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議会報告

2020年予算議会

2020年度予算議会の代表質問

2020年3月11日 中山郁美議員


私は日本共産党市議団を代表して、髙島市長の市政運営方針と2020年度予算案及びその他の諸議案について、市長並びに教育委員会等に質問いたします。


(1)

初めに、新型コロナウイルス感染症についてです。

拡大防止のための相談・検査体制の抜本的な強化とともに、学校の臨時休業にともなう留守家庭子ども会などの利用料の完全無料化、フリーランスや自営業者の損失補填などの対策を行うべきではないかと思いますが、答弁を求めます。また、安倍首相が要請した全国一律の学校臨時休業は科学的根拠がなく、現場の意見も聞かずに強行されたものであり、各自治体が自主的に判断すべきものであることが国会審議で明らかになりました。市長が国の要請に無条件に追随し、教育委員会との「協議を行った」として臨時休業を強行したことにより、留守家庭子ども会での感染リスクを広げるなど、様々な現場に混乱と困難をもたらしたのであります。したがって、医学・公衆衛生等の学識経験者の意見や学校現場の声を踏まえて、学校の臨時休業の適否や時期・範囲を見直すとともに、現状でも登校日の設定など各学校の自主的な判断を尊重すべきではありませんか、御所見をお伺いします。


次に、安倍政権の政治に対する髙島市長の態度についてです。

安倍政権のもとで「桜を見る会」疑惑に続いて、カジノ汚職が発覚し、底知れない疑獄事件に発展する様相を呈しています。どちらも安倍首相を直撃する大問題に発展しており、政治のモラル破壊が行き着くところまできたと言わねばなりません。こんなことが放置されたら、日本の民主主義は根から腐り果て、法治国家ではなくなってしまう大問題であり、国に対して疑惑の徹底解明を求めるべきではありませんか、答弁を求めます。

消費税が10%に引き上げられ、景気はひどい落ち込みとなりつつあります。そもそも低所得者ほど負担が重くなる消費税は社会保障財源にはふさわしくありません。消費税に頼る道をやめ、大企業や富裕層に応分の負担を求める税制へと転換するとともに、緊急に消費税を5%に減税するよう国に求めるべきではありませんか、答弁を求めます。

紛争の危険が高まる中東への自衛隊の派兵など、安倍政権による憲法の破壊、「戦争する国」づくりは許されません。安倍政権のもとでの憲法第9条の改定に本市として反対を表明し、同条項を変えないよう国に求めるべきと思いますが、御所見をお伺いします。


次に、髙島市長の市政運営方針の基本点と新年度予算案の基調についてです。

安倍政権のこうした暴走から市民の暮らしを守るのが自治体本来の役割のはずですが、髙島市長は逆にこの暴走の尖兵となっております。

とりわけ見過ごせないのが、本市の若者の名簿を一括して自衛隊に提供する方針を打ち出し、強行しようとしている問題です。多くの自治体が名簿を出さないことを安倍首相は憲法改悪の口実としてきましたが、市長はその顔色をうかがって方針転換をしたものです。また、本人同意もなく個人情報を提供するやり方は本市条例が定める「個人の権利利益の侵害」にあたります。従って自衛隊への名簿提供の方針を撤回すべきと思いますが、答弁を求めます。

髙島市長は、安倍政権と一体になって、人工島事業、「天神ビッグバン」、ウォーターフロント再整備などの大型開発の強行、特区を活用した、安全性の社会的合意がない電動キックボードの規制緩和を掲げています。

他方で、国民健康保険料は3万2000筆を超える引下げ署名には応えず逆に値上げを打ち出し、子どもの貧困が大きな問題となる中で生活保護基準の切下げに連動して就学援助基準を引き下げようとしています。本市では、年収300万円未満の低所得世帯が全体の半数を占めており、このような予算・市政運営では、市民の暮らしは立ち行かなくなります。

市長は「1丁目1番地の重点施策」として、クルーズ船誘致などの安倍政権仕込みの観光行政をしゃにむに進めてきましたが、日韓関係の悪化や新型コロナウイルスの影響によってこの路線は劇的に破綻しました。外からの呼び込み頼みでは、外部の事情にたえず左右される上、短期で陳腐化するMICEなどの施設建設に巨額の投資をくり返さざるをえず、持続可能な発展は不可能です。内発的で地域循環型の経済に切り替える時であり、とりわけ消費増税によってGDPが年率換算で6.3%も落ち込んだ今こそ、市民の暮らしと福祉、地元中小企業を応援する予算へと組み替えるべきではないかと思いますが、市長の所見を伺います。


(2)

次に、大型開発と規制緩和について質問いたします。


第1は、ウォーターフロント開発、博多湾大改造についてです。

まずウォーターフロント開発ですが、本事業は、MICEやクルーズの機能強化として、今後、第2期展示場、立体駐車場、都市計画道路、新交通システム、さらに新たな埋立て、ホールやクルーズターミナル、高級ホテルとそれに続く車路などを、市民に総事業費も明らかにしないまま推進しようとする異常な開発計画です。本事業は、特定企業や大企業ばかりが儲かり、本市財政を圧迫し将来に大きな禍根を残すものであり、きっぱり中止すべきだと思いますが、御所見をお伺いします。

次に博多湾大改造についてです。破綻した人工島埋立てに責任を負うべき本市が、新たな埋立計画を予算も示さずに進めることは許されません。ペイペイドーム9個分65haもの箱崎ふ頭地区の水面貯木場及び海面処分場の埋立ては、人工島埋立ての平均平米単価10万6000円で計算すれば、埋立費用だけで700億円です。莫大な費用がかかり必要もない新たな埋立て計画はやめるべきだと思いますが答弁を求めます。

また、クルーズ船の寄港数が減少する中、中央埠頭の新たな埋立てをやめるとともに、博多港港湾計画を大幅に見直すべきだと思いますが御所見をお伺いします。


第2は、「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」についてです。

これらのプロジェクトは、建替えでオフィスを大量に創り出すために国家戦略特区などを活用してビルの高さ規制を緩和するとともに、「にぎわい創出」と称して地下道建設や橋の架替えなどへの税金投入、水上公園のレストランや大名小跡地のホテル建設で便宜をはかるなど特定企業への不当な優遇を行うものです。これまで市内中心部におけるオフィスビルの賃貸面積は10年間で10万坪もの大幅増加となりましたが、同時期の市民1人当たりの家計の可処分所得は逆に減っており、オフィスが増えても市民の暮らしの向上に結びつかず、一部の大企業を潤わせるものでしかないのは明らかです。それどころか、これらのプロジェクトは地価の暴騰、住民の追い出し、渋滞・ラッシュ・災害時の混乱などといったインフラのパンクを引き起こして都心の一極集中と街壊しをすすめかねません。他方で、建替えが集中する期間、人の流れが変わってしまう心配が広がっており、商売が続けられずに店をたたむ零細業者もすでに生まれています。したがって「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」は中止すべきと思いますが、答弁を求めます。


第3は、破綻した人工島事業に巨額の公金を投入し続けている問題についてです。

人工島事業は、市が土地を税金で買い取り、髙島市長のもとで、こども病院・新青果市場・福岡市総合体育館など、公共施設を強引に移転させてきました。民間への土地分譲についても、建設単価さえも下回る分譲単価の大幅引き下げ、土地を購入した企業への数億円もの立地交付金の投げ渡しなどによって、ようやく売却しているのが実態であります。

市長は土地の分譲が順調だと言っていますが、市の計画どおりに土地処分がすすんだとしても最大で421億円もの赤字となり事業の破綻は明らかです。

破綻した人工島事業に髙島市長は毎年約100億円を投入しており新年度予算においても140億円もの莫大な税金をつぎ込もうとしています。したがって、これ以上の税金投入はやめるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

人工島への都市高速道路の延伸事業費は当初250億円だったものが次々と膨れ上がり、401億円にもなっております。また、福岡空港への路線もわずか2㎞の延伸に500億円を見込んでいますが、どこまで膨れ上がるかわかりません。わずか数分の時間短縮のため途方もない公費を投入するこれらのムダな高速道路延伸計画は直ちに中止すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。


第4は、国家戦略特区についてです。

髙島市長が安倍政権と一体に推進する「グローバル創業・雇用創出特区」は、市民を守るルールを壊す規制緩和を次々と行っています。これ以上、市民を犠牲にして財界のもうけづくりに突き進むことは許されず、本市の特区指定を返上すべきと思いますが、答弁を求めます。本市が国家戦略特区会議で提案した「電動キックボード」についての規制緩和は、特区などの枠組みを使って、安全性の確認や社会合意がない技術を拙速に市内で「試す」ものであり、撤回すべきだと思いますが、答弁を求めます。また、九州大学箱崎キャンパス跡地を念頭に推進している「FUKUOKA Smart EAST」は「先進的な技術や革新的なビジネスモデル等」の「実証実験」を行う場に同跡地を変質させようとするものであり、抜本的に見直すべきだと思いますが、答弁を求めます。


(3)

次に医療、介護、生活保護、高齢者・障害者福祉など社会保障の改善について質問いたします。


第1は国民健康保険及び後期高齢者医療等の問題です。

本市の国保世帯の平均所得は約73万円、所得200万円以下の低所得者がその約86%を占める中、所得233万円の3人世帯で41万円など、異常に高い保険料を生み出し、国保世帯の5分の1が滞納するなど深刻な事態を作り出してきました。しかし市長は新年度、都道府県単位化による納付金の上昇や「赤字解消計画」に基づく法定外繰入削減方針に基づき、21億円もの剰余金を保険料引下げに充てることなく全額基金に積み立てる一方で1人当たり保険料については2000円、介護分を含めると4300円余も引き上げようとしております。これは「保険料を引き下げる」として当選した髙島市長自身の公約を10年越しで踏み破るものであり、許されないと思いますが、御所見を伺います。また、法定外繰入について国は県単位化の下でも自治体独自の判断だとしており、機械的な削減をやめ、必要額を確保し保険料引下げを行い、保険証取上げ、短期証への切替え、滞納の事情を考慮しない問答無用の差し押さえをやめるべきだと思いますが、ご所見を伺います。併せて、高い保険料の要因となっている均等割と世帯割について公費を1兆円投入して廃止するよう国に求めるとともに、子どもの均等割分については市独自に補填して負担をなくすべきだと思いますが、答弁を求めます。

後期高齢者医療については、保険料軽減特例の縮小・廃止の影響を回避し大幅に引き下げるために県の財政安定化基金、広域連合の運営安定化基金を活用するよう福岡県広域連合に求めるとともに、国に対して軽減措置を元に戻し窓口負担の2割への引上げは絶対に行わないよう申し入れるべきではありませんか、お尋ねいたします。

こども病院並びに市民病院については、勤務時間内での引継ぎや更衣時間の確保をはじめ職員の声を生かし労基法を遵守し働きやすい職場へと改善するよう指導すべきと思いますが、ご所見を伺います。


第2は介護保険についてです。

「医療・介護総合法」により要介護2以下が特養ホーム申込みから締め出され、利用料の2割、3割負担の導入のために、必要な介護が受けられない事態が続いています。更に、要支援の訪問介護と通所介護が総合支援事業へと移行させられるなど、介護保険そのものが崩壊の危機にさらされております。自治体の長が国言いなりで「保険あって介護なし」という状況を作り出すことは許されず、条例を改定し、サービス水準等を市独自に改悪前に戻すべきだと思いますが、お尋ねします。また、介護職員の報酬引上げと人材確保のための独自補助を行い深刻な介護職員不足を解消すべきではありませんか、答弁を求めます。上がり続けてきた、高すぎる介護保険料については一般会計からの繰入を行い引き下げるべきではありませんか、お尋ねします。また、絶対的に不足している特別養護老人ホーム整備については、希望者全員が速やかに入所できる計画へと見直し、公共施設跡地等の用地を無償貸与し、早急に待機者解消を図るべきだと思いますが、答弁を求めます。


第3は生活保護並びに貧困対策についてです。

貧困率が15.6%に上る中、貧困問題の解決は喫緊の課題となっております。ところが、安倍政権は生活保護基準の連続引下げを強行し、昨年10月にも生活扶助の引下げとなり「食事は1日2食」「子どもの服が買えない」など、生存権さえ否定される事態が常態化しております。市長は、生活扶助費などの切下げの中止とともに、過去削減した各種扶助費を元に戻すよう国に対し厳しく求め、市独自の下水道料金減免、夏季・年末見舞金を復活させるべきではありませんか、お尋ねします。また、保護相談者等への人権侵害である面談室の監視カメラは直ちに撤去するとともに、病気や年齢等の状況を無視した機械的な就労の強要を根絶すべきではありませんか、答弁を求めます。

ケースワーカーについては、100件以上を担当する過重負担によって不適切な対応や誤りが後を絶ちません。国の標準を守るように増員し、専門性を高め、きめ細やかな支援ができる体制をつくるべきだと思いますが、御所見を伺います。


第4は障害者福祉についてです。

障がい者差別解消条例に続き、手話言語条例の制定を急ぐとともに、精神障害者の運賃割引についてはJRに実施を強く求め、各種交通機関の料金割引を療育手帳Bにもひろげるよう手立てをとるとともに、ガイドヘルパーによる移動支援について細かく制限せず、政治・宗教活動等にも利用可能にすべきだと思いますが、御所見を伺います。

不足している児童発達支援センターについては「南部療育センター」をはじめ単独通園施設の抜本的な増設を図るとともに、通園施設を機械的に指定するやり方は改め当事者の意向を最優先にすべきではありませんか、答弁を求めます。知的障害者等が地域でも施設でも安心して生活できるよう事業所や利用者への支援体制の充実を図るとともに、障害者施設等の労働者の賃金引上げや運営に対する市独自の助成金をつくり、グループホーム等の増設を後押しし、強度行動障害者の短期入所施設についても増設を急ぐべきではありませんか、お尋ねいたします。


第5は高齢者施策についてです。

加齢性難聴によって認知症悪化や社会参加の妨げとなること等が指摘され、補聴器購入の補助制度を求める要望もひろがっています。他都市に倣い補助制度をつくるべきであると思いますが、ご所見を伺います。

高齢者乗車券については、要望の強い所得要件および利用上限額の廃止を行うべきだと思いますが、ご所見を伺います。


(4)

次に、子ども・子育て支援、教育、文化・スポーツ行政について質問いたします。


第1は、保育行政です。

昨年12月1日時点で待機児童133人、未入所児童2671人と依然として希望する保育所に入れない子どもたちがいます。市長は、保育の受け皿確保のためにことさら保育基準が大幅に緩和された企業主導型保育事業を推進してきました。しかし、企業主導型保育を巡って助成金詐取事件が発生し、容疑者が関与していた博多区の企業主導型保育園では、保育士の給与の未払い、保育園のテナント料や電話代の滞納など、保育所存続の危機に追い込まれました。したがって、問題の多い企業主導型保育事業をこれ以上推進するのはやめて、保育の質と安全がしっかり確保された適正規模の認可保育所を抜本的に増やして、保育所に入れない子どもたちをゼロにすべきと思いますが、お尋ねします。

2点目は、昨年10月より始まった幼保無償化に伴う問題についてです。今回の無償化は対象年齢が限定され、副食費が保護者の実費負担となるなど、真の無償化には程遠いものとなっています。よって、すべての子育て家庭の負担を軽減させるためにも、無償化の対象をすべての年齢に広げるよう国に求めるとともに、市独自に副食費の無償化や減免の拡充の手立てをとるべきだと思いますが、ご所見を伺います。

3点目は、保育士の処遇についてです。「給料を月5万円アップしてほしい」という声が上がるなど、保育士の賃金はきわめて低く、将来に希望が持てない状態です。そのために、保育士の確保もままなりません。したがって、国に公定価格の抜本増を求めるとともに、市独自の賃上げの手立てをとるべきと考えますが、答弁を求めます。

4点目は、保育士の労働環境についてです。現在の保育士の労働実態を調査し、労働時間の短縮を図り、働き続けられる環境を整備することが求められています。そこで、どの業務が労働時間にあたるのか、労働時間内にすべき業務とそうでない業務とに区別するガイドラインを作成し、業務の軽減を図るべきと考えますが、ご所見を伺います。また、国に対し配置基準の引上げを求め、本市として独自に配置基準を改善すべきと思いますが、答弁を求めます。


第2は、子どもの医療費助成についてです。

半数を超える政令市が通院、入院ともに中学卒業まで助成を広げています。本市では、入院は中学卒業まで無料化されたものの、通院については小学校卒業までであり、かつ自己負担が導入されています。福岡県が、21年度より医療費助成を中学生まで拡大する方針を示しました。県の施策を待たずとも、市民の願いに応えて、直ちに、通院についても中学卒業まで助成対象を広げるとともに、自己負担を無くし、子どもの医療費は完全に無料にするべきと思いますが、答弁を求めます。


第3は、留守家庭子ども会についてです。

政府は、児童福祉法に基づく省令で定める基準のなかで、「従うべき基準」だった職員配置基準を拘束力のない「参酌基準」とし、自治体の判断で無資格者1人での運営も可能になるという法改定を強行しました。本市の留守家庭子ども会を利用する児童が増え続ける中で、経験豊かな支援員こそ必要です。したがって、会計年度任用職員制度の導入による人員削減は許されず、手厚い体制と専門職にふさわしい処遇と正規化を図るべきだと思いますが、答弁を求めます。


第4は、児童館についてです。

本市の児童館は中央児童会館の1館のみであり、これでは国が新たに定めた児童館ガイドラインにおける児童館の拠点性や地域性は発揮できないことは明らかであります。専門職員のいる児童館は、公民館など他の施設とは違う役割があり、早急に児童館をすべての行政区に設置するとともに、公立幼稚園・学校・こども病院の跡地など公有地を活用して計画的に増やしていくべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。


第5は、児童虐待についてです。

本市の児童虐待の相談対応件数は、2018年度で2318件となっており、深刻な状況が続いています。親身な相談活動ができるよう専門職である児童福祉司、児童心理司、弁護士資格をもつ職員を正規で大幅に増員すべきと思いますが、答弁を求めます。また、一時保護所のニーズが高まる中、児童養護施設の職員配置基準を見直し、さらに人員増を図るとともに、児童相談所を増設すべきと考えますが、ご所見をお伺いします。


第6は、子どもの貧困対策についてです。

新年度より始まる「第5次福岡市子ども総合計画」において、子どもの貧困対策の推進が掲げられていますが、本市は子どもの貧困率を調査しようともしません。他都市に倣って、子どもの貧困率を公表し、削減目標を立て、ひとり親家庭への独自の家賃補助など直接給付の具体的な施策をとるべきと思いますが、答弁を求めます。


第7は教育行政についてであります。

1点目は、本市の教育計画についてです。

「第2次福岡市教育振興基本計画」は、小学校低学年から英語教育を推進するなど、グローバル教育・起業家教育を押しつけ、子どもの発達段階を無視する歪んだ内容となっています。教育計画は、憲法と子どもの権利条約の立場に立ち、子どもの発達と人格の完成を土台に据えたものへと抜本的に見直すべきだと思いますが、ご所見をうかがいます。また、権限移譲分を除けば、一般会計の約8.0%と低い水準となっている本市の教育予算を抜本的に増額するとともに、すべての学年、学校で35人以下学級を実施すべきだと思いますが、答弁を求めます。

2点目は、教職員の働き方の改善についてです。

教員の長時間労働が社会問題となる中、これを改善するためなどとして、安倍政権は公立学校の教員を「1年単位の変形労働時間制」で働かせることを可能にする法律を先の国会で強行しました。そこで、8時間労働制を壊し、長時間労働の固定化につながる同制度は、本市においては選択すべきではないと思いますが、答弁を求めます。また、文部科学省の調査で1年未満の依願退職者が、九州で2番目に多い21人となっている本市の新任教員については、研修の多さや指導方法の問題などが指摘されており、実態を調査し、教員として働き続けられるようにすべきだと思いますが、答弁を求めます。

3点目は、授業時間数についてです。

教員の持ち時間数の上限を1日4コマを目安に定め、必要な教員増を図るとともに、授業時間数を削減すべきだと思いますが、お尋ねします。午前中5時間詰め込む無理なやり方は、子どもの発達上問題があり、教職員への負担も重く、見直すよう助言すべきだと思いますが、所見を求めます。

4点目は教育のあり方についてです。

市立学校に下着の色のチェックや頭髪黒染め強要など、いわゆる「ブラック校則」と言われる、人権侵害の校則・生活指導・きまりがないか、子どもから直接聞き取ることを含め、丁寧に実態調査し、完全になくすべきだと思いますが、答弁を求めます。

5点目は、教育を受ける権利の保障についてです。

生活保護の引下げを理由に就学援助基準を改悪することは許されず、基準を元に戻し、さらに拡充すべきだと思いますが、所見を求めます。お金の心配なく学べるよう市独自の給付制の奨学金を創設するとともに、教育振興会奨学金は希望者全員が借りられるよう改善すべきだと思いますが、答弁を求めます。あわせて、給食費無償化、フリースクールへの補助制度の創設を行うとともに、議会請願もなされるなど要望の強い公立夜間中学校を市内に開設すべきではありませんか、お尋ねします。

6点目は、教育環境の改善についてです。

災害時に避難所になる体育館をはじめ、特別教室だけでなく、日本語指導教室、不登校ぎみの生徒のためのステップルーム、PTA会議室、給食調理室などへのエアコンの設置を早急に行うべきだと思いますが、答弁を求めます。校舎等整備費を抜本的に増額し、大規模改造、トイレ不足解消と洋式化、プールの改修とプールを覆う日よけの設置を早急に完了すべきではありませんか、お尋ねします。公共施設を考える会のアスベストアナライザーによる調査で、複数の学校で塗装やスレート板の破損部分から検出されたアスベストについて、直ちに調査し、飛散防止の緊急対策を図るとともに、計画的に学校施設の「ゼロ・アスベスト」を進めるべきだと思いますが、答弁を求めます。

7点目は、過大規模校の問題についてです。

市長が「都市の成長」などとして無秩序な開発によって人口流入を推し進めることで、毎年過大規模校が増えていく事態は全国的に見ても異常です。教室やグラウンドが足りないなど、教育環境が悪化し、教育の機会均等の原則が侵されており、教育委員会として、開発による人口集中で過大規模校が生じるのを防ぐための条例を検討するべきだと思いますが、答弁を求めます。


第8は、文化・スポーツ政策についてです。

本市の文化・スポーツ行政は、都市を売り込むことを目的としており、一方で、市民が身近で使いやすい文化、スポーツ施設が量的、質的にも十分ではありません。市民がスポーツを楽しむ機会を保障するために、身近なスポーツ施設を増やすとともに、多くの市民が利用している福岡市民体育館のプールやトレーニング室、卓球場などを廃止する方針を撤回し、経費・収支の見込みもずさんな世界水泳から手を引くべきと思いますが、答弁を求めます。拠点文化施設の整備に当たっては、よりよい施設にするために文化、芸術関係者や市民、利用者などの声を聞いて、設計に反映させるべきではないかと思いますが、答弁を求めます。また、音楽・演劇練習場を直ちに未設置の西部地域につくるとともに、すべての行政区に設置すべきと思いますが、答弁を求めます。


(5)

次に中小企業、産業振興、雇用・景気対策について質問いたします。


消費税増税や新型肺炎による景気の落ち込みなど中小零細企業の営業は大変厳しいものとなっています。今ほど中小零細企業への支援が求められている時はないにもかかわらず、本市の施策はスタートアップ都市づくりに3億円、観光・集客戦略の推進には32億5000万円など企業や人を呼び込むものに偏重した経済振興策となっています。本市の経済と雇用を支えている中小企業・小規模事業者の振興予算こそ抜本的に増やすべきと思いますが、答弁を求めます。


第2は、生活密着型の公共事業、公契約条例についてです。公共事業は大型開発から地域循環・生活密着型に転換し、地場の産業や企業など地域の力を支援し伸ばす施策で、地元中小企業、特に小規模企業へ優先して発注するべきではありませんか、答弁を求めます。

さらに市発注の公共事業の下請け賃金について、従業員への聞き取り調査をおこない設計労務単価が守られているかを調査するとともに、実効ある対策を講じるべきだと思いますが答弁を求めます。

あわせて本市が発注する建設工事や業務委託等に従事するすべての労働者に適正な賃金を保証する公契約条例の制定をすすめるべきだと思いますが、答弁を求めます。


第3は、住宅リフォーム、商店リフォームについてです。

地場中小企業の仕事づくりのために経済効果が投入予算の10倍から25倍あるといわれる住宅リフォーム助成制度を対象工事を限定せずに創設すべきではありませんか、答弁を求めます。

商店街に対する助成に加え、商店街振興に資する魅力ある地域づくり、店舗の新築、増築、リニューアルや備品購入などに対し助成を行う商店リニューアル助成制度を創るべきと思いますが、ご所見をお伺いします。


第4は、雇用対策・ブラックな働かせ方対策についてです。

過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにするブラックな働かせ方を強いる企業が後を絶ちません。そうしたなか、雇用関係によらない働かせ方が急速に広がっています。「ウーバーイーツ」など、雇用契約を結ばないため労働基準法や最低賃金法も適用されない新たなブラックの手口が生まれており、市独自の実態調査を行うべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

県や国に任せるだけでなく、専門職員を配置した労働相談窓口を各区につくり、街頭相談や電話やSNSを使った相談体制を市が作るべきと思いますが、ご所見をお伺いします。また、調査、相談、啓発を網羅した、ブラックな働き方をなくすための条例を制定すべきと思いますが答弁を求めます。


第5は、農業の振興についてです。

日米貿易協定は、日本が牛・豚肉や一部の乳製品など、約72億ドル分の米農産物に対する関税を撤廃・削減することになっており、国に撤回を求めるべきと思いますが、御所見をお伺いします。本市の農家の経営主の平均年齢が71.7歳となっています。農家戸数及び農業従事者数についても、2014年度と2018年度を比較すると、303戸、754人も減少しています。そこでお尋ねしますが、農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすべきと思いますが、ご所見をお伺いします。また、これ以上耕作放棄地を増やさない手立てをとるとともに、活用については市民農園や体験農業、学校農園、農業ボランティアなどさまざまなチャンネルで市民の多くが農業・農村にふれ、生産にかかわる取り組みができるようにするべきと思いますが、ご所見をお伺いします。


(6)

次に、安心・安全な生活と環境を優先する都市づくりについて質問いたします。


第1は、防災対策についてです。

毎年のように、全国各地で豪雨水害、台風、地震、火山活動など、深刻で広範囲に被害が及ぶ災害が相次いでいます。従来の枠にだけとらわれない備えをとるよう、地域防災計画を見直すべきと思いますが、答弁を求めます。また、本市の地域防災計画は基本理念において「自助、共助」を強調して、公的責任を放棄しています。災害の発生を抑え、被害の拡大を防止するための予防対策など、行政の責任を明記すべきと思いますが、御所見をお伺いします。本市一般会計の歳出に占める消防費の予算の構成比は1.7%であり、きわめて低い水準にとどまっております。従って、抜本的に予算を増額し、消防力を強化すべきと思いますが、答弁を求めます。公共施設の耐震性を確保することは、地震に対する予防対策の基本となっていますが、本市の水道配水管の耐震化率は58%であり、最優先で耐震改修を行うべきと思いますが、御所見をお伺いします。避難対策については、避難すべき住民の0.2%程度しか避難行動をしていない実態を踏まえ、実際の避難行動に結びつくよう調査・研究し、避難所が満員で入れない事態を生まないための対策を取り、避難者数に見合う公的備蓄にするとともに、政府通知にもとづいて、食事・簡易シャワーなど衛生面、プライバシーの確保など避難所の質の改善を図るべきと思いますが、答弁を求めます。


第2は、住宅政策についてです。

住まいは生活の基本であり、憲法25条が保証する生存権の土台ともいうべきものです。「住まいは人権」との立場に立ち、公的責任を果たすことが求められています。ところが、市営住宅の応募状況は一般枠で13.4倍、単身の高齢者・身体障害者は30.2倍など、深刻な状況は改善されていません。「住宅確保要配慮者」のための住宅セーフティネット登録は全く不十分です。市民の居住権を守り、必要な市民が入居できるよう、大幅な新規市営住宅建設計画をたてるとともに、当面、建替え時に管理戸数を増やすべきだと思いますが、答弁を求めます。また、UR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げて市営住宅にするなど、多様な供給方式の具体化を早急に行うべきだと思いますが、ご所見を伺います。

さらに、現行の入居基準を見直し、子育て世代の入居を促進し、国も認めている若者の単身者世帯枠をつくるとともに、民間賃貸住宅に居住する低所得の若者や高齢者世帯への家賃補助制度を創設し、安心して暮らせるよう支援を強めるべきだと思いますが、答弁を求めます。また、市営住宅の共益費徴収や設備管理、住環境整備を管理組合に押し付けず、市が責任を持って行うべきだと思いますが、答弁を求めます。


第3は、公共施設の跡地利用についてです。

本来、市民の財産である公共施設の跡地について、公的活用に意欲を示さない全庁の状況は異常です。公共施設跡地を次々売却し、一部の大企業の利潤追求の場に提供することは許されず、市民のために公用地として活用すべきだと思いますが、答弁を求めます。箱崎九大跡地は、住民の要望をまとめた「九大跡地利用4校区協議会」の提案を具体化するため、市が責任を持って土地を確保し、「国指定の史跡」に指定された元寇防塁跡や、九州大学総合科学博物館を保存・活用するとともに、跡地全体を防災公園として整備すべきだと思いますが、ご所見を伺います。さらに、貝塚公園については周辺4校区住民の意見をまともに聴取しないやり方は、市民無視も甚だしく、現在の方針を撤回するべきだと思いますが、答弁を求めます。唐人町の旧こども病院跡地についても市民の財産である土地を医療・福祉の拠点など公共用地として活用するために病院機構から取得すべきだと思いますが、答弁を求めます。


第4は、公共交通についてです。

西鉄バスの減便は、住民の移動手段を奪うものであり、日常生活に大きな支障をきたしており、早急に従前同様の増便を図るよう西鉄に強く求めるべきだと思いますが、答弁を求めます。併せて、本市の公共交通不便地におけるコミュニティバスは、地域住民に負担を押し付けることなく、市が責任を持ってバス等を運行すべきだと思いますが、ご所見を伺います。また、市営地下鉄とJR筑肥線の乗継割引については、請願採択をふまえ、現在の20円から東部の西鉄との乗継同様60円へ拡大するようJR九州に強く働きかけるとともに、本市分だけでも先行して割引額を引き上げ、連続割引区間を2区から3区に拡大すべきだと思いますが、ご所見を伺います。さらに、JR博多駅をはじめ、市内のJR各駅および西鉄大牟田線各駅に早急にホームドアを設置するよう関係事業者に要求すべきだと思いますが、答弁を求めます。


第5は、エネルギー問題、温暖化対策についてです。

い」とする決定を出しました。市長が「原発ゼロ」の立場に立つとともに、直ちに九州電力に対して玄海原発の廃止を要求するべきだと思いますが、御所見をお伺いします。再生可能エネルギーについては、市内の利用可能量をすべて導入すれば市内の全電力消費量の2倍をまかなえる潜在能力があるのに、本市の目標は2030年で市内の電力量のわずか8%です。太陽光、風力などの再生可能エネルギーで賄う目標量を、当面、電力需要の4割とするべきだと思いますが、答弁を求めます。

「福岡市地球温暖化対策実行計画」での温室効果ガスの削減目標は、2030年度で2013年度比28%に過ぎず、「パリ協定」採択後の世界の情勢を踏まえて実質ゼロをめざし、その実現のために削減目標を大幅に引き上げるなど改めるべきではありませんか、答弁を求めます。また、世界的規模で気候変動の抑制を求める「グローバル気候マーチ」には185カ国760万人の市民が参加し、福岡でも連帯した若者たちが声を上げています。主催した九州大学の学生らから請願も出されている「気候非常事態宣言」について、本市でもおこなうべきと思いますがご所見をお伺いいたします。


(7)

次に民主的で公正、清潔、平和の行政運営について質問いたします。


第1は、行財政改革についてです。

市長が推進している、政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランは、人工島、ウォーターフロント再整備などの大型開発は聖域にする一方で教育、福祉など市民サービスを切り捨てるものとなっています。撤回すべきと思いますが、答弁を求めます。また、新年度から導入される会計年度任用職員の月々の報酬を引き下げるなど処遇悪化は許されず、改善を図るとともに、正規化を進めるべきだと思いますが、答弁を求めます。


第2は、人権と個人の尊厳を守る問題についてです。

1点目はジェンダー平等についてです。

ジェンダー平等を求める国際的潮流が大きく発展し、経済的・社会的差別をなくし、誰もが尊厳をもって自分らしく生きられる社会をめざすことが求められています。市内事業所の男女の賃金格差を調査し、男女賃金格差の是正をはかる指標を持ち、「福岡市男女共同参画基本計画」や「福岡市働く女性の活躍推進計画」に盛り込むとともに、本市としてハラスメントが違法であることを明確にした「ハラスメント禁止条例」を制定すべきと思いますが、答弁を求めます。また、性的指向・性自認等を理由とした差別を禁じる立場を市長が明確にするとともに、「パートナーシップ条例」を本市においても制定すべきと思いますが、答弁を求めます。

2点目はヘイトスピーチについてです。

本市では相変わらず、日本以外の出身者に対して、民族差別をあおる街頭宣伝やデモが、天神や博多駅周辺などで繰り返し行われています。こうしたヘイトスピーチを放置することは許されず、市長が根絶のための宣言を行い、それにもとづく、ヘイトスピーチ根絶条例を制定すべきと思いますが、答弁を求めます。

3点目は外国人労働者についてです。

本市で増え続ける外国人労働者の人権や生活を守るために、気軽に相談できる市独自の労働相談窓口をつくるとともに、市として総合的な多文化共生推進計画をつくるべきと思いますが、答弁を求めます。


第3は、コミュニティについてです。

本市が自治会・町内会などに依頼している業務は、年間約500にも及び、過重になって担い手づくりが困難となっています。市の下請けにする、このようなやり方を抜本的に見直して、依頼協力件数を大幅に減らすべきと思いますが、答弁を求めます。また、市が条例などで自治会・町内会活動を強制することは許されず、自発的な参加を促すべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。


第4は、平和の課題についてです。

核兵器禁止条約の締結を市長が直接国に働きかけるとともに、核兵器廃絶のためのヒバクシャ国際署名に市長みずから署名すべきではありませんか、答弁を求めます。また、本市として非核自治体宣言を行うべきではありませんか、御所見をお伺いいたします。本市は広島・長崎に次いで被爆者が多く、また日本で最大の引揚げ港を持ち、犠牲者1000人を超える大空襲も経験しています。若い世代に戦争の悲惨さ、被爆の実相を伝えていくために、常設の平和資料館を建設すべきと思いますが、答弁を求めます。市民団体が開く「平和のための戦争展」などの名義後援を本市が拒否していることは、市民団体の表現の自由を脅かす検閲まがいの行為として許されるものではなく、「名義後援の承諾に関する取り扱い要領」を抜本的に見直すべきと思いますが、答弁を求めます。また、本市は板付米軍基地の即時全面返還を求めているにも関わらず、福岡空港の滑走路増設に伴う、米軍板付基地の施設移転費の一部を負担することは道理がなく、直ちに税金の投入をやめるとともに、板付基地の即時全面返還と福岡空港や博多港の軍事利用の中止を国と米軍に対して強く要求すべきと思いますが、答弁を求めます。


以上、市長及び教育長等の誠意あるかつ明確な答弁を求め、長時間のご静聴に感謝し、日本共産党市議団の代表質問を終わります。


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