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議会報告

2023年予算議会

2023年度 代表質問

2023年3月2日 堀内徹夫市議

私は日本共産党市議団を代表して、髙島宗一郎市長の市政運営方針と2023年度予算案及びその他の諸議案について、市長並びに教育委員会等に質問いたします。


まず、市長の基本姿勢について質問いたします。

第一に、岸田政権の大軍拡に対する市長の態度についてです。

岸田政権が進める敵基地攻撃能力保有と大軍拡は、戦後日本の安全保障政策を文字通り大転換させるものであり、歴代政権が掲げてきた「専守防衛」という原則すら、かなぐり捨てて、自衛隊が米軍と完全に融合する形で海外での戦争にのりだすものです。

この大軍拡は社会保障・教育をはじめとする地方自治体と住民の暮らしの予算を切り捨て、国債の乱発と大増税を押しつける道に他なりません。また、米軍の戦争に日本が巻き込まれて報復を受ければ、大規模な被害が生じることは防衛大臣も国会で認めており、本市市民の命が危険にさらされます。市民の暮らしを押しつぶし、その命を危険にさらす岸田政権の大軍拡に市長は明確に反対を表明すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

国の安全保障に関することについては、国の責任において適切に対応されるべきものであり、今後とも、国民の生命と安全を守るために、その役割を果たされるものと認識しております。


第二に、市長の市政運営方針の基本点と新年度予算案の基調についてです。

今、政治が行うべきは、物価高騰から市民の暮らしを守ることです。緊急に消費税を5%に減税するよう国に求めるべきではありませんか、ご所見をお伺いします。また、500兆円に達した大企業の内部留保に時限的に課税して10兆円の財源をつくり、最低賃金の時給1500円への引上げをはじめ、中小企業の賃上げを抜本的に支援するよう国に求めるべきだと思いますが、答弁を求めます。

国がまともな対策を打たないなら、市民に身近な自治体である本市が市民の生活を防衛するために社会保障と教育の負担軽減などの手立てを緊急にとるべきですが、市長の市政運営方針や新年度予算案にはこの観点は極めて乏しいと言わねばなりません。私たち共産党市議団に寄せられた市民アンケートでも要望の高かった、国民健康保険料・介護保険料の引下げ、学校給食費の無償化、高齢者乗車券の拡充、18歳までの子どもの医療費の完全無料化、家庭用ごみ袋の値下げ、非正規の市職員の賃上げ・待遇改善など、物価高騰から市民生活を守る特別対策を断行すべきと思いますが、答弁を求めます。

他方、市政運営方針で際立っていたのは、「天神ビッグバン」やウォーターフロント開発など、大型開発優先の路線にしがみつき、それを再構築しようとする姿勢です。この道はすでに、市内大企業の内部留保が増える一方で市民の家計の可処分所得が減っていったように、コロナ前から行き詰っていましたが、コロナによって観光客が途絶え、外からの「呼び込み」頼みの政策は完全に破綻しました。ところが市長は、「基本計画」の目標年限が来たというのに計画を終了するどころか、2年延長する異常な対応をしようとしています。大型開発優先路線をやめ、市民生活の応援とともに、コロナ対応、気候危機打開、ジェンダー平等を重点に「基本計画」を抜本的に見直すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

消費税については、社会保障財源に位置づけられているものと認識しております。

中小企業の賃上げ支援については、促進税制や助成金など、国において必要な施策が実施されているものと認識しております。

物価高騰への対策については、地方創生臨時交付金などを活用し、下水道使用料の減免や、中小企業、介護施設、障がい者施設、子ども食堂への支援などを行ってきたところであり、令和5年度においても、学校、保育所等の給食費物価高騰分の支援やプレミアム付商品券の発行など必要な対策を実施いたします。

次期計画の策定に当たっては、次代を担う子どもたちや若者の声を聴きながら、社会の変化や新たな価値観をしなやかに取り入れていくことが重要であると考えております。令和5年度は、多くの市民の皆様からご意見を頂きながら素案をまとめ、令和6年度に、総合計画審議会に諮るとともに、議会の議決を得て、策定してまいります。


次に、大型開発と規制緩和について質問します。

第一は、「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」についてです。

「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」は、規制緩和によって民間投資を呼び込むとして、ビルの床面積を大幅に増やすものです。「税金を使わない」という市長の宣伝とは裏腹に「賑わい創出」と称した地下道など関連施設や道路延伸へ既に約100億円も投入され、さらに空室率を埋めるために立地交付金を倍増させようとしています。コロナ禍に伴う業績悪化やテレワークの普及でオフィスを縮小する企業が増えるなかで供給過剰の懸念が高まっています。大量のオフィスを造る発想自体が時代錯誤です。建替えと地価高騰によって昔からの住民や零細な中小業者が追い出され、まち壊しが進み、天神は「若い人の買い物・流行発信の場」「雑多で活気のある街」から、どこにでもある味気のないオフィス街へと急速に変貌しつつあることは、多くのマスコミも指摘しています。また、大型ビルの乱立はオフィスからのCO2排出量を増やし、温暖化対策とも逆行します。大手や東京資本の企業ばかりを呼び込み、市民には何の恩恵もない「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」は中止すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

都心部においては、天神ビッグバンなどにより、まちが大きく生まれ変わる中で、都心の森一万本プロジェクトを推進するなど、多くの市民や企業から選ばれるまちづくりに取り組んでまいります


第二は、ウォーターフロント開発についてです。

ウォーターフロントの再整備計画は、もともと莫大な税金を投入し、呼び込み頼みの危険な計画だったところ、市は「感染症の影響により、これまで通り、『MICE』『クルーズ』『賑わい』が融合した一体的なまちづくりを進めることは難しい状況にある」として、計画の大幅縮小を打ち出し、事実上、破綻しました。しかしながら、この計画「見直し」は中央ふ頭北側について見直すだけで、それ以外については温存、もしくはさらなる拡大を目論んでいます。コロナを経験した世界は、たとえパンデミックが収束しても「密」を嫌う観光客は減らず、「数を追及する観光」から「質の観光」へのシフト、「インバウンド重視」から「国内客・地元客重視」へのシフトが必要だとされています。「外需頼み」「インバウンド頼み」という呼び込み型経済政策は時代遅れであり、ウォーターフロント開発計画そのものを完全に中止すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。また、市内へのカジノを含むIRの誘致について市長自身がきっぱりと拒否を宣言すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

ウォーターフロント地区については、ふ頭基部において、「オール・イン・ワン」のMICE拠点の形成、賑わいや憩い空間の創出など、市民や来街者が楽しめる魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。また、特定複合観光施設、いわゆるIRの誘致については、福岡市では検討を行っておりませんし、検討を行う予定もありません。


第三は、人工島事業についてです。

市は人工島の土地処分について「完売! 黒字150億円」としています。青果市場・こども病院・総合体育館などの公共施設を移転させることにより土地分譲全体の約36.9%を市が税金で買い支えて、進出企業に立地交付金をばら撒き、本来開発業者が負担すべきインフラ整備の肩代わりといった特別待遇をするなど、あの手この手で巨額の税金投入をしてきた結果にすぎません。これ以上の税金投入はムダづかいであるとともに人工島だけを特別扱いする不適切な支出はやめるべきではありませんか、明確な答弁を求めます。

(答)

アイランドシティについては、居住者が1万4000人を超え、まちの成熟や港湾機能の強化が進むとともに、土地分譲の見通しがついたところです。今後とも、豊かな市民生活の実現や福岡市の成長に寄与するよう、先進的モデル都市づくりや、国際物流拠点の形成などに、しっかりと取り組んでまいります。


第四は、福岡空港及び高速道路についてです。

福岡空港は、コロナによる入国拒否や渡航制限を受け旅客数が激減し「東アジアトップクラスの国際空港」にすることを謳い文句にして、30年後に旅客数を現在の1.5倍にし、路線数を倍加させるなどといった見込みも破綻しています。また、航空業が気候変動に与える影響は大きく、地球環境を保持する観点からも矛盾します。こうした無謀な計画から手を引き、国・県に見直しを求めるとともに滑走路増設をやめるよう要求すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

国土交通省の資料で空港口交差点は現状でも将来でも、渋滞しないことが明らかとなっています。延伸わずか1.8kmに532億円の途方もない公費を投入する都市高速道路の福岡空港延伸計画は直ちに中止すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

福岡空港については、航空機混雑の解消や将来の航空需要に適切に対応するため、増設滑走路の令和6年度末供用開始に向けた整備を国に強く要望するとともに、福岡市としても協力してまいります。

福岡空港方面への都市高速道路の延伸については、空港の機能強化を見据え、福岡市の南部地域などからのアクセス強化を図るため、着実に推進してまいります。


第五は、国家戦略特区についてです。

「グローバル創業・雇用創出特区」は、この間、まち壊しにつながるビルの高さ制限の緩和や解雇指南など市民を守るルールを壊す規制緩和となってきました。本市の特区指定を返上すべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

グローバル創業・雇用創出特区については、国の施策や規制改革に、福岡市独自の施策を組み合わせることで、創業の裾野を広げ、多くの企業や雇用を生み出すとともに、医療保険制度で全国初となる遠隔服薬指導を実施するなど、市民生活の質の向上に寄与してまいりました。引き続き、特区の活用によって、都市の成長と生活の質の向上を図ってまいります。


第六は、世界水泳選手権・福岡大会についてです。

本市負担は当初計画の3倍の120億円から130億円に膨らんだにもかかわらず、市長は何の責任も感じていません。経済波及効果についても資料を明らかにしないため、検証もできず、過大に算出した可能性はいなめません。さらに、本大会の委託業務を数多く受託している電通は、東京オリンピック・パラリンピック大会をめぐる数々の汚職事件や談合で、複数の幹部が逮捕されています。本大会において電通との間で結んでいるマーケティング専任代理店業務委託契約にかかる契約書も非開示が多く、汚職や談合の疑念が極めて高くなっています。大会の中止を提起し大会運営から手を引くべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

世界水泳選手権の開催については、市民スポーツ振興や都市ブランド力の向上、地域経済の活性化に寄与するものであり、引き続き、事業費の削減と収入の最大化を図りながら、大会成功に向け開催準備にしっかりと取り組んでまいります。


次に、社会保障について質問します。

第一は、新型コロナ対策についてです。

新型コロナ第8波によって、医療の逼迫が深刻となり、高齢者施設のクラスター発生件数、死亡者数、救急搬送困難事例は過去最悪となりました。しかし、政府や市長からは新型コロナ感染に関する情報が全く伝わらない状況となり、政府は医療提供体制の構築は後回しにしたまま第5類への引下げを決定し、空港検疫の規制緩和を打ち出す等経済優先の姿勢をあらわにし、市長もこれを歓迎しております。市長は経済優先の姿勢を改め市民の命を最優先にする立場に立ち、コロナの治療・予防接種の公費負担、医療・高齢者施設への公的支援の継続を国に求めるとともに、医療機関の状況やワクチン接種等に関する市民への情報発信を抜本的に強化すべきではありませんか、ご所見を伺います。クラスターが多く発生している高齢者施設の感染予防対策として重要な、高齢者に特化した療養施設や臨時の医療機関の開設を積極的に進め、高齢者施設においても抗ウイルス薬の適切な処方など、早期治療を行う対策を強めるべきではありませんか、答弁を求めます。また、無料のPCR検査については県と連携して継続・拡充し介護・障害者施設等で希望するところには移動検査場を派遣できる体制を整えるべきではありませんか、ご所見を伺います。また、コロナ禍における医療逼迫の教訓を踏まえ、大規模な発熱外来の設置を含め医療提供体制を県と協議して早急に構築するとともに、医療機関への財政支援拡充、医療従事者の待遇改善を行う手立てを取るよう国に強く求めるべきではありませんか、ご所見を伺います。医療現場とともに逼迫し崩壊寸前となっている保健所は引き続き職員の過労死ラインを大幅に超えた自己犠牲により成り立っており、市長は保健所予算を2倍以上に増やし抜本的な人員増と体制強化を図るべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

新型コロナウイルス感染症対策については、国における法的な位置づけの変更を注視しつつ、県などと連携をして、必要な検査・医療提供体制を確保してまいります。また、市民への情報発信については、類型見直し後の医療機関の受診やワクチン接種などを、引き続き分かりやすく周知してまいります。医療機関に対する支援などについては、指定都市市長会などを通して、国に要望しております。保健所機能については、今後とも、感染動向に応じて機動的に対応できる体制づくりに取り組んでまいります。


第二は、国民健康保険など医療の改善についてです。

1点目は国民健康保険についてです。市長は今年度、史上二番目に高い保険料を被保険者に押し付けているにもかかわらず、新年度の保険料については、介護分を更に引き上げようとしており、異常な物価高騰で苦しむ子育て世代等の被保険者を苦境に追い込む重大問題であります。一般会計から国保会計への法定外繰入について、機械的な削減をやめ、必要額を確保し保険料の大幅引下げを行うべきだと思いますが、答弁を求めます。子どもの均等割については第1子から全額免除すべきだと思いますが、ご所見を伺います。また、滞納者への保険証取上げ、短期証への切替えや問答無用の差押えをやめるべきだと思いますが、ご所見を伺います。国保法44条にもとづく窓口負担減免制度を1件も適用しない姿勢を改めるべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

国民健康保険料については、医療分と支援分の一人当たりの合計が令和四年度と同額になるよう、一般会計からの繰入や基金の活用によって、保険料負担の軽減に努めております。また、子どもの均等割保険料については、福岡市独自の減免を実施しており、国においても、未就学児を半額とする制度が創設されております。

滞納世帯への対応については、滞納者との接触の機会の確保と、被保険者間の負担の公平性の観点から、法令に基づき、資格証明書などを交付しており、差押えについては、資力がありながら、催告などに応じず、長期間滞納している世帯に実施しております。また、一部負担金の減免については、制度の周知に努めながら、適切に実施してまいります。

2点目は後期高齢者医療についてです。2つの基金を活用し、保険料を大幅に引き下げるよう広域連合に求めるとともに、昨年10月の実施以降、受診抑制等大きな影響を引き起こしている窓口負担の2倍化は中止するよう国に求めるべきではありませんか、お尋ねいたします。

(答)

後期高齢者医療の保険料については、福岡県後期高齢者医療広域連合において、運営安定化基金などの活用も含め、適切に対応することとされております。また、制度の見直しは、国において、全世代対応型の社会保障制度を構築するため行われるものです。

3点目は市立病院についてです。新型コロナ対応で逼迫しているこども病院並びに市民病院については、一時金カットまで行われ職員の疲弊はピークに達しております。正規職員を抜本的に増員し、処遇の改善を図るよう指導すべきと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

こども病院と市民病院の体制については、院内の応援体制、外部の専門医師の招へいなどによって必要な人員を確保しております。また、職員の勤務条件などについては、福岡市立病院機構において適切な対応が図られております。


第三は、介護についてです。

1点目は介護保険についてです。コロナ危機のなかで介護職員の過重労働はいっそう苛酷になり、「コロナ離職」も相次いでおります。市長は、全産業平均より「月7~8万円低い」とされる介護職員の低処遇と人材不足を解決するために国に対し、介護報酬の引上げをはじめ、介護福祉士や調理員等介護現場で働く全ての労働者の抜本的なベースアップの対策をとるよう求めるとともに、人件費の補助を行う独自制度を設けるべきではありませんか、答弁を求めます。新型コロナ感染症の影響に加え物価高騰による食材費や光熱費の値上げが介護事業所の経営を大きく圧迫しており、利用料・保険料に跳ね返らない方法での減収補填と報酬の引上げを国に求め、市独自にも財政支援を行うべきではありませんか、答弁を求めます。史上最高額となっている介護保険料については物価高騰の状況を踏まえ引き下げる手立てをとり、特別養護老人ホーム整備については、厳しい入所制限をやめ、公共用地を無償貸与し、早急に待機者解消を図るべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

介護職員の処遇などについては、国において、介護報酬の改定が行われてきたところであり、引き続き、さらなる改善を要望してまいります。

介護保険料については、介護保険事業計画を策定する中で、必要な介護サービス費用などを見込み、設定しております。また、特別養護老人ホームについては、計画に基づき、適切に整備を進めてまいります。

2点目はいわゆる「ヤングケアラー」についてです。専門部署をつくり実態を総合的に把握し広報や研修体制を構築するとともに、関係機関の連携と当事者支援を担う地域ソーシャルワーカーを必要数配置すべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

ヤングケアラーについては、子ども家庭支援センターの専用相談窓口の充実、スクールソーシャルワーカーなどに対する研修、ヘルパー派遣の開始など関係機関と連携をしながら、引き続き必要な支援に取り組んでまいります。


第四は、生活保護並びに貧困対策についてです。

物価高騰の影響は低所得世帯にとりわけ大きな打撃となっており、生活保護の利用が増えています。しかし、生活保護世帯にとっても基準の連続引下げと物価高騰が襲い、生存権さえ否定される事態が常態化しております。市長はこの間相次いで出された減額取消し判決を踏まえ、国に対し削減してきた各種扶助費を元に戻すよう求め、市独自の下水道料金減免、夏季・年末見舞金を復活させるべきではありませんか、お尋ねします。保護申請をためらわせる要因となっている親族等への「扶養照会」については原則行わない運用へと改めるとともに、病気や年齢等の状況を無視した機械的な就労の強要や財布の中身を調べる等の誤った資産調査等を根絶すべきではありませんか、答弁を求めます。ケースワーカーについては、国の標準を20以上も上回り100件以上を担当する過重負担解消のために大幅に増員すべきだと思いますが、ご所見を伺います。また、長引くコロナ危機と物価高騰によって市民の暮らしはますます苦しくなっており、高齢者や障害者、ひとり親世帯等に対して公共料金等の福祉減免や上下水道料金の減免を実施すべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

生活保護基準については、国において適切に定められたものと考えております。下水道使用料については負担の適正化、見舞金については個人給付施策の見直しの観点から、廃止したものです。

扶養照会については、法の趣旨を踏まえ、申請者に十分説明をし、理解を得た上で、適切に行っております。また、就労支援については、本人の能力や意向を踏まえ、効果的に取り組んでおり、資産の確認については、個々のプライバシーに配慮して適切に行っております。ケースワーカーについては、適正な執行体制の確保に努めてまいります。

公共料金などの減免については、公営企業の独立採算制や受益者負担の原則などの課題もあることから、今後の経済状況や国の動向などを注視してまいります。

水道に関するご質問にお答えいたします。水道料金の減免については、水道事業が、受益者負担の原則に則った独立採算制を基本に、水道料金収入を主たる財源として経営するものであることから、負担の公平性や厳しい経営環境下での事業運営への影響などの課題があると考えております。今後とも、支払いが困難な方には、支払期限の延長など、きめ細かに対応してまいります。以上でございます。


第五は、障害児・者福祉についてです。

障害者施設の多くは恒常的な資金難に加え、新型コロナ感染症による影響と物価高騰で大打撃を受けており、本市独自に運営費補助や減収補填を行うとともに、労働者の賃金引上げのための助成金をつくるべきではありませんか、お尋ねいたします。不足している児童発達支援センター等は更に増設し、学齢期前の肢体不自由児が単独で利用できる児童発達支援事業所を市の責任で設置するとともに、自主的に預かり事業を行う事業所や保育所への補助金を創設すべきではありませんか、ご所見を伺います。手話言語条例の制定を急ぐとともに、精神障害者の運賃割引について拒み続けるJRに実施を強く求め、各種交通機関の料金割引を療育手帳Bにも広げる手だてを取るべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

こども病院と市民病院の体制については、院内の応援体制、外部の専門医師の招へいなどによって必要な人員を確保しております。また、職員の勤務条件などについては、福岡市立病院機構において適切な対応が図られております。


第六は、高齢者施策についてです。

加齢性難聴によって認知症悪化や社会参加の妨げとなることなどが指摘されており、補聴器購入費の補助を求める請願も出されました。国任せにせず、他都市に倣い障害認定のない難聴者への補助制度をつくるべきだと思いますが、ご所見を伺います。高齢者乗車券については、所得要件を廃止し、タクシー等も含めてICカードに一本化するとともに、上限額を撤廃し必要な時に使えるようにすべきだと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

補聴器購入の補助については、引き続き、身体障害者手帳を取得されている方に助成するとともに、国や他都市の動向を注視してまいります。

高齢者乗車券については、郵送やオンラインでの交付などを導入しており、今後とも、利用者の利便性の確保に取り組んでまいります。


第七は、住宅施策についてです。

憲法25条が保障する生存権の土台として、住宅確保に公的責任を果たすことが求められているものの市営住宅の応募倍率は高止まりしています。住宅セーフティネット施策も全く不十分であり、家賃低廉化補助制度の対象となる住宅はわずか10戸のみです。「戸数は増やさない」とした「市営住宅ストック総合活用計画」を抜本的に見直し、新規建設を含め大幅に管理戸数を増やすとともに若者の単身者世帯枠をつくるべきではありませんか、答弁を求めます。また、URや民間の賃貸住宅を借り上げて市営住宅にするなど、多様な供給方式の具体化を行うとともに、低所得の若者や高齢者への家賃補助制度を創設・充実させるべきと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

住宅確保要配慮者については、賃貸住宅市場全体で対応しており、住宅セーフティネット制度による経済的支援など、民間賃貸住宅への円滑な入居を支援します。市営住宅については、計画に基づき、建替えや改善に取り組むとともに、入居の募集に当たっては、より住宅困窮度の高い世帯に配慮してまいります。


次に、子育て支援・教育について質問いたします。

第一に、教育についてです。

1点目は学校給食費の無償化についてです。物価高騰が家庭を直撃する中で、教育費の負担軽減は子育て支援において最も重要です。大阪市や東京都葛飾区などに倣って、大型開発優先の施策を見直して市独自に必要な財源を確保し、学校給食費の無償化を実現するべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

学校給食費については、引き続き、物価高騰分の保護者の負担軽減に取り組むとともに、経済的理由により支援が必要な世帯に対しては、就学援助などによる支援を行ってまいります。

2点目は過大規模校の問題です。現在、26の小中学校が過大規模校となり、子どもたちはプレハブでの学校生活、運動場で思いきり遊ぶこともできない状況を強いられています。過大規模校を早急に解消するために、学校用地を確保して分離・新設するなどあらゆる手立てを尽くすべきと思いますが、答弁を求めます。また、このような事態を招いたのは教育委員会と市長が、特定の地域における極端な人口流入とマンション開発を野放しにし、開発を抑制する手立てをとってこなかった結果であります。これ以上、過大規模校を生み出さないために、良好な教育環境を守る立場から、教育委員会の責任で開発行為を規制するしくみを早急に策定すべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

過大規模校への対応については、子どもたちに良好な教育環境を提供するため、地域の実情も踏まえ、適切に取り組んでまいります。また、民間企業の開発行為を学校教育の観点から規制することについては、様々な課題があり、困難であると考えております。

3点目は、少人数学級についてです。市民と教育関係者の長年の運動の結果、小中学校全学年での35人以下学級が本格実施されました。一人ひとりの子どもに目が行き届きやすくするために、30人学級、20人学級とさらなる少人数学級を推進すべきと思いますが、答弁を求めるものです。

(答)

学級編制については、国が定めた標準を引き下げ、きめ細かな指導の充実を図るため、小中学校全学年で三十五人以下としているところであり、引き続き適切に実施してまいります。

4点目は教員不足の問題です。35人以下学級が実施されたものの、学校運営に必要な担任以外の教員が減らされているために、膨大な業務に加えコロナ感染対策など現場の疲弊は限界に達しています。市独自に必要な予算を増額し、正規教員を抜本的に増やすべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

教員については、多様な専門性を持つ職員の配置と併せて、これまで増員してきたところであり、引き続き適切に配置してまいります。

5点目は授業時数と給食時間です。授業時数の詰め込みにより学習についていけない子どもが増えています。学習指導要領に定められた年間の標準授業時間数は、あくまで目安の数字であり、子どもの実態を踏まえて教育内容を精選し、授業時数を減らすべきではありませんか、答弁を求めます。また、給食・喫食時間を十分に確保すべきと考えますが、ご所見を伺います。

(答)

授業時数については、学習指導要領に基づき、標準授業時数を確保するよう、年間指導計画を作成することとしております。給食時間については、各学校において、適切な時間の設定に努めております。

6点目は教育のあり方についてです。合理的理由を説明できない校則の見直しを求める市民の声と運動に押され、新年度から「下着の色の指定」や「ツーブロック、ポニーテールの禁止」などの校則が廃止されることは大きな前進です。しかし、生徒主体の見直しに教員が過度に干渉するなど、頭髪や服装等の事細かな規制の多くが残されてまだまだ不十分であります。子どもの自主性や意見を尊重し、合理的理由を説明できない人権侵害の校則は一掃すべきと思いますが、答弁を求めます。部活動は本来生徒の自主的、自発的な活動です。文部科学省が実施した「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」によると、本市の1週間の部活動時間は、「部活動ガイドライン」が定める上限時間を上回っているにも関わらず教育委員会はその事実を認めていません。また、地域移行については、保護者の経費負担の増加や民間営利スポーツ産業に委ねられることによるガイドラインの形骸化、教育的意義が損なわれかねないとの懸念が広がっています。部活動本来の意義に立ち返り、部活動ガイドラインの順守を徹底するとともに、地域移行について拙速には行わず、財政保障を国に求めるべきではありませんか、お尋ねいたします。

(答)

校則については、各学校において、生徒の意見も踏まえ、合理的理由が説明できない校則の令和4年度中の見直しを進めております。

部活動については、「部活動ガイドライン」を周知し、適切な運営に努めております。地域移行については、令和五年度は、モデル事業を2部活から4部活に拡大するとともに、国の動向等も踏まえて対応してまいります。

7点目は就学援助です。文科省は、就学援助を生活保護基準の引下げにあわせて単純に連動させる対応は行わないよう通知しているにも関わらず、教育委員会は独自の手立てを講じておりません。コロナ禍と物価高騰が子育て世帯に深刻な打撃を及ぼしているなかで、就学援助の重要性は一層高まっており、基準を生活保護基準の1.5倍に引き上げ、対象を拡大するとともに支給額を増額すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

就学援助の認定基準や支給項目等については、国が決定している基準に準じて適切に定めております。

8点目は特別支援教育についてです。「自閉症・情緒障がい特別支援学級」を設置する小中学校を一定数増やすとしていますが、他の政令市の平均設置率が小学校86.5%、中学校86%であることと比較すると、極めて不十分です。本市の設置状況は大きく遅れており、障害を理由に地元の学校に通えないという異常事態であります。よって、すべての小中学校に「自閉症・情緒障がい特別支援学級」を設置すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

自閉症、情緒障がい特別支援学級については、令和5年度に、30学級の大幅な増設を行います。

9点目は多様な学びの場への公的支援の問題です。小中学校の不登校児童生徒数は年々増加し、2021年度は3535人と過去最高です。これは学校が子どもにとっていかに息苦しい場となっているかを示しています。子どもの権利条約にある教育を受ける権利、安心して休む権利、子どもの意見表明権などを保障する立場から、学校復帰を前提としない「はまかぜ学級」などと同様の教室の増設や、不登校児童生徒を支えるフリースクールなど学校以外の多様な学びの場に対する公的支援を強め、保護者負担の軽減を図るべきと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

不登校支援については、引き続き、「チーム学校」として、組織的な支援を行うとともに、新たに、ひきこもり傾向にある児童生徒が交流するオンラインルームの開設や、ICTを活用したアウトリーチ支援などに取り組んでまいります。フリースクール等への公的支援については、国や他都市の動向を注視してまいります。


第二は、子どもの医療費についてです。

市長は世論に押され、これまで拒んできた子どもの医療費助成の18歳までの拡充を打ち出しましたが、依然として通院における窓口の自己負担は残されています。他の政令市で行われているように、通院も含め完全無料とすべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

子ども医療費の通院に係る自己負担については、持続可能な制度とするため導入しております。


第三は、保育行政についてです。

保育士の賃金は、全産業平均より月5万円低いと言われており、現場の保育士からも賃上げを求める強い要望が毎年寄せられています。一方、コロナ禍の中で社会の土台を支える保育士の役割が一層重視されていますが、まともな賃金アップは図られていません。公定価格を抜本的に見直し、直ちに月5万円引き上げるよう国に求めるとともに、市独自に手立てをとり大幅に賃金を引き上げるべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。現場の負担を減らすために、保育士の配置基準の改善を国に強く要請するとともに、他都市にならって、独自に配置基準を改善すべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。あわせて、1947年以来変わっていない面積基準の改善に踏み出すよう国に求めるとともに、本市独自にも一層の改善を図るべきではありませんか、お尋ねします。

市長は、0~2歳の保育料を無償化すると言っていますが、第2子以降に限定しており不十分です。すべての子どもを無償化の対象にすべきではありませんか、答弁を求めます。副食費の実費負担は物価高騰の中で保護者の大きな負担となっており、無償とするよう国に求めるとともに、本市として第3子以降に限らず、助成対象を広げて副食費無償化の手立てをとるべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

保育士の処遇については、勤続手当の支給、家賃や奨学金返済の支援、保育士などの収入引き上げのための助成を行っており、引き続き、国に公定価格の充実を求めてまいります。

保育士については、福岡市独自に、1歳児と3歳児に係る保育士を加配する費用を一定期間助成するとともに、令和5年度からは、一定の要件を満たす保育所に対し、4歳児以上に係る配置の加算を充実します。また、乳児室の面積基準については、国基準より広く設定しております。

3歳未満の保育料については、福岡市独自に、国の基準額から減額するとともに、多子世帯への支援として、新たに認可外を含む全ての保育所や幼稚園を対象に、第二子以降の保育料を所得制限などの要件を設けず、無償化します。また、保育所などの副食費については、引き続き、第3子以降の児童に助成してまいります。


第四は、留守家庭子ども会についてです。

2022年4月20日時点で子ども1人あたりの面積基準1.65㎡を確保できていない施設が18か所あることは問題です。最低限の面積基準を厳格に守れるよう計画的に施設整備すべきではありませんか、答弁を求めます。あわせて、支援単位については「1クラス30人程度」とすべきではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。支援員が会計年度任用職員であることを理由に賃上げを行わない姿勢を改め、正規職員として大幅に増員するとともに、専門職にふさわしく処遇を改善すべきではありませんか、答弁を求めます。

(答)

留守家庭子ども会については、今後とも、国の通知や条例に基づき、計画的に整備を進めるとともに、適正な支援単位での運営及び職員配置を行ってまいります。また、支援員の処遇については、今後とも、会計年度任用職員制度に基づき、適切に対応してまいります。


第五は、児童館についてです。

本市では中央区に1つしかなく、国の児童館ガイドラインが定める児童館としての拠点性や地域性は発揮できないことは明らかです。早急に児童館を全ての行政区に設置するとともに、幼稚園・学校・こども病院の跡地など公有地を活用して計画的に増やすべきではありませんか、ご所見をお伺いいたします。

(答)

児童館については、市内全域から利用しやすいよう最も利便性の高い場所に設置するとともに、公民館や各区の体育館において、館外活動を実施しております。


第六は、児童虐待についてです。

本市の児童虐待の相談対応件数はこの5年間全国の倍以上のペースで増え続け、2021年度には2685件と過去最多を更新しています。全国状況よりも深刻な現状にかんがみ、2022年3月30日に定められた国の新たな「児童相談所運営指針」において管轄区域内の人口は「基本としておおむね50万人以下」であることとされたことをふまえ、児童相談所を増やすべきではありませんか、答弁を求めます。児童相談所内への児童心理治療施設の設置により、児童相談所の一時保護所の定員が40から10へと減らされ、平均で15人、多い時で29人の子どもを受け入れたこともありました。不足する児童相談所の一時保護所の定員を増やし環境整備を行うべきと思いますが、答弁を求めます。また、専門職である児童福祉司、児童心理司、弁護士資格をもつ職員を大幅に増員すべきと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

児童相談所については、児童福祉司や児童心理司を増員するなど、組織体制の強化に取り組むとともに、一時保護所の環境整備に取り組んでまいります。


第七は、ひとり親家庭への支援についてです。

とりわけ母子世帯の半数以上が貧困状態に置かれており、一般社団法人「ひとり親支援協会」による昨年の調査で、ひとり親世帯の9割超が生活苦を訴え、物価高騰の影響が大きく出ています。児童扶養手当の抜本的増額を国に求めるとともに、市独自の加算手当を創設すべきと思いますが、ご所見を伺います。また、ひとり親家庭に対する家賃補助などの直接支援を市独自に行うべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

ひとり親家庭に対する家賃補助や児童扶養手当については、国の支援の動向を注視してまいります。


第八は、学生支援についてです。

コロナや物価高騰により学生の困窮が広がるなかで、学費の更なる値上げの動きも出ています。重い教育費の負担軽減は、政治の重大な責任です。学費を引き下げる手立て、給付奨学金のさらなる拡充を国に求めるとともに、市独自の「学生支援特別給付金」の対象を広げ、再度支給し、給付奨学金を創設すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

学生への支援については、国や大学において様々な支援策が実施されており、引き続き、周知に取り組んでまいります。


次に地域経済の振興と雇用等について質問いたします。

第一に、中小企業・小規模企業者対策についてです。

福岡市中小企業振興審議会に提出された「中小企業振興に関するアンケート」では、2021年度とコロナ前の19年度との売上比較について、7割強の業者が「コロナ前水準に至らず」となっています。また、物価高騰について「影響が出ている」との回答が約7割に上っています。さらに、原材料や仕入れ値の上昇分を多くの業者が価格に転嫁できていません。コロナや物価高騰で苦境に喘ぐ中小零細業者の事業継続、経営回復のために市独自の支援策を充実させるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。「ゼロゼロ融資」の返済が本格的に始まりますが、返済に窮し、倒産・廃業に追い込まれる中小業者が急増することが危惧されます。返済計画の変更など柔軟に対応するように金融機関等に求めるべきと思いますが、答弁を求めます。インボイス制度の導入は免税業者から課税業者になることによる経営悪化などを招き、多くの中小業者、フリーランスなどの倒産・廃業を引き起こします。国にインボイス制度の中止を求めるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。地場中小企業・小規模企業者の仕事づくりにつながる、用途の制限がない住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム支援制度を創設すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。省エネ対策として、地元の中小業者による住宅断熱化の新築・リフォームへの市独自の助成をすべきではありませんか、答弁を求めます。市発注の公共事業の下請・孫請の賃金について、国から依頼された調査結果を準用して設計労務単価が支払われているかを、抜き打ちを含め調査するとともに公契約条例の制定をすすめるべきと思いますが、答弁を求めるものです。

(答)

新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた事業者等への支援については、融資や相談体制を充実するとともに、燃料費及び光熱費に対する支援やデジタル化等による労働生産性の向上に取り組むなど、事業継続や雇用を支えてまいります。

中小企業者の返済計画の変更については、金融機関や県信用保証協会に対し、事業者の実情に即した弾力的な運用を行うよう要請しており、適切に対応されていると認識しております。

インボイス制度については、新たに中小企業者などに対する負担軽減措置が講じられることとされております。

住宅リフォーム助成制度については、耐震化やバリアフリー化などの公益目的に資するリフォームに対し、助成を行っております。また、商店のリフォームなどについては、商店街の共同施設設置費用の一部を助成しております。住宅の断熱化については、国の支援制度の周知などに取り組んでまいります。

福岡市発注工事の下請賃金については、毎年下請契約の内容などを確認しております。また、公契約条例については、国において法制を整備するのが適当であると考えております。


第二は、雇用・労働についてです。

過酷な労働条件・雇用環境で労働者を使い捨てにする企業が少なくありません。違法・脱法的な働き方をなくすために調査・相談・啓発を網羅した条例をつくるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

労働問題については、今後とも、国や県の専門窓口などと連携をしながら取り組むとともに、法令等の広報・啓発を行ってまいります。

第三は、農林水産業についてです。

燃油高騰や肥料・飼料価格、各種資材の高騰分など農林漁業者に直接補填する市独自の緊急対策を講ずるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。農家の後継者づくりのために、生活支援や資金・技術・農地の面での総合的な支援体制を整え、新規参入者を増やすべきと思いますが、答弁を求めます。漁価の下落、販売量の低迷などで暮らしと経営が悪化している漁業者に対して支援を行うべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

燃油や資材価格の高騰などの影響を受ける生産者への支援については、国のセーフティネット制度の活用を促進するとともに、地域資源を活用した肥料などの利用拡大を図ってまいります。

農業従事者の確保については、若者や女性など、多様な人材の確保と育成に努めるとともに、新規就農時の支援を行ってまいります。

漁業者への支援については、売上減少を補填する漁業共済掛金に対する助成を行うなど経営支援に努めてまいります。


次に、環境・まちづくりについて質問いたします。

第一は、気候危機打開についてです。

命がおびやかされる酷暑、豪雨や巨大台風による甚大な災害が起こるなど気候危機対策はもはや一刻の猶予もないほど求められています。本市は国よりも10年早い2040年度温室効果ガス排出実質ゼロを掲げていますが、実行計画は、エネルギー消費量の削減目標がなく、再生可能エネルギーの導入目標も8年前の計画と変わらず、このままでは本市の目標は絵に描いた餅に終わる恐れがあります。幅広い市民が参加する「気候市民会議」を立ち上げて計画の実効ある見直しを行い、「2030年50%削減」という目標を大幅に引き上げるとともに、再エネ導入の新たな野心的な2030年度目標を持つべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。また、いったん事故を起こすと最悪の環境破壊を引き起こす原子力発電について、老朽原発を動かし、新増設を進める政府の「原発回帰」は断じて許されず、直ちに原発を廃止するよう国と九州電力に求めるべきと思いますが、ご所見を伺います。

(答)

地球温暖化対策については、実行計画に基づき、再生可能エネルギーの導入拡大や省エネルギー化の推進などに、市民・事業者と一体となって取り組んでまいります。また、原子力発電所のあり方については、国の政策の枠組みの中で判断されるべきものと考えております。


第二は、防災についてです。

2022年9月の台風14号では、土砂災害や河川氾濫、高潮のおそれがあるとして本市は約14万世帯、29万人余に避難指示を出しましたが、実際に避難したのは対象住民の0.4%程度の1206人でした。市民に避難に関する情報が速やかに伝わり、実際の避難行動に結びつくよう本市として調査・研究するべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。また、市の指定避難所数は435か所しかなく、大規模災害が発生すれば避難してきた市民を収容することができない事態となることは明らかであり、抜本的に避難所の増設をはかるべきだと思いますが、答弁を求めます。さらに被災者生活再建支援金の上限額及び対象などを抜本的に拡充するよう国に求めるとともに、市独自の支援金制度も創設するべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

災害時の避難については、適切な避難行動につながるよう、「マイ・タイムライン」の活用などの周知・啓発に努めております。また、避難所については、公共施設のほか、民間事業者との協定により、確保を進めております。

被災者生活再建支援金については、引き続き、対象の拡充などを国に要望するとともに、県の支援金などを活用し、被災者の支援を行ってまいります。


第三は、マンションの建築紛争とアスベストについてです。

唐人町商店街をはじめ市内各地で、事前説明会もしないままで計画を進める無法な事業者に対して周辺住民が立ちあがるマンション建築紛争が起こっています。「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」を住民合意・罰則規定の導入など、より実効性のある内容に抜本的に改定するべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。さらにアスベスト対策について、最高裁が国と建材メーカーの責任を認めたことを受け、「民間建築物アスベスト除去等の補助制度」を抜本的に拡充するよう国に求めるとともに、大規模災害時の飛散対応等のため、アスベスト使用建築物のハザードマップを公開し積極的に市民に周知するべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

建築紛争については、条例に基づき、解決に向けた調整に努めてまいります。

アスベスト対策については、多数の人が継続して利用する建築物を対象に補助を実施しております。また、使用建築物の公表については、個人情報などを含むことから、課題が多いと考えております。


第四は、コミュニティ・町内会への支援についてです。

町内会の行政下請化を強化しかねない「共創による地域コミュニティ活性化条例」は撤回し、町内会や市民の自主的活動を真に応援するべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(答)

地域コミュニティについては、自治協議会や自治会・町内会への補助、地域防災にも役立つ活動メニューの提供など、地域の実情に応じたきめ細かな支援を行い、「共創」の地域づくりを推進してまいります。


第五は、地域交通についてです。

西鉄が市内各地でバス路線の廃止・減便を強行していることで、通勤・通院・通学・買物等にも大きな支障をきたしており、これは生活交通確保への最大限の配慮を定めている生活交通条例を無視しています。早急に増便を図るよう西鉄に強く求めるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。また、「オンデマンド交通」を利用しての民間事業者による儲け本位の取組みや、支援対象を住民の取組みがある地域に限定するやり方はやめ、早良区住民からコミュニティバス導入を求める請願が出されたように、市が責任を持って生活交通不便地にコミュニティバス等を運行すべきだと思いますが、答弁を求めます。さらに、市営地下鉄とJR筑肥線の乗継割引については、住民請願の採択を踏まえJRに強く要求するとともに、市単独でも割引拡大に踏み出すべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。


(答)

バス交通は、重要な公共交通であり、今後とも地域や交通事業者と連携をして、必要なサービスが確保されるよう努めてまいります。公共交通が不便な地域については、オンデマンド交通の社会実験を進めるなど、持続可能な生活交通確保の仕組みづくりに取り組んでまいります。

JR筑肥線との乗継割引については、接続する事業者双方で等しく負担することを基本とし、協議の上決定しているものであり、割引の拡大について、引き続き、JR九州と、協議を進めてまいります。

第六は、公有地等の跡地利用についてです。

こども病院跡地がタワーマンション中心の土地利用になろうとしているように、民間サウンディングのやり方では、公有地が民間企業に売り飛ばされるばかりです。市有地の活用について、最初から民間に提案させて検討するやり方はやめるべきだと思いますが、答弁を求めます。また、市有地の売却方針はあらため、不足している保育所や特別養護老人ホームなど、公的な活用をするべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

市有財産の活用については、公共利用を考慮しつつ、市民ニーズや地域の特性などを踏まえ、財源確保の観点にまちづくりの視点も取り入れながら、総合的に検討を進めてまいります。

第七は、ごみ袋についてです。

本市の家庭用ごみ袋の料金は、全国平均よりも高くなっており、物価高騰の中で、家計の重い負担となっています。本市の家庭用ごみ袋は値下げするべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

家庭用ごみ袋の価格については、負担の公平性やごみ減量・リサイクルの行動を起こすきっかけづくりなどの観点を踏まえ設定しております。


次に、行財政運営・平和・民主主義について質問いたします。

第一は、ジェンダー平等についてです。

物価高騰の中で市ができる賃上げであるとともに、ジェンダー不平等の大きな要因である男女間の賃金格差の解消に向け、圧倒的多数が女性である会計年度任用職員の待遇を改善すべきだと思いますが、答弁を求めます。性暴力や性被害から子どもたちを守り、多様化した性や人権についての教育を進めるために、性交や避妊・中絶およびLGBTQ+などを含んだ包括的性教育を学校教育に導入すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。また、「生理の貧困」対策として、すべての学校と公民館や地下鉄の駅などの公的施設に生理用品を常設すべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

会計年度任用職員の給与については、性別にかかわらず、法に基づき適切に対処してまいります。

性に関する教育については、学習指導要領に基づき、正しい理解や、適切な行動をとれるよう、学校の教育活動全体を通して指導してまいります。

生理の貧困対策については、国の交付金を活用し、アミカスなどで生理用品を配布しております。


第二は、市の業務委託のあり方と行財政改革についてです。

本市はこの間のコロナ対策給付金事業を民間大企業に丸投げし、大幅な給付の遅れなど重大なミスが多発しても、一切反省なく続けています。この過程で再委託や労働者賃金の中抜きも行われており、このような大規模業務委託は縮小・廃止し、労働者の適切な賃金や待遇を保障する直接雇用に転換すべきだと思いますが、答弁を求めます。また、政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランは、大型開発を聖域にする一方で市民サービスを切り捨てるものとなっており、抜本的に見直すべきと思いますが、答弁を求めます。

(答)

業務委託については、今後とも行政による適切な管理のもと、専門的なノウハウを持つ民間を活用してまいります。

政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランについては、一体的に推進することにより、投資の選択と集中を図りつつ、歳入の積極的な確保や、行政運営の効率化、既存事業の見直しなど、不断の改善に取り組み、将来にわたり持続可能な市政運営を目指してまいります。


第三は、急速なデジタル化や「スマートイースト」についてです。

昨年度施行されたデジタル関連法は、行政機関などが保有する個人情報を企業のもうけのために利活用する仕組みづくりであり、自治体独自の個人情報保護の仕組みを抑制するものです。国言いなりに個人情報保護条例を改定することは許されず、市として、住民の自己情報コントロール権を強化する必要な独自規制を維持・充実させるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。また、市長が九大箱崎跡地で推進しようとしている「スマートイースト」は、AIやビッグデータ等の最先端技術を使って個人情報を勝手に利用する住民監視の街づくりにほかならず、やめるべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

個人情報の保護については、法の目的に個人の権利利益の保護が定められており、法の施行に必要な条例を整備するなど、引き続き、市民の個人情報が適切に保護されるよう取り組んでまいります。

「Fukuoka Smart East」については、様々な社会課題の解決に向け、最先端技術による快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、未来に誇れるまちづくりに取り組んでまいります。


第四は、自衛隊への名簿提供についてです。

市長は昨年も市民の反対を押し切り、対象者本人が知らないうちに自衛隊への名簿提供を強行しました。自衛隊は憲法が禁じる集団的自衛権の行使を容認され、海外で「殺し殺される関係」に投げ込まれる危険があり、本市の青年をそのような場に送り出すことは認められません。自衛隊への対象名簿の提供をやめるべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

自衛隊への募集対象者情報の提供については、情報の提供を望まない方を除外することとし、周知を図るとともに、自衛隊と個人情報の取扱いに関する協定を締結するなど、管理の徹底を図っております。


第五は、名義後援についてです。

本市は、昨年開催された「平和のための戦争展」の名義後援の申請を「不承諾」としました。市は「行政の中立性」をことさら強調しますが、昨年7月の安倍元首相の死去に際して行った市役所ロビーへの献花台設置などの対応は、「行政の中立性」を損なうものであり、まったく矛盾した態度に他なりません。「特定の主義主張」と断じて市民の自由な表現を制限する「名義後援の承諾に関する取り扱い要領」を抜本的に見直すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

名義後援については、特定の主義主張に立脚する事業を後援することで、福岡市がその主張を支持しているとの誤解を与えることがないよう、取扱要領に基づき、適切に対応してまいります。


第六は、マイナンバーカードについてです。

マイナンバーカード所持を事実上強制し、医療機関に負担と混乱をもたらす健康保険証との一体化に反対するよう国に求めるべきと思いますが、答弁を求めます。マイナンバーカードの押し付けをやめるとともに、カード保有者にサービスを限定・優遇する政策を行わないようにすべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

(答)

マイナンバーカードと健康保険証との一体化については、患者の利便性の向上などを図る観点から、国により進められているものです。マイナンバーカードはデジタル社会の基盤となるものであり、引き続き、普及促進に積極的に取り組んでまいります。


第七は、統一協会との関係についてです。

市が統一協会関連団体を表彰し、「市民公益活動団体」として登録したことに市民の批判が高まりました。今も被害者を生み出している反社会的活動を行う統一協会及びその関連団体との関係を持たず、その行事・団体の後援・登録・表彰・メッセージ送付を行わないようにすべきと思いますが、答弁を求めます。また、税金の免除などの優遇をやめるために解散命令をただちに請求するよう国に求めるべきではありませんか、ご所見を伺います。

(答)

旧統一教会やその関連団体への表彰などについては、条例や規則、要領などに基づき、今後とも適切に対応してまいります。また、宗教法人の監督については、国において適切に対応されるべきものと考えております。


第八は、平和の課題についてです。

核兵器禁止条約の批准を市長が直接国に働きかけるとともに、本市として非核平和都市宣言を行うべきではありませんか、答弁を求めます。また、昨年度、本市議会に提出された3万筆をこえる署名にこたえ、市として常設の平和資料館を建設すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。福岡空港の米軍による土壌汚染について、本市は調査・対策に要した費用まで負担しています。これはまったく道理がなく、直ちに税金の投入をやめるべきではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。また、福岡空港は2021年に米軍機の着陸回数が全国最多でした。板付基地の即時全面返還と福岡空港や博多港の軍事利用の中止を国と米軍に対して強く要求すべきと思いますが、答弁を求めます。自民党をはじめ、改憲をめざす勢力が進める憲法9条の改悪に反対すべきだと思いますが、答弁を求めます。

(答)

核兵器禁止条約に係る政府への働きかけについては、平和首長会議国内加盟都市会議として、政府に対し要請を行っており、核兵器のない世界の実現に向けて取り組むとする国の動向を注視してまいります。

非核自治体宣言については、これまで、福岡市議会において平和都市宣言が決議されているほか、福岡市として、「アジア太平洋都市宣言」において、国際交流活動を通して平和友好の推進に力を注ぐという姿勢を宣言するとともに、基本構想においても、日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくと謳っております。今後とも、これらの宣言などの趣旨を市政に活かしてまいります。

平和資料館の設置については、戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に正しく伝えていくため、博物館や「ふくふくプラザ」において戦時関係資料の展示を行っており、今後とも、その充実に努めてまいります。

福岡空港における土壌汚染の調査・対策については、国が滑走路増設事業に伴い実施するものであり、福岡市は、その費用の一部を、法に基づき負担するものです。板付基地の返還については、板付基地返還促進協議会を通して、引き続き国や在日米軍司令部に要望してまいります。福岡空港については、民間空港として広く利用されていることを踏まえ、今後とも市民生活の安全を確保するという立場で対応してまいります。また、博多港の利用については、入港目的が友好親善や乗組員の休養などの場合は、港湾管理者として適切に対応してまいります。

憲法のあり方については、国民的な議論のもとで検討されるべきものと考えております。


以上、市長および教育長等の誠意ある、かつ明確な答弁を求め、長時間のご静聴に感謝し、日本共産党市議団の代表質疑を終わります。


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