2021年予算議会
子育て世帯生活支援特別給付金への賛成討論
2021年3月26日 綿貫英彦市議の賛成討論
私は日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております議案第111号、令和3年度福岡市一般会計補正予算案(第1号)について、新型コロナウイルス感染症の影響で、引き続き生活困窮が深刻となっているひとり親世帯などへの支援の緊急性を踏まえ、賛成の立場で討論を行います。
本議案は、新型コロナの影響が長期化する中で、児童扶養手当を受給しているひとり親世帯をはじめ、新型コロナの影響を受けて家計が急変するなど、収入が児童扶養手当の対象となる水準に下がった世帯などを対象に、「子育て世帯生活支援特別給付金」を支給するものです。これまで、政府は2度に渡って、ひとり親世帯に限り「ひとり親世帯臨時特別給付金」を支給してきましたが、今回は、低所得のふたり親世帯を対象に含めるとともに、第2子以降は1人3万円としていたところを、児童1人あたり一律5万円支給するなど制度が拡充されております。
この間、ひとり親世帯はもちろんのこと、低所得で子育て中のふたり親世帯からも、「仕事が激減し収入が減って困っている」「子どもの受験のために費用がかかり、食費等を削らざるを得ない」「生活福祉資金の貸付で何とかしのいでいる」などの声が多数寄せられています。コロナで収入が激減している世帯に、一刻も早く給付金を届けることは、行政に課せられた重大な責任であります。
しかし、ひとり親世帯については、児童扶養手当の支給とあわせて4月末から順次支給する予定としていますが、ふたり親世帯については、国の制度設計が遅れているために、6月以降になる見込みということが委員会審議で明らかになりました。新年度予算案の審議中に補正予算案を提案するという異例のやり方で急いで進めたにもかかわらず、申請に基づく支給開始が6月以降になるというのはあまりに遅すぎると言わねばなりません。
また、市は、給付金を支給する対象となる低所得のふたり親世帯は、児童手当を受給している世帯のうち住民税非課税の約16,000世帯を想定して予算を計上していますが、その支給にかかる相談や申請受付、審査などの実務作業は民間に委託しようとしています。昨年の1人10万円の「特別定額給付金」の支給業務は、事業の完了期間も仕様書に明記しないなど、(株)パソナとのずさんな契約が明らかとなり、パソナは業務に必要な人員を確保できず、市職員がその尻拭いをさせられ、給付金の支給に重大な遅れをもたらしました。このような業務委託のあり方について、何らまともな検証も反省もせずに、今回の給付金業務をまたも民間に委託するというやり方は問題です。同じ過ちを繰り返さないためにも、市職員を臨時で直接雇用するなどして十分な体制を整え、対象者に分かりやすく丁寧な制度周知を行い、簡素な手続きで迅速に支給を行うことを強く求めておきます。
今回の給付金は、支給対象も額も従来のものよりは多少拡充されておりますが、住民税非課税世帯などに未だに対象を限定しており、新型コロナの影響で大幅に減収となり生活困窮に陥っている人全体を網羅しておらず不十分です。国会において、わが党は、経済支援策として、学生や個人事業主、フリーランスをはじめ、ホームレスなど住所が確定していない人なども含めた生活困窮者に1人10万円を支給する「コロナ特別給付金法案」を野党共同で提案しました。コロナの影響が長期化することが見込まれる中で、生活困窮者への継続的な支援が必要であります。国に任せるだけでなく、対象と額をさらに拡充した市独自の給付金を実現することを強く求めておきます。
以上で、わが党の討論を終わります。