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2022年5月臨時議会
5月臨時議会賛成討論
2022年5月20日 山口湧人市議
私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております議案第87号令和4年度一般会計補正予算案(第1号)に賛成し、討論を行います。
本議案は、政府の「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」を本市で具体化するために、約27億円を増額補正するものです。
コロナ禍で困窮している子育て世帯を支援するために、一刻も早くこの給付金を届けるべきであるというのがわが党の立場であり、本議案に賛成いたします。
同時に、審議で明らかになった、いくつかの不十分な点について述べておきます。
第一に、今回給付金の線引きでは対象が狭すぎるという問題です。
今回の給付対象は低所得のひとり親世帯、つまり児童扶養手当の受給世帯および児童手当か特別児童扶養手当の受給者で住民税均等割が非課税である世帯については申請せずとも口座に振り込まれ、また、住民税が非課税で高校生のみ養育している世帯や直近の家計急変世帯は申請が必要であるとされています。これらの世帯が物価高騰のあおりを受けており、その生活を支援するためにも給付金が必要なのは当然です。しかし、今苦しんでいるのは子育て世帯だけではありません。わが党の追及で明らかになりましたが、異常な物価高の影響は広い市民に及んでおり、1年前と比べ年収200万円未満の家庭では3.9%もの消費支出の上昇になっており、高齢者や非正規労働者等も困窮している実態があります。わが党が物価高騰対策を広範な市民に対してやるべきだと求めたのに対し、局長は子育て世帯以外への支援はこれまでやってきた施策で十分であるかのような答弁をおこないました。しかし、今の物価高騰は今年の4月ごろからはじまったものであり、全く理由になっておりません。
したがって、低所得の子育て世帯に限るという今回給付金の線引きは問題であり、今回給付対象とならない困窮世帯に対して、市独自の給付金等の実施をおこなうことを強く求めます。加えて、国に対し、対象を拡大した給付金の実施、消費税5%への減税、大企業の内部留保課税などの手立てをとって、賃上げ対策をおこなうことを求めるよう、要望しておきます。
第二に、給付金業務の大規模業務委託は、事業の遅れなど、業務の遂行が適切におこなわれない危険性が高いという問題です。
この間、従来の給付金事業やワクチンの大規模接種業務等において、大企業や大手派遣会社への大規模業務委託が行われるなかで、業務の遅れをはじめとした様々な問題が生じています。日本トータルテレマーケティング株式会社へ業務委託をおこなっている非課税世帯給付金業務では、わが党の追及で、政令市の中で最悪と言える給付の大幅な遅れ、コールセンターの機能不全、現場作業を議員にも見せないなど、あまりにもでたらめな業務の実態が明らかとなりました。給付の大幅な遅れについて、局長も議会で謝罪する事態となりました。まさに給付金業務等の大規模業務委託は誤りであることが浮き彫りになっております。わが党は審議のなかで、大規模業務委託はやめて、直接雇用で給付業務を進めるほうが、経費削減にも、正確な業務にもつながると主張し、これを求めました。しかし局長は、これを頑なに拒否し、民間企業にはノウハウがあり、既に同様の給付金を手掛けているから等の理由を述べて、給付金業務の民間委託を正当化しました。これは、全く実態のない民間万能論です。
今回の予算補正でも、これまでの給付金同様、1億7800万円余の「委託料」で株式会社パソナへ随意契約をするということが、わが党の追及で明らかになりました。さらには、今回の「委託料」は市が見積もりを作っておらず、業者の言い値で人件費などを積算しており、全く杜撰な金額設定をしていることが委員会審議で明らかになりました。パソナは2年前の特別定額給付金事業で大幅に作業を遅らせ、市職員の大量動員で穴埋めしてもらったのに、委託費の返還もしなかった曰くつきの企業であり、委託費の返還を求める住民監査請求さえ起こされた企業です。このような企業に、今回の子育て世帯給付金の業務を随意契約で委託することは、事業の遅れなど、今回も業務の遂行が適切に行われない危険性が非常に高いと言わざるを得ません。特に、物価高騰の影響で困窮がひろがり、給付金の受給に申請が必要な家計急変世帯が増えることが予想されるなか、給付の遅れは死活問題につながります。そもそも特定の大企業のもうけを保障する大規模業務委託は、大企業の内部留保を増やすだけで、地域経済の振興には全く役に立ちません。また、民間委託に頼ることは、自治体の公務労働のあり方を変質させ、大きく後退させるものです。今回を機にこのようなやり方は見直し、正規の直接雇用を基本とすべきです。
したがって、今回の子育て世帯給付金について、パソナをはじめとする大企業への業務委託はやめることを強く要求しておきます。
以上でわが党の賛成討論を終わります。