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議会報告

2021年予算議会

予算組替え動議の提案理由説明

2021年3月25日 倉元達朗議員

私は日本共産党市議団を代表して、「議案第30号令和3年度一般会計予算案の組み替えを求める動議」について、その提案理由の説明を行います。


政府は、緊急事態宣言を解除したものの、感染の下げ止まりは全国的に顕著であり、本市においても例外ではなく感染再拡大・リバウンドの危険性をはらんだ状況が続いています。感染力の強い変異株の流行も深刻な形で広がっています。ワクチンは新型コロナウイルス感染症収束にむけた有力な手段だとはいえ、接種が予定どおりに進むのか、ワクチンの効果が長期にわたって続くかは不明で、新年度中に集団免疫に達する見込みはありません。

また、コロナが長期化するもとで、多くの中小企業が廃業の危機にひんしており、完全失業者もコロナ前(まえ)に比べ増えています。2度目の緊急事態宣言とその延長により、状況はさらに深刻になっており、現下の事業と雇用の危機は、放置すれば「コロナ恐慌」を引き起こしかねない最悪の状況です。

引き続きこの感染症から市民の命と暮らしを守ることは最優先の課題ですが、髙島市長が編成した2021年度予算案は、新型コロナにより経営に深刻な打撃を受けている中小企業・小規模事業者への支援策や医療・介護・障害者施設への無料検査の実施などが盛り込まれているものの、こうした情勢を十分に考慮したものではありません。

市長が必要な手立てを打とうとしない今こそ、感染拡大防止によって市民の命と健康を守ることに最大の力をそそぎつつ、現下の経済危機からどうやって市民生活を防衛していくか、その立場で予算案と施策を厳しくチェックすることが、我々議会には求められているのであります。


第1に、医療・検査体制の充実、医療機関や介護施設その他の福祉施設への減収補填など、新型コロナウイルス感染症の影響から市民生活を防衛するためのあらゆる手立てをとるべきです。

新規の感染者が一定減少している今こそ、市中の無症状感染者を徹底して拾い上げ保護する検査戦略の確立・実行が急務であります。感染源そのものを減らすために、感染急増地域の住民全体を網羅した面的検査を抜本的に拡充すべきです。政府の専門家分科会は高齢者施設の職員への定期的な検査への支援を提起しており、本市でも実施されていますが、専門家が共通して指摘しているように、週1回程度の定期的な検査が必要です。また、学校や保育園でもクラスターが発生していることは重大であります。医療・介護・障害者施設への無料検査の頻度を拡充するとともに、入院患者や入所者、子ども関連の施設にも広げる必要があります。市長は、検査資源に限りがあるなどとして、これらを拒否し続けていますが、1日7600件の検査能力があるのに、能力の1割しか活用しておらず、まったく道理がありません。

コロナによる医療機関への打撃は、感染者を受け入れている・いない、に関係ありません。地域全体を連携しながら支えている医療機関や介護・福祉施設その他の福祉施設への減収補填を市独自に行うなど、新型コロナ感染症を防止するためあらゆる手立てをとることがまさに求められております。


第2に、コロナで苦境に立つ市民や中小・零細事業者への支援の充実などを行い、経済危機から市民生活を守るべきです。

市内在住の学生に特別給付金5万円が支給されますが、対象は市内に在住し本人・保護者が住民税非課税相当の世帯に限定されています。学生の中でわずか1割程度です。これでは「バイトのシフトが激減して生活が苦しい」「食事の回数を減らしている」など、深刻な生活困窮に追い詰められている多くの学生にいきわたらず不十分です。本市独自に市内の学生約10万人に3万円を給付する「学生応援プロジェクト」を創設するなど、学生の生活支援を行うことが必要です。このように学生支援1つをとってみても、困窮する市民への支援は足りていないのであります。

昨年の企業の休廃業が全国で前年比14%増となり、統計開始以来最多を更新したことにみられるように、飲食業はもとより小規模企業者・零細業者全体がコロナ禍で大きな打撃を受けており、事業継続は危機的な事態に陥っています。こうした状況にかんがみれば、国・県・市の支援策は事業継続ができるだけの十分な補償とは到底言えず、地域経済を維持する立場で、影響を受ける業種が広く救済される支援へと見直すべきです。文化芸術に携わる人の困窮が深刻さを増しているのに、髙島市長は新年度、九州交響楽団に対する助成金を200万円減額します。この1年を振り返っても、市長の文化・芸術団体への直接支援はほとんど無策と言っていい貧弱なものです。その上、新年度は冷たく切り捨てようとしているのであります。人間が生きていくうえで必要不可欠な糧である文化・芸術活動を救うため本市独自の直接支援を抜本的に充実すべきであります。


第3に、社会的距離を保ち、子どもたちのストレスに対応する「35人以下学級」については、必要な予算を確保し、教員を抜本的に増やして実施すべきです。

教育委員会は新年度より、1学級の児童生徒の人数を35人以下にするとしていますが、暫定であることに加え、教員を増員せずに現在配置されている加配教員を担任に振り替えることで実施しようとしています。少人数指導やチーム・ティーチングなどに配置されている教員がクラス担任に振り向けられてしまえば、授業への支援が手薄になり、コロナによって生じた学力格差がますます開いていくことが懸念されます。学習指導要領の全面実施により増加する授業時数やコロナ感染対策など、増え続ける学校業務をチームワークで支えてきた加配教員を引きはがせば、教員一人一人の負担が増えることになります。教員の多忙化に拍車がかかることは明白です。教員を増やすことこそ、「35人以下学級」の効果をさらに高めることになるのです。

最後に財源について述べます。まず、不要不急のインバウンド、並びに大型開発の経費見直しについてです。本市負担が当初見込みの35億から95億円に膨れ上がった世界水泳選手権・福岡大会は、コロナの収束が見通せないのに開催にしがみついています。人工島事業についても、コロナの影響に基づく見直しを全くしておらず、年間の国際コンテナ取扱量が目標の130万TEUには遠く及ばないのに、基盤整備だけで60億円も費やそうとしています。立地交付金も含めると120億円にのぼります。これらに加え「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」、ウォーターフロント再整備など、コロナ禍によって不要不急であることが明らかとなった施策は抜本的に見直すことが必要です。さらに、新年度予算に計上されている予備費20億円や財政調整基金も活用すべきです。


これらについては市政に対する従来の立場があり、考えの相違があります。しかし、コロナのもとでその違いを脇に置き、これらをいったん停止して、検査や補償、手厚いケアを最優先させることが重要です。一般会計予算案の組替えの方向は、立場の違いを超えて一致できるものであると確信しております。


議員各位のご賛同をよろしくお願いいたします。


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