2020年予算議会
予算議会を終えて
2020年3月25日 日本共産党福岡市議団
新型コロナ・経済危機に対して市民の声を伝える
2月17日から始まった福岡市議会が3月25日閉会しました。新型コロナウイルス感染症拡大と経済危機が同時に進行する中で開かれ、それらから市民生活をどう守るかが問われた議会となりました。
わが党は代表質問・補足質疑・総会質疑などで検査・相談体制の強化やフリーランスなどの損失補填を求めるとともに、2月21日の市長申入れを皮切りに4次にわたる市長・教育長への要望を行い、市民・現場の声を行政に伝える役割を積極的に果たしました。特に安倍政権が専門家の意見も聞かずに打ち出した学校の一斉臨時休業は現場に大きな混乱を広げましたが、わが党は現場を回って実態を聞き取り、申入れによって「臨時職員などの首切りはしない」「卒業式は各校の自主性を尊重する」などの回答を引き出しました。さらに、パンデミック以前に編成された市長の予算案では危機に対応できないとして、予算案の組替え動議を提案し、他の会派・議員にも賛同が広がりました。また、議会として市長に対策を促す決議の立案も行いました。
わが党の役割とは対照的に、自民・公明・令和会などは組替え動議や決議にも反対の立場をとり、市政をチェックせず、危機に際して必要な手立てを取らない姿勢があらわになりました(動議は否決。決議案は全会一致の慣例に配慮し、取り下げました)。
なお、休会期間を広げることで会期を事実上短縮することが議長から提案され、わが党は専門家会議の提言をふまえ感染拡大防止の立場から、これを受け入れました。ただし、感染対応を口実にした市側の説明短縮や議員の質問テーマ限定化の動きには反対しました。
自衛隊への名簿提供問題で市民と野党の共闘が広がる
市長が福岡市の若者の名簿を自衛隊に一括提供しようとしている問題を、代表質問や委員会質疑などで取り上げて追及しました。
わが党は、この問題が「戦争する国」づくりを進める安倍政権およびそれと一体になった髙島市政との対決であることを明確にして、いち早く撤回の申入れを行い、事態を知らせる市議会報告を市内全域に配布するとともに、議会論戦の先頭に立ち、反対運動の一翼を担ってきました。
そうした中で当事者の若者をはじめ様々な立場の団体・個人が抗議の声をあげ、2月22日に広範な市民が集う反対集会が開催されて野党が結集するなど、この問題で市民と野党の共闘が広がる画期的な場となりました。
総会質疑では、50人もの傍聴者が詰めかける中で審議が行われ、「名簿提供には公益性がある」という市長の主張が個人情報保護審議会で批判されたこと、「望まない人の名簿を提供しても個人の権利利益の侵害には当たらない」とする異常な立場を市が取っていることが明らかにされました。
市民から出された3件の請願が今議会で審議され、わが党はそれらの採択を主張しました。複数の会派が継続審議を求めたにも関わらず、自民・公明などがそれを無視して採決を強行し、請願を不採択にしたことは数の力によって市民の声を押しつぶすものであり、断じて許されません。
市長は4月から周知を始め、6月に提供することを狙っており、引き続きわが党市議団は提供方針撤回へ向け、市民のみなさんとともにがんばります。
国保料値下げなど市民の切実な声を代弁して奮闘
国民健康保険について2月の議案質疑や代表質問などでただし、3万2000筆を超える署名を踏みにじる国保料値上げを批判するとともに、21億円の「黒字」を使って引下げを行うよう市長に迫りました。なお、3月24日には145団体から公費1兆円投入による引下げを求める団体署名が提出されました。
非正規の市職員の主要な部分を、非正規のまま「会計年度任用職員」という制度に移行させる問題について補足質疑で取り上げ、現在の市長のやり方では本給が切り下げられ、生活設計ができないという声が出ていることを暴露し、正規職員にするよう求めました。
また、公民館・博物館・体育館などの市民利用施設の使用料について「統一的基準」を市が設けようとしている問題も追及しました。料金が引き上げられる危険があること、高齢者の年齢区分を見直して減免制度を大幅に縮小する恐れがあることを批判し、基準づくりをやめるよう迫りました。
この他、議案質疑、代表質問、分科会審議で、「天神ビッグバン」にともなう商業施設の集中閉鎖への対策、学校体育館へのエアコン設置、中学卒業までの医療費の完全無料化、卸売市場の取引の規制緩和撤回など幅広い市民の要求を取り上げました。
わが党の論戦と市民の運動で願いが実現
新年度予算の中で市民の切実な願いがいくつか実現しました。
小中学校には普通教室につづき、全ての特別教室にエアコンが設置されることになり、調査費がつけられました。子どもの医療費助成も、通院について中学卒業まで対象が広げられました(実施は2021年度からを予定)。また、民間アパートに住む高齢者に対して家賃補助が始まります(30戸)。温室効果ガスの削減目標が引き上げられ、2040年に実質ゼロをめざす計画が策定されます。民生委員の活動費も引き上げられることになりました。
障害者分野でも、全公立保育所で医療的ケア児保育の受入れ開始、共働き世帯などの障害児の通学時における移動支援の拡充、「発達障がい者支援・障がい者就労支援センター」と「中央障がい者フレンドホーム」の一体的整備、重度障害者グループホーム受入事業、地下鉄のエスカレーターでの音声案内などが実現します。
これらは、実現を求めて市民の運動などが広がり、わが党も議会で論戦してきたものです。
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新型コロナウイルス感染症とのたたかいは、かつて経験したことのない事態であり、長期戦になる可能性があります。わが党市議団は予算議会だけでは不十分として新型コロナ対策を審議する特別委員会の設置を議長に申し入れ、引き続き協議することになっています。「当面する国民的な苦難を解決し、国民大多数の根本的な利益にこたえる」という綱領の立場で奮闘します。