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議会報告

2020年予算議会

自衛隊への名簿提供関連請願 賛成討論

2020年3月25日 綿貫英彦 議員

私は日本共産党市議団を代表して2年請願第3号「自衛隊募集のための住民基本情報の提供に関する意思表示を行う権利を保障するための予算措置について」、第4号「自衛官募集のための住民基本情報提供の1年間の実施延期について」、第6号「自衛隊への市民の個人情報を記載した名簿の一括提供事務手続に係る予算執行の差止めについて」のいずれにも賛成し、討論を行います。

高島市長は自衛官の新規募集をめぐって対象者となる18歳と22歳前後の市民の名簿を自衛隊に一括提供しようとしています。新年度から実施し、5月に市民への「周知期間」を設け、6月頃に実際に自衛隊に名簿を提供するというスケジュールであります。

そもそも自衛隊法第97条は自治体が自衛官募集の広報などを行うことを定めてはいるものの、名簿提供に関しては同法施行令で「防衛大臣は市町村長に対し、必要な報告または資料の提出を求めることができる」としているだけであり、自治体に名簿提出の要請に応じる義務はありません。このことは市側も議会で認めています。全国で多くの自治体が個人情報やプライバシー権を保護する観点から本人同意なしの情報提供に応じていないことは当然です。

これまで福岡市は自衛隊に名簿の閲覧をさせてきました。しかし、一定年齢以上の個人情報を一律に提供する行為は閲覧とは全く異なるものです。2019年度に閲覧による写し書きは4813人で、これを提供にした場合2万9808人と6倍に膨れ上がります。だからこそ福岡市の個人情報保護条例の第10条にも、「実施機関は、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は当該実施機関以外のものへ提供してはならない」と目的外利用での提供を禁じています。

そこで高島市長は、その例外規定である同条第2項第6号「実施期間が福岡市個人情報保護審議会の意見を聞いて公益上の必要があると認める時に提供することができる」という規定を使いました。つまり、審議会で「公益性」が認められれば、目的外利用できると考えたのです。

仮に「公益性」がきちんと認められたなら、確かに市の言うように本人の同意は全く必要ありません。これはどのようなケースでしょうか。条例は本法、つまり個人情報保護法の範囲内で制定されていますから、法律の中に定めているように、例えば災害の危険が迫っていていちいち本人の同意などが得られないとき名簿を使ってもらうようなケースが、ここでいう「公益性」に該当します。命を守るためにプライバシー権に優先して無条件に名簿が提供できるのです。

しかしながら、審議会では、市のやり方に対する疑問が委員から続出しました。市があげた公益性の一つ、「事務の効率化」については審議会で「こういう効率化ができるから提供するのが当然だとかいった説明は、慎重に願いたい。もしそれだけなら反対する」などの意見が相次ぎました。自衛隊以外の国等の機関に提供したいという二つめの諮問は効率化のみを理由に諮問したため否定されています。つまり、市長が主張した「事務の効率化」を公益性とするのは明確に否定されたのであります。

もう一つ市長があげた公益性は「福岡市としては、法定受託事務を担うというところで、できる範囲での協力を行う」ということでした。しかし審議会では、部会長から「法定受託事務だから公益性があるのだというのは短絡的」と批判されています。他にも、個人情報を守るのは大事な自治事務であり、憲法で保障されたプライバシー権を侵害していいというほどの公益性が「法定受託事務」だということからは直ちに出てこない、という意見も出ました。つまり、いくら法定受託事務であっても、自衛隊に人が来ないからその募集のためにプライバシー権を無視して、名簿を勝手に使ってよいとはならない、と審議会は主張したのであります。

このため、審議会の答申は提供を一部認めたものの、公益性の低さから「自衛隊による個人情報の取り扱いに不安を感じる市民や自己の個人情報の提供を望まない市民の心情にも配慮する必要があることを十分認識」することを条件に提供を認めるものとなりました。さらに「自己の情報を提供して欲しくない旨の意思表示を行った市民については、提供する情報から除外する措置を講じること」とまで条件を付けたのであります。

審議会答申を具現化するならば、対象となる方全員から本人の同意を取ることは当然であります。しかしながら、市は質疑のなかで「本人同意を取る必要がない」と開き直ったのであります。これは「情報提供を望まない市民への配慮というのは、極めて重要なプロセスだと考える」という審議会で出された意見を全く無視した傲慢な態度と言わなければなりません。

また、「提供を望まない方」の名簿が提供された場合、条例1条の「個人の権利利益」の侵害、もしくは10条2項の定める「本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれ」になると考えるのか、という問いに対して市は、「提供を望まない人の名簿を渡しても個人の権利利益の侵害には当たらない」という驚くべき答弁を総会質疑の中で繰り返しました。

つまり、審議会のつけた条件を無視してもなんの問題もない、あんな条件はただのおまけ・かざりだ、と言っているに等しいわけです。まさに審議会に対する侮辱です。何よりも市民のプライバシー権の蹂躙に他なりません。

議会の一部に、「そんなことを言って、隊員が集まらなくなったらどうするのか」「災害派遣もできなくなって大変なことになる」と言う声も聞かれます。しかし、隊員が集まらない原因を作っているのは、安倍政権の政策です。「国防」や災害救助とはなんの関係もない、海外の危険な紛争地やアメリカの戦争で犬死させられる不安が高まる中で、自衛隊には隊員が集まらなくなっているのは当たり前です。国民の多くが望んでいるのは、海外で米軍と一緒に戦争する自衛隊ではなく、大災害の時に頼りになる身近な存在としての自衛隊です。国内で国民を守る活動に徹すれば、おのずと応募は増えていくはずです。

市長の名簿提供表明後「わたしたちの情報を勝手に渡さないで」と当事者である若者たちが声を上げて、集会や署名運動を展開しています。2月22日には警固公園で集会が行われ市議会議員も参加して天神をデモ行進しました。今議会に3件もの関連する請願が出されていることからも批判の高さを表すものです。市民の怒りと「名簿を提供するな」の声は大きく、これからも広がっていくでしょう。

こうしたなか、昨日、総務財政委員会の請願審査で自民党や公明党などが、継続審議を求める我が党を含む複数会派の意見を無視して採決を強行し、請願を不採択にして、広範な市民の切実な願いを数の力で踏みにじったことは許されるものではありません。

よって、日本共産党市議団は自衛隊へ本市の若者の個人情報を載せた名簿を本人の同意もなく提供することは公益性がなく許されず、髙島市長に方針の撤回を求めるものです。

以上で、請願第3号、第4号、第6号に対する賛成討論を終わります。


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