2022年予算議会
痴漢根絶、町内会についての条例、大規模業務委託のあり方をただす
2022年3月18日 綿貫英彦市議の総会質疑
日本共産党の綿貫英彦市議は、2022年3月18日、条例予算特別委員会の総会質疑に立ち、痴漢問題、町内会についての条例、コールセンターなどの大規模業務委託のあり方について市長にただしました。
痴漢問題について、福岡市がホームページで行なっている痴漢防止の啓発は、「見知らぬ訪問者」「夜道での警戒」「女性の一人暮らし」など“若い女性が知らない人から襲われる”というイメージが中心であり、県の指針などで「誤った固定観念」とされているものです。これまでにも市の啓発はインターネット上で「炎上」し、マスメディアでも問題にされました。
綿貫市議は、市の啓発が自己防衛・自己責任の中身に偏っており、市の防犯条例でも「自らの安全は自らで守る」ことを原則とするなど、不適切ではないかと追及しましたが、市民局長は認めませんでした。
綿貫市議は党県議団の痴漢被害のアンケートを紹介し、影響が長期にわたって続く深刻な人権侵害であると告発。ところが市は市内での痴漢被害件数さえ把握していないことが質問で判明しました。綿貫市議は9割が痴漢被害を届け出ていないという県鉄道警察の調査結果を示し、自己防衛・自己責任の強調や、痴漢を「迷惑行為」として軽く扱うやり方が、重大な人権侵害であるにも関わらず、声をあげにくくさせていると提起。市独自の実態調査や、相談・支援センターの増設を求めましたが、市長はいずれも応じませんでした。
こうした取組みの遅れの背景に、ジェンダー平等に対する髙島市政の不熱心さがあると指摘し、県の性暴力根絶条例にもとづき市として性暴力・痴漢根絶のための総合的な施策を求めました。
市長提案の町内会についての条例(共創による地域コミュニティ活性化条例)案は、第4条で「市民の役割」が定められ、市民は町内会などの地域活動への参加に「努める」とされています。また、第5条では「町内会等の役割」が定められ、その活動内容や運営のあり方を示して、努力義務を課しています。
綿貫市議は、これらの条項により、住民が町内会への参加を現場で押しつけられたり、町内会の活動や運営を縛ったりするものとして機能するのではないかとただしました。市民局長は否定しましたが、綿貫市議は専門家からも懸念が出ていると批判しました。
他方で、条例案には防災や福祉について公的責任の明記がありません。民生委員の推薦は市の仕事であるにも関わらず、実際には町内会に押しつけられ、候補者探しに膨大な負担がかかっています。また、災害時に援護が必要な人の避難計画作成も市の仕事でありながら、事実上町内会に丸投げされています。
綿貫市議は、こうした事実を示して、条例案によって市民や町内会へますます重い負担が押しつけられる危険があると批判。町内会の行政下請化を強化しかねない条例案の撤回を求め、町内会や市民の自主的活動を真に応援するよう市長に迫りましたが、市長は今の政策を「推進する」と条例案に固執しました。
非課税世帯への臨時特例給付金のコールセンターが民間営利企業(日本トータルテレマーケティング)に委託されていますが、市民が問い合わせをしても電話が全くつながりません。また、振込口座が記載されていない申請書類を5万件近く送付しています。綿貫市議は、これらは「(電話への)対応可能な人員を配置」「口座を記載」という契約を守っていないことになるのではと追及しましたが、保健福祉局長は否定し、「迅速・正確に業務を行うため、民間のノウハウを活用」などと実態無視の答弁に終始しました。
また、一昨年の10万円給付事業をめぐって住民監査請求が起き、市が民間企業(パソナ)との間の協議録を残さなかった点を批判する監査委員の「意見」がつきました。綿貫市議は、この「意見」にもとづいて、今回トータルテレとの間で協議録を作成したかと質問。
保健福祉局長は初め「作成した」と答弁。作成時期をさらにただすと「協議にあたって作成した」と答え、あたかも2月の協議の頃から作成していたかのように装いました。しかし、さらに綿貫市議が「市は『作成していない』と3月16日まで私に言っていたではないか。『作成した』という日付は一体いつか」と重ねて追及すると「3月16日」と答え、綿貫質問の前々日だったことが明るみに。実際には協議録は作成されておらず、綿貫市議の質問の通告を受けて、市があわてて直前に「作成」したことが浮き彫りになりました。
綿貫市議は、大企業の利権を保証してやるだけの大規模業務委託は縮小・廃止し、市の直営にするよう抜本的見直しを求めましたが、市長は「積極的に民間を活用する」などと答え、無反省な態度を示しました。