議会報告
2025年9月議会
旧柏原公民館への児童館設置を求める請願への賛成討論
2025年9月11日 堀内徹夫議員
私は日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております6年請願第4号、「旧柏原公民館への児童館の設置について」に賛成し、討論を行います。
本請願は、南区の南西部に位置する柏原校区を中心とした住民の皆さんが、旧柏原公民館に児童館の設置を求めた4,424人の切実な願いのこもったものです。そもそも児童館とは、子どもたちが自由に利用できる場所であり、子どもたちの意思が尊重される居場所です。また、子どもたちが自分の意見を表現できる仕組みや、専門職員が子どもの意見を受け止める体制が整っており、幅広い年齢層の子どもたちが楽しく利用できるよう配慮されている児童福祉法第40条に規定された児童厚生施設です。
本市では、1970年1月に中央児童会館として開設され、2016年に中央区今泉に建て替えられ、利用対象者が中高校生まで拡充されていますが、市内の児童館は、この中央児童会館の1館だけです。現在、他の政令市では、小学校単位などに設置している札幌市、仙台市、京都市、神戸市、広島市等をはじめ合計800近くの児童館があり、全国では4259館の児童館があります。また、近隣では春日市に4つ、那珂川市に2つの児童館が設置されています。本市の中央児童会館1館体制というのは、異状ともいえる状況であり、そうした中で、今回の請願が出されています。
これまで「各地域に児童館を」と求める市民は、本市議会に繰り返し請願を提出してきました。1991年以降、本市議会が受理した児童館の設置を求める請願者総数は実に40万人近くになっています。しかしながら、本市の請願に対する考えは、中央児童会館以外には児童館は必要ないとして、かたくなに市民の願いを無視する態度を続けてきています。
今回の請願者が訴えた主な内容は次の2点であり、それに多くの方々が賛同されました。
まず1点目は、本市の子どもたちに居場所がないことです。こども未来局は、子育て交流サロンや子どもプラザ、公民館、わいわい広場など地域や団体とも連携しながら事業を展開しているので、児童館は1館で足りていると言われますが、いずれも専門職員のいる児童館とは似て非なるものであり、他の施設で肩がわりすることは不可能です。
例えば、公民館の利用は、事前予約が必要であり、また制約や規制も多く、子どもたちにとっては行きたいときに行けないものです。子育て交流サロンは、保護者が就学前の子どもと一緒に参加して、子育て情報交換や仲間作りが主体の事業であり、児童館とは全く違うものです。
また、学校の校庭で遊ぶ「わいわい広場」は、利用前に申込手続をして保険に加入した子どもだけしか利用ができず、そもそも週3回しかなく、暑い日や雨の日は中止になるので、夏の時期は基本的にありません。
やはり子どもたちには、専門職の遊びのプロがいて、遊びを通して成長を見守れる施設としての児童館が、子どもたちの行動範囲である地域に必要です。そうしたことからも、利用の対象である本市の18歳未満、約24万人の児童厚生施設として中央児童会館が1つだけであるというのは、あまりにもお粗末です。
請願者が訴えた2点目は、柏原という地域性の問題です。南区柏原からバスで中央児童会館のある中央区今泉に来るまでには、時刻表でも片道50数分かかり、放課後、中央児童会館に行っても、小学生の利用時間は18時までであり、利用できません。土日でも、親子で行くならば、バス代だけで往復1500円もかかります。柏原小の生徒にとって、学校の横に児童館ができるならば、たくさん遊ぶ時間ができるのです。
また、柏原校区には、中学校も、県立高校もあり、中高生の多い地域ですが、中高生の居場所はありません。地域での児童館活動について、こども未来局は、「出前児童館」をしていると強調しています。しかし、委員会審査の中では、柏原校区での昨年度の開催は1回で、それは絵本の読み聞かせであり、集まったのは乳幼児7名と保護者6名だとわかりました。つまり、児童や生徒への「出前児童館」は柏原校区では、実質ゼロなのです。
そういうことから、小中高校生の居場所となる児童館の設置が柏原校区に必要だと、請願者は訴えています。
述べてきたように、請願者と市民とのやり取りが結実したのが、短期間に集まった市民4,424人のこの請願であり、本市議会はこの思いに応えていくべきです。
ところが、日本共産党を除く教育こども委員会の委員の皆さんは、これだけの市民の声が広がっているのに、この児童館設置を求める請願を委員会審査で不採択にしたのであります。請願者をはじめ、多くの市民から怒りの声が広がっています。この請願は、まっとうな要求であり、多くの議員の皆さんの賛同を呼びかけて、6年請願第4号に対する賛成討論を終わります。