2022年6月議会
「非核三原則の堅持および核兵器廃絶に向けて主導的な役割を
果たすことを求める意見書案」への賛成討論
2022年6月22日 中山郁美議員の賛成討論
私は、日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております意見書案第 号、「非核三原則の堅持および核兵器廃絶に向けて主導的な役割を果たすことを求める意見書案」に賛成し、討論を行います。
ロシアのウクライナ侵略に乗じて、「力対力」で戦争への危険な道をすすむのか、「外交による平和」をつくるのか、日本も世界も重大な岐路に立っています。
核兵器をめぐっても、この2つの道が鋭く問われています。
ロシアのプーチン大統領は核兵器の先制使用による脅しを公言しており、断じて許されるものではありません。
こうした動きに対して、同じ核兵器によって対抗しようとする道と、全世界から核兵器を緊急に廃絶する道と、どちらを選ぶかが日本と世界に突きつけられています。
自民党の安倍晋三元首相、高市早苗政調会長などは核兵器の共有や非核三原則の見直しのための議論を強く促しています。
北大西洋条約機構、NATOで行われている核共有では、ヨーロッパに150発も配備されているB61という核爆弾を戦闘機に積んで、アメリカの許可とヨーロッパ諸国の同意のもと、実際に使用する計画がつくられています。
もし日本で核共有が行われれば、在日米軍基地あるいは自衛隊基地に米軍の核爆弾を貯蔵・管理する施設が造られ、自衛隊は核攻撃能力のある戦闘機を保有することになります。自衛隊には核爆弾を運用する部隊が創設され、核を使用するための訓練や演習も実施されることになるでしょう。そうなれば、非核三原則が禁じた「核持ち込み」などというレベルをはるかに超えて、自衛隊が核攻撃に参加することになります。
さらに言えば、そもそも自民党などは「拡大抑止」と称して、いわゆる「核の傘」、すなわちアメリカによる核兵器の抑止力を当然視する政策をとり続けています。
核兵器の共有にしろ、核兵器の抑止力にしろ、これらは「いざとなれば核兵器を使って広島・長崎のような非人道的な惨禍を味わわせることをためらわない」という政策に他なりません。核兵器の使用を前提にした核抑止の強化、さらには核共有などという政策は、被爆国の政党、政治家として恥ずべきものです。
国際社会は、「戦争にはルールなどない」「戦争に勝つためならどんな非人道的で残虐な兵器でも使ってよい」という考えを長い時間かけて克服し、国際人道法の確立や非人道的な大量破壊兵器の禁止を、一歩一歩実現させていきました。
核兵器はこの世で最も非人道的で残虐な兵器でありながら、戦後長く、保有も使用も禁じられてきませんでした。
しかし、77年前にアメリカの広島・長崎への原爆投下という惨禍を体験した被爆者のみなさんが、核兵器は「人間として認めることのできない絶対悪の兵器」とその非人道性を告発し続けてきた結果、ついに2017年に核兵器禁止条約となって実ったのであります。条約の前文には「あらゆる核兵器の使用は、人道の諸原則及び公共の良心にも反する」と、被爆者が訴えてきた核心が書き込まれています。
非人道性が認められたということは、使用や威嚇はおろか、存在自体が許されない兵器だと断定されたということであります。そうである以上、核抑止や核共有を認める余地はどこにもなく、緊急に全廃することこそ唯一の解決策であります。先ほど挙げた、核の先制使用をいとわない立場を公言するプーチン大統領の言動を見ても分かる通り、「核抑止力」論の前提は崩れつつあり、核戦争の危機を取り除くためには、核兵器をすみやかになくすしかありません。日本が唯一の戦争被爆国としてその先頭に立ち、核兵器禁止条約に参加することこそ強く求められます。このことは2019年9月24日に本市議会で採択された核兵器禁止条約の締結を求める意見書でも明らかにされております。
この時期に日本政府として「核兵器廃絶に向けて主導的な役割を果た」そうと思えば、昨日からオーストリアのウィーンで開催されている核兵器禁止条約の第1回締約国会議に、少なくともオブザーバーであっても参加し、核兵器の非人道性、不使用、完全廃絶を訴えるべきでした。
このことは本市議会でも2021年10月8日に意見書を採択し、国に強く求めてきました。広島・長崎の市長、国際NGO、そして高校生平和大使など市民社会が締約国会議に次々詰めかける動きを見せる中で、日本政府が不参加を決め込んだことは本市議会としてもおよそ認めがたいものであります。朝日新聞の社説が「歴史的な初会合に日本政府の姿がないのは明白な過ちだ。ドイツや豪州などのようなオブザーバー参加もしない被爆国の態度は、参加国を落胆させるに違いない」と指摘し、本日の西日本新聞1面の解説記事でも「核兵器を違法化した初の条約の取り組みを具体化させる最初の会議に、唯一の戦争被爆国が姿を見せなかった『歴史的失策』の挽回は至難といえる」と厳しく批判したことはまことに当を得たものであり、日本政府は「核兵器廃絶に向けて主導的な役割」を果たしていないと言わざるを得ません。
戦争か平和かが鋭く問われているこの時期に非核三原則の堅持、および核兵器廃絶に向けた日本政府の主導的役割の提起を、市議会が国に対する意見書として採択する意義は大きいと考えます。わが党は、核兵器の廃絶のために一貫して努力し、それを党の綱領に明記する政党として、核兵器廃絶を真に推進する立場から、本意見書案に賛成するものであります。
以上をもちまして、わが党の賛成討論といたします。