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議会報告

2022年予算議会

2月議会反対討論

2022年2月21日 松尾りつ子の反対討論

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第1号ないし3号、5号、7号、9号ないし15号、19号ないし21号に反対し、討論を行います。


まず、議案第1号「令和3年度福岡市一般会計補正予算案(第7号)」のうち、スポーツ振興基金積立金についてです。

これは、2023年開催予定の世界水泳選手権福岡大会について、今年度中に受領する寄付金や新年度以降に受領見込みの公的助成等の相当額を開催準備経費の財源とするため、「福岡市ユニバーシアード福岡大会記念スポーツ振興基金」への積み立てを行うとして、42億円の増額補正を行うものです。

世界水泳福岡大会については新型コロナウイルス感染症のパンデミックが収束の見通しもないもとで開催を強行すべきはないという声が市民から広範に上がり、わが党は以前からその中止を求めてきましたが、髙島市長は耳を貸さず、かける費用を当初の90億円から180億円へと2倍に膨れ上がらせ、開催強行に突き進んできました。ところが、オミクロン株によるかつてない感染拡大により世界水泳自体が再延期を余儀なくされ、警告を無視してきた市長の不見識が無残な形であらわになりました。

しかし市長は事業を中止するどころか、またしても無反省に開催を引き延ばしたのであります。それだけではありません。開催が近づいても一向に盛り上がらない市井の雰囲気に焦り、授業というルートを使って世界水泳のビデオを子どもたちに見せるよう学校現場に市として通知を出したのであります。しかも、あろうことか「福岡市ってすごい街」というタイトルをつけて自分の市政を大宣伝する授業の展開例まで添付して現場に押しつけました。あいた口がふさがりません。ここまでしなければ機運を醸成できない無理筋のイベントは、きっぱり断念すべきではありませんか。

外から人を呼び込むという経済のあり方は、パンデミックを受けて持続可能ではないことが明らかとなり、世界中で根本的な見直しを迫られています。髙島市長はこの古い経済政策にいまだにしがみつき、性懲りもなくG7誘致など新たな呼び込みを狙っています。

そんなことをしている場合ではないのです。17日付の西日本新聞の1面トップは、コロナの第6波により、高齢者を中心に死者が最悪ペースで推移しているという報道でした。いま足元で起きている事態に対処し、あらゆる資源を投入して市民の命を守るよう厳しく要求しておくものです。

次に、議案第15号「福岡市科学館特定事業に係る契約の一部変更について」です。

この議案は、PFI方式で民間企業に整備・運営管理などを委託した福岡市科学館において、コロナ対策を講じるための要求水準の変更があったという理由で、市が委託企業に支払うサービス購入費を2364万円引き上げるというものです。この委託企業は、凸版印刷やNTT ファシリティーズなど大企業が出資し、西日本シティ銀行や福岡銀行が融資している特定目的会社であります。

もともと科学館は来場者が相当多く見込まれる、いわゆる「ドル箱」の施設であり、実際にコロナ以前の開館初年度は見込みの3倍、次年度も倍近くの来場者があり、利益は当初計画よりも大幅に上乗せされてきました。「パンデミックは想定外だった」と市は言い訳していますが、かねてより市は「新型インフルエンザ等対策行動計画」を策定してきたことからもわかる通り、パンデミックに備えることはあらかじめ想定されたリスクであり、そのために貯め込んだ利益を使うことは、公的な施設として当然求められるところであります。

コロナのもとで苦しんでいる地元の零細業者への支援金については、わが党がくり返し対象を広げるよう求めても冷たく拒否してきたのに、大企業が加わる運営会社や背後にいる銀行の話となれば、途端に大盤振る舞いで契約価額を引き上げるなどというやり方は許されるものではありません。特定企業を儲けさせるだけの税金の浪費に、わが党は賛成することはできません。


次に、議案第1号「令和3年度福岡市一般会計補正予算案(第7号)」に含まれているもののうち、わが党が賛成する事業についても意見を述べておきます。

一つ目は、保育士等の処遇改善についてです。

これは、国の「保育士・幼稚園教諭等 処遇改善 臨時 特例事業」などを活用して、全額国庫負担で、保育従事者等を対象に、賃金を月額9000円引き上げるために2億770万円余を増額補正するものです。

わが党は、保育士の賃金がそもそも全産業平均と比べ月額で約7〜8万円も低く9000円の賃上げでは到底足りないこと、また、子どもの発達を最低限保障するために現場では国の基準より多い人員が配置されており、杓子定規に基準通りの人員で計算すれば実際に保育士1人にわたる賃上げ分はさらに低いものになることなどを指摘し、抜本的に引き上げるよう国に求め、市独自にも手立てをとるよう提案しました。

しかしながら、市長はこれに応じる姿勢を見せませんでした。女性が多く働くケア労働者の処遇を改善することは、ジェンダー平等を実現させながら、賃上げでの成長を実現するとともに、パンデミックなどの危機に強い経済をつくるきわめて有効な施策です。市として大幅な賃上げのための手立てをとるよう求めておきます。

また、同様の特例事業を活用して、留守家庭子ども会の支援員の処遇改善を行うよう、わが党は教育長に提起しました。委員会審議でもわが党は要求し、教育委員会は、この事業を活用して補助員については報酬を時給950円から1020円に引き上げることを表明しました。これは一歩前進であります。

しかし、支援員の賃金については、教育長は繰り返し「適正な水準だ」などと答弁し、国の事業を活用することを頑なに拒否したのであります。支援員はワーキングプアと呼ばれる水準、年収200万円以下の人がほとんどです。およそ「適正な水準」とは言えません。教育長は他の自治体や民間の支援員との均衡ばかり気にしているようですが、学童保育の支援員は日本のどこであっても処遇が劣悪だから改善しようというのが、今の大きな流れです。そのことを踏まえて、根本的な処遇改善に踏み出すよう求めておきます。

二つ目は、新型コロナウイルス感染症対応についてです。

これは、ワクチン接種の実施、健康観察等フォローアップ事業、検査費用の公費負担など、新型コロナウイルス感染症対応として、約21億円を増額補正するものです。

わが党は、高齢者の迅速なワクチン接種のために、コールセンターの回線増強や人員体制の強化を市の責任で行うこと、高齢者が行きやすい身近なクリニックなどでの接種を促進する手立てをとること、学校現場で1人でも感染者が出ればクラス全員の検査を行うこと、原則自宅療養の方針を撤回し、臨時の大規模医療・療養施設を設置するよう県と協議すること、市独自の検査能力の抜本的拡充、保健所職員の定員の抜本的増強などを提案しました。

いずれも市長・教育長は応じない姿勢を見せましたが、検査の引き上げ目標すら持たないというのでは岸田政権同様、「なりゆきまかせ」の無責任な姿勢であると言わざるを得ません。

高齢者のワクチン接種について、各区の接種会場は予約が先の先まで埋まり、他方、クルーズセンターではかなりの空きがあることが委員会審議で明らかになりました。さらに、59歳以下の前倒し接種が始まり、いよいよ高齢者の予約・接種は難しくなる恐れがあります。わが党が指摘したように、高齢者が身近な地域で接種できるような制度設計の見直しが切実に求められております。

また、検査については、審議の中で市は「検査資源が足りない」などという言い訳を繰り返しましたが、日本の人口当たりのPCR検査数は、イギリスの23分の1、フランスの9分の1、アメリカの8分の1しかありません。経済大国である日本で足りないのは資源ではなく、やる気であることは明らかです。

厚生労働省アドバイザリーボードの16日の報告書では「療養者数、重症者数及び死亡者数の増加が継続している」と明記されており、とくに死亡者数は最悪を更新するなど、コロナ危機が始まって以来一番深刻になっています。オミクロン株の特性にあわせ、検査、ワクチン、医療、暮らしの支援をパッケージとして全体像を示すよう求めておきます。

次に、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保に係る業務委託についてです。

今議会に提出された議案では、新型コロナウイルスワクチンの追加接種の迅速化のために、接種の前倒しを行うとして約12億8000万円の増額補正を計上しました。福岡市はこの事業を日本トータル テレ マーケティング株式会社に一括して委託しています。

例えばこの中には、コールセンターの業務も含まれております。

インターネットに不案内な高齢者は電話で予約せざるを得ませんが、電話してもなかなかつながらないという声がわが党にもたくさん寄せられました。多少回線を増やしたようですが、つながらないという状況はなかなか改善されず、予約自体をあきらめるという事例さえもありました。これは事実上接種の機会を奪われるという深刻な問題です。以前もこの企業に委託し、回線の不足により電話がパンクしたため予約に大きな混乱がもたらされました。その根本的な反省もなく、このような事態を引き起こした企業に、再び委託をするというのは、まことに異常であります。

委託企業のもうけを優先し、市民の命と暮らしを守るという市の本来の仕事をないがしろにしていると言われても仕方がありません。

委員会審議においてわが党が追及したところ、市の責任を認めました。そうであるなら、その反省に立って、ワクチン接種という市民の命に直結する非常に重要な業務について、委託というやり方を改め、市が直接事業を行うよう要求しておきます。

以上でわが党の討論を終わります。


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