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議会報告

2020年4月臨時議会

「議案第114号令和2年度一般会計補正予算案(第1号)の
組替えを求める動議」提案理由説明

2020年5月1日 倉元達朗市議

私は日本共産党市議団を代表して、「議案第114号令和2年度一般会計補正予算案(第1号)の組替えを求める動議」について、その提案理由の説明を行います。


新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「緊急事態宣言」が福岡県をはじめ全国に発出され、深刻な社会的・経済的影響が広がっています。国の専門家会議メンバーである西浦博(にしうら・ひろし)北海道大学教授は「この1年は、この状況と付き合っていかなければいけないと思う」と述べ、長期戦に備える覚悟が必要と訴えました。福岡県感染症危機管理対策委員会のメンバーである柳雄介(やなぎ・ゆうすけ)九州大学大学院医学研究院教授も、「感染がいったん沈静化しても警戒が緩めば再燃する。そして再び外出自粛が必要になる。この繰り返しが当分の間、続くことを覚悟しなければならない」と述べています。

つまり、目先のことや1回こっきりの話ではなく、医療・福祉の体制を維持し、市民の暮らしや地域経済・文化を守るために、1年間の見通しが示されなければなりません。それはまさに政治の責任であります。本市として政府に対して科学的根拠にもとづく長期的なビジョンと抜本的な対策を求めるとともに、政府が腰を上げるまで手をこまねいているのではなく、市民の命と暮らしを守る地方自治体として機敏に手を打つことが絶対に欠かせません。


特に差し迫っているのは、医療・福祉の提供体制の維持です。

福岡県医師会長をつとめた日本医師会の横倉義武(よこくら・よしたけ)会長は、福岡県の状況について「医療崩壊の一歩手前」と強い危機感を示した発言をしておられます。

私どもは、感染者の受け入れをされている医療機関からお話をうかがいましたが、PPE、すなわち個人を防護する用具が枯渇傾向にあり、その医療機関ではマスク以上に防護服・医療用ゴーグル・フェイスシールドなどが不足していました。再利用を進めようにも「コロナ患者を引き受けている病院だから」と消毒業者がなかなか請け負ってくれないというお話でした。

さらに、お話を聞いた医療機関のスタッフは、感染を広げないために自動車で通勤するとともに、効率的な作業や家族への感染防止のためにホテルへの宿泊をしています。しかし、自動車の駐車場や駐車料金が確保できなかったり、医療スタッフの宿泊を断るホテルもあり、ここでも現場は重大な困難に直面しています。

「医療崩壊は目前」だと警告される今こそ、国の実施をいたずらに待つのではなく、急いで市がスタッフのための宿泊施設や駐車場の確保、その費用の補償・支援、そして、防護服やゴーグル、シールドの供給と再利用の促進のための手立てを取るべきであります。

PCR検査についても、これまでの抑制政策から大量実施への大転換が必要です。

WHO、世界保健機関の事務局上級顧問の渋谷健司(しぶや・けんじ)医師は、「実際の感染者は確認・発表されている数の10倍」だと警告し、前述の西浦教授もその発言に触れて「現在の患者数は氷山の一角」「少なくとも10倍以上」だと発言しました。ノーベル賞受賞者である山中伸弥・京都大学教授が「検査数が増えないと、感染者の増加を見逃す可能性」があるとして「感染者数のみで一喜一憂するのではなく、真の姿をとらえる必要があります」と述べたように、検査とサーベイランスを抜本的に強化せねばなりません。

ところが、福岡市の検査数はいまだに1日100件前後で推移していますが、保健福祉局長は審議の中で「東京都に次いで検査数が多い」などと自慢するありさまでした。高島市長はこの少ない検査数をもとに動画やブログなどで「新規感染者数が3日連続でゼロ」「(市内感染が)施設内・家庭内におさまっている」などと、まさに「一喜一憂」をくりかえしています。

これに関連して、「自粛の効果が出ている」と大はしゃぎした市長の見解が、県の専門家会議にあたる柳教授の、「効果を判断できる段階ではない」という見解と真逆であることを指摘された荒瀬副市長は“柳先生の話は県の話であって、福岡市のデータは見せていない”と弁明されました。しかし、柳教授は“感染者数は2週間前の姿しか反映しないから、そもそも自粛の効果は25日の段階では判断できない”、つまり原理的に判断は無理だとおっしゃっています。データを見せていないとか、そんな話ではありません。初歩的な科学知識すら欠いた、あまりにお粗末な言い訳と言わねばなりません。

今回の補正予算案にもPCR検査を強化する中身はごく一部に含まれており、地域のかかりつけ医の判断で保健所を通さずに検査を受けられることになりますが、圧倒的に足りません。検査センターを1カ所でも多く増設し、検査数そのものを増やして、感染の「真の姿」を浮き彫りにした科学的な対策を急ぐべきです。


市民生活・地域経済についても同様です。

国による特別定額給付金の10万円、そして福岡市による休業協力業者への家賃支援などが今回の補正予算案には入っておりますが、いずれも「1回こっきり」です。しかし冒頭に申し上げた通り、少なくとも1年にわたる長期戦を想定した場合、それでは見通しが成り立ちません。

まず、なんといっても国に対して長期の見通しと対策を、市として強く求めることが必要です。市民生活への支援として、10万円給付金を1回だけでなく2回、3回と渡すとともに、生活保護の柔軟な適用を求めていくべきであります。また、地域経済が焼け野原になることを防ぐためには、休業している間の中小業者の家賃や従業員の給料といった固定費への補償と支援を強めることが必要です。雇用調整助成金の手続きをもっと簡単にして早く受けられるように改善するとともに、中小業者に対する持続化給付金の継続的な支給、野党が共同で衆議院に提出した、中小業者の家賃の1年間猶予、減額補助を行う法案の成立が急がれます。

しかし、ここでも国が政策を転換するのを待つのではなく、市民生活や中小業者の経営が破綻する前に、市として手立てをとるべきであります。今回本市が独自に打ち出した家賃支援の施策を、対象業種や期間、金額を広げて、国の施策が行われるまでの間、地域経済が維持できるように力をつくすことが求められております。


最後に財源について述べておきます。

高島市長は、独自の家賃支援を発表した際に、ブログで次のように述べております。

「今紹介した福岡市の独自施策だけで予算規模はおよそ100億円弱の見込みです。財源としては国の臨時交付金の活用を検討していますが、間に合わない場合や、対象にならない事業がある場合は、まさにこういう時のために貯めてあった財政調整基金を取り崩して対応します」。

つまり、国の交付金がたとえ来なかったとしても、100億円は財政調整基金を取り崩して活用する覚悟があると市長は述べていたわけで、今回国から35億円の交付金が来たのであれば、その分は基金を活用できることになります。

さらに市長は「新年度事業の中にはコロナの影響で見直しが必要な事業もあるので、その財源をコロナ対策に振り分ける」と述べており、クルーズ船対応をはじめとするインバウンド関連の事業を徹底的に見直して、この財源に充てるべきであります。予算議会の際に、市は“クルーズ船の岸壁工事などは長期対応のために必要だ”と強弁していましたが、いま目の前で医療が足りずに失われていこうとする命と、いつ来るともしれないクルーズ船の岸壁づくりと一体どっちが大切なのか、考えるまでもなくわかることです。

市長は14日の記者会見で「今は平時ではなく有事」「できることは全部やる」と発言されましたが、市長のその言葉を掛け値なし、額面通りに実行していただくだけで、あと35億円を増額させた予算の組替えは十分に可能です。このことは与党・野党という立場の違いを超えて一致できるものであると確信しております。

議員各位のご賛同をよろしくお願いいたします。


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