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2024年予算議会

堀内徹夫市議の補足質疑 発言と答弁 全文

音声をもとに党市議団が文字起こしし、順番をわかりやすく組み替えたものです

  1. 防災対策

堀内市議私は、日本共産党市議団を代表して中山郁美議員が行った代表質疑を補足して、能登半島地震を受けて本市の防災対策をどのように見直していくかについて質疑を行います。

死者241人を出した能登半島地震は発生から2ヶ月となりました。石川県では未だに1万1400人余りの人が、寒い体育館などで寝泊まりし、長期にわたる避難生活で心身ともに大きな負担を強いられ、ストレスなどによる災害関連死も確認されています。能登半島地震を受けて、何を教訓にして本市の防災対策に生かすのか、本市に緊急に求められているのは何かについて、具体的に質してまいります。


防災対策
防災の考え方

堀内市議質問の第1は、本市の防災の考え方についてです。わが党の代表質問への答弁では、防災計画の見直しについては、全く示されませんでした。能登半島での災害が起き、若干の手直しは新年度に行われるものの、極めて不十分なものです。市長の市政運営方針では、運用開始から6年目となっている防災アプリ「ツナガル+」の機能拡充が「災害に強いまちづくり」のいの一番に掲げられ、新年度予算の資料でも重要施策として太く突き出して紹介されています。このアプリは、市民がスマートフォンでダウンロードすることで利用できます。市の意図は、特に指定避難所以外の場所で避難生活をされている市民の状況をつかんで支援をしようというものです。しかし、まずは利用環境を市民が自分で登録して設定しなければ、災害時にどこに誰がいるのかわかりません。そこでお尋ねいたしますが、2月末時点でこのアプリをダウンロードした市民は何人いるのか。また、このアプリ機能を何人の市民が活用して使うと想定しているのか、答弁を求めます。さらに、アクセスの集中によるシステム障害は起きないのか、答弁を求めます。

市民局長防災アプリ「ツナガル+」のダウンロード数につきましては、令和6年2月末時点で約4万1000件となっております。また、このアプリの活用につきましては、できるだけ多くの市民に使っていただきたいと考えておりまして、防災イベントや出前講座などで積極的に普及啓発を行っております。

次に、アクセス集中によるシステム障害対策につきましては、アプリのサービス事業者が災害時の使用状況に応じてシステム増強措置を行うこととなっております

堀内市議局長の答弁で、防災アプリ「ツナガル+」のダウンロード数はこの6年間でたったの約4万1000人、人口のわずか2%しかないこと、活用想定数を聞いたのに見込み数は答えられず、システム障害が起きないのかという点については、事業者任せで起きないとは断言されませんでした。このような施策を災害対策の目玉に位置付けているのは、本気度が問われますよ。力を入れるところが間違っています。このアプリが自分でダウンロードして初めて役に立つことに象徴されるように、本市は災害対策をことさら自助・共助に委ねてきました。しかし、能登の現場では誰もが必死に助け合われていましたけど、自助・共助だけでは、自分の命も財産も守ることはできず、たくさんの命が失われたんです。住宅の耐震化が遅れ、多くの人が圧死し、上下水道の耐震化が遅れ、生活が破壊されました。また、道路の寸断や備蓄の不足により、必要な物資が届かず、住民の健康が損なわれました。公助が足りなければこういう事態になるのです。そこでお尋ねいたしますが、自助・共助を前提にした防災計画では、いざというときに市民の命は救えないのではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

市民局長地域防災計画につきましては、災害時の被害を最小化するため、行政や消防、警察、自衛隊などの公的機関による救助や救護などの公助に加え、自分や家族の命を守る自助や、地域住民同士の助け合いによる共助も不可欠でありますことから、自助・共助・公助が一体となった災害に強い共創のまち作りを推進していくことといたしております。


被害想定の見直し

堀内市議質問の第2は、被害想定の見直しについてです。能登半島地震を受け、本市の避難者想定の見直しを求めたわが党の代表質問への答弁では、県の判断を待つという、全く危機意識のないものでした。

2005年に福岡県西方沖地震が起こりました。このとき、警固活断層帯の北西部と呼ばれる海底の活断層がズレただけで、南東に連続する陸地の活断層はそのまま残っています。周期から考えると、警固活断層帯の南東部はすでに満期を迎えている可能性があると言われており、この対策は待ったなしです。

同時に、国が「主要活断層」として位置づけているのは、この警固活断層だけではありません。阪神・淡路大震災を契機として、わが国の主要活断層帯で発生する地震などの評価をし、緊急地震速報の技術開発を行ってきた地震調査研究推進本部という政府の特別機関があります。2017年、その推進本部が日向峠-小笠木峠断層、宇美断層を「主要活断層」に追加しました。つまり、本市には3つの主要活断層が存在すると、国は判断しているのです。そこでお尋ねいたしますが、日向峠-小笠木峠断層および宇美断層は、なぜ防災計画の想定地震に入れていないのか、答弁を求めます。

また、避難者数の想定も本市では12年前から2万5千人と全く変わっていません。本市の人口の10分の1である能登半島の初期避難者数は2万6千人でした。本市の避難者数避難者数の想定が能登と同じ規模で良いのか、ご所見をお伺いいたします。

市民局長福岡市地域防災計画の被害想定については、県の地域防災計画に基づき記載をしております。県の計画では、国の評価や県の地震に関する防災アセスメント調査などを基に、県内の主要都市に重大な被害を及ぼすと想定される警固断層南東部、小倉東断層、西山断層、美濃断層の4つの活断層について、被害想定が行われており、これに基づき、市の計画においても、この4つの活断層の被害想定を記載しているものです。なお、日向峠-小笠木峠断層および宇美断層については、県において、令和6年度から被害想定調査が行われると聞いております。また、避難者数の想定についても、県の計画における被害想定に基づくものですが、市においても、学識経験者による検討委員会において、想定は適切なものとされたものでございます。

堀内市議局長は日向峠-小笠木峠断層、宇美断層を防災計画の想定に入れていないのは、県の判断が出ていないからだという全く悠長な答弁をされました。しかしながら、国は2013年から日向峠-小笠木峠ではM7.2程度、宇美断層ではM7.1程度の地震が発生する可能性があるとして、主要活断層に追加しているわけです。能登では、昨年の5月に震度6強の地震をはじめ、群発地震が続いていたのに、石川県の地域防災計画では、27年前から「ごく局地的な災害で災害度は低い」と想定されたままで、見直しは何も行われていなかったから、被害の拡大に対応できなかったのです。県の判断を待っていては、市民の命は守れません。そこでお尋ねいたしますが、このまま県の判断を待っていたら、今の被害想定と実態とが大きくかけ離れ、深刻な事態になると思いますが、答弁を求めます。

局長は、避難者数の想定が能登と同じ人数でいいのかについては、県の判断だという全く無責任な答弁をされました。石川県の防災計画での能登地震による避難者数の予測は2781人でした。それが10倍の2万6千人となったんです。避難者予測がくるえば、防災対応の変更が余儀なくされます。

本市の想定避難者数2万5千人というのは、どのような根拠に基づく数字かといえば、想定されている全壊建物数と消失建物数に住む人の数です。しかし避難するのは、全壊や焼失した家屋の人だけではありません。半壊の世帯、一部損壊の世帯、そして不安から自主避難する世帯など膨大な数の人々がこの想定避難者数から除外されており、数字は低く見積もられているのです。

さらに、この数字の根拠とされている全壊建物数は、旧耐震基準のままの家屋数に基づいてもとにしていますが、能登では新しい耐震基準の住宅も次々と全壊しました。金沢大学の調査によりますと、珠洲市の木造家屋100棟のうち、約40棟が全壊状態でその半数が1981年の「新耐震基準」導入後に新改築されたものでした。つまり本市でも、全壊はとてもこの数では収まらない可能性があります。そこでお尋ねいたしますが、現在の本市の避難者数の想定では間尺に合わず、見直す必要があると思いますが、ご所見をお伺いいたします。

市民局長地域防災計画や被害想定につきましては、災害対策基本法により、市町村の計画は、国や県の計画と整合を図ることとされており、地震による被害は、市域を越えて広域的にもたらされるものであることからも、今後見直される県の計画との整合を図りながら、必要な見直しを行ってまいります。


公的備蓄

堀内市議質問の第3は公的備蓄についてです。本市の公的備蓄について抜本的な増量を求めたわが党の代表質問への答弁では、備蓄を増やすと言ってはいるものの、新年度予算を見ると、6636万円の予算で、水のいらないシャンプーやボディーソープ、使い捨てカイロ、エコノミークラス症候群対策のストッキングの購入などしか入っていません。しかし、これだけではあまりにも不十分です。そこで3点お尋ねいたします。

水と食料の備蓄

堀内市議1点目は水と食料の備蓄の問題です。能登半島地震では、3日過ぎても食事は届かず、1週間後でも、毎日パン1個しか提供されない事態も発生しました。本市は、想定避難者3万人に3日間3食分合計27万食を備蓄しているといいます。お尋ねいたしますが、水と食料の備蓄はこれで足りるのか、ご所見をお伺いいたします。

市民局長水や食料の備蓄については、警固断層南東部を震源とする地震が発生した場合の想定避難者等約3万人に対して国からのプッシュ型支援物資が届くまでの最大3日間、3日分となる27万食を備蓄しております。また、企業等との災害時応援協定に基づく流通備蓄の活用も図ることといたしております。

堀内市議局長は備蓄が十分などと言われました。本市は避難者を人口の1.5%とし27万食の備蓄があるというわけですね。名古屋市が地震に備え、どうしているか。本市の避難者数の4倍にあたる6%の市民が避難すると想定しています。4日分に当たる合計175万食を校区単位に備蓄しているということと比較すると、あまりにも足りなさすぎます。さらに局長は、国のプッシュ型支援が来ると言われました。内閣府は大規模地震が発生した場合、鉄道などは少なくとも3日間は運行の停止が見込まれることから、国民に水や食料などの備蓄の目安を3日分とし、“3日すれば国のプッシュ型支援も来る”という予測を各自治体がとっていて局長も先ほど答弁されたんですけど、能登ではしかしそうならなかったんですよ。本市における地震でも、空港や港が使えない、鉄道や道路が寸断されているなどの被害が出れば、陸の孤島となりかねません。お尋ねいたしますが、本市の国の支援は当て込んだ貧弱な備蓄計画は成り立たないのではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

市民局長国のプッシュ型支援につきましては、大規模災害時には発災当初から物資が緊急輸送されることとなっており、過去の災害においても、発災から3日目までには被災地に届いていることから、その実効性は高いものと考えております。

段ボールベッド

堀内市議2点目は段ボールベッドについてです。段ボールベッドは、床面から高さがあるので、冷えを抑えられ、空気層があることで温まりやすくなります。また、床から舞い上がる細菌・ウイルスを含む可能性のあるホコリの吸い込みを抑えられ、さらに、エコノミークラス症候群の予防にもなります。お尋ねいたしますが、本市の段ボールベッドの備蓄はどうなっているのか、答弁を求めます。

市民局長段ボールベッドについては現在備蓄をしておりませんが、国からのプッシュ型支援の他、企業等の災害時応援協定を活用し、確保することとしております。

堀内市議能登では、民間協定していた段ボールベッドは何日経っても届かず、固い床の上に雑魚寝をしている状況でした。段ボールベッドは避難所で命を守るために不可欠なものとして内閣府も備蓄を推奨しており、既に全国の自治体の約半数にあたる約800自治体で備蓄が行われています。ところが局長は、本市には段ボールベッドの備蓄はありません、民間協定しているから運んでくるだろうという全く無責任な答弁をされました。お尋ねいたしますが、本市の民間頼みのやり方では、段ボールベッドは届かないのではないです、ないかと思いますが答弁を求めます。

市民局長段ボールベッドについては、国のプッシュ型支援の一つとして、緊急輸送されることとなっており、必要に応じて、企業との災害時応援協定も活用しながら、確保することとしております。

公的備蓄が避難所に届くのか

堀内市議3点目は公的備蓄が避難所に届くのかについてです。能登では、半島の主要国道249号線で、トンネルの崩落、山崩れなどが起こりました。大量の土砂や落石が道路を覆い、25区間が通行止めとなり、必要な物資が届きませんでした。本市では、公的備蓄品のうち飲料水の86%、ご飯の75%が、博多区の月隈収蔵庫に一極集中配備となっています。そこでお尋ねいたしますが、警固断層での大地震が発生すれば、市内の道路が断層を中心に寸断される可能性が高く、本市の東部と西部との輸送ルートが確保できなくなるのではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

市民局長災害時における物資輸送については、東区、博多区、西区の市内3ヶ所に物資集積拠点を設置し、国からの支援物資を受け入れるとともに、耐震化を進めている緊急輸送道路を使用し、各避難所へ輸送する計画としております。また、この計画をより実効性あるものとするため、令和6年度に輸送網等の機能評価を行うこととしております。

堀内市議対策強化事業として新年度に物資輸送体制の機能強化を図ると言われました。また新年度予算の説明書を見ると、旧東市民センターも拠点として活用すると書かれています。しかし、本市が新年度予算で位置づけている、この旧東市民センターの防災倉庫というのは、地下の電気室でわずか200平方メートルしかありません。天井も低く、月隈から何をどれだけ運び込めるのかと当局に私、確認しましたけど、現時点ではわからないというのが返答でした。つまり、防災備蓄が、月隈から分散できる保証はないんです。これでは、市内の東西で輸送体制が分断されたときに、全く対応できません。新潟市では、8行政区にある54の拠点施設に一定の備蓄を行い、さらにそれとは別に、小中学校や高校など360ヶ所に分散配置して、どこに行けばどういう備蓄品がどれだけあるのか、市民にインターネットで公開しています。この体制は、名古屋市でも横浜市でも同様に取られており、拠点倉庫2個ぐらいで対応している本市のやり方は、現実的ではありません。したがって、月隈に一極集中して備蓄するという現在の配置は、他都市に倣って、早急に分散配備する必要があるのではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

市民局長公的備蓄については、各小学校に防災倉庫を設置し、避難所で必要となる発電機や、照明器具などの資機材を配備するとともに、各公民館に食料、水、携帯トイレなどを備蓄しているところであり、引き続き分散備蓄を進めてまいります。


トイレ

堀内市議質問の第4は、トイレについてです。わが党の代表質問に対し、市長はマンホールトイレについて新年度予算では小中学校や公民館の新改築や大規模改修時に2個ずつ増やしていき、簡易トイレについては52個あるのを304個に増やすと答弁されましたが、到底足りません。

能登半島地震では、下水道や水道が寸断されトイレが使えない状況が発生しました。さらに、排せつ物の処理、衛生環境が悪い状態、避難者がトイレを我慢する事態が起こりました。トイレを必要数いち早く確保できなければ、感染症のまん延や体調の悪化につながる恐れがあり、災害関連死を引き起こす問題となります。そこでお尋ねいたしますが、本市の災害用のトイレの備蓄はいくつあるのか、答弁を求めます。また、能登のように下水道や水道が寸断された場合でも、使用できるトイレを必要数確保しておかなければならないと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

市民局長災害用トイレにつきましては、災害想定避難者等約3万人の3日分に当たる45万回分以上を備蓄することとしており、現在、携帯トイレと簡易トイレを合わせて47万回分を確保しております。また、市の備蓄に加え、国からのプッシュ型支援により供給されるトイレの活用や、必要に応じて避難時応援協定に基づく仮設トイレの設置などにより確保することとしております。

堀内市議局長は33万の携帯トイレと簡易トイレなどを合わせて47万回分もあると。だから十分だというふうに答弁されました。能登では、トイレがもう2日も3日もほとんど機能しなかった。1週間使えなかったとこもある。この問題に対する危機意識が本当になさすぎます。では具体的に聞いていきます。

まず、災害発生後から対応がすぐに可能なのが携帯トイレです。避難所内で排泄場所を確保し、臭気対策を行えば、断水、停電、排水不可でも、携帯トイレは有効です。ところが、本市には、その携帯トイレの備蓄は33万回分しかありません。これは、3万人の避難者が1日5回の用を足したとして、2日分しかないということなんですよ。日本泌尿器科学会によりますと、トイレの平均利用回数は5回から7回となっており、トイレは1日7回で計算しておく必要があります。また、国の防災基本計画では、最低3日間の携帯トイレの活用を位置づけています。そうすると3万人が1日7回で3日間として63万回分が必要なわけです。お尋ねいたしますが、不十分なあなた方の避難者数の想定でも、現在の携帯トイレの総数、総数では間尺に合わず、足りないと思いますが答弁を求めます。

市民局長災害用トイレにつきましては、現在の備蓄に加え、令和6年度に繰り返し使える簡易トイレを現在の52台から304台に拡大し、発生直後から避難所で使用できるよう、各校区の防災倉庫等に2台ずつ配置することとしております。

マンホールトイレ

堀内市議次はマンホールトイレについてです。水道や下水道が壊れて、避難所のトイレが使えないということも想定される中で、マンホールトイレは、学校の校庭や公園などに耐震化された下水管に繋がる下部構造を構築しておけば、災害直後に上部構造物として、便座や囲いを設置するだけで使用が可能です。さらには段差がなくて車椅子や高齢者も使いやすく、し尿はそのまま下水に流せるので、においも少なく衛生的であり、国も一番奨励している災害用トイレです。トイレの必要性についても、国際的な人道援助の最低基準を定めるスフィア基準で「50人に1つ」となっており、本市では500基が必要となります。しかし本市では現在、設置されているマンホールトイレは、小中学校などの地区避難所408ヶ所中、わずか25施設76基しかなく、全然足りません。本市の計画では、今後、小中学校や公民館の新改築や大規模改修時にマンホールトイレを増やしていくというものですが、あまりにも悠長すぎます。大阪市では、これまでの地震被災の教訓から、34ヶ所、1450基のマンホールトイレを既に設置しています。見習うべきです。そこでお尋ねいたしますが、本市のマンホールトイレは、50人に1基というスフィア基準から見て、整備が遅れていると思いますが、ご所見をお伺いいたします。

市民局長マンホールトイレにつきましては、避難所となる公民館や小・中学校などの新築改築に合わせて整備を行っており、引き続き、関係局と連携をしながら整備を進めてまいります。


体育館エアコン

堀内市議質問の第5は、体育館のエアコンについてです。本市では、小中学校の体育館が避難所に指定されています。しかし、エアコンは設置されていません。体育館に断熱構造を施しエアコン設置を求めたわが党の代表質問に対し、教育長は設置を拒み、これまでの議会でも、市側は移動式エアコンの使用で対応するという避難者に寄り添わない答弁を続けています。

移動式エアコンは、風が吹く場所は涼しかったり、暖かかったりするわけですが、体育館全体を冷やしたり暖めるものではありません。そこでお尋ねいたしますが、移動式エアコンは設置型エアコンの代わりにはならず、避難所では役に立たないと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

市民局長移動式エアコンについては、外気温の状況や体育館の広さなどの条件にもよりますが、九州北部豪雨などの避難所においても効果があったとされておりまして、避難所の暑さ寒さ対策に資するものであると考えております。また、特に配慮を要する方などは必要に応じて、空調設備がある特別教室を使用することとしております。

堀内市議局長は移動式エアコンが役に立つかのように言われますが、机上の空論です。埼玉県は、移動式エアコンを実際に体育館に設置する検証実験を行い、外気温と一度から2度しか変わらず、暑いままという結果が出ました。そのときの様子が、県議会の議事録にあります。「搬入には多くの人員が必要」「設置に時間を要する」「残念ながら冷房効果はありません」として、県教育長は、「体育館へのエアコンの本設置も選択肢に含めていきたい」と議会答弁しています。そもそも道路寸断で配備ができない可能性もあります。そこでお尋ねいたしますが、移動式エアコンで対応する方針を見直すべきではありませんか。答弁を求めます。

市民局長避難所の暑さ寒さ対策については、公民館など空調設備がある施設の使用や企業との協定に基づく移動式エアコンの配置などにより、引き続き良好な生活環境の確保に取り組んでまいります。

特別教室の使用

堀内市議特別教室を使うと、市側は言ってきましたが、ほとんどの学校の特別教室は、2階以上にあります。利用するには、階段を上がらなければなりません。避難者の中には、階段を上がれない人、車椅子を使う人がいることが予想されます。お尋ねいたしますが、身体的事情で階段を上がれない人は、特別教室を使いたくても使えないのではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。また、特別教室では収容できる人数も限られていると思いますが、ご所見をお伺いいたします。

市民局長避難所における要配慮者への対応については、避難所運営職員が地域の協力も得ながら、各施設の状況に応じて合理的な配慮を行うこととしております。

特別教室の使用については、要配慮者への対応や、避難者の暑さ寒さ対策に配慮が必要な場合などに使用することとしておりまして、避難者が多数となる場合などについては、市民センターや市立体育館などでも受け入れを行うこととしております。

堀内市議エアコンのある特別教室の使用で対応するとも強弁されますが、障害者や高齢者を上り下りさせることは非現実的な話ですし、学校再開の場合は使えなくなります。また、収容人数についてはお答えになりませんでした。お尋ねいたしますが、障害を持っておられる人、高齢者にとって、特別教室を避難所にするのは、あまりにも無理があるのではないかと思いますが、答弁を求めます。

市民局長特別教室の使用については、暑さ寒さ対策や別室での対応が必要な要配慮者の避難スペースとして有効であり、避難所運営職員等による合理的な配慮を行いながら福祉避難室として柔軟に使用してまいります。また、特別教室での避難生活が困難な要配慮者につきましては福祉避難所へ移送することといたしております。

体育館エアコンの費用

堀内市議体育館にエアコンを設置しなければ、猛暑や厳冬の中、避難所として機能しないというのは議会でも、政党党派を超えて相次いでいる切実な意見です。それでも教育長は、わが党の代表質問に対し「整備に多額の費用を要する」などとこれまでと同じ答弁を繰り返し拒否されました。エアコン設置の必要性については、能登の災害を目の当たりにして、さらに高まっており、財政を理由に設置しないというのは看過できません。そこでお尋ねいたしますが、体育館のエアコンを設置すれば、1体育館あたりいくらの費用がかかると計算しているのか、答弁を求めます。

以上で1問目終わり、2問目以降は自席にて行います。

教育長 体育館1巻当たりの空調設置費につきましては文部科学省が一定の条件のもとに試算しており、それによりますと、空調設置と断熱化改修をあわせて行った場合は、6600万とされております。

堀内市議教育長は、1体育館当たりの設置工事費用について、6600万円とお答えになりましたが、やる気になればすぐにでもできることです。文部科学省は、災害発生時における地域の避難所としての体育館へのエアコン設置を重要視しています。2025年度までの時限制度として、体育館へのエアコン設置支援制度を補助率2分の1に引き上げ、さらには新たに断熱工事費への補助もそれに入れています。そこで、お尋ねいたしますが、避難所となる208の小中学校体育館で6600万円の設置工事を行ったとしても、本市の負担は68億円でできると思いますが、答弁を求めます。

教育長 体育館に空調を設置する場合の市の負担につきましては、文部科学省の試算が小学校規模の体育館を対象としておりまして、中学校規模の体育館に整備する場合は十分でないこと、調査設計費、補強工事費など別途費用が必要となると見られること、また、体育館の構造や劣化状況によってはさらに追加的な費用が必要となる可能性があることから、ご指摘の試算での整備を完了させることは困難と考えております。


市長答弁
災害避難者数の想定見直し

堀内市議まず、災害避難者数の想定についてです。局長は、地震の想定も、避難者数の想定も、本市の判断で変えるとは言われませんでした。あくまで県が動くのを悠長に待っているという受身の姿勢です。

しかし「県待ち」では手遅れなんですね。さらに局長は災害対策基本法というものを持ち出されて、云々と言われましたけど、一体この法律のどこを読んであなたそんな対策立てているんですか。第42条にこう書いていますよ。市町村自身が「毎年検討を加え、必要があると認めるときはこれを修正しなければならない」。こう定めてるじゃないですか、サボタージュですよ、市長。3日付の読売新聞はですね、能登半島地震を教訓に、見直しの動きが各地で広がっていると述べ、全国の市町村に対して、現在の被害想定が、地震予測に体感する最新の知見を的確に反映しているかどうかと、点検する必要があると修正を促しています。読まれましたか。私が福岡県に確認したときも、県が示した避難者数などはあくまで参考値であって、実態に合わせて各市町村自身が想定することが前提だと、県は述べられました。従って、本市の地震想定について、警固だけでなく、日向峠-小笠木峠および宇美の二つの断層帯も含めた想定に見直すとともに、本市の避難者数の想定も抜本的に見直すべきではありませんか、市長のご所見をお伺いいたします。

公的備蓄とトイレ

堀内市議次に、公的備蓄とトイレの問題です。局長は水と食料、また段ボールベッドについて、国や他市からの支援、民間協定があるから大丈夫というふうに言われましたが、能登を見ればどれもこれも破綻してるんですよ。実際に支援物資は届かなかったんです。届けなければ何にもなりません。必要な数だけ、避難所となる施設に分散して備蓄するべきなんです。局長はね、小中学校や公民館に、今備蓄していることを分散と言われましたけど、もう8割を超えてね、月隈に置いているのに、残り2割程度しか分散してないのに、これは分散とは言いません。避難者数に対する対応ができてないわけですから。さらにトイレについては、私が数字を示して必要性を説いたのに、あなた方は全く聞こうともしなかった。何とかなると甘く考えていたら、災害対策は何も進まず、市民の命と健康を守れない事態となりますよ。そこで、市長にお尋ねいたしますが、月隈の収蔵庫にほとんどの備蓄品を集中させている状況から、各小学校などを基本とした公的備蓄の分散配置に切り替えるべきだと思いますが、答弁を求めます。また、水や食料、段ボールベッド、携帯トイレは現状では全く足りず、抜本的に増やし、マンホールトイレも大幅に増設するべきだと思いますが、市長のご所見をお伺いいたします。

体育館エアコン設置

堀内市議次に、体育館のエアコン設置についてです。局長は移動式エアコンと特別教室の使用で対応すると強弁されました。つまりどうしても体育館にエアコンを設置したくないということですか。しかしそれでは避難者の命と健康は守れません。今全国で先を争うように、小中学校の体育館へのエアコン設置が始まっています。東京都の23の特別区では、既に17区で設置率100%、東京都全体でも82.1%です。大地震を経験している神戸市では80%、さいたま市でも2025年度までに100%設置される計画です。本市も見習うべきです。教育長は68億あれば、本市の全小中学校の体育館のエアコン設置ができるという私の試算を、困難だと言って否定されました。福岡西方沖地震を受けて、本市は153億円の事業費をかけて学校の耐震化計画を実施しました。しかも、当初計画を大きく前倒し持ち、3年余りで完了させたのです。国からの助成もあったので、当時の市の持ち出しは80億前後でした。それと比較すれば、体育館のエアコン設置も財政の問題ではなく、やる気の問題です。そこで、市長にお尋ねいたしますが、避難所となる全ての小・中学校の体育館に一気にエアコンを設置すべきだと思いますが、答弁を求めます。

市の防災の考え方

堀内市議最後に、本市の防災の考え方についてです。局長は、自助・共助・公助が一体となったという言い方で、公助を自助・共助と同じ程度のものにとどめ、事実上、後回しにしようとする答弁をされました。本市は西方沖地震を受けて防災対策の一定の手直しを行いましたが、それ以後に全国で起きた地震は、それでは到底済まないことを示しています。能登半島地震では、家屋の倒壊が7万棟近くという未曾有の規模に達し、死者の9割が、住宅倒壊による圧死を原因とするものでした。本市でも耐震化がなされていない住宅は、以前10万棟もありますが、本市の耐震補助制度は極めて貧弱で、その利用も年に数えるほどしかありません。この現状を自己責任として放置しないために、補助を抜本的に増やし、耐震化を急速に進めることこそ、市長の第1の責任です。自助や共助では限界があります。従って、本市は自助・共助を前提にした防災計画を、公助を第一にしたものに見直すとともに、それにふさわしく、災害対策関連予算を大幅に増やすべきだと思いますが、市長に答弁を求めて、私の質問を終わります。

市長令和6年能登半島地震では甚大な被害が発生しており、この状況を踏まえて、福岡市の防災減災対策の強化を図っていくことが重要であると考えております。このため、国や県の計画の修正等を踏まえ、地域防災計画の見直しを行い、トイレなどの公的備蓄の拡充、各校区への分散備蓄などを進めるとともに、避難所の暑さ寒さ対策として、空調設備がある施設の使用や、移動式エアコンの設置など、良好な生活環境の確保に取り組んでまいります。

今後とも、市民の尊い命と財産を守ることを第一に、自助共助公助が一体となった災害に強い共創のまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指してまいります。

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2024年予算議会 一覧

能登半島地震を受け、福岡市の防災対策を問う(2024年3月7日 堀内徹夫市議の補足質疑)

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