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議会報告「発言と答弁」全文

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2024年9月議会

倉元達朗市議の議案質疑 発言と答弁 全文

音声をもとに党市議団が文字起こしし、順番をわかりやすく組み替えたものです

  1. スポーツ振興基金
  2. マイナ保険証
  3. 過大規模校

倉元市議私は、日本共産党市議団を代表して議案第159号福岡市スポーツ振興基金条例案、議案第160号福岡市国民健康保険条例の一部を改正する条例案、議案第163号福岡県後期高齢者医療広域連合規約の一部変更に関する協議について、議案第166号舞鶴小中学校校舎増築工事請負契約の締結について、議案第168号小学校増築校舎の取得について、に関して質疑を行います。


スポーツ振興基金
市民負担について

倉元市議質問の第一は、議案第159号についてです。

本議案は世界水泳選手権2023福岡大会組織委員会贈与金等を活用し、市民のスポーツ・レクリエーションの振興に関する政策を総合的かつ効果的に推進するため、基金を設置するものです。なお、議案第155号一般会計補正予算案のうちスポーツ振興推進費の追加19億1659万円余は組織委員会から贈与された額を基金に積み立てるものであります。

1点目は世界水泳選手権の市民負担についてです。当初、福岡市は市の負担金を35億円から40億円と見込み、議会や市民に説明をしてきました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大のなか2度にわたり大会日程を延期して強行したため、開催経費はどんどん膨らみました。その結果、最終的には市の負担額は107億4400万円となり、当初試算に比べて3倍という驚愕の決算となりました。

そこでお尋ねしますが、世界水泳選手権開催を強行したことで市民に多大な負担をかけたことについて、本市はどのような責任を感じておられるのかご所見をお伺いします。

市民局長福岡市スポーツ振興基金条例案についてのご質問にお答えをいたします。世界水泳につきましては、コロナによる2度の開催延期などにより、大会事業費が増加しましたが、その都度議会にお諮りをし、予算として議決をいただきますとともに、大会の終了に至るまでその縮減に努め最終的な予算額より約20億円の減額を行うことができました。

また、大会の延期によりコロナが明けて入場制限もなく、国内外から多くの選手・観客などをお迎えして開催することができたことから、地域経済の活性化や国際都市福岡の都市ブランド力の向上にも繋がる大会になったものと考えております。

倉元市議世界水泳選手権の市民負担が3倍に膨れたことについての責任について、一番目で、ただしたわけですけれども、局長は何の反省もなく、大会の成果について滔々と述べられました。こともあろうに、経費節減できたんだと胸を張って言われています。全くひどい答弁です。市の負担額が3倍になり、107億4400万円ですよ。その重要性をちょっと考えたらどうですか。この金額、市民1人当たりに換算すれば約6500円です。少ない金額ではありません。延期を決めて、大会開催にこだわり続けた期間はどういう社会情勢だったか。コロナが蔓延し、市民の命と健康が脅かされ、医療機関はパンクし、ケア労働者は献身的に働く一方、次々に疲弊されてさせられていきました。行動制限がとられ、経済活動にも多大な影響が生じました。特に、飲食店や観光関連の業種は壊滅的な業績で店をたたむところも少なくありませんでした。

また、コロナだけでなく、物価高騰が市民生活や経営を襲ったことも記憶に新しく、その影響は今に続いています。多くの市民や業者が、この難局を乗り切ろうと必死にもがき、助けを求めている中、福岡市はあくまでも大会開催にこだわったわけです。そこで、コロナや物価高騰で市民が苦しんでいたにもかかわらず、世界水泳という大規模スポーツイベント開催を優先させたことは問題だったと思いますが、ご所見をお伺いします。

市民局長世界水泳につきましては、コロナにより2度大会延期となりましたが、国内外から多くの選手・観客などをお迎えして開催することができ、市民スポーツの振興やコロナの影響を受けた地域経済の活性化、国際都市福岡の都市ブランド力の向上にも繋がる大会になったものと考えております。

倉元市議局長は、経済波及効果があったから、開催の意義はあったとの趣旨のことをおっしゃいました。それは、イベントをやれば何らかの経済効果は少なからず現れます。しかし、あなた方は、福岡市への経済波及効果の額も当初540億円と試算していましたが、実際は433億円と100億円以上下回りました。しかも、この433億円という数字も、大きく見せるため意図的に不適当な計算モデルを使って弾き出した経済波及効果であり、共産党市議団が妥当な計算モデルを使って再計算したところ315億円にすぎなかったことは、今年3月に行われた条例予算特別委員会総会で中山委員が指摘したところであります。

世界水泳のおかげで、本市の経済が潤ったのか。答えは否です。大会終了後、日本経済新聞は「福岡『祭り』の恩恵は乏しく」との見出しで、ホテルもタクシーも百貨店・免税品店も大会開催による恩恵は大したことはなかったことを報じました。私どもが聞き取る限り、世界水泳で恩恵を受けたという市民や業者は全くありません。その一方で、大会に関わったテレビ朝日には1億4000万円、「電通」には1億3000万円を「成功報酬」としてそれぞれ出しており、さらにはテレビ朝日には独占放映をさせた上に総額約13億円、「電通」には約25億円、さらには会場設営をした大林組約79億円など、大企業にはきっちり儲けさせたのがこの大会だったわけです。

そこでお尋ねしますが、あなた方が経済波及効果があったと強弁しても儲かったのは大企業だけであり、市民にはその実感はないと思いますが、ご所見をお伺いします。

市民局長経済波及効果につきましては、世界水泳大会の開催により会場整備などの投資が行われた他、国内外から多くの人が来福し、飲食や宿泊・移動、お土産などの商品購入といった消費活動が行われたことにより、大会事業費の2倍を超える経済波及効果が生まれ、地域経済の活性化に寄与したものと考えております。実際にコロナ前の令和元年と大会を開催した昨年8月の各種統計を比較しますと、福岡県の外国人延べ宿泊数が44%の増、福岡県の宿泊稼働指数が10.9%の増、また福岡市のショッピングセンター販売額が前年の8月比で26.3%の増と、いずれも全国平均や東京大阪の大都市を上回る伸び率となっており大会の開催が、本市の主要産業であるサービス業に寄与したものと認識をしております。

市民局長先ほどの私の答弁で福岡県の宿泊稼働指数につきまして、10.9%と申し上げましたが、10.9ポイントの誤りでございました。申し訳ございません。訂正させていただきます。


基金の用途

倉元市議2点目は、基金の用途についてです。昨今、オリンピックを初め、世界水泳選手権のような大規模スポーツイベントには、大会の肥大化や経費の増大、商業主義優先、大会開催を口実に行われる巨大開発など課題が山積しております。こういった課題が解決されないなか、世界的に市民の批判の声が大きくなっており、平和の祭典とされてきたオリンピックでさえ開催地選定に苦慮している現状です。

そこで今回創設する基金はスポーツ・レクリエーションの振興に関する施策を推進するとうたっておりますが、具体的にどのようなことに基金を活用するのかお尋ねします。また、その用途に今後の大規模スポーツイベントに関する活用は想定されているのか、答弁を求めます。

また、国際スポーツ大会に必要な資金を積み立てること等を目的に設置していた。福岡市ユニバーシアード福岡大会記念スポーツ振興基金は廃止すると市は表明されています。その理由についてお尋ねします。

市民局長スポーツ振興基金の用途につきましては、市民のスポーツ・レクリエーションの振興に関する施策全般を対象といたしております。具体的な活用につきましては、今後予算編成を通して検討し、議会にお諮りをしてまいります。

次に、ユニバーシアード福岡大会記念スポーツ振興基金につきましては、国際スポーツ大会に必要な資金を積み立てること等を目的に、ユニバーシアード福岡大会の剰余金等を財源に、平成8年度に設置をしたものですがこのたびの世界水泳にかかる取り崩しにより残金が1000円未満となっていること、また新たに設置をしますスポーツ振興基金は、スポーツ政策全般に活用するものであり従前の基金の目的等も包含するものであることから、新たな基金の設置に伴い廃止をするものでございます。以上です。

倉元市議基金の用途について、今後何をやるのかよくわからないぼやっとした答弁を局長はなされました。また今後の大規模スポーツイベントへの活用はあるのかという問いに、局長は否定できませんでした。これは由々しき答弁です。あなた方は、まだ今後も機会があれば大規模スポーツイベントに手を出そうとしている。スポーツ・レクリエーションの振興と言われますけれども、本当にその気があるならば、もっと市民がスポーツを気軽に楽しめるように、設備の新設・改修などを大規模スポーツイベントよりも優先させているはずではないですか。

福岡市ユニバーシアード福岡大会記念スポーツ振興基金の廃止理由についてもいろいろ述べられました。残りの残額は少ない。そりゃそうですよ。今回の世界水泳だけで129億円処分しとるじゃないですか。めちゃくちゃですよ。このユニバーシアード基金は国際スポーツ大会に用途が限られています。ここに今回の19億円を入れると、露骨に今後の国際スポーツイベントに使うことを宣誓するようなもので批判を浴びることになります。一方、ユニバーシアード基金が残っている状態で、新しい基金ができるとそこでは大規模スポーツイベントを用途にしにくい。だから、ユニバ基金を廃止すれば、新しい基金は、大規模スポーツイベントを始め、何にでも使えることになるわけです。したがって、ユニバ基金を廃止して新しい基金をつくることは、今後の大規模スポーツイベントに道を開くものではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。

市民局長大規模スポーツ大会に限らず市民のスポーツ・レクリエーションの振興に関する施策全般に活用できる基金といたしております。以上です。


市長答弁

倉元市議コロナや物価高騰で市民生活が苦境に立たされていたにも関わらず、大会を強行し、結果的に市民負担を増大させた。このことについて、本当に福岡市っていうのは何も責任を感じてないんだなっていうのを改めて思いましたよ。お客さんがいっぱい来た。福岡市のプレゼンスが上がった。だからよかったじゃないかと。そりゃ市長は鼻が高いかもしれないけれども、市民の生活は大変なんですよ。そういう中でね、世界水泳を優先させてきたんだ。ちょっとは反省しなさいよ。経済波及効果についても、虚構の数字を言い張って正当化されます。局長はあたかも世界水泳をきっかけに、宿泊数・販売額こういった指標が上がっているんだと言われましたけど、なんてことはないですよ。これはコロナが落ち着いて、そして観光客数が増えたから数字が上がるのは当たり前ですよ。そして、伸び率が他都市よりちょっとは多いかもしれないけれども、その傾向は全国一律ですよ。こんなね言い訳をやって世界水泳で市民負担を3倍も増やしたというこの言い訳、失政を取りつくろうとしている。本当にひどい答弁です。こんな反省もせずに開き直る市長の態度だからこそ、大規模スポーツイベントへの市民からの批判が高まるんです。大規模スポーツイベントが、財界大企業を儲けさせるためのものだということは、今回の世界水泳開催で鮮明になりました。あなた方が本気でスポーツ・レクリエーションの振興というならば、大規模スポーツイベント偏重のスポーツ行政をきっぱりとやめるべきです。その火種を残そうとする新しい基金の創設を私達は到底認めるわけにはいきません。

従って、19億の世界水泳組織委員会からの贈与金は、市民の暮らしに還元する方策に使うとともに、議案第159号は撤回すべきと思いますが、市長の答弁を求めます。

市長世界水泳選手権福岡大会および世界マスターズ水泳選手権九州大会につきましては、入場制限もなく国内外から多くの選手・観客などをお迎えして開催することができ、世界トップクラスの競技を間近で観戦いただくとともに、トップアスリートによる水泳教室、またバックヤードツアーなど、かけがえのない経験を通じて子供たちを初め、たくさんの市民の皆様に夢や希望を与える大会になったと考えております。また、コロナの影響を受けた福岡の地域経済、九州、そして日本全体の経済の活性化に貢献するとともに、海外メディアによる放送や取材、来場者によるSNSなどを通じて、福岡の魅力が世界に発信され、国際都市福岡の都市ブランド力の向上にも繋がっております。大会組織委員会から贈与された残余財産につきましては、そうした世界水泳の開催意義を踏まえ、更なる市民スポーツの振興のために活用してまいります。

マイナ保険証
利用率の低迷の要因

倉元市議質問の第2は、議案第160号、議案第163号についてです。

国民健康保険条例案は、紙の保険証が12月2日から新規発行を終了することに伴って、条例の中の紙の保険証を表す「被保険者証」という文言をなくすための改定、さらに資格証明書等の廃止に伴う文言の削除を行うものです。

また、後期高齢者医療広域連合規約の変更は、紙の保険証をなくすにあたって、関係市町村が行う事務のうち、紙の保険証と資格証明書を廃止し新たに資格確認書等に関する事務を行うようにするものであります。

両議案ともに現在の紙の保険証を廃止し、マイナンバーカードの健康保険証のみの利用にすることを前提とした議案であります。そこで、この議案を審議するにあたって国が強行しようとしているマイナ保険証一本化についてただしてまいります。

1点目はマイナ保険証利用の現況についてです。マイナ保険証については、その強制について国民的な大きな批判は収まらず、また既に医療機関で利用が開始される中、様々なトラブルが発生しております。国民の納得は広がらず、実際には利用率は11%台にとどまるという時代となっています。

そこでまず、福岡市の国民健康保険加入者におけるマイナ保険証の利用率とその低迷の要因についてお尋ねいたします。

保健医療局長福岡市国民健康保険条例の一部を改正する条例案等に関するお尋ねにお答えをいたします。まず、福岡市国民健康保険におけるマイナ保険証の利用率につきましては、令和6年6月期において14.18%でございます。マイナ保険証の利用率が伸び悩んでいる要因につきましては、マイナンバーの紐付け誤りなどのトラブルが発生したことに加え、マイナ保険証のメリットが市民に浸透していないことなどがあるのではないかといった認識を国が示しており、福岡市においても同様ではないかと考えております。

倉元市議本市の国保加入によるマイナ保険証の利用率については14%との答弁をいただきました。紙の保険証の発行が終了するまであと3ヶ月を切りました。それでわずか14%。これが実態です。低迷の要因について局長は数々のトラブルが起こっている、そこで、国民の信頼が落ちているんだと、こういう趣旨の答弁をなされました。まさにそうですよ。国が無理やりやろうとしている。紙の保険証をなくすっていうのは、まさに失政ですよ。そもそもマイナンバーカードについては、個人情報漏洩や、情報管理についての国民の不安が多く、未だカード保有率は約75%にとどまっています。さらに、マイナカードで保険証を利用できるようにしている割合は、本市の国保加入者でも55%に過ぎず、半分近くの人、約13万人がカードは持っているが、保険証と紐付けしていません。公益社団法人福岡医療団が行ったマイナ保険証に関するアンケートでは、6割の人が紙の保険証で十分と前の保険証を利用できるようにしていません。そして、3割の人が使うことに不安があると答えています。マイナカードを作った人でも、4割が持ち歩いていないということで、マイナ保険証を利用せず、紙の保険証を使用しているという調査結果が出ています。「任意であるマイナカードを強制されたくない」「保険証一本化することで、カード作成が強制かのような制度はおかしい」という声がアンケートに寄せられております。したがって、このような状況の中、約3ヶ月後に紙の保険証の発行が終了して、マイナ保険証に一本化するのは到底無理があると思いますが、本市のご所見をお伺いします。

保健医療局長マイナ保険証への移行につきましては、現在国においてマイナ保険証の利用率を高めるための様々な取り組みが精力的に行われているところでございますが、現在交付している被保険者証につきましては、最長1年間の範囲で記載された有効期限まで使用することが可能であるとともに、マイナ保険証を保有していない被保険者には、資格確認証が交付されることから、医療機関の受診には問題が生じないものと考えております。


マイナ保険証をめぐるトラブル

倉元市議2点目は相次いで起きているマイナ保険証を巡るトラブルについてです。医療現場で保険証リーダーにマイナカードをかざしても、本人情報が確認できない。そのため、一旦10割負担をさせられた、また他人の個人情報が紐付けされていたなどのトラブルが相次いでいます。

そこで本市としてこれらマイナ保険証を巡るトラブルについてどのように認識されておられるのか、ご所見をお伺いします。

保健医療局長マイナ保険証のトラブルにつきましては、別人のマイナンバーを紐づける誤登録や医療機関等の機器の不具合、医療機関等が被保険者の資格確認に用いるシステムに資格情報が登録されるまでのタイムラグが生じることなどにより、正しい情報が表示されないといった事例が報告されております。このような事例に対し、国を中心としてマイナンバー情報総点検を行うなど、マイナ保険証に対する国民の不安を払拭するための取り組みが精力的に進められているものと認識をいたしております。

倉元市議発生しているトラブルについては一定把握しているとの答弁があり、今後は改善されるとの見通しを示されました。しかし、トラブルは全国的に引き続き起こっています。昨年、別の人の医療情報が紐付けされていたという、命に関わる事例が多数発生していたことは、衝撃を走らせました。最近で言えば、ある薬局で紙の保険証は、次の有効期限まで使えるにもかかわらず、12月2日から完全に使えなくなるとの誤った説明をし、無理やりマイナ保険証を作らせようとする事例が福岡市内でも頻発しています。また、マイナ保険証を持っているかを確認し、持っていないというと、次回からは持参するように強い口調で言われるなどの事例も多発しています。これらは、法令違反を疑われる対応です。今でさえ、多くのトラブルに見舞われているマイナ保険証をさらに推進していけば、トラブルが頻発し、混乱を招くと思いますが、ご所見をお伺いします。

保健医療局長繰り返しになりますが、国を中心としてマイナンバー情報総点検を行うなど、マイナ保険証に対する国民の不安を払拭するための取り組みが精力的に進められているところでございます。

また、福岡市国民健康保険といたしましても、令和6年12月1日以前に交付された被保険者証は、記載された有効期限まで使用できることや、マイナ保険証を保有していない被保険者には、新たに交付される資格確認書で医療機関の受診ができることの周知に努めるなど、トラブルが生じることがないよう取り組んでまいります。


医療機関の負担

倉元市議3点目はマイナ保険証一本化に当たっての医療機関等の負担についてです。マイナ保険証の導入のために設置するカードリーダーを作動させるためには新たな回線を引く必要があり、また維持費や管理費に多くの費用を要するという問題もあり、人口が少ない地域の診療所等では、廃業の危機に繋がるという声も上がっています。

そこでお尋ねしますが、このような医療機関の負担について、どのような所見をお持ちなのか。答弁を求めます。

保健医療局長マイナ保険証一体化に伴う医療機関等の負担につきましては、マイナ保険証における受付業務に必要な顔認証付きカードリーダーを増設するための経費の発生や、導入したシステムが正常に作動しない事象への対応などがあるものと考えております。このような負担解消のため、国において様々な取り組みが進められているところでございます。

倉元市議医療機関への影響については国がいろいろやっているとの答弁でした。岸田政権は昨年度、補正予算で217億円を計上し、利用促進支援策を作りました。これは、マイナ保険証の利用が昨年10月よりも一定以上増加した医療機関や薬局に支援金を出すというものです。その上限額は病院で1ヶ所40万円、診療所や薬局では20万円というものです。この制度は申請は不要で、利用者が一定数増えたことが確認できれば、自動的に支援金が振り込まれるという、まさにバラマキです。こんな政策を無批判に答弁する局長の姿勢も問題であります。しかし何が何でもマイナ保険証を強制したい国の思惑で補助金をいくら出したとしても、現場の不安が消えるわけではありません。医療機関の職員を対象にした福岡医療団のアンケートでは、次のような声が寄せられています。「高齢者や障害者、施設入居者往診の患者の対応で、マイナ保険証を誰が管理して、情報漏えい対策などを行うのか」また「保健所切れマイナ拒否による受診控えが起きるのではないか」「業務上の対応でカードが使えない。顔認証・暗証番号忘れなど問い合わせが殺到するのではないか」「トラブル対応、受付の混雑などで忙殺されるのではないか」悲痛な声がたくさん上がっています。従って、このままマイナ保険証一本化が強行されれば、医療機関等で働く人たちに多大な負担が覆いかぶさり、現場は大混乱に陥るのではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。

保健医療局長国においてカードリーダーの増設に係る補助の実施や、システムが正常に作動しない際の対処方法を取りまとめた顔認証付きカードリーダーの簡単チェックシートが医療機関等に対し周知が図られるなど、着実に取り組みが進められているものと認識をいたしております。


自治体の負担

倉元市議4点目は、自治体の負担についてです。これまで地方自治体は、紙の保険証の申請や届け出の受け付け、引き渡しなどの事務を行ってきました。

そこで、マイナ保険証一本化によって関係自治体にはどんな業務が生じるのか。お尋ねします。

保健医療局長マイナ保険証一体化に伴う国民健康保険の保険者である市町村の新たな業務といたしましては、マイナ保険証を保有していない被保険者に対して、医療機関等を受診する際、被保険者の資格確認に用いる資格確認書やマイナ保険証を保有している被保険者に対して、ご自身の被保険者資格を簡易に確認できる。資格情報のお知らせという書面を交付する業務などがございます。以上でございます。

倉元市議自治体への影響も軽視できません。一本化によって新たな業務が生じますが、紙の保険証がなくなるということは、保険制度の大転換であり、自治体への問い合わせ、トラブルへの対応などが今後出てくることは必至です。そこで、紙の保険証をなくすことで、便利になるどころか、自治体の負担は増大すると思いますが、ご所見をお伺いします。

保健医療局長令和6年4月から保健医療局、各区役所および西部出張所の担当職員を1人ずつ合計で9人増員し、窓口における制度の丁寧な説明等が行えるよう、体制を強化したところでございます。医療機関等や被保険者の皆様に不安を与えることがないよう十分留意しながら、マイナ保険証一体化後も、安心して医療機関を受診いただけるよう取り組んでまいります。以上でございます。


市長答弁

倉元市議12月2日から紙の保険証を発行を終了することについて、局長の答弁はまるで国の代弁者でしかありません。トラブルについては仕方ない、じきになくなるだろう。医療機関には補助金のばら撒き、答弁によると自治体に関しては、職員を増やす。そのツケは国民負担増大に繋がっていくわけですよ。本当に紙の保険証をなくすっていうのは、全くの無駄使いだと言わなければなりません。福岡医療団のアンケートでは、81%の方が紙の保険証廃止について「大いに不安」「ある程度不安」と答え、82%の方が廃止について「中止」あるいは「延期した方が良い」と回答しています。さらに厚生労働省は8月30日マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証への移行に伴うパブリックコメントを実施した結果、5万3028件の意見が寄せられたと公表しました。「保険診療が受けられなくなる懸念がある」や「個人情報が漏洩するのではないか」など、マイナ保険証に対して不安視する意見がほとんどだったとマスコミは報じています。民意は明らかに紙の保険証をなくさないでほしいと言っています。

したがって、マイナ保険証の強要は止め、従来の紙の保険証を存続するよう、福岡市として国に強く求めるとともに、国の方針に追随する議案第160号議案第163号は撤回すべきではないかと思いますが、市長の答弁を求めます。

市長マイナ保険証につきましては、国において過去に処方されたお薬や特定健診等のデータを共有することによって、より良い医療が受けられることや、手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除されること。マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできることといったメリットがあることが示されております。福岡市としましては、法令に基づき適切に制度を運用するとともに、引き続き国に対し市民への丁寧な説明や、医療機関等の負担軽減および不安払拭を図ることなどを求めてまいります。


過大規模校

倉元市議質問の第3は議案第166号、議案第168号についてです。

本議案は、舞鶴小学校および舞鶴中学校の校舎を増築するための工事請負契約の締結を議会に諮るものと千早小学校の増築校舎を福岡市施設整備公社から取得するものであります。

かつて天神・大名地区は人口分布のドーナツ化や単身居住者の増加により児童・生徒数が減少したため、舞鶴小学校は大名小学校、簀子小学校、旧舞鶴小学校を統合し、舞鶴中学校と一体型の小中連携校として2014年に設立されました。

また、千早小学校のある千早校区は福岡市内の主要幹線道路である国道3号線にまたがる校区であり、東側では、香椎副都心土地区画整理事業によって道路などの都市基盤が整備され、中高層住宅や商業施設などの立地が進み、人口が急激に増えました。

そこでお尋ねしますが、両校の校舎増築に至るまでの経緯、児童数の推移、児童・生徒数増加の原因について答弁を求めます。

以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。

教育長校舎増築工事請負契約および増築校舎の取得についてのご質問にお答えいたします。まず、舞鶴小学校につきましては、平成27年度の児童数は529人、学級数は19学級。令和6年度の児童数は908人、学級数は33学級。舞鶴中学校につきましては、平成27年度の生徒数は218人、学級数は8学級。令和6年度の生徒数は328人、学級数は12学級。千早小学校につきましては、平成27年度の児童数は751人、学級数は25学級。令和6年度の児童数は961人、学級数は36学級となってございます。児童生徒数の増加の原因と校舎増築に至るまでの経緯につきましては、舞鶴小中学校、千早小学校ともにファミリー世帯の転入により児童生徒数が増加した結果、長期的な教室不足が見込まれたことによるものでございます。以上でございます。

倉元市議舞鶴小学校は答弁にあったように、10年前に比べて、年々児童数が増加して、現在1.7倍になっています。当然、同じ敷地内にある舞鶴中学校の生徒数も増加の一途をたどっています。振り返れば、児童数が増えないことを前提に3つの小学校を統合したという教育委員会の見込み外れがあることを指摘せざるを得ません。その結果、多目的室を普通教室に改修する措置が取られてきました。また、小中連携校だけに、1人当たりのグラウンドの面積が元々狭く、第2グラウンドがせっかくできたものの、それも増築校舎の用地となって使えなくなっています。千早小学校の児童数は、この10年間で見ると急激に増加して、2021年度は1070人となりました。それ以降は若干減っていますが高止まりしている状況です。ここは2016年から2018年の増築校舎が完成するまで4つのプレハブ教室を設置して、子どもに使用させていました。不便を強いてきたのは教室だけでなく、以前も議会で指摘しましたが、児童数が多すぎて、休み時間に運動場が混雑して児童の怪我が絶えない、自分の学校で運動会ができないという異常な事態となっています。職員駐車場も足りずに、香椎一中の駐車場を借りる。昇降口の下駄箱が廊下まではみ出る。こんな弊害も起きていたわけです。

そこでお尋ねしますが、両校の子どもたちに、このような不便をかけてきたのは、学校周辺の開発事業を規制せずにただただ放置してきた教育長の責任だと思いますが、ご所見をお伺いします。また両校は、今回の校舎増築によって、今後適正な児童生徒数になるのかお尋ねします。以上で2問目を終わります。

教育長民間企業の開発を学校教育の観点から規制することにつきましては様々な課題がありまして困難であると考えておりますが、児童数の推移や住宅開発の動向を踏まえ関係局と連携しながら、適切な教育環境の確保に努めてまいります。なお千早小につきましては新年度に向けて千早西小との通学区域の変更の取り組みを進めてございます。以上でございます。

倉元市議過大規模校を生み出し子どもたちに不便を強いたことについて、教育長はまるで自然現象かのように、答弁されますが、この間、開発事業を黙認してきた、何も手立てを打ってこなかった責任は明らかです。これからも、市長が無秩序な住宅開発を進めるならば、新たに過大規模校が生み出されることになる。こんなイタチごっこをいつまでやり続けるつもりですか。今手を打っておかないと手遅れになります。今回、舞鶴小中学校や千早小学校は建設用地があったので増築できましたが、この両校でもグランドなど子どもの活動の場が奪われました。用地がないところは校区調整などをやらなければなりません。そうなるとまた地域に混乱が寄せられます。こんなことを繰り返すよりも開発を時限的にも規制して、適正な児童生徒数を保つべきです。したがって、開発優先の姿勢を改めるとともに、子どもたちに良好な学校環境を提供するためには、児童数、生徒数が多い地域の開発に対して制限をかける条例を早急に制定すべきだと思いますが、市長のご所見をお伺いして、私の質疑を終わります。

市長先ほど教育長が答弁しました通り、学校教育の観点から、民間企業の開発行為に規制をかけることは困難であると考えておりますが、福岡市基本計画が目指す将来像の実現を図るため計画的、そして良質なまち作りに努め、子供たちのよりよい教育環境の確保に向け、引き続き市長事務部局と教育委員会がしっかりと連携をしながら取り組んでまいります。以上です。

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世界水泳「余り金」の使い道、マイナ保険証押し付け、過大規模校を問う(2024年9月4日 倉元達朗市議の議案質疑)

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