2022年9月議会
9月議会反対討論
2022年9月14日 倉元達朗議員
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第148号、149号、151号、154号、155号、161号ないし163号、165号、172号および173号に反対し、討論を行います。
まず、議案第172号および173号「埋立造成地の処分について」です。
本議案は、人工島埋立事業において造成した土地のうち、「まちづくりエリア」北側部分の複合施設用地4万1136平方メートル、および住宅用地15万4600平方メートルを処分するためのものです。
そもそも人工島事業は、当時の市長が「市民の税金は一円も使わない」と言明して始まりました。すなわち市が銀行からお金を借り、そのお金で埋立てを行い、埋立てで造成した土地を売って得たお金を銀行に返すというスキームでしたが、この枠組みは崩れ去り、巨額の税金投入が行われてまいりました。今議会でも、今後の予定をあわせて総事業費は約3940億円にものぼることが明らかとなりました。
人工島事業が始まってから土地分譲の合計額は1979億円ですが、そのうち市の取得合計は約731億円となり、実に4割近くもの土地を市が買い支えてきたことが審議の中で判明いたしました。市民の強い反対を押し切って移転されたこども病院の建設に185億円、青果市場の移転に363億円、総合体育館には157億円など、莫大な税金を使って無理やり人工島に移転・建設してきたのであります。これに加え、人工島の利便性を高める、すなわち土地を売れやすくするために、都市高速道路の延伸を行い、391億円がつぎ込まれました。
それでも売れない土地を売りさばくために、人工島に進出して土地を買ってくれた企業には最大で30億円もの立地交付金という「プレゼント」までつけ、その総計は約238億円に達することも質疑の中でわかりました。
さらに、「住宅市街地総合整備事業」によって、本来開発事業者の負担となるインフラ整備についても国・市が肩代わりするという特別扱いが行われ、その累計総額は約369億円にも及びます。
しかも、本市が51%出資している第三セクター・博多港開発株式会社は、人工島の東半分である「まちづくりエリア」を埋め立てて事業展開する予定でしたが行き詰まり、市は399億円の税金を投入して東側北半分の埋立権の買い取りをしてまで事業の継続を図ったのであります。さらに、3回の増資、緊急融資も行なっております。
今後も、野鳥の豊かな海・干潟を埋立てで壊して、再び野鳥を呼び戻すために建設するという本末転倒の「はばたき公園」に28億円もの税金投入が予定され、土地の利便性を高める、すなわち土地を売りやすくするために250億円をかけての鉄軌道の導入も狙われております。
まさに「税金を食べる島」が人工島事業の歴史だったのであります。
市長は「アイランドシティ完売! 150億円の黒字」などと記者会見まで開いて大宣伝しておりますが、土地の4割を税金で市が買い支え、残った売りやすいところは、進出した企業には目もくらむような破格のプレゼントやインフラ整備コストの肩代わりという異例の特別扱いをほどこしてきたのであります。そんなエリアが本市の中で他にあるでしょうか。残った売りやすい土地だけを集めて、ようやく黒字が出たことを、あたかも人工島事業全体が成功したかのように市長が喧伝しているのは、事実とは異なり、事業の破綻を覆い隠そうとするものに他なりません。
無反省のままの破綻した事業を前提にした本議案にわが党は反対いたします。
続いて、わが党が賛成するもののうち、いくつかの議案について意見を述べておきます。
まず、議案第148号「令和4年福岡市一般会計補正予算案(第3号)」のうち、「検査・入院費用の公費負担」についてです。
この補正は、医療機関が保険診療で実施した新型コロナウイルス感染症に関するPCR検査・抗原検査の自己負担相当額の公費負担を行うものです。
わが党が質疑で明らかにしたように、コロナ「第7波」において、検査そのものを受けられない市民が続出しました。その原因の第一は、身近に発熱外来があっても患者が殺到するなど発熱外来が崩壊していることによるものです。原因の第二は、人員不足によって医療機関の逼迫が生じていることによるものです。わが党は、こうした状況を打開しなければいくら検査の公費負担を打ち出しても実効性あるものとはならないと指摘しましたが、市長は手立てを打とうとしませんでした。検査の公費負担自体には賛成ですが、大規模な発熱外来の設置を急いで県と協議するとともに、市独自の設置を改めて求めておきます。
次に、議案第153号「商工金融資金制度に関する損失補償に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例案」についてです。
本条例案は、福岡県信用保証協会に対して市が有する回収納付金を受け取る権利の放棄に関する事項を定めたものです。
コロナ禍のもとでの中小企業者の過剰債務は大きな社会問題となりつつあり、本条例案の範囲にとどまらず、債務の返済の免除・軽減・猶予の枠組みを市として国に強く求めるべきであります。
加えて審議で明らかになったように、コロナや物価高騰の影響が本市の中小業者を襲っており、市が中小企業振興審議会に提出した「中小企業振興に関するアンケート」では「福岡市に望む施策」として「補助金などの資金調達」がトップにきています。手元にお金がなく困窮している実態がひしひしと伝わってきます。従って家賃や光熱費への助成など直接支援、さらに国民健康保険料の減免などの手立てを取るよう重ねて要求しておきます。
以上で、わが党の討論を終わります。
以上