2022年予算議会
包括的性教育の推進、過大規模校対策を求める
2022年3月7日 松尾りつ子市議の補足質疑
日本共産党の松尾りつ子市議は、2022年3月7日、福岡市議会の本会議で代表質疑の補足質疑を行いました。性暴力や性被害から子どもたちを守り、多様化した性や人権についての教育を進めるために、性交や避妊・中絶およびLGBTQ+などを含んだ包括的性教育を行うべきだと求めました。また、過大規模校の問題を取り上げ、マンション開発の規制など、その解消についての具体的な提案を行いました。
包括的性教育とは、性器や生殖、性行動といった性の生物学・生理学的な面に加え、人間の心理的、社会・文化的な面も含めて、性を広くとらえる教育を行うことであり、国際的にも本流とされています。
松尾市議は質疑で市の性教育が、中学生までに、性交の過程や避妊・中絶を教えていないことを告発。性交を教えずに性暴力や性被害がどういうものなのかを理解することは難しいこと、また、子どもたちは友人やメディアなどからのフェイクも含めた性の情報にさらされていることを示しました。そのうえで、学習指導要領には「妊娠の経過は取り扱わないものとする」という「はどめ規定」があるが、文部科学省の担当者は「各学校でその必要性があると判断すれば、指導できる」と言っており、学校教育のなかで性交や避妊などについても教えるべきだと迫りました。
教育長は頑なに性交や避妊・中絶について教えることを拒否しました。
また、松尾市議は、近年、同性愛者や両性愛者、身体の性と心の性が一致しないトランスジェンダー、性自認や性的指向が定まっていないクエスチョニング等の性的マイノリティいわゆるLGBTQ+が広く知られるようになっているなか、市が作成し15年前に改訂された「性教育の手引き」にはそのことに一切記載がなく、時代遅れになっていることを指摘。ユネスコやWHOらが協力して作成した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を取り入れて「性教育の手引き」を全面的に改訂し、科学と人権に根差した包括的性教育を行うべきだと求めました。
教育長は、教員に対して研修会を行っているから大丈夫だと強弁し、「性教育の手引き」が時代遅れになっていることを最後まで認めませんでした。
市内の31学級以上ある小中学校、いわゆる過大規模校の多くは、抜本的な対策を取ることなく放置された状態です。平尾小学校は近隣にあったメルパルクホールなどが解体され、大型マンションの建設が続いて人口が急増し、今年度は37学級でパンク状態。また、草ヶ江小学校も九大跡地にJR九州の大型マンションが建設され、今年度は31学級、来年度は32学級になる見込み。舞鶴小学校にいたっては、児童生徒数が減少するという見込みで大名小学校、簀子小学校と統合し、舞鶴中学校と一体型の小中連携校として2014年に新設されましたが、その見込みが大きく外れて過大規模校となっています。さらに中規模の学校でも、教室不足によりパンクしている小学校が5校、中学校が4校も中央区にあることを指摘しました。
松尾市議は、このような見込み違いや過大規模校があいつぐ原因は、市長が都市開発ばかりを考え、いきすぎた呼び込みを進めたせいだと告発。他都市が地域を決めて住宅開発の抑制をしている例を挙げ、このような規制をすべきだと求めました。
教育長は、他都市での規制はあくまで協力依頼であり、実効性がないと答弁。しかし、そもそも市は協力依頼すらしていない状況です。
松尾市議は、過大規模校解消のために分離新設や移転などあらゆる手立てを取ることと合わせて、新たな過大規模校をつくらないためにマンション開発を規制する条例等をつくることを提案しました。