育基本法はまさに21世紀に生きるべきものです。市長は、政府・自民党による教育基本法の改悪に反対する考えはありませんか。所見を伺います。また、子どもの内心の自由をおかす愛国心評価はやめるべきだと思いますが、教育長の所見を伺います。
また、国の義務教育の国庫負担金の廃止・削減方針は、教育の機会均等、教育の水準の維持・向上をはかるべき国の責任を放棄するものであり、市長はこれに反対するとともに、年々削減し過去最低水準に落ち込んだ教育予算は、今日の教育課題にふさわしく大幅に増額すべきと思いますが、あわせて答弁を求めます。
二点目は30人学級の実現についてです。
少人数学級は、全国の都道府県の過半数が実施となり、二政令市も独自に着手するなど、まさに全国民的要求となっています。福岡県での請願署名は4年間に200万人にものぼっているのであります。この中で、きめ細やかな指導を通じて基礎学力の向上を図るとともに、各学校の実情を踏まえた教育活動や学校運営がいっそう可能となるなどの大きな成果もあがっております。市長は、30人以下学級の即時実現を国・県に強く要求するとともに、当面、本市自身の責任において、年次的にでも実質30人以下学級を実施すべきだと思いますが、所見を伺います。
三点目は高等教育を受ける権利の保障についてです。
長引く不況のもと、経済的理由による退学や修学旅行等への不参加の激増など、事態はいっそう深刻になっており、学ぶ権利の保障のための制度充実は緊急かつ切実なものとなっております。県に授業料補助の大幅増額と、奨学金の充実をおこなうよう要求するとともに、市の奨学振興会の高校奨学金については貸付対象枠を拡大し、年度途中の希望者も含め、全員採用するよう充実を図るべきだと思いますが、教育長の答弁を求めるものであります。
また、ここ数年、夜間定時制高校の入学が、県内他地区では、希望者全員入学が可能なのに、福岡地区だけは入試倍率が高く入学できない事態が続いており、市が早急に通学に便利な場所に普通科の定時制高校を設置するとともに、県にも設置を要求すべきだと思いますが、所見を伺います。
四点目は、障害児教育についてであります。
文部科学省の「就学指導の見直し」でも、従来以上に、本人や保護者等の意見を重視する方向を打ち出しており、そのためにも学校施設のバリアフリー化等が早急に求められております。小・中学校の45%にエレベーター設置がなされている大阪市同様、本市でも新改築校や車椅子使用児童在籍校から順次エレベーターの設置を制度化し、次郎丸中学校や東光小学校などに早急に設置すべきだと思いますが、所見をお伺い致します。また、障害児が安心して通学できるよう、すでに多くの自治体で実施されている介助員制度を早急に導入すべきだと思いますが、あわせて所見をお伺いします。
第五点目は、安全で快適な教育環境の実現についてであります。
全国の学校関係者の運動やわが党の国会質問などが実り、国では昨年はじめて公立学校の「耐震診断実施計画」がつくられました。国に助成制度の充実を要求すべきだと思いますが、ご所見を求めます。また本市では、新耐震基準に達しない学校が170校あり、耐震診断と老朽校舎の改修・改築計画の策定を急ぐとともに、緊急箇所の補修等については予算を増額して実施し、また、小中学校の教室暖房については、調査を理由に何年も先送りすることは許されず、ただちに実施すべきだと思いますが、ご所見を伺います。
(5)
次に都市づくりの諸問題についてお尋ねします。
まず質問の第一は、アジアの交流拠点都市づくりの名による開発市政からの転換についてであります。本市は、これまでの開発行政のもとで、自然環境の破壊をはじめ様々な都市問題をひきおこしたうえに、市財政危機を一層深刻にしています。策定中の新基本計画は、都市膨張政策を根本的に改め、水や自然と調和し、環境、交通、住宅、福祉などを重視した市民本位のまちづくりへ転換すべきだと思いますが、市長のご所見を伺います。
質問の第二は、渡辺通り1・3丁目市街地再開発計画および新天神地下街の整備についてであります。
「都市未来ふくおか」の下川端再開発事業は明確に破たんし、本市も莫大な税金を投入する事態となりました。こうした中で計画されている渡辺通り1・3丁目市街地再開発は、博多リバレイン破たんの二の舞になるのは明らかであり、やめるべきではありませんか。あわせて、この際市長は、「都市未来ふくおか」から出資を引き上げ、解散を要求すべきと思いますが、所見を伺います。また、「福岡地下街開発」の天神地下街延伸事業に対する新たな補助金の支出はやめるべきだと思いますが、お尋ねをいたします。
質問の第三は、香椎駅前の区画整理事業についてであります。
地価下落のおり、市街地での区画整理については、多大な問題をひきおこしており、もともと住民の多くが反対している香椎駅周辺土地区画整理事業については、この際、白紙に戻して、住民参加でまちづくり計画を協議すべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。
質問の第四は、九大移転等についてであります。
九大移転は、本来、九大と国の負担で行われる事業であり、必要もない演習林の購入など九大の移転にかかる九大側の資金計画破たんの救済はやめるべきであり、また、バブルの計画ともいうべき「九州大学学術研究都市構想」は中止すべきではないかと思いますが、答弁を求めるものであります。また、九大跡地を含めた六本松のまちづくりについては、住民参加・住民合意を徹底し、情報は常に公開すべきだと思いますが、所見をお尋ねします。
質問の第五は、交通対策についてです。
市長は、天神一極集中の是正、国道495号線の拡幅と博多バイパスの延伸、福岡外環状線の整備を早急に実施し、あわせて、西鉄宮地岳線と地下鉄との直通運転を三苫まで延伸すべきと思いますが、ご所見を伺います。また市交通バリアフリー基本方針にもとづく対象施設を拡大するとともに、既存駅へのエレベーター、エスカレーター設置を促進すべきではありませんか。お尋ねします。
質問の第六は、水問題についてであります。
開発による需要増大を放置して、供給目標をそれにあわせる現行の水需給計画では、水問題を解決することはできません。市長は、これ以上の人口、水需要を拡大する都市開発・膨張政策を改め、新基本計画に制御機能を明確に盛り込むとともに、社会、経済情勢を反映した水需給計画へ抜本的に見直すべきであります。また、「節水措置要綱」の条例化に当たっては、大口需要者への節水規制の強化、ホテル等大型事業所・事務所ビルに対する中水道化、雨水利用などを促進することが必要だと思いますが、あわせて答弁を求めます。また、工業用水の水道用水への転用の促進や、五ヶ山ダムの工事を凍結し必要性について再検討するよう県に要求すべきだと思いますが、ご所見を伺います。
質問の第七は、住環境と緑を守る問題についてです。
各地でマンション建設等の開発がすすみ、周辺の住環境、日照障害、交通問題、自然環境破壊など、近隣住民との紛争が多発しております。市長は、建築紛争防止条例に「市民の住環境を守る」ことを「市の責務」と定めるなど条例を強化するとともに、用途地域等の見直しにあたっては、建築物等の高さ制限の規制強化をはかるべきと思いますが、ご所見を伺います。
また、緑地保全の地区指定の促進や予算の大幅増額によって、市民との共同で都市緑地の保全・買取を積極的に推進し、あわせて、風致地区の開発に対する基準を強め、緑の保全に努めるべきと思いますが、所見をお伺いします。また、民間の建築確認検査機関による誤りが相次いで発覚しており、民間機関に正確・公正な審査を強く要求するとともに、国に厳正な指導を行うように求めるべきではないかと思いますが、答弁を求めます。
質問の第八は、市営住宅の増設についてであります。
入居希望者が増え続けているにもかかわらず、市が新規建設を抑制しているため、市営住宅の不足はいっそう深刻になっています。公募倍率は4年間で16.62倍へ7倍にはね上がり、高齢者単身住宅の倍率はなんと42.67倍にもなるなど、極めて深刻な事態となっています。「住宅は福祉」であり、市長は、「第8期住宅建設5カ年計画」を見直して、建替中心の新規建設の抑制を改め、新規市営住宅を大幅に増やすべきだと思いますが、答弁を求めるものであります。
質問の第九は、環境行政についてであります。
一点目は、ごみ収集の有料化問題についてです。
家庭ごみの有料化が、市民に新たな負担を押しつけるだけでごみ減量につながらないことは、他都市の実態を見てもすでに明らかです。したがって、家庭ごみの有料化は行わず、粗大ごみ収集は元の無料に戻すべきと思いますが、お尋ねいたします。また、家電リサイクル法の施行によって、さらに不法投棄や家庭内滞留が増加しています。国に対して、製造者責任を明確にするなど法の抜本改正を求めるとともに、市として低所得者のための助成制度を設けるべきだと思いますが、所見のほどお尋ねいたします。
二点目は、ごみ処理基本計画の改定についてであります。
ごみ減量の基本は、ごみの排出抑制、リユース、リサイクルであり、改定においては市の責任を明確にするとともに、実際に減量になるようにすべきと思いますが、ご所見を伺います。また、臨海清掃工場への他都市からのごみ持ち込みは設立の経緯と住民合意に照らして絶対に許されるものではありません。もともと、一般廃棄物は区域内処理が原則であります。したがって大野城・太宰府両市など他都市からの臨海工場へのごみの受け入れはやめるべきと思いますが、市長の明確な答弁を求めるものであります。
三点目は、東部清掃工場建て替えについてであります。
本市の可燃性ごみの処理実績は、施設能力を大きく下回り、臨海工場の3炉のうち1炉が運転を休止している実態からも、東部清掃工場建て替えで300トンも増設する必要はまったくありません。したがって市長は、東部清掃工場の施設規模は大幅に縮小見直しを行い、福岡クリーンエナジーへの委託はやめ直営で行うべきだと思いますが、ご所見を伺います。
四点目は、地球温暖化対策など足元からの環境対策についてであります。
新年度、地球環境対策の推進として低公害車の普及などの施策が提案されております。しかしながら、一方でヒートアイランドに拍車をかける自然環境破壊の人工島建設を推進するなどしており、この是正こそ必要であります。したがって、市民参加のもとでエネルギーの浪費や公共事業の無駄を無くし、低エネルギー生産・消費構造の転換を図るなど、実行ある施策を確立すべきではありませんか、ご所見をお伺いいたします。
最後に、市長のすすめるイベント行政についてです。
事業費40億円の都市緑化フェアは、人工島の開発破たん救済が目的であり、巨額の市費を投入はやめるとともに、アジアマンスなど、市長のイベント行政は改めるべきだと思いますが、ご所見を伺います。また、姉妹都市交流など莫大な税金を投入して行われる国際交流事業についても、この際見直すべきではないかと思いますが、あわせてお尋ねをいたします。
(6)
次に、地方自治の確立、公正、平和の行政推進についてお尋ねします。
質問の第一は、地方自治と住民自治の確立についてであります。わが党は、行政の透明性、公開性の確保を求め、また、議会における政務調査費の使途を領収書まで含めて公開することを主張して来たところであります。市長は、情報公開条例について非公開対象を縮小し、相手先、場所などすべて公開すべきだと思いますが、答弁を求めます。あわせて、個人情報の漏えいが心配される住民基本台帳ネットワークは、市民の意見に基づいて接続をやめるべきではありませんか、明確な答弁を求めます。
また、新聞報道によると市長は、新助役に神戸製鋼所の山野宏氏を起用するそうですが、国土交通省からの天下りであり、しかも公正取引委員会の排除勧告を受け本市の海水淡水化事業から撤退せざるを得なかった企業の顧問だった人物を任用すれば、市民からの批判は避けられません。また、外郭団体や開発型第3セクターなどは、その運営、事業及び予算の執行について厳正な監査、指導を行い、情報公開を徹底するとともに、開発型第3セクター廃止を含め抜本的に見直すべきと思いますが、所見を伺います。
質問の第二は、同和問題についてであります。
今日、長年の国民の努力と運動によって部落問題は基本的に解決しており、国は昨年3月、いっさいの同和特別対策を終結し、全国の自治体でも同和行政終結が基本的流れとなっています。ところが本市においては、同和予算は14億1583万円も計上されており、これは同和問題の普遍化、永久化につながるもので時代逆行も甚だしいと言わざるをえません。
したがって、市長は、「福岡市人権・同和行政基本方針」を直ちに撤回し、同和特別対策は全面的に廃止するとともに、解同市協議会への団体補助金4930万円は、全額削除すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。また、本市が行う行政主導の同和啓発は逆に部落問題を固定化させるものであり、直ちにやめるべきだと思いますが、所見をお伺いします。あわせて、同和地区の児童生徒の不就学、進学の格差などは基本的に解消しており、同和教育は廃止するとともに、同和教育の継続を図る「人権教育基本方針」の策定は行うべきではないと思いますが、ご所見を伺います。
質問の第三は、博多港と福岡空港の軍事利用を許さない問題であります。
米英によるイラク攻撃の企てに反対する行動がさる15日、世界中の600をこす都市で行われ、1000万人以上の人々が参加しました。「戦争ノー」の声が国際的世論になっているときに、日本政府がアメリカに追従する立場をとっていることは、極めて異常であります。市長は、政府にアメリカがイラクへの武力行使をおこなわないよう要求するとともに、有事法制強行の企てに反対すべきと思いますが、所見をお尋ねいたします。
また、福岡空港は、米軍機の軍事利用が強化されつつあり、市長は市民の願いである板付基地の全面返還を強く要求するとともに、博多港については、「友好・親善」「休養」「補給」など、いかなる目的であれ、米軍による博多港・港湾施設の軍事利用を許さず、「非核神戸港方式」を適用すべきだと思いますが、明確なる答弁を求めるものであります。
以上、私は、137万市民のくらし、福祉、営業、教育、環境、平和等を守るため、「住民が主人公」をつらぬく自治体らしい自治体への転換を要求し、質問してまいりました。市長並びに教育長の誠意ある、かつ明確なご答弁を求めるものであります。長時間のご清聴に感謝し、日本共産党市議団の代表質問を終わります。