トップ > 議会報告 > 2022年予算議会> 教育長人事案件についての反対討論

議会報告

2022年予算議会

教育長人事案件についての反対討論

2022年3月25日 中山郁美議員

私は、日本共産党市議団を代表し、本議会に提案されている人事案件のうち、議案第78号、教育長の任命について同意できないことを表明し、意見を述べるものであります。

今回の教育長任命は、現職の星子明夫氏の任期満了に伴い、地方教育行政法第4条に基づいて行われるもので、同条項では「人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する」と定められております。この点に照らして、今回同意を求められている石橋正信(いしばし・まさのぶ)氏については4つの点で問題があると考えます。


第一は、現在の星子教育長のもとで行われてきた教育行政について、今年度1年間、教育次長として支え続けてきたことであります。

現在髙島市政のもとでマンション開発が事実上野放しにされ、市内の各地で過大規模校が出現し、子どもたちの学ぶ権利が侵害されてきたにもかかわらず、何ら有効な規制を行ってきませんでした。

子どもたちにとっては、一度きりしかない小学校・中学校での生活であるにもかかわらず、運動場では思い切りスポーツも遊びもできず、図書室で生涯の宝物となるかもしれない貴重な本に出会う体験は制限され、多目的教室などがつぶされ少人数での指導で学びを深める機会が奪われてきました。

にもかかわらず、“そのうち子どもが減るだろう”といういい加減な見通しのもとに、解消のための手立てを打とうとしてきませんでした。

また、年度当初から中学校と特別支援学校の約4割で教員の欠員を生じさせ、わが党は正規教員の抜本増などの見直しを求めてきましたが、それを無視し、同じ事態を繰り返してきました。教員配置に責任を持つという教育行政の基本すら実施できてこなかったのであります。

石橋氏は自らの「所信」の中で、こうした星子教育長のもとでの教育行政について、「教育次長として……教育長を補佐し、全力で取り組んでまいりました」と表明しており、その重大な責任を負ってきたことを認めております。


第二に、石橋氏は、髙島市政のもとで2014年から2018年まで子ども未来局長をつとめ、子どもたちの権利を保障してこなかったことです。

石橋氏の任期中、保育所に入れない子どもが2000人を超える実態になったにもかかわらず、認可保育所を抜本的に増やす手立てを取らずに詰め込みや規制緩和で対応し、高止まりで推移しました。多少は整備したと言い訳されるかもしれませんが、当時わが党が議会で取り上げたケースを見てみると、早良区・曙の自宅から西区・福重の保育所に子どもを預け、粕屋町の職場に行くなど、深刻な実態が市内各地で無数に起きていました。

また、子どもの貧困対策についても、わが党が貧困削減目標を設定することを繰り返し求めたにも関わらず頑として拒否してきました。

子どもの権利が侵害されているにもかかわらず、石橋氏が鈍い対応しかしてこなかったことがこうした経歴からも見て取れます。


第三に、石橋氏は「所信」において住宅・都市や観光・文化などの「行政経験を生か」すと述べているように、現在福岡市の学校教育を圧迫している開発行政の中枢を担ってきたことであります。

先ほども述べたように、福岡市各地で大規模な開発がすすみ、マンションが林立して、学校が次々パンクをしております。このような無責任な開発行政を、2013年は経済観光文化局理事として、2018年は住宅都市局長として担ってきたのが石橋氏でした。西区の九大学研都市、千早・香椎などの開発が進められてきたのであります。

とりわけ「天神ビッグバン」やウォーターフロント再整備などを推進し、まさに現在の髙島市政の開発政策の中心中の中心を担ってきた人物でした。

石橋氏は、市民生活を守るためにこうした開発を規制することには極めて消極的で、マンション紛争が市内各地で問題となり、わが党が議会で紛争予防条例を改正するよう求めても全く応じませんでした。これでは教育長になったとしても、過大規模校の解消のために、マンション開発を規制することに乗り出すなど、期待できようはずもありません。


第四に、ごまかしの答弁などを重ねてきたことです。

石橋氏が住宅都市局長だった時代に、髙島市長の悪名高いロープウエー構想が進められました。市長はロープウエーが風に耐えられる交通であることを市政だよりに載せて大宣伝したのですが、実際には、この数字はロープウエー本体とは関係のない、支柱など構造物の数字を使ったものだったことが市議会の審議で明らかになりました。石橋氏はそれを隠し、偽りの数字であたかもロープウエーが風に強い乗り物であるかのように装い、市長の無謀な計画を後押ししました。

また、こども未来局長の時代には、“福岡市の保育士の給与が全産業平均よりも高い”という、いま聞けば誰もが驚くような答弁を平然と行いました。これは、比較する事業所の規模を勝手に切り縮めて数字を作り上げたものでした。このようなごまかしの数字をも「根拠」の一つとして、本市の保育士の処遇を長年支えてきた、長時間保育手当・研修費・被服費など年5億円に及んだ市保育協会補助金を切り捨てたのであります。


これらを踏まえると、「人格が高潔」でなければならないという法の趣旨に照らしてみた場合、重大な疑義があると言わざるを得ません。

市長が教育長を任命する制度に改悪されたとはいえ、教育委員会は首長からの独立性が求められる制度であることは変わりありません。これは政治や行政によって教育が歪められ、子どもたちが戦場に送られたという歴史の教訓に基づいたものであります。福岡市のように、市長の開発優先の政治によって子ども施策を歪められる自治体の場合は、なおさらであります。この点についていえば、みてきたように、石橋氏のもとでは教育委員会としての独立性を確保することが困難だと断ぜざるを得ません。

よって、我が党は石橋氏の教育長任命には同意できないことを表明し、反対討論を終わります。(以上)


>>>「2022年予算議会」トップへ戻る

>>>「議会報告」一覧ページへ戻る

政策と活動
議員の紹介
トピックス
議会報告
市議会ニュース
リンク
お問い合せ

↑上へ