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議会報告
2025年12月議会
12月議会反対討論
2025年12月19日 綿貫康代議員
私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております議案第189号ないし197号、199号ないし206号、211号、212号、216号、218号ないし230号、233号ないし235号、237号ないし240号、242号ないし246号、253号、259号ないし261号に反対し、討論を行います。
まず、議案第259号「令和7年度福岡市一般会計補正予算案(第4号)」のうち、経済対策についてです。高市政権が打ち出した総合経済対策では、第一の柱として「物価高への対応」が掲げられ、重点支援地方交付金の拡充が行われました。今回の補正は、この交付金を活用して下水道料金の減免やプレミアム付商品券、事業所への物価高騰支援などを行うものです。
長引く物価高騰のもと、市民の暮らしや中小業者の経営は深刻さを増すばかりです。わが党は今年4月に物価高騰から暮らしと営業を守る緊急対策を市長に申し入れ、6月議会でも同様の内容で要求し、9月議会では中小業者の賃上げ支援策を求めるなど、繰り返し市民の暮らしと中小業者の営業を守る対策を求めてまいりました。今回、わが党が以前から求めていた下水道使用料の減免が行われることになりましたが、2ヶ月分のみであり、これは1世帯当たり平均でわずか3350円ほどの支援にしかなりません。また、介護・障害者施設や保育所については電気代等の価格高騰分についての支援ですが、その算定根拠は市として現場の実態をつかんだものではなく、県が行った極めて限定的な調査結果を横流ししたにすぎず、規模も内容もいまの物価高騰に追いつくものにはなっていません。わが党は、今回行われるプレミアム付商品券事業の問題点について議案質疑でただしましたが、経済振興委員会ではわが党だけでなく、他党の委員からも様々な意見が出されました。例えば、金銭的余裕がある人でないと買えないという問題、全市版プレミアム付商品券の場合に地元商店や中小業者にすべてお金が落ちるわけではなく、電子版なので消費者・事業者とも制度からはじかれる人が出るという問題、地域経済の活性化につながるかは不透明であるという問題、消費の先食いになるという問題、商品券の登録事業者は市内の小売・卸業者の3分の1にすぎないという問題など、「これが物価高騰対策なのか」という疑問や懸念の声が多く出されました。今回の商品券事業は物価高騰対策としては不適格であると言わなければなりません。
今回行われる物価高騰対策は、そのすべてが国の交付金と県支出金を財源としており、本市は1円も支出しておりません。その内容もこれまで行ってきたものの焼き直しであり、しかも国から交付金が来たからやるというもので、物価高騰に苦しむ市民の立場に立って考える姿勢が全く見られず、主体性が欠如していると言われても仕方のないものであります。わが党は質疑で、財政調整基金などの市のため込み金を活用し、すべての世代を支援する独自の施策をおこなうことを求めましたが、市長は国へ要望すると述べるにとどめ、市独自の対策については全く検討すらしませんでした。このような補正ではあまりにも不十分であり、わが党は本議案に賛成することはできません。
次に、議案第201号福岡市漁港管理条例の一部を改正する条例案についてです。本議案は、8月27日付西日本新聞で「福岡市の所有・管理する漁港で、市の条例で漁船以外の係留が禁じられているにもかかわらず、市の漁業協同組合の支所が係留場所を市に無許可で、一般のプレジャーボートなどに有料で貸している」と報じたことを受け、「福岡市管理漁港におけるプレジャーボートの係留等のあり方に関する有識者会議」が設置され、今後の対応策や原因検証および再発防止策についての意見が聴取され、「今後の対応について」という見解を市が発表し、これを受けて、プレジャーボートを係留できる漁港を浜崎今津漁港以外にも広げるための条例改正をおこなうものです。しかし、この問題は条例を改正して終わりというわけにはまいりません。今回、市は漁業協同組合に対して返還請求を行わないことを決定しました。しかし、当事者である漁協の資料は客観性が求められますが、数字の詳細や内訳についてはわかりません。わが党は経済振興委員会で、漁協がこの間得てきた漁港の使用料収入と管理経費の差額を「漁港の修繕・管理に使った」という漁協側の弁明について、その詳細をただしましたが、市は一切答弁することができませんでした。つまり2250万円もの差額がどう使われたのかが証明できないにもかかわらず、「不当利得には当たらない」などと判断するのはあまりにも早計です。同様の問題が起こっていた糸島市では、漁協に不当利得の返還請求を行い、漁協が市に対して10年間の漁港使用料相当額約1545万円を返還する内容で和解に合意したという報道がなされています。杜撰な調査でもって「不当利得には当たらない」として1円たりとも返還請求を行わない市長の態度は極めて異常であります。そもそも、漁協は無許可の状態で収入を得る権利が無いにも関わらず、何十年にもわたってプレジャーボートから漁港の使用料金を取っており、しかも市はそのことを知っていながら、長年黙認してきました。億単位に及ぶお金が動いている可能性があり、「市の不作為」だけで済まされる問題ではありません。わが党はこのようなことは政治家の関与なしにはできないとして、9月議会で「政治家の関与についても調査すべき」と強く主張しましたが、市は一顧だにせず、調査すらしませんでした。これでは、市が政治家の関与をごまかしていると言われても仕方がない態度です。このような経過で提案された今回の議案について到底認めることはできず、わが党は賛成できません。
次に、議案第222号清流公園に係る指定管理者の指定についてです。本議案は清流公園の指定管理者に福岡地所株式会社などで構成される清流リバーフロント運営事業体を20年という異例の長期間にわたり指定するものです。この公園は福岡地所が運営するキャナルシティ博多に隣接しており、この運営事業体に管理を委ねるということは、イベントや集客などで市民の財産である公園を利用し、儲けをあげることを目的としていることは明白であり、賛同できるものではありません。そもそも、民間営利企業に公共施設の管理運営を任せることは、そこで働く労働者の人件費などの労働条件について市が把握することができずにその悪化を招き、市民サービスの低下につながる不適切な管理・運営が行われる恐れがあるなど、様々な問題があります。わが党は他の民間営利企業への指定管理議案についても反対いたしますが、同様の理由であります。
以上でわが党の反対討論を終わります。