2021年6月議会
性犯罪に関する刑法規定の見直しを求める意見書
福岡市議会
議長 阿部 真之助 様
2021年6月23日
提出者:福岡市議会議員
平成29年に110年ぶりに刑法性犯罪規定が改正され,性犯罪を非親告罪とするなど大きな前進がありました。しかし,現行法では「同意のない」性交であっても,被害者が拒否できないほどの「暴行・脅迫」があった,又は酒や薬,精神的支配などにより抵抗できない「抗拒不能」の状態にあったと認められなければ,犯罪になりません。また,現在の性交同意年齢は13歳ですが,13歳以上であっても子どもは性行為の意味や心身への影響・リスクについて十分理解があるとは言えず,年齢の引上げが求められています。さらに地位・関係性を利用した性暴力に関しては規定がないという課題もあります。
内閣府の令和2年度「男女間における暴力に関する調査」によると,無理やりに性交等をされた被害があった人の約60%が「どこにも(誰にも)相談しなかった」と答え,苦しみを一人で抱え込んでいる実態があります。警察に相談した人は約6%で,ほとんどの加害者が野放しとなっています。また,幼い頃に被害を受けた場合や,加害者が近親者の場合などは,被害者が相談に至るまでに年月を要し,時効を迎えて罪に問えないこともあります。
法務省において実施された「性犯罪に関する刑事法検討会」には,被害者の支援に関わる専門家や被害当事者らが参加し,人権尊重の立場から,性犯罪をなくし,被害者を救済するために,刑法を性暴力被害の実態に即したものに改正することを強く求めています。
よって,福岡市議会は,国会及び政府が,性犯罪に関する刑法規定について,性暴力被害の実態に即したものに見直しを行われるよう強く要請します。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
令和 年 月 日
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,法務大臣,内閣官房長官,
内閣府特命担当大臣(男女共同参画)宛て
議長名