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議会報告
2024年12月議会
12月議会反対討論
2024年12月19日 堀内徹夫議員
私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております議案第185号ないし195号、198号ないし200号、209号、211号、224号、226号、228号ないし232号、235号ないし239号、241号、242号、246号、254号に反対し、討論を行います。
まず、議案第254号「第10次福岡市基本計画について」です。本議案は2025年度から10年間の基本計画を策定するものであり、わが党として素案が公表された6月議会、そして総合計画審議会等でも意見を述べてきたものです。
わが党は素案の段階から、この「基本計画」には、SDGsを掲げながらその一丁目一番地としてターゲット1で掲げられている「貧困をなくす」もターゲット5で掲げられている「ジェンダー平等」も入っておらず不十分であることを指摘してきました。特に今回、わが党がおこなったジェンダー平等についての質疑に対し、局長はあろうことか「男女共同参画とジェンダー平等は同義である」などと答弁し、あくまでジェンダーという文言を「基本計画」に使用しない態度に固執することは、国際的にも遅れた認識であり、あまりにもお粗末であると言わなければなりません。
また、この「基本計画」の数値目標が「市民の意識」を指標とすることは、客観的・科学的な指標にはならないものであり、項目ごとの具体的な数値目標を掲げるべきであると素案の段階からわが党は指摘してきましたが、今回の提案でも全く変わっていません。
さらに、これまで市長が進めてきた「都市の成長」路線によって市民生活は向上せず、大企業の儲けと内部留保を大きく増やしただけだったことをわが党は指摘し、「都市の成長」路線と決別した「基本計画」にするよう求めましたが、市長は「都市の成長」路線を突き進むことを宣言しました。
このような「基本計画」では、市民生活を向上させることや人権を前進させることはできず、これまで以上に貧困と格差を拡大することになりかねません。したがって、わが党は本議案に賛成することはできません。
次に、議案第198号「福岡市拠点文化施設条例の一部を改正する条例案」についてです。本議案は来年3月末に開館が予定されている拠点文化施設について、その名称を「福岡市民ホール」とするためのものです。
この条例の第1条には「多彩な舞台芸術の公演及び多様な市民の文化芸術活動等の場を提供」し、「文化芸術の振興及び文化芸術を通じた交流の促進を図」ることがうたわれており、わが党の質疑に対して、局長も実演芸術を守り育てることや必要な人材の育成を掲げる劇場法を踏まえて拠点文化施設を運営すると答弁しました。しかし、劇場法では設置者と活動団体等が相互に連携協力することがうたわれているにも関わらず、設計や運営などについて、市は地元の文化・演劇団体関係者や専門家の意見を、これまでも取り入れてきませんでしたが、今後も取り入れようとしていません。また、同法で定められている人材の養成及び確保、国民の関心と理解の増進、学校教育との連携などについても審議の中でただしましたが、具体的なものは何もありませんでした。さらに、2016年度末に廃止された少年科学文化会館における貴重な中規模ホールの代わりになる施設が、地元の文化演劇団体などから求められていますが、「福岡市民ホール」の中ホールは「少文ホール」の2倍の料金と大幅な引き上げになっており、利用できない団体が出てくる可能性があります。わが党は、運営に地元の演劇・音楽等の関係者が日常的に参画できる仕組みをつくり、使用料を引き下げて地元の劇団や鑑賞団体に対する減免制度を設ける規定を条例に加えるよう求めましたが、市長は全く耳を貸そうとしませんでした。これでは国内や国外からの集客拠点、インバウンドのためのただの貸し館に他ならず、条例にうたわれている「市民に文化芸術活動の場を提供」する施設にはなりません。したがってわが党は本議案に賛成できません。
次に議案第246号「鹿児島本線(千早~箱崎間)の自由通路等整備工事に係る契約の締結について」です。本議案は、九州大学箱崎キャンパス跡地にJR九州が設置する新駅の自由通路等の整備工事に係る市の債務負担行為及び契約の締結について議会の議決を求めるものです。
鉄道駅の構内を横断し、鉄道利用者に限らない歩行者や自転車が自由に利用できる自由通路を整備することは市民の利便性向上に寄与するものですが、JR九州が設置する新駅に付随する施設なのは誰の目にも明らかです。そのJR九州の利益につながる施設整備に対して市から15億円、国の補助金10億円の公金が投入され、JR九州がいっさい経費負担をしないことは極めて問題です。しかもこの工事は市がJR九州に委託して行うものであり、JR九州は1円も出さないどころかこの事業によって利益を得ることになります。このような幾重にも問題があるやり方を認めることはできません。したがって、わが党は本議案に賛成しかねるものであります。
次に、議案第185号「令和6年度福岡市一般会計補正予算案(第4号)」のうち、物価高騰緊急支援給付金についてです。本議案は、国の住民税非課税世帯に対する1世帯あたり3万円、うち子育て世帯へは子ども1人あたり2万円を加算して支給する給付金について必要な予算補正を提案するものです。
今回の給付金について、市は国から示された内容に沿って制度の詳細が示され次第支給するとしていますが、それでは年末年始の出費がかさむ時期には間に合わず、対象も非課税世帯のみと極めて不十分であり、金額も非課税世帯の経済的困窮を打開するものには程遠いと言わざるをえません。また、給付業務については、今回も民間大企業への委託が予定されており、給付の遅れや労働者へ支払われる賃金が不適切なものになる懸念があり、問題です。わが党は、国からの通知を待つのではなく、市独自に基準日を想定するなどして年内、もしくは年明け早々に支給することや生活保護利用者への先行給付、非課税世帯以外の低所得世帯にも対象を広げ、金額も上乗せすることを求めましたが市長は冷たく拒否しました。
また、今回の非課税世帯給付金が含まれる国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の追加補正には、給付金以外にも約6千億円分の「推奨事業メニュー」が示されており、物価高騰に伴う低所得世帯支援や学校給食費等の支援をはじめ8項目のメニューが示されておりますが、今回の市の補正はこれらのメニューを活用するものになっていません。わが党は、この国の補正を活用して、下水道減免や学校給食費無償化などの物価高騰から市民の暮らしを守る手立てを講じるよう求めましたが、市長はこれにもまともに答えることはありませんでした。
したがって非課税世帯給付金を含め、物価高騰に苦しむ低所得世帯への支援としてあまりにも不十分であり、今後、市独自の施策を行うことを強く求めるものです。
以上でわが党の反対討論を終わります。