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2023年度決算特別委員会

倉元達朗市議の総会質疑 発言と答弁 全文

音声をもとに党市議団が文字起こししたものです

  1. 保育園での虐待・不適切保育
  2. 中小企業・小規模企業者対策
  3. 有機農業の推進

倉元市議私は日本共産党市議団を代表して、保育園での子どもへの虐待・不適切保育、中小企業・小規模企業者対策、有機農業の推進について質疑を行います。


保育園での虐待・不適切保育

倉元市議まず、保育園での虐待・不適切保育についてです。こども家庭庁は昨年5月、「保育所における虐待等の防止および発生時の対応等に関するガイドライン」を定めました。子どもの安全・安心が最も配慮されるべき保育所において虐待などはあってはならないのはいうまでもありません。しかし、全国各地の保育所において、虐待や不適切保育が行われていたという事案が相次いでいます。そこで、本市の保育所における虐待・不適切保育があった数を決算年度から5年間にさかのぼってそれぞれ答弁してください。また、決算年度どのような事例があっていたのかもお尋ねします。

こども未来局長令和元年度から5年度において、認可外保育施設を含む保育施設で、虐待に該当すると判断した事案はございません。また、不適切保育に該当すると判断した事案につきましては、令和元年度8件、2年度4件、3年度5件、4年度9件、5年度26件でございます。なお、令和5年度に不適切保育に該当すると判断した事例につきましては、「子どもに大きな声で威圧的に接する」「児童に行動を強要する」「児童を誘導する際に腕を強く引く」などがございました。以上でございます。

倉元市議虐待の事例はあっていないとのことですが、昨年度だけで不適切保育が26件もあっていることは看過できません。国のガイドラインでは「不適切な保育」を「虐待と疑われる事案」と位置づけています。「不適切保育の中には虐待が含まれうるものであり、不適切な保育自体が未然防止や改善を要するもの」と明記してあります。そこで、本市の保育所での虐待はないと言われますが、実際には虐待が行われているのではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。

こども未来局長令和元年度以降において、福岡市が虐待に該当すると判断した事案はございません。以上でございます。

倉元市議局長の答弁はいささか楽観的ではないかと思います。「虐待はあっている」という認識でことに当たらないと、子どもたちの安心・安全を守ることはできません。先日、市内の認可外保育所で働いていた保育士が「虐待が行われている」と福岡市に告発をしました。その保育所では子どもが泣いているときに泣き止むことを強要していました。生後11ヶ月の子どもに対して「泣き止む、うるさい、おしまい」と感情のままに、強い口調で指示をしたり、叱責したりしています。また、お漏らしをした子どもを叱責し、その子どもに自分で床を拭かせることもあったそうです。このような事案は、国のガイドラインに定めている「言葉や態度による脅かし、脅迫」つまり「心理的虐待」に当たると思いますが、ご所見をお伺いします。

こども未来局長議員お示しの事案につきましては現在調査中であるため、回答は控えさせていただきます。なお、国から示された保育所等における虐待等の防止および発生時の対応等に関するガイドラインにおいて、心理的虐待とは「言葉や態度による脅かしや脅迫を行う」「他の子どもとは著しく差別的な扱いをする」「子どもを無視したり拒否的な態度を示したりする」「子どもの心を傷つけることを繰り返し言う」などと示されております。以上でございます。

倉元市議そう言われるならば、この事案はそれに該当するんです。この告発では、泣き止まない子どもを保育士の目が届かない場所に隔離させていたことが語られています。場合によっては倉庫や誰もいない事務室に入れられた子どももいたということです。国のガイドラインには「泣き続ける子どもに長時間関わらず放置する」「別室などに閉じ込める、部屋の外に締め出す」などの行為を「ネグレクト」と分類し虐待行為と位置付けています。まさにこの保育所で行われていたことはネグレクト虐待ではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。

こども未来局長議員お示しの事案につきましては現在調査中であるために回答は控えさせていただきます。以上でございます。

倉元市議これも認められません。苦手な食べ物を食べたがらない子どもの口にその食べ物を押し込むという身体的虐待もあったと保育士は言っています。今回の認可外保育所で行われていたことは明らかに虐待事例です。そこで本件について福岡市としてどのように対処しているのかお尋ねします。

こども未来局長こども未来局の職員が該当園を訪問いたしまして、事実関係の確認を行っているところでございます。以上でございます。

倉元市議調査中であるとの答弁ですが、それでは、本市が不適切保育や虐待に関する情報を把握した場合、どのような対応をとることになっているのかお尋ねします。

こども未来局長福岡市に相談があった場合は、国から示されたガイドラインの通り、相談者から詳細に状況を聞き取った上で、保育所等に事実確認について報告書の提出を求めるなど、事実確認を行っております。また、不適切な保育の事実があった場合は、再発防止策を含めた改善計画を策定し、改善を図った上で、最終的には改善状況の報告を行うように求めております。以上でございます。

倉元市議改善の報告を求めているということですが、実際に改善されているのか。また、事実関係を認めない、改善に応じない保育所への対応はどうするのか、お尋ねします。

こども未来局長国から示されたガイドラインの通り、保育所等が事実確認を拒否した場合や、同様の事案が再度発生するなど、保育所等による調査では事実関係の解明が期待できない場合、客観的な証拠により、保育所等の調査が不十分であることが明らかな場合、その他、生命の危機に関わるなど緊急性が高い場合には、福岡市が直接事実確認を行うとともに、必要な措置を行っております。以上でございます。

倉元市議紹介した認可外保育園は市の聞き取りに全面否定してるそうです。ならば、園にだけでなく職員や保護者などにも聞き取りを行うなど、徹底的に調査をする必要があると思いますが、ご所見をお伺いします。

こども未来局長繰り返しになりますけれども、議員お示しの事案につきましては、現在調査中であるために回答は控えさせていただきます。以上でございます。

倉元市議園が否定しているならばね、今まで以上の対応をね、やることは当然のことですよ。虐待や不適切保育の事例を早期に発見することは子どもを守るために不可欠です。そこで、市としてどのような取り組みを行っているのか、答弁を求めます。

こども未来局長福岡市に虐待・不適切保育の相談窓口を設け、広く周知するとともに、実地監査等の際にも、福岡市職員が日ごろの保育内容等について確認を行っております。また、認可保育所等におきましては、各園が苦情解決のための第三者委員を設置しており、その制度概要や連絡先について保護者に周知するとともに、保護者の目にとまりやすい場所に掲示することとしております。以上でございます。

倉元市議窓口を設置しているとのことですけれども、それでは、相談件数そして相談を受けて市が調査を行った不適切保育として対応した件数、さらに虐待・不適切保育に当たった件数を決算年度で答弁してください。

こども未来局長相談窓口には、保育所等に関する一般的な意見や質問など虐待や不適切保育とは直接繋がらない相談も寄せられておりますけれども、これらを含めた令和5年度の相談件数は、延べ421件で、そのうち不適切保育が疑われる58件について、福岡市が調査を行い、不適切保育に該当すると判断した件数は26件でございます。以上でございます。

倉元市議昨年度起こった不適切保育のうち81%はこの相談からわかったものです。いかにおかしいと思ったら、市に連絡をしてもらうことが大切かがわかります。今回告発した保育士は「告発することによって保育所から通報したことを特定され、そのことが保育業界に知れ渡り再就職に影響があるのではないか」と不安を抱えておられ、市が当該保育所に調査・指導に入ることさえ戸惑いがありました。しかし「子どもたちのため」と勇気を持って調査について承認してくれたのであります。このように、リスクを負いながらも通報してくれる情報提供者の身分や処遇の保護、また不利益をこうむらないようにすることは当然のことと思いますが、所見と市の取り組みについてお尋ねします。

こども未来局長相談を受け付けた場合、内容から相談者が特定される場合もあるため、相談者の意向を確認した上で園に伝える内容の整理を行うこととしております。相談者が匿名希望であった場合はその旨を園に伝え、相談者が特定されないように配慮を行っております。また、相談者名を園に伝えることに同意が得られた場合や内容により相談者が特定される可能性が高い場合などにつきましては、相談者に不利益を与えることがないよう、園に対して指導を行っております。以上でございます。

倉元市議通報者を守ることは市の責務だと指摘しておきます。次に虐待や不適切保育の要因についてただしてまいります。現在、保育所では低すぎる国の最低基準によって十分な人員配置がされないことや、非正規化が進んでいること、また、低い賃金と労働条件によって、保育士不足が恒常化するなど、様々な課題が山積しています。紹介してきた認可外保育所では、園長と副園長が保育士の資格を持っていません。しかし、それでも保育所を運営できるのが国の基準です。このように、職員集団・職員組織に保育の専門性が蓄積・研鑽されていないこと、そして不適切な保育をチェックし、是正する機能がなかったことなど、保育の質が大きく低下していることが、虐待や不適切保育の要因となっています。したがって、国の基準に従っているだけでは安心・安全な保育ができず、管理職にはせめて保育士免許を取得しているなど保育について理解あるものに従事させるなど、市独自の基準が必要だと思いますが、ご所見をお伺いします。

こども未来局長施設長として、保育に関する専門的知識を持つことは重要だと考えております。施設を含めた保育従事者を対象として不適切保育を始め、保育に関する様々な研修会を毎年実施しているところでございます。今後とも継続して取り組み、啓発・啓蒙を行ってまいります。以上でございます。

倉元市議局長は研修をやっていると言われてるんですけれども、この保育園ではですね、定められている避難訓練をやっていないのに、職員でやったことにしろと市に書類を出させてるんです。こういうこともやってると。やっぱり質が落ちてるんですよ。真剣に検討すべきです。保育士の配置基準の不十分さも、虐待や不適切保育の要因です。忙しいからつい大声で叱責してしまう、手を挙げてしまう。あってはならないことですが、現実です。国は配置基準を変更しましたが、まだまだ不十分であるというのが現場の意見です。そこで、虐待や不適切保育をなくすという観点からも、市独自の保育士配置基準を定めて、保育士の多忙を解消するべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

こども未来局長福岡市におきましては、保育士の負担軽減を図るために充実保育士の加配、ICT化による業務軽減、働き方改革に取り組む保育所への支援、保育補助者の雇用費助成など、様々な取り組みを行っているところでございます。また、国においても、令和6年4月に3歳児および5歳児の保育士配置基準の改善が図られたところであり、今後1歳児の配置基準についても見直される方向が示されております。引き続き国の動向を注視するとともに、更なる改善を要望してまいります。以上でございます。

倉元市議国の基準が不十分だから、市独自の基準を作るべきだと言っているわけです。本市でも26件の不適切保育が起こっています。それをなくそうという本気度が伝わってきません。本来、保育の体制確保や環境整備、専門性や質を担保し、向上させる責任は、保育の実施義務を持つ自治体自らにあるんです。保育所で起きた事件や事故に対して、当該施設や直接保育に携わった保育士の責任は厳しく問われるべきですが、それ以上に自治体の保育責任が第一義的に問われなければならないんです。市長はそのことを自覚すべきです。保育を必要とする全ての子どもの命と健やかな成長を守り、安心して預けられる公的保育を保障しなければなりません。したがって市長は、虐待・不適切保育の根絶のために、通報の奨励に努めるとともに、保育士の業務負担軽減のために、市独自の配置基準の見直しを行い、保育所への補助金を抜本的に増やすべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

市長乳幼児期は人が生涯にわたる人間形成を行う極めて重要な時期であり、保育所等におきましては、子どもの最善の利益を考慮した保育を実施することが重要であると考えております。虐待や不適切保育は許されるべきものではなく、その未然防止に向けて各種研修を通じた啓発やICT化の推進による保育士の負担軽減など、福岡市として様々な取り組みを実施してまいりました。引き続き、全ての子どもが健やかに育ち、夢を描けるまちを目指して取り組んでまいります。以上です。

倉元市議結局これまでの制度は何も変えないっていうことですよ。そんなことでは、事件が再発します。もっと深刻に受け止めるべきです。


中小企業・小規模企業者対策

倉元市議次に、中小企業・小規模企業者対策についてききます。中小企業は、市内事業所の約99%を占め、市民の雇用や暮らしを支えるとともに、地域社会においても、コミュニティの活性化、防災や災害時の対応などに重要な役割を果たしています。そこでまず「中小企業の経営基盤の強化と持続的発展の推進」の決算額と内容について答弁を求めます。

経済観光文化局長令和5年度は、経営相談や専門家派遣などの中小企業の総合的な支援や、商工金融資金による資金繰り支援などに取り組み、その決算額は1950億6089万円余となっております。以上でございます。

倉元市議本市の中小企業や小規模企業者は新型コロナウイルス感染症の流行で大きな打撃を受けました。行動制限が取られ特に飲食店や観光関連の業種は壊滅的な業績で店をたたむところも少なくありませんでした。そういう中「第2次みんなで応援!中小企業元気都市プラン」が作成され、「コロナからの回復」という強化項目が掲げられたのであります。そこで、本市の中小企業の売上はコロナが流行する前と比べてどのぐらい回復しているのかお尋ねします。

経済観光文化局長令和6年に福岡市が行った「中小企業振興に関するアンケート調査」では、売り上げがコロナ前水準に回復した中小企業の割合は、「第2次みんなで応援中!小企業元気都市プラン」の目標年次である令和7年の目標75%に対し、60.8%となっております。以上でございます。

倉元市議6割ぐらいしか戻ってきてないんです。今年度には75%という目標を立てておられますが、それが達成されたとしても、4分の1がコロナ前と比べて売り上げが回復していないという状況です。では、売上と粗利益との比較は、前年と比べてどうなっているのか、答弁を求めます。

経済観光文化局長アンケート調査では、前年度との比較で売り上げが増加した企業の割合は65%、粗利益が増加した企業の割合は60%となっております。以上でございます。

倉元市議売上は回復しつつあるが利益が出にくくなっているということです。そこで、まだまだコロナで受けた影響を本市の中小企業・小規模企業者は回復しきっていないと思いますが、ご所見をお伺いします。

経済観光文化局長アンケート調査では、売上がコロナ前水準に回復した中小企業の割合は、目標年次である令和7年の目標75%に対し、令和4年調査では22.8%、5年は44.6%、6年が60.8%となるなど、これらの影響から回復しつつあるものと認識しております。以上でございます。

倉元市議しつつあると言われますが、コロナの傷跡はいまだ癒えてないという認識が重要だと思います。コロナが流行していたときに、さらに中小企業・小規模企業者を襲ったのが物価高騰です。食材、建設資材などの材料費、ガソリン代などの高騰は今も業者を苦しめ続けています。そこで、本市の中小企業・小規模企業者は、物価の高騰を価格に転嫁できているのかお尋ねします。

経済観光文化局長アンケート調査では、上昇したコストをどの程度価格に転嫁したのか、その度合いに差はあるものの、何らかの価格転嫁をした事業者の割合は68.4%となっております。以上でございます。

倉元市議7割ができていると言われますが、内訳を見てみますとね、「おおむね反映」と答えているのは15%に過ぎません。あとは「一部反映」「あまり反映されなかった」と回答しています。このように物価高騰の影響は、本市中小企業・小規模企業者に重くのしかかっていると思いますが、ご所見をお伺いします。

経済観光文化局長物価は高い水準で推移しており、市内事業者の影響が長期化している一方で、価格転嫁の動きは着実に広がりつつあるものと認識をしております。以上でございます。

倉元市議局長はそう言われますが、実態はそうではありません。コロナと物価高騰のダブルパンチで大変な状態が続いています。こうした中、本市は中小企業の基本計画として、「第3次プラン」の策定に入り、先日、中小企業振興審議会や経済振興委員会にも素案の報告がありました。そこには3つの方向性が示されていますが、答弁してください。

経済観光文化局長現在検討中の「第3次中小企業振興プラン」においては、「人手不足の対策と生産性の向上」「経営基盤の強化と持続的発展」「新しい価値ビジネスの創出」の3つを取り組みの方向性とし、改定作業を進めているものでございます。以上でございます。

倉元市議素案には、方向性とともに「めざす姿」「主な支援策」と細かな項目も述べられているわけですが、「コロナ」や「物価高騰」という言葉がどこにも出てきていません。これではもう終わってしまった問題かのようです。述べてきたように、コロナや物価高騰の影響は、現瞬間の中小企業・小規模企業者の大きな問題であります。したがって、「第3次プラン」に「コロナ」や「物価高騰」に苦しむ企業を引き続きしっかりと支援することを位置づけるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

経済観光文化局長現在検討中の「第3次中小企業振興プラン」においては、経営基盤の強化と持続的発展を取り組みの方向性の一つに位置づけ、経営相談や専門家派遣などの総合的な支援や商工金融資金制度による資金繰り支援など、市内中小企業が直面する経営課題に柔軟に対応できるよう支援していくこととしております。以上でございます。

倉元市議数あるうちの課題の一つじゃ駄目なんですよ。しっかりと位置づけることが大事だと求めておきたいと思います。次に、建設職人の賃金を上げて地域経済の活性化に繋げることについてです。本市において、建設業に従事する労働者は約5万1000人で、7.2%を占めています。小規模企業者が少なくありません。今、日本の経済は賃金が上がらず、消費が落ち込む悪循環に陥っており、賃上げは喫緊の課題であり、行政もやるべきことはたくさんあります。そこでまず、設計労務単価とは何かお尋ねします。

財政局長公共工事設計労務単価は、国が毎年10月に、国、都道府県、政令市等の発注工事から無作為に抽出した工事について、従事した元請け下請け全ての技能労働者の賃金を調査し、平均単価を職種ごとに定めたものでございまして、公共工事の積算に用いられているものでございます。以上です。

倉元市議大工は2万5600円、左官は2万6000円、配管工は2万2800円と業種ごとに単価が決められています。福岡県建設労働組合は建設現場を訪れ、実際にどのくらいの賃金を受け取っているのかを、労働者に聞き取りを行っています。その調査結果は、設計労務単価に比べて、6割程度の賃金しかもらっていないというものでした。例えば、青果市場跡地に建てられた「ららぽーと」の現場では、回答してくれた21人の平均賃金は1万4619円、また旧大名小学校跡地活用事業の現場では回答者28人の平均賃金は1万6360円、とても設計労務単価を反映させた賃金とは言い難いものです。そこで、このように設計労務単価と賃金のギャップが生じている理由について、市としてどのようにお考えなのか、答弁を求めます。

財政局長お尋ねの設計労務単価につきましては、賃金の実態を調査し、定めたものでございますが、その単価の中には、法定福利費や賞与の日額換算なども含まれていることなどから、技能労働者に直接支払われる個々の賃金と必ずしも一致するものではないと考えております。以上です。

倉元市議6割差があるっていうことについてはどのようにお考えですか。

財政局長繰り返しになりますが、設計労務単価は法定福利費や賞与の日額換算なども含まれていることなどから、直接支払われる個々の賃金と必ずしも一致するものではないと考えてございます。以上です。

倉元市議極めて問題ある答弁だと思います。では2020年10月、少し前の調査ですが、市営弥永団地新築工事、本市の公共事業ですが、10人の労働者に尋ねたところ、平均賃金は1万6220円だったそうです。本当ならば2万円あって当然ですよ。本市の公共事業においても、設計労務単価が反映されていない賃金しか支払われておらず問題だと思いますが、所見を求めます。

財政局長繰り返しになりますが、設計労務単価には法定福利費や賞与の日額換算なども含まれていることなどから、技能労働者に支払う賃金と必ずしも一致するものではないと考えてございます。なお、実態調査に基づく設計労務単価は年々上昇していることなどから、実態の賃金も確実に上昇しているものと考えております。以上です。

倉元市議本当ひどい答弁です。では、単価に見合った賃金が支払われるために、市は何かやってんですか、お尋ねします。

財政局長福岡市では毎年度、公共工事設計労務単価の決定に合わせ、関係業界に対して適切な賃金水準が確保されるよう、文書により要請しております。また施工体制の確認に関する抜き打ち点検を年2回実施し、下請け契約が適切に行われているかなどの確認を行っております。以上です。

倉元市議これがその文書なんですけどね。市長の名前で出されてるんですよ。しかし、先ほどから見ているように、設計労務単価と実際の賃金が6割も離れていると。この文章は役に立ってないんじゃないんですか。財政局長の答弁求めます。

財政局長福岡市における取り組みの効果につきましては、福岡市が発注する工事を含めた国の実態調査に基づき定められた。福岡県の公共工事設計労務単価が令和6年度の全業種平均で5年度と比較し約5.6%の上昇。元年度と比較し約16.7%の上昇となっていることから、福岡市においても技能労働者の賃金水準は確実に上昇しているものと考えております。以上です。

倉元市議賃金上がってるけど、設計労務単価も12年連続して上がってるんですよ。格差はね、そのままずっと同じように続いてるんですよ。適当な答弁してもらったら困ります。それで、実効性のある手立てをとる必要があります。市の公共工事などを受注した企業や下請け業者などが、市が定める賃金以上を支払うことが義務付けられる公契約条例は、川崎市、相模原市などの政令指定都市を含む全国で70を超える自治体に広がっています。そこで発注する公的機関と受注者などの間で結ばれる契約において、生活できる賃金をはじめ、人間らしく働くことのできる労働条件を保障する公契約条例を制定し、設計労務単価に見合った賃金を保障すべきと思いますが、所見を求めます。

財政局長公契約条例につきましては、条例の対象となる労働者とそうではない対象外となる労働者の間で賃金格差が生じうることや、条例の対象となる業務への従事時間の把握など、事業者と市の双方にとって事務処理の負担が増大することなど、様々な課題があることから、国において基本的な考え方を整理し、法制を整備することが適当であると考えております。以上です。

倉元市議国のやることだと否定されましたが、もう一つ提案をさせてもらいたい。本市の公共事業は総合評価方式を活用しております。本市ではガイドラインを作成し、入札金額だけでなく、技術力・施工能力や工事にかかる環境・労働等に関する事項を加点要素項目として評価しています。しかし、本市のガイドラインには人権や労働環境への配慮に関する項目がありません。日野市の総合評価方式実施ガイドラインの評価項目を見てみますと、本市でいうところの企業評価項目のところに「格差是正の取り組み」として「80%以上の労務単価が確認できる」という賃金についての項目があります。しかも配点も高いんです。そこで、本市の総合評価方式の評価に労務単価を守らせる項目を採用し、建設労働者に適正な賃金を支払われるようにすべきと思いますが、所見を求めます。

財政局長技能労働者の賃金につきましては技術的な熟練度や資格の保有状況、施工の難易度などにより差があることから、設計労務単価に対してその賃金の多寡を一律に評価することは困難であると考えております。技能労働者への適切な賃金水準の確保につきましては、引き続き関係業界団体に対してしっかり要請してまいります。以上です。

倉元市議全くやらないと言っていますけどね。今日提案した公契約条例や総合評価方式の改善は市長がやろうと思ったら、やれることなんですよ。述べてきたように、中小企業・小規模企業者は厳しい状況に置かれています。市長は都市の成長という名のもとに大企業の支援に力を入れてきましたが、一方で中小企業・小規模企業者への支援策で目立つのは融資と商品券ぐらいで今年4月から業者への直接支援は何もなくなってるんです。そこで、中小企業を支援するための必要な施策を「新プラン」に位置付けるとともに、来年度の予算増額、また設計労務単価を守らせる取り組みを強化して地域経済の活性化に尽力すべきと思いますが、この問題の最後に市長の答弁を求めます。

市長市内企業の99%を占め、地域経済を支えている中小企業・小規模企業者の振興は大変重要であると認識をしており、次期「第3次中小企業振興プラン」におきましても、経営基盤の強化や生産性の向上をはじめ必要な施策を盛り込むとともに、公共工事におきましては働き方改革の推進や受注機会の確保に努めるなど、引き続き中小企業・小規模企業企業者の持続的発展を支援してまいります。

倉元市議やってる感ではなく、本気の中小企業対策を求めます。


有機農業の推進

倉元市議次に、有機農業の推進についてです。日本の食料自給率はカロリーベースで38%と異常な水準まで低下しています。肥料・飼料・種子などを考慮すれば、さらに自給率は大きく下がります。自給率が異常に低下した日本を、世界的な食糧危機が直撃しています。そこでまず、決算年度までの5年間の農業従事者の推移を答弁してください。

農林水産局長国の農林業センサスによりますと直近の令和2年調査で2580人、その前の5年前の調査である平成27年が3543人となっております。以上でございます

倉元市議減少傾向が止まりません。本市の農業従事者の平均所得は2020年337万6000円となっています。この金額では農業を続けていこうとはならず、農業従事者の減少の原因となっていると思いますが、ご所見をお伺いします。

農林水産局長農業従事者が減少している理由につきましては、全国同様に高齢者や後継者不足等によるにより減少傾向が大きく続いておるものと認識いたしております。これに対応いたすため、新規就農者の確保に向けて就農する際に課題となる、技術や知識の習得の他、農地の確保、それから機械購入経費の支援などに取り組んでいるところでございます。以上でございます。

倉元市議稼げないから離農する。当たり前のことなんです。しかし海外ではしっかりと行政が補助金を出して農家を支えています。ドイツは農家の収入の77%が公的支援、フランス64%、日本はわずか30%です。極めて貧弱です。所得を増やすことは農業を持続させるために必須です。国は「みどりの食料システム戦略」を定めました。その概要と目的について答弁を求めます。

農林水産局長わが国の食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現されることを目的とし、持続可能な食料システムの構築に向け、目指す姿と取り組み方法などが示されており、2050年までに目指す姿として、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現や、化学農薬および化学肥料使用量の低減の他、耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の割合を25%に拡大することなどが掲げられております。以上でございます。

倉元市議農業はこれまで地球にやさしい産業と言われてきましたが、環境悪化を促す一因になっていることも指摘されています。大量の食料輸入や農業機械や温室栽培による化石燃料の使用は気候危機を招いています。農地の開拓、農薬・化学肥料の使用によって大量の生物種を絶滅させていること、窒素とリンの使用による環境汚染や土壌の劣化もそうです。もちろん、農業をやめるわけにはいきませんから、これらの問題とどう向き合っていくのかが私たち人間に問われているわけです。そこで、世界は急速に有機農業への転換を図っています。その目的は環境問題に対処するためであり、同時に食料生産を安定化させるためです。人口増加に対応できる持続的な食料確保は、環境保全が最大の基盤になるからです。お尋ねしますが、有機農業は持続可能な農業にとって重要だと思いますが、ご所見をお伺いします。

農林水産局長有機農業は、化学的に合成された肥料や農薬を使用しないことなど、環境への負荷をできる限り低減した生産方法で環境に配慮した持続可能な農業に資するものと認識しておりまして、市としても取り組みを推進していく必要があると考えております。以上でございます。

倉元市議では、本市で有機農業に取り組んでいる戸数について答弁を求めます。

農林水産局長国の認証や支援を受けて、市内の農業者6名が有機農業に取り組んでおられます。その他数名程度の方が有機農業に取り組んでおられると伺っております。以上でございます。

倉元市議有機農業に取り組む農家がなぜ増えないのかお尋ねします。

農林水産局長有機農業は化学的に合成された肥料や農薬を使用しないことから、環境に配慮した取り組みである一方、収穫量が安定しないことや、栽培・管理に手間がかかることなど農業経営のハードルが高いことが挙げられます。また、販売価格の高さや形の不揃いなどに対して、消費者の理解促進を図っていくことも必要であると考えております。以上でございます。

倉元市議国は「みどりの食料システム戦略」で2050年までに有機農業による耕作面積を25%にすると言っています。この目標に見合った戦略を福岡市は持たなければなりません。そのためには有機農家を増やす必要があります。そこで有機農業技術を学ぶことができる研修を市がイニシアチブをとって行ったり、技術指導できる人材を招聘するなど、有機農業に取り組んでもらうきっかけを作るべきと思いますがご所見をお伺いします。

農林水産局長令和6年度には、有機農業に取り組んでいる農業者による事例紹介や、専門家による講義などの研修会を開催することとしておりまして、有機農業に関心を持っていただく契機にしたいと考えております。以上でございます

倉元市議もっともっといろんな取り組みをしなくちゃいけないと思います。他都市では、有機農業を推進しながら、できた農作物を学校給食に使うという循環型の取り組みが進められています。収穫したものを給食食材として買い取ってもらうとなれば、有機農業に参入しやすくなるのではないかと思いますがご所見をお伺いします。

農林水産局長学校給食における市内産農産物の活用につきましては、JA、教育委員会などと構成する協議会におきまして、生産状況を踏まえた協議を行い、利用拡大に努めているところでございます。12万食が必要な学校給食への有機農産物の供給は現状では困難ではございますけれども、今後とも有機農業の推進に向けて取り組んでまいります。以上でございます。

倉元市議給食に使うまでの供給量がないと言われますが、それは、最初はそうだと思うんです。しかし、全校一斉ではなく、一部の学校で使ってみるというやり方もあります。東京都世田谷区では、他都市の有機食材を購入して有機給食を行っているところがあります。農業の振興に繋がる有機給食を本市も行うべきと思いますが、教育委員会の所見を求めます。

教育長福岡市の学校給食は、1日の食数が約12万食と非常に多ございまして、大量かつ安定的に食材を調達する必要があります。そのため現状では流通量が少ない有機農産物の使用は困難でございまして今後の研究課題であると考えております。以上でございます。

倉元市議やらないという答弁ですけども、中日新聞は有機給食のメリットとして、第1に給食という大口で継続的な需要が地元にあれば、収入も安定し、生産者も安心して農薬を使う一般的な栽培から切り替えやすい。第2に新規就農者を呼び込んで、耕作放棄地対策にも結びつく。第3に落ち込んだ食料自給率の向上にも寄与できる。第4に地産地消が進めば、運搬費用も減らせる上に、輸送の際に排出される二酸化炭素を削減できて、温暖化対策にも貢献できると述べています。何よりも安心・安全の給食を子どもたちに食べてもらえます。ぜひ、福岡市でも検討すべきです。これだけ食糧危機が叫ばれている中で、国は農業予算を減らし続けてきましたが、福岡市の農林業費の決算額の一般会計に占める割合を調べてみました。1974年度8.2%ありましたが、現在2.2%までに激減しています。もっと農業予算を組んで、農家の所得向上や有機農業の推進を図り、持続的な農業を発展させるべきです。したがって、有機農業への支援をはじめ、農業予算全体の抜本的な増額で本市の農業振興を図るべきと思いますが、市長のご所見をお伺いして、私の質疑を終わります。

市長福岡市においては、165万人を超える大消費地を抱えていることや、流通など第3次産業が集積をしていることなどの強みを生かした都市型農業を推進しており、市内産農産物のブランド化や地産地消に取り組んでいます。有機農業につきましては、国の戦略において、2050年までに全耕作面積の25%で取り組む目標が示され、福岡市においても、環境と調和した農業の振興が重要であると考えていることから、その推進に向けて取り組んでいるところでございます。今後とも地域の特性や農業者の声を踏まえながら、将来にわたり持続可能な農業を推進してまいります。以上です。

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2023年度決算特別委員会 一覧

保育園での子どもの虐待根絶、中小業者支援、有機農業推進を求める(2024年9月24日 倉元達朗市議の総会質疑)

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